今、中国は、習近平の対内一代皇帝支配体制化、対外経済中国一強支配政策としての一帯一路、対外政治中国一強支配政策としての九段線領海=東シナ海~南シナ海の内海化という海外膨張政策をとっています。
<IOCバッハ会長 中国政府に同調、彭帥テレビ電話で>
国際オリンピック(IOC)バッハ会長が11月21日、中国の女子プロテニス選手、彭帥さん(35) とテレビ電話で話しました。
彭帥さんは国際的に有名なテニス選手で、共産党最高指導部メンバーだった張高麗・前筆頭副首相(75)による性暴力とその後の不倫関係を告発した後に消息不明となっていました。
バッハ会長は、彭さんは北京の自宅で安全に元気で生活していると説明しました。
バッハ会長は北京入りする来年2022年1月に彭さんを現地での夕食に招待し、 彭さんは感謝を述べた上で、今は自身のプライバシーを尊重してほしいと話し、友人や家族と過ごすことを希望。今後もテニスは続けていく予定だといいます。
中国は国内で今、大々的に有名芸能人の取り締まりをしています。指定された芸能人はSNSの利用を禁止されています。
彭さんも同様に個人的に発信することを許されていません。今は中国内のどこかで軟禁状態にあると見られています。彭さんが張高麗・前筆頭副首相による性暴力とその後の不倫関係を告発した事実も、すぐあとに削除されています。そのことを話題にすることも許されていません。
彭さんにこれら報道を見聞きして思うに、日本人の常識的な感覚でいう「自由な」生活環境にあると肯定することはとてもできません。
バッハIOC会長は、2020/2021コロナパンデミックの日本にあって東京五輪開催に関する国民世論が中止に傾いている時、開催にこだわる日本政府を支持してきました。
バッハ会長は、パンデミック禍の日本政府を支持したのと同様に、ウィグル族の漢民族化強行弾圧に対する国際的人権批判や「彭帥#MeToo告発」隠しに対する女子テニス協会(WTA)はじめの国際的批判に対抗して、2022冬季オリンピック開催成功のために中国政府に協力してみせたのです。
<米国と友好国の北京冬季五輪「外交的ボイコット」策>
米国は今、ウィグル人権問題や「彭帥#MeToo告発」隠し問題で中国に抗議して、北京冬季五輪「外交的ボイコット」策を検討課題に挙げています。
外交的ボイコット策とは、来年2022年2月に開催される北京冬季五輪の開会式に外交使節団を派遣しない、というものです。
<米国同盟国日本の北京冬季五輪対応策への考え方>
それでは日本はどうすることがよいのでしょうか。
昭和敗戦後の日本は米国占領下で民主主義に衣替えをし、米国庇護の下で冷戦を切り抜け平和を守り、経済力を磨いてきました。戦後日本は時によって見方によって、国内外ともに米国の属国と評されるほどの米国陣営国です。
米国が北京五輪ボイコットと言うなら、日本政府はそのように傾きます。米国が北京五輪外交的ボイコットというなら、そのように傾きます。それがこれまでの日本です。
習近平中国の対内・自由抑圧、対外・軍事脅迫は許せるものではありません。しかし、中国国民がみんな、中国政府のこの方針に賛成なのではありません。いつの時代のどの国家でも、当事国の国家の姿が当事国国民個々の姿と同一というものではありません。
いつの時代のどの国に在っても人々は、ささやかで平凡な暮らし――生活苦に陥りたくはない、病苦にさいなまれたくはない、争いのある生活は避けたい――の中に生きる温もりを見出しています。
こういう生活のあり方を生活保守と呼ぶならば、中国人であれ、米国人であれ、日本人であれ、みんな生活保守の人々です。むやみに他国や他国の人々を排撃することを避けて、良い方法がないのか思案を重ねることが大切になります。
<切磋琢磨してきた五輪選手がかわいそうだという声>
東京五輪中止の声が高いとき、中止論に対抗するようにしていつも話されてきたことは「出場目指してがんばってきた五輪選手がかわいそうだ」論です。
五輪出場権試合に負けて出られなかった選手はどう考えるのだろう。もともと五輪出場ランクに縁のない技術ランクのスポーツ選手はどう考えるのだろう。
国体や高校野球やほかのありとあらゆる競技。昨年の東京五輪年にコロナで中止になった競技選手はどう考えるのだろう。教室授業が一年を通じてほとんどなかった大学生はどう考えるのだろう。
コロナ死の遺族やコロナ患者になった人たちはどう考えるだろう。
コロナ感染におびえながら満員電車で出勤していた人たちはどう考えるだろう。
コロナの影響で日々の暮らしに追い詰められている人たちはどう考えるだろう。
「五輪選手がかわいそうだ」五輪開催論に賛成していた人の中には、五輪経済の恩恵を受ける会社の人たちがいたでしょう。電通やパソナのことや竹中平蔵が思い浮かびます。政府やIOC、JOC関係者やその広大な裾野の人たちがいたでしょう。安倍さんや菅さんや森さんの顔が思い浮かびます。
<オリンピックの再生を願う>
東京五輪とコロナにさいなまれた結果、身に染みて知ったことがあります。オリンピックは国際政治にもまれるものであり、開催当事国や国際オリンピック協会(IOC)にとって利害の塊である一大政治ショーであり一大商業イベントであることを。
一流選手にとって現代のオリンピックは、平和を出汁にしてメダル栄誉を釣りにした商業イベントであり、賞金獲得やCM出演料、将来の関連役職などを当てにできる出世スポーツの祭典であるという側面があります。
五輪は腐っている。私はそう思います。
数年間か十年間、五輪を休止して根本的な見直しの後に再開するのが良いと私は思います。私はその一方、五輪が国際友好、国際交流と国際平和に果たしてきた意義には大きいものがあると評価します。
五輪は生まれ変わってほしい。私はそう思います。
五輪を大切にするならば、経済大国以外の国でも容易に開催できる形態に作り直す必要があります。簡素化には、ふくらむ一方の種目を大幅に縮減することも必要になります。
日本の国体開催が都道府県を順に巡っことを参考にして、あるいは開催国をギリシャに固定し、五輪精神を正しく質素に広める機会に再生してほしいと願っています。
<北京冬季五輪外交策――私はこう思います>
こうしたいろいろなことを思い合わせながら、日本は北京冬季五輪に参加して、開会式閉会式不参加で、ウイグル人権問題や「彭帥#MeToo告発」隠し問題に対する日本の意思を世界に対して表示するのが良いと考えます。
そして五輪競技には参加してメダル獲得競争への熱意で五輪が大切なイベントであると認めている日本の意思を世界に対して表示してほしい。
中国政府は当然不満このうえないでしょう。今の中国政府は傲慢であります。しかし、日本のこんな表現法なら日中両国に折れ合いがつくメリットがあると私は思います。