十数年前のこと、私は身内が経営する会社に勤めていました。社長が何かの拍子にこう言ったのです。
「おまえ、1億円の現金を見たことあるか?」
「そんなん、あらへん」
「わしもや。通帳で見てるだけや」
こんなやりとりのあとに、社長が「すぐ出してこい」と言いました。預金先の銀行支店に行っても、1億円の現金が支店にあるはずがない。100万円の支払いでも銀行振込をする時代です。1億円もの現金を見たがるのはいかにも成金のようで、銀行に言うのも恥ずかしい。しかし社長命令ですから、電話で通知をして翌日に現金を引き出して、会社に持ち帰りました。
そのとき私は、旅行かばんに札束1億円を詰めましたが、かさ高いうえに大変重い。小沢さんの秘書(当時)が運んだ札束4億円は、当然重さ4倍。かさも4倍です。