川本ちょっとメモ

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安倍晋三は維新ファンなのか 大阪バックアップ連発、(明) 大阪維新復活 → 意気盛ん、(暗) 大阪自民 → 疲弊

2020-09-25 07:29:49 | Weblog





   ※今回はまだ安倍首相、菅官房長官と表記します。


   (もくじ)
   1.大阪維新が2015春大阪府議会選挙で、初の議席減になった事情
   2.大阪維新 2015春大阪府議会選敗北
     5・17 大阪都構想住民投票「否決」が維新追い討ち
   3.維新の会創業者・橋下徹と堺屋太一、安倍晋三
   4.この10年、大阪は「維新の会」の天下
   5.安倍首相から維新の会へビッグプレゼント
     大阪自民党は蚊帳の外
   6.安倍首相、背信行為の結果 → 大阪自民、疲弊



1.大阪維新が2015春大阪府議会選挙で、初の議席減になった事情 


2011統一地方選後の時期、橋下徹大阪市長(当時)と松井一郎大阪府知事はカジノ都市でもあるシンガポールをイメージして、外国カジノ企業誘致に全力を尽くしていました。誘致予定地は大阪湾廃棄物埋め立て地「夢洲 ゆめしま」です。

大阪維新は、大阪万博誘致とカジノ誘致をワンセットにした政策を計画しています。そのうえに大阪都構想とも連結した政策です。

今、大阪維新は大阪万博とカジノシティーとをワンセットで計画していて、都構想とのつながりにはまったく触れていません。しかし、今秋の11月に予定されている都構想大阪市民住民投票で承認された暁には、大阪維新は都構想政策の成果として計上してくるはずです。

大阪自民は、「大阪市を解体して大阪府直営区に再編成する大阪都構想」に一貫して反対しています。そうなのですが、大阪万博とカジノシティーのワンセット計画には同意のはずです。

しかしどの政党支持であれ、カジノ誘致に反対する人は多く、しかも根強い。これは2015統一地方選の大阪府議会選挙で維新議席減少の要因になりました。


前回書いたように、2013年、橋下徹大阪市長(当時)沖縄普天間基地訪問視察して、沖縄米軍海兵隊司令官と面談の機会に米軍関係者の性犯罪防止に性風俗店の積極利用が有効と提案したことを明らかにしました。

この橋下提案の反響は全国的に大きく広がり、アメリカ政府からも反響がありました。いずれも「女性蔑視、人権無視」という批判の広がりでした。

これも2015統一地方選で維新議席減少の要因になりました。


橋下徹市長(当時)が性風俗発言で批判を浴びた2013年、松井一郎大阪府知事には府政のうえで失点がありました。大阪府の第三セクター「泉北高速鉄道」売却問題で、売却先米国投資ファンド「ローンスター」を選定しました。

これには主に堺市民から猛反対が巻き起こり、「ローンスター」案を撤回。2014年に大阪市から南大阪全域に鉄道網を張る「南海電鉄」に譲渡して事なきを得ました。

住民生活に直結する鉄道路線の経営を米国投資ファンド会社に売ろうとした無神経さですから、これも2015統一地方選で維新議席減少の要因になりました。



2.大阪維新 2015春大阪府議会選敗北
  5・17 大阪都構想住民投票「否決」が維新追い討ち 


   〇大阪府議会
    議席獲得率(定数対比)

                (2010発足年) (2011年春) (2015年春)      
    [大阪維新]   26%     52%    48% 
    [大阪自民]   21%     12%    24% 

   ※1.維新は2011春に倍増。民主・共産票を吸収したと見られます。
   
※2.維新は2015春に初の減少、前回比2割減。勢いに足止めがかかりました。
     ※3.自民は2011春に激減。維新のあおりを受けました。
     ※4.維新と逆に、自民、2015春は前回比倍増。2010年を超えて大健闘。


2015春統一地方選で大阪府議会選挙では、大阪維新の会の議席数が初めて減少しました。飛ぶ鳥落とす勢いに足止めがかかったということが大きい。

その理由は前回にも書きましたが、主に目立った事情は上記1.の通りです。

おまけに、大阪都構想 2015.5.17.住民投票の結果が否決に終わりました。大阪維新はそれこそ、「大阪繁栄の手立ては都構想実現しかない」という論法を叫んできました。住民投票否決になったので、大阪維新共同創業者(もう一人は松井一郎府知事)の橋下徹大阪市長は辞職の意向を表明しました。

