川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

あがく日銀 アベノミクスが国民生活を潤すことは無い

2016-02-23 04:08:25 | Weblog


安倍内閣成立は2012年12月26日。黒田日銀による「異次元金融緩和」発表は2013年4月4日。アベノミクスが始まって、もう3年近くになります。その間に何回か、追加策がありました。しかし、トリクルダウン、すなわち国民生活へのおこぼれはまだありません。おこぼれは無いものと諦めた方が良さそうです。

昨年2015年12月18日に、日銀は金融緩和の補完策を発表しました。この補完策について同12月22日付毎日新聞が社説で警告を発しています。この社説の中で、国債購入について次のように述べています。

【引用文】このまま量的緩和を続けると支障をきたしそうなため、日銀が買う国債の種類を多様化して対処しようとなったわけだ。しかし、保有残高を年80兆円のペースで増やす政策を維持すれば、いずれまた壁が見えてくるだろう。一方、国債市場における日銀の存在がさらに大きくなることで、購入の手を緩められなくなるリスクが高まる。緩めようとした途端、価格が暴落しかねないのだ。

「購入の手を緩められなくなるリスクが高まる。緩めようとした途端、価格が暴落しかねないのだ。」 ――これは、年金積立金を東京株式市場に巨額投入したのと同じりくつです。

昨年12月22日毎日新聞社説の認識は当然、実務家、専門家の間に問題意識としてあったでしょう。そのうえで今年2016年1月29日の「マイナス金利」日銀発表がありました。

毎日新聞社説の警告を参考として転載しておきます。

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2015年12月22日付 毎日新聞 社説
    日銀の「補完策」 リスクが高まる一方だ

 日銀が先週末、「異次元緩和」と呼ばれる大規模な金融緩和を「補完する」策を発表した。物価上昇率2%の実現まで緩和を続ける余力が、日銀には十分残っている。そうアピールしたかったのかもしれないが、逆に政策の泥沼化、手詰まり感を印象付ける形になった。

 一段と市場をゆがめ、日本経済が将来重大な混乱に陥るリスクは高まる一方だ。突然の日銀の発表に市場は動揺し、原油安も相まって、東京市場では週明けも株安が続いた。

 今回の補完策は大きく三つの措置からなる。

 まず、従来より満期までの期間が長い国債を多く買えるようにするものだ。日銀は大量の国債を金融機関から買っているが、その結果、市場に出回る国債の品薄状態が深刻化している。満期までの期間が短めの国債では、マイナス金利という、借金する側がもうかる異常事態が続く。

 このまま量的緩和を続けると支障をきたしそうなため、日銀が買う国債の種類を多様化して対処しようとなったわけだ。しかし、保有残高を年80兆円のペースで増やす政策を維持すれば、いずれまた壁が見えてくるだろう。一方、国債市場における日銀の存在がさらに大きくなることで、購入の手を緩められなくなるリスクが高まる。緩めようとした途端、価格が暴落しかねないのだ。

 2番目の柱は、不動産投資信託(REIT)の購入に関するものだが、こちらも今のままでは早晩買い入れの上限に達してしまうので、上限を引き上げておこうという措置である。日銀による保有の比重が高まることで、市場がゆがんでいくのは、国債と同様だ。

 日銀が買い入れる株式投資信託に新たなタイプを設け、年3000億円を投じるというのが第3の柱だ。設備投資や賃上げに積極的な企業の株を集めた投資信託が対象という。安倍政権が重視する課題と重なる。

 だが、民間に委ねるべき投資行動に中央銀行が影響を与えようとするのは間違いだ。政府の政治的思惑から独立した存在という、中央銀行のあるべき姿にも反する。

 三つの措置はいずれも6対3の多数決で決まった。反対した3人が市場に明るい金融界出身だったことを重く受け止めるべきだろう。

 米国では、物価上昇率が目標を大きく下回っているにもかかわらず、中央銀行が量的緩和を終え、利上げを開始した。日銀はいまだに2%目標の短期実現に固執し、量的緩和を進めることも引くことも大きな危険を伴う、抜き差しならない状況に自らを追い込みつつある。危ない実験が失敗した時、苦しむのは国民だということを忘れてはならない。

 ※この社説が昨年12月22日。これに重ねて1ヵ月後の2016年1月29日、日銀は「マイナス金利」を発表しました。

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<私のアピール>

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍総理退陣まで、国政で安倍自民党に“No”を !
安倍総理を支持する政党、政治家、安倍総理にすり寄る候補者に、
次の参院選・衆院選で彼ら彼女らに“No”を !

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」をめざしています。
安倍首相の抱く国家像は「明治維新リメーク型日本」です。
平和な暮らしで栄えてきたデモクラシー日本。なぜ壊すのですか?

2012年12月26日、安倍内閣が成立しました。
アベノミクス効果で円安・株高が実現しました。
それは、日銀の過剰な国債購入、GPIFの過剰な株式買い入れを伴っています。

円安効果で輸出大企業が栄えました。同じ円安効果で食品など生活関連品、電気代などエネルギー費が値上がりして、大衆には生活費切り詰め効果がありました。

アベノミクスの円安・株高効果の本質は、多数派である国民大衆の生活費で、少数の大企業や株投資家の金庫を富ませていることに繋がっているのではありませんか?

安倍内閣下で特定秘密保護法が成立しました。安保関連諸法が成立しました。内閣法制局長官と、自民党・高村副総裁と、公明党・北側副代表の三者で手を握って、憲法違反の集団的自衛権を合憲だと、押し通しました。NHKの経営委員や会長には、安倍首相の息のかかった人が座りました。

政府に「批判的な」テレビ論調は「公平でない」と、政府・自民党が圧力をかけました。
政府に「同調的な」テレビ論調に、圧力はありません。政府・自民党が「公平でない」のです。
テレビ局や公共の会館管理者などに自主規制が広がっているように見えます。
安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。安倍総理退陣を願っています。



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安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入 運用の株式比率は20%から50%へ(4止)

2016-02-11 08:28:25 | Weblog
<安倍内閣の大罪 年金シリーズ>
2016/01/10 年金運用(1)株式投資もつまり、バクチの類
2016/01/13 年金運用(2)1月年初に連続下げ相場
2016/01/16 年金運用(3止)東証続落 年金積立金5兆円目減りか
2016/01/23 安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
               運用の株式比率は20%から50%へ(1)

2016/01/26 安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
               運用の株式比率は20%から50%へ(2)

2016/02/06 安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
               運用の株式比率は20%から50%へ(3)

2016/02/11 安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
               運用の株式比率は20%から50%へ(4止)


年金積立金の平成27年度第2四半期の運用成績は、収益赤字 -7兆8,899億円でした。年初来の株価大幅続落で、第4四半期も似たような規模の赤字になるでしょう。

昨年最終の東京株式市場、2015年(平成27年)12月30日の日経平均株価終値は、19,033円71銭でした。きょう、2016年(平成28年)2月12日午前日経平均株価終値は、14,874円65銭でした。こういうリスクの大きい株式に投入する年金積立金運用資産を、GPIFが前政権運用の32.4兆円(平成24年度末)から61.7兆円(平成26年度末)とほぼ倍増させました。安倍内閣の株高政策に利用されました。(2/12追記)

わたしたち国民の老後のための資産は、安倍内閣の厚生労働大臣の監督下で、政策利用されています。安倍内閣の大罪です。平成27年度の赤字がどれほどの巨額になるのか、しっかり見ておきたいものです。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が「平成27年度業務概況書」を発表するのは今年の夏、7月中旬~下旬です。参議院選投票日以前には発表しないかもしれません。〇〇兆円という規模の収益赤字、こんな悪材料を参議院選投票日前に発表したくはないでしょうから。


収益赤字の理由

前回(3)では、安倍内閣以前の収益赤字になった5ヵ年度すべて、赤字の原因が株式にあることが明らかになりました。

平成13年度収益赤字は市場にIT不況の影響が残っているからでした。平成12年、ITバブル崩壊で株価は内外ともに大幅下落したのです。

平成14年度は、GPIF 平成26年度業務概況書(8)昭和61年度以降の運用環境等73ページに、「国内株価は金融不安で大幅下落」したとしています。

平成19年度は、米国でサブプライムローン問題が起きて、国内株価は大幅下落。外国株価も下落しました。そして平成20年度は、米国発リーマンショックへと続いて、世界的金融不安と株価下落がありました。