住民投票「否決」で大阪維新の旗印がなくなりました。これからどうしよう。大阪維新の幹部は内心では途方に暮れたことでしょう。



3.維新の会創業者・下徹と堺屋太一、安倍晋三


橋下徹氏は2008年1月大阪府知事選挙に大阪芸能界あたりの支持だけで出馬した一匹狼のようなイメージがありますが、事実はそうではありません。

どこでつながったのか知りませんが、堺屋太一氏が橋下徹氏の後見人のようにしてついていました。橋下氏は堺屋太一氏に師事しているがごとくであり、堺屋太一氏の力添えで関西財界が橋下知事候補支援の旗を上げています。

東京中央の国政政治家とのつなぎも、橋下徹大阪府知事初期のころは堺屋太一氏の勧めや紹介であったようです。

大阪万博再びのアイデアも堺屋太一氏の提案に発しています。橋下徹知事(当時)が大阪府政でぶつかる改革を国政の視点から見ることも堺屋太一氏から学んだことでしょう。

堺屋太一氏は東大卒、通商産業省入省。1970年大阪万博、2005年愛知万博、2010年上海万博に関わり、経済企画庁長官、安倍内閣参与、大阪市顧問など多彩な経歴があります。

その堺屋太一氏が2019年2月8日、亡くなりました。葬儀には安倍首相、菅官房長官、石原慎太郎、自民党の領袖・岸田文雄氏など政財界の要人多数が参会する中で、橋下徹氏が弔辞を述べました。ニュース動画が残っています。

「大阪の橋下です。先生、これはいけませんよ本当に。先生には(ここから涙声がふるえる)2025年大阪万博のテープカットに立ってもらわなきゃ困るんですよ」

このように大阪政界初登場の折からすでに、橋下徹氏は中央政界とのつなぎを怠りませんが、堺屋太一氏の存在が大きい。

安倍晋三氏とは自民党総裁、総理大臣、就任前の安倍晋三氏に面会しています。安倍氏が総理大臣になって以後は、日本維新の会の実質は閣外与党です。橋下徹氏や松井一郎大阪市長を見ていると、政治上の体質的にも安倍氏と肌が合うのではないかと思います。

橋下氏や維新が憲法改正で安倍晋三氏と同一歩調を取っていることは周知のことで、これが、安倍首相が維新を優遇する大きな条件でした。維新の会も「改憲協力」を安倍政権への売り物にしてぶら下がっています。

カジノ誘致は、橋下徹大阪府知事初期のころから、大阪振興策の重要な柱です。それに万博開催が絡んで「万博カジノセット」が維新の会の一大政策です。

カジノ、公式に言うところの統合型リゾート(IR)は国から地域指定を得なければいけませんが、安倍首相との関係でよほどの自信があるのでしょう。大阪ではその先の外国カジノ企業の誘致や選定の話ばかりが話題に上がります。



4.この10年、大阪は「維新の会」の天下


大阪は維新の会の天下。2008年以後、大阪府知事は橋下徹 → 松井一郎 → 吉村洋文(現在)と、維新の会だけで受け継がれています。

大阪市長は2011年以後、橋下徹 → 吉村洋文 → 松井一郎(現在)と、維新の会だけで受け継がれています。

大阪府議会、大阪市議会ともに第一党は、大阪維新の会です。



5.安倍首相から維新の会へビッグプレゼント
  大阪自民党は蚊帳の外 


2016年~2019年の間、このうえないビッグプレゼントが国から大阪に降りてきました。ビッグプレゼントとは下のような事柄です。これで大阪維新は一気に活気づきました。


 【安倍首相から維新の会へビッグプレゼント

 2016 (H28) 年12月  特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、成立
               (別名:IR推進法、統合型リゾート推進法、カジノ推進法)
 2018 (H30) 年 7月  特定複合観光施設区域整備法、成立
 
              (別名:IR実施法、統合型リゾート実施法、カジノ実施法)
 2018 (H30) 年11月  11月24日、パリ会議で「2025大阪万博」決定
 2019 (H31) 春     統一地方選 大阪府議会 議席獲得率 2015春対比
             大阪維新 勝利 2割増、大阪自民 敗北 3割減
 2019 (R01) 年  6月  6月28日、29日 G20大阪サミット開催