平成22年度は、GPIF 平成22年度業務概況書15ページに、「下期においては、景気対策の終了に伴う反動、米国景気の停滞、欧州周辺国の財政懸念等からマイナス成長となり、さらに中東、北アフリカ情勢緊迫化による原油等の資源高、年度末には東日本大震災発生により、厳しい経済環境となりました」と、説明されています。

要するにどうしたって、リスク資産である株式の運用は、経済環境の影響を強く受ける。

それがわかっているから、安倍内閣以前までは、株式運用の比重を小さくし、安全度の高い債券運用に大きく比重を置いていました。


収益黒字の理由

8兆円以上の大幅収益黒字になった年度は、平成17年度、平成21年度、平成24年度(以上「安倍内閣以前」)、平成25年度、平成26年度(以上「安倍内閣時代」)の5ヵ年度分です。

平成17年度は、平成17年度 資金運用業務概況書(年金資金運用基金)の「はじめに」で、「平成17年度においては、世界的な景気回復基調を受けた国内外の株高の影響から、総合勘定において8兆9,000億円余りの収益を計上し」と述べています。

平成21年度は、GPIF 平成26年度業務概況書(8)昭和61年度以降の運用環境等74ページに、「国内株価は外国株の上昇で大幅反発。外国株価はリーマン・ショック後の世界的な経済対策で大幅上昇」と述べています。

平成24年度は、上と同じ74ページに、「積極的な金融緩和や経済対策への新政権に対する期待から、国内株価は大幅上昇。外国株価はグローバルな追加金融緩和で上昇。円安により債券・株式ともに好リターン」と述べています。

これも上と同じ74ページに、平成25年度は、「日銀の量的・質的緩和や先進国の景気回復や円安で、内外ともに大幅株高」。平成26年度は、「国内株価は日銀の追加金融緩和による円安や原油価格低下により大幅上昇。外国株価も、日欧における追加金融緩和から大幅上昇」としています。

ただし、平成24年度末の株式運用資産は32兆4,333億円。平成25年度は24年度に比べて8兆円も多く株式投入していますし、平成26年度は24年度に比べて29兆円も多く株式投入しています。平成25年度分以後は、安倍内閣時代の運用です。

「安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入 運用の株式比率は20%から50%へ(2)」で叙述しているように、特に平成26年度については、年金クジラの巨額投入増加そのこと自体が、株価を押し上げたという事情が大きいでしょう。しかし今後はそれが織り込み済みのことになるので、それ自体で株価水準を押し上げることは期待できません。1回こっきりのことです。

このように、収益黒字の理由も、収益赤字の理由と同じように、外部の経済環境の流れに支配されています。年初からの株価続落を予測できていた専門家はわずかでしょう。日銀マイナス金利が円高・株安に振れていることは日銀当局でさえ予測していなかったでしょう。

こういうわけですから、運用資産の株式比率を安倍内閣前対比で倍増させたことは、危険度を倍増させたことになります。国民の老後のための資産である年金積立金を株ギャンブルにつぎこんだことは、安倍内閣の大罪です。



表3・4からわかること――巨額増額投入しても成果は見合っていない

下の表3、表4をご覧ください。資料出所はGPIFの「平成26年度 業務概況書」で、表を再構成しました。平成24年度までは「安倍内閣以前」、平成25年度から「安倍内閣時代」です。

▽平成17年度、21年度、24年度、25年度の株式運用収益高は、7兆円台、8兆円台です。しかし、前3ヵ年度分の各年度末株式運用資産高が、平成25年度に比べて10兆円前後低いことに注目です。

▽平成26年度だけは、株式運用収益高が11兆6,968億円と10兆円の大台を超えました。しかしこれは、年度末株式運用資産高が61兆7,476億円と、前前3ヵ年度分各々のそれに比して倍額であることに注目すれば、驚くほどのものではありません。

▽前3ヵ年度分と安倍内閣時代2ヵ年度分の株式運用資産収益対比を見ると、安倍内閣時代2ヵ年度分のそれは20%未満であり、前3ヵ年度分は概算22%、27%、29%という好成績です。

平成24年度~26年度は経済環境に恵まれていました。それに加えて、平成26年度は、年金クジラ自らの巨額資金投入増加で株価水準を押し上げるという臨時効果にも恵まれました。その結果が、収益率約19%です。運用資産構成比50%レベルまで、飛躍的に株式投入を増額しても、それに見合う成果は上がっていません。

それなのに、株価下落局面では巨額であればあるほど、損失額は巨額になります。それが平成27年度で進行している形です。年金クジラは巨体ですから、株式市場から急速に大きく資金を引き揚げることができません。


以上4回にわたって、安倍内閣が国民の老後資金である年金積立金を政策目的に利用し、危険にさらしていることを述べました。


表3:市場運用大幅黒字年度と収益金額(億円)・各運用資産対比率

運用資産
運用収益
平成17年度末
2006.3.31
平成21年度末
2010.3.31
平成24年度末
2013.3.31
債券株式運用資産
102兆8,701億円 121兆1,148億円 118兆6,815億円
債券株式運用収益
8兆6,795億円 8兆8,928億円 11兆 415億円
債券運用資産
73兆1,295億円 93兆1,128億円 86兆2,482億円
債券運用収益
    11億円 1兆3,594億円 3兆9,481億円
債券運用資産
収益対比
0.00% 1.46% 4.58%
株式運用資産
29兆7,406億円 28兆  20億円 32兆4,333億円
株式運用収益
8兆6,785億円 7兆5,334億円 7兆 934億円
株式運用資産
収益対比
29.18% 26.90% 21.87%


表4:市場運用大幅黒字年度と収益金額(億円)・各運用資産対比率

運用資産
運用収益
平成25年度末
2014.3.31
平成26年度末
2015.3.31
平成27年度末
2016.3.31
債券株式運用資産
124兆7,349億円 136兆6,328億円 期中 未発表
債券株式運用収益
10兆 672億円 15兆1,809億円 推測収益赤字
債券運用資産
84兆1,557億円 74兆8,852億円 期中 未発表
債券運用収益
2兆1,430億円 3兆4,841億円 期中 未発表
債券運用資産
収益対比
2.55% 4.65% 期中 未発表
株式運用資産
40兆5,792億円 61兆7,476億円 期中 未発表
株式運用収益
7兆9,242億円 11兆6,968億円 推測収益赤字
株式運用資産
収益対比
19.53% 18.94% 推測
マイナス%


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<私のアピール>

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。安倍総理退陣まで、国政で安倍自民党に“No”を ! 安倍内閣のお伴政党、安倍総理を支持するお伴政治家、安倍総理にすり寄る候補――次の参院選・衆院選で彼ら彼女らに“No”を !

デモクラシー日本は今、安倍内閣の強権支配にやられて喘ぎ病んでいます。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」をめざしています。
安倍首相の抱く国家像は「明治維新リメーク型日本」です。
それは、平和であり続けたおかげで栄えてきた、戦後日本70年の価値を捨てる道です。

2012年12月26日、安倍内閣が成立しました。
アベノミクス効果で円安・株高が実現しました。
それは、日銀の過剰な国債購入、GPIFの過剰な株式買い入れを伴っています。

円安効果で輸出大企業が栄えました。同じ円安効果で食品など生活関連品、電気代などエネルギー費が値上がりして、大衆には生活費切り詰め効果がありました。

アベノミクスの円安・株高効果の本質は、多数派である国民大衆の生活費で、少数の大企業や株投資家の金庫を富ませていることに繋がっているのではありませんか?