  ※G20大阪サミットは2019統一地方選より後ですが、統一地方選の時点
   では既に大阪で開催準備が進められている状況があって、有権者の投票
   心理に織り込み済みと見ていいでしょう。


統合型リゾート法(カジノ法)の施行で、大阪府知事、大阪市長の念願であるカジノ誘致が実行段階に入れます。万博は大阪府民・市民に、2025年まで明るい目標を掲げることができます。

降って湧いたようなG20大阪サミットのおかげで、大阪に、一流の国際都市であるという箔がつきました。

G20サミットは、大阪より京都であれば参加国要人は喜んだであろう。神戸振興の気持ちがあれば、大阪至近の立地から見ても何の不自由もない。かつて沖縄サミットがありました。北海道洞爺湖サミットもありました。

万博プレゼントに重ねて、G20サミットを大阪に持ってきたことは不自然でさえあります。

安倍首相の東京オリンピック招致の名目の一つであった「東北復興のために」というスローガンの代替え実行で、「G20サミット仙台」であったなら東北人に喜んでもらえたでしょう。

しかし安倍首相の本心では、東北をG20首脳に見せたくはありません。「東北復興」は東日本大震災の記憶を呼び戻して大自然災害への警鐘を鳴らします。それはよいのですが、FUKUSHIMA meltdown 炉心溶融 もクローズアップします。

ついでに言えば、福島第一原発事故では何万という単位で着の身着のままの避難民が出ました。中東で苦しんでいる戦争難民を思い起こさせる「難民」が、戦後日本で発生するとは思いもよらないことでした。
 
 そして、政府指定の立ち入り禁止区域はもちろんのこと、健康上立ち入らない方が良いと警戒しなければいけない放射線汚染領域は、「領土喪失」と同義です。福島原発事故で日本は、戦後初の難民を生み、首都にそう遠くない本土の領土を失ったのだ、と私は思います。



6.安倍首相、大阪自民へ背信行為の結果 → 大阪自民、疲弊


大阪はこの10年間、府知事も大阪市長も、橋下、松井、吉村の維新トリオが回してきました。

今の大阪は「維新」天下ですから,安倍首相が大阪に送り出したプレゼントはすべて、「大阪維新の成果」になります。安倍首相さえその気になれば、大阪自民党の成果でもあることを大阪人に知らせることができたはずです。

しかし、犯罪的なことには、安倍首相はこの大きな「大阪プレゼント」を安倍晋三個人から橋下徹・松井一郎一派へのプレゼントにしたことです。そしてそれが、安倍首相の党で復調傾向にあった大阪自民党を、2019春統一地方選で突き落としました。

2015地方選敗北とその直後の都構想住民投票否決に表れたのは、「大阪維新退潮・大阪自民復調」の流れでした。
 
しかし上述の一連の「安倍首相から維新の会へビッグプレゼント」で流れが変わりました。 

大阪維新・大阪自民の盛衰が象徴的に表れる2019地方選大阪府議会選挙の結果は、大阪維新が前回比2割増、大阪自民が前回比3割減で、「大阪維新の勢い復活・大阪自民消沈」へと流れが逆転しました。


     〇大阪府議会 議席獲得率(定数対比)

                  (2015年春) (2019年春)    
      [大阪維新]   48%     58%
      [大阪自民]   24%     17%

     ※1.維新は2015春統一地方選対比で、2019春の選挙結果 → 2割増。
     
※2.自民は2015春統一地方選対比で、2019春の選挙結果 → 3割減。


自民ファンでもなく、維新ファンでもない、浮動票の1票にすぎない立場であっても、日本第一の自民党の党首総裁であった安倍晋三が大阪で、大阪自民の政敵である大阪維新をバックアップし、苦闘する大阪自民を支援することなく見捨ててきた非情、卑劣さを非難しないではいられません。安倍晋三はなんという背信の指導者でありましょうか。



コメント

安倍首相維新支援の前段階 2010大阪維新登場から2011維新旋風大勝を経て2015維新敗北まで

2020-09-20 15:17:12 | Weblog




   ※今回はまだ安倍首相、菅官房長官と表記します。


 (もくじ)
  1.橋下徹氏および大阪維新、登場から初の2011統一地方選まで 
  2.大阪府市議会動勢表 ―安倍政府の「維新支援」理解のために 
  3.2011統一地方選結果 初挑戦で維新大勝(表1、表2)
  4.2011統一地方選 大阪市議会自民党が維新旋風を切り抜けた背景 
  5.大阪府議選 維新 2011春 大勝、2015春 敗北
    大阪府議選 自民 2011春 大敗、2015春 復活勝利
  6.2015春統一地方選「維新敗北」、都構想住民投票否決を生んだ背景 
  7.維新熱が冷めた4つのできごと 
  8.2012年以降毎年、橋下徹氏と松井一郎氏は安倍晋三氏と会食