安倍内閣下で特定秘密保護法が成立しました。安保関連諸法が成立しました。内閣法制局長官と、自民党・高村副総裁と、公明党・北側副代表の三者で手を握って、憲法違反の集団的自衛権を合憲だと、押し通しました。NHKの経営委員や会長には、安倍首相の息のかかった人が座りました。

政府を批判するテレビ論調に「公平でない」と、政府・自民党の圧力がかかりました。
政府に賛成基調のテレビ論調に、政府・自民党の圧力はありません。
テレビ局や公共の会館管理者などに自主規制が広がっているように見えます。
デモクラシー日本は今、安倍強権内閣にやられて喘ぎ病んでいます。




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安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入 運用の株式比率は20%から50%へ(3)

2016-02-06 02:42:22 | Weblog
<安倍内閣の大罪 年金シリーズ>
2016/01/10 年金運用(1)株式投資もつまり、バクチの類
2016/01/13 年金運用(2)1月年初に連続下げ相場
2016/01/16 年金運用(3止)東証続落 年金積立金5兆円目減りか
2016/01/23 安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
               運用の株式比率は20%から50%へ(1)

2016/01/26 安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
               運用の株式比率は20%から50%へ(2)

2016/02/06 安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
               運用の株式比率は20%から50%へ(3)

2016/02/11 安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
               運用の株式比率は20%から50%へ(4止)



前回(2)では、安倍内閣が、国民の資産である年金積立金を「株価上げ」に利用したことが明らかになりました。そしてそれは、経済界や内外の機関投資家・個人投資家がもろ手を挙げて歓迎するものでした。

今回は、運用収益表を再構成してみて、年金積立金の運用収益が赤字になった年度は「株」が原因であることが明らかになりました。安倍内閣は当然、このことを知ったうえで、株式の運用枠を増やしたのです。

年金積立金管理運用独立行政法人(略称:GPIF)の株式の運用枠は、安倍内閣以前の20%目途 → 50%目途に増やされています。逆に債券の運用枠は、安倍内閣以前の75%目途 → 50%目途に減らされています。


運用収益赤字になった6ヵ年度

GPIFの平成26年度 業務概況書と、平成27年度第2四半期運用状況をもとにして、債券と株式の市場運用収益表を再構成してみました。

平成13年度以後で債券・株式の運用が年度赤字になったのは平成13年度(2002.・3末)、平成14年度(2003.・3末)、平成19年度(2008・.3末)、平成20年度(2009・.3末)、平成22年度(2011.・3末)、平成27年度上半期(2015・9末)の6ヵ年度です。

平成27年度はまだ年度中で、実績が公表されているのは第2四半期までです。しかし、第2四半期の株式運用赤字は7兆9,706億円であるうえ、第4四半期冒頭の年初から株式相場続落のため、さらに何兆円かの赤字を積み上げるでしょう。


運用収益赤字の原因は「株式」、「債券」 は黒字

下の二つの表を見てください。平成27年度以外は、安倍内閣以前の実績です。

一目でわかるのは、債券・株式の市場運用赤字になった年度で、赤字になっているのは株式運用だということです。債券の運用収益は赤字ではありません、黒字です。

このことを安倍内閣はまちがいなく知っているでしょう。

それでも安倍内閣は、リスク資産である株式運用を、安倍内閣以前の20%ベースから50%ベースに増やしました。より安全度の高い債券運用を75%ベースから50%ベースに引き下げました。

安倍首相は、自らの内閣の長命のために年金積立金を株ギャンブルに投じました。

下の株式運用赤字の表が、安倍内閣の大罪を告発しています。


表1:市場運用分総合収益額(億円)――赤字運用年度と赤字収益金額

運用資産
運用収益
平成13年度末
2002.3.31
平成14年度末
2003.3.31
平成19年度末
2008.3.31
債券株式資産計 38兆2,724億円 49兆2,378億円 119兆8,858億円
債券株式収益計 -6,301億円 -2兆5,878億円 -5兆8,406億円
債券収益 計 1,942億円 9,254億円 1兆6,682億円
株式収益 計 -8,243億円 -3兆5,132億円 -7兆5,088億円


表2:市場運用分総合収益額(億円)――赤字運用年度と赤字収益金額

運用資産
運用収益
平成20年度末
2009.3.31
平成22年度末
2011.3.31
平成27年度②
2015.9.30
債券株式資産計 117兆4,678億円 113兆3,949億円 135兆1,087億円
債券株式収益計 -10兆1,647億円 -5,709億円 -5兆2,813億円
債券収益 計 2,487億円 5,117億円 1,249億円
株式収益 計 -9兆9,160億円 -1兆 826億円 -5兆4,062億円
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