1.橋下徹氏および大阪維新、登場から初の2011統一地方選まで 


大阪2008年、橋下徹・大阪府知事が登場しました。
若い知事の情熱と突進ぶりが大阪に旋風を巻き起こしました。
まもなく橋下府知事を代表にした「大阪維新の会」が生まれました。


 [大阪維新の会 誕生まで]

 2008.02.06. 橋下徹・新大阪府知事、初登庁
 2009.04.24. 松井一郎氏ら大阪府議会自民党議員6人で、府議会新会派
        「自由民主党維新の会」を結成
 2010.1.   橋下徹大阪府知事(当時)、後援会のパーティーで「大阪都構想
        実現を目指す」と話す朝日新書2015.11.30.「ルポ 橋下徹」)
 2010.04.19. 大阪府選管に政治団体「大阪維新の会」届出。
        自民党会派から発展 参加議員は自民党籍のまま
        代表・橋下徹大阪府知事(当時) 幹事長・松井一郎大阪府議(当時)
 2010.05.    大阪市議補選。「維新の会」独自候補当選 自民党、落選 
 2010.09.   大阪自民党、「維新の会」活動を反党行為と認定
        「維新の会」参加者に離党勧告、45人離党。

 2011.04.    橋下徹氏および大阪維新、初の統一地方選



2.大阪府市議会動勢表 ―安倍政府の「維新支援」理解のために 


       (表1)大阪府議会議席動勢
    
    
 2010維新 
 発足年議席 
 2011春
 統一地方選 
 2015春
 統一地方選 
 2019春
 統一地方選 
 大阪維新  29
26%
 57
52%
 42
48%
 51
58%
大阪自民23
21%
13
12%
21
24%
15
17%
大阪公明23
21%
21
19%
15
17%
15
17%
大阪民主2110
大阪共産10
その他 6
  ◎定数  1121098888


       (表2)大阪市議会議席動勢
    
    
 2010維新 
 発足年議席 
 2011春
 統一地方選 
 2015春
 統一地方選 
 2019春
 統一地方選 
 大阪維新 13
15% 
33
38%
36
42%
40
48%
大阪自民20
23%
17
20%
19
22%
17
20%
大阪公明20
23%
19
22%
19
22%
18
22%
大阪民主180
大阪共産14
その他
  ◎定数 89868683
            ※欠員2

※1 表1、表2、各マスの数字は「議席数」です。
※2 表1、表2、各マスの赤色数字%は、議席定数に対する議席獲得率です。小数点
   以下は四捨五入しました。
※3 表1、表2の「2010維新発足年議席」は、2011春統一地方選直前の議席数で、
   2007春統一地方選の結果です。
※4 議席数について、2010維新発足年議席・2011春統一地方選は朝日新聞から、2015
   春統一地方選は時事通信、2019春統一地方選はNHKサイトから採取しました。



3.2011統一地方選結果 初挑戦で維新大勝(表1、表2) 


2011春統一地方選を迎えるころの大阪。
大阪市の空も街も、一代の風雲児「橋下徹」旋風の勢いに呑まれています。

政界関係、報道関係だけでなく、大阪人も隣接府県も、大阪府・大阪市の議会選挙結果をかたずをのんで見守っていました。橋下徹大阪府知事率いる「大阪維新」の得票数ならびに獲得議席数は? 橋下維新旋風の他党浸食結果はどれほど? 


<2011統一地方選 大阪府議会の結果>
大阪府議会議席は、選挙前議席対比で、大阪維新が倍増、大阪自民は4割減。維新大勝、自民大敗です。民主、共産も大敗。公明は1割減。

<2011統一地方選 大阪市議会の結果>
大阪市議会議席は、選挙前議席対比で、大阪維新は2.5倍増。大阪自民は1割5分減自民敗北ですが、橋下維新旋風を耐え凌いだと言える数字です。公明は微減

では、大阪維新議席2.5倍増の主要な供給源はどこなのか。民主党と共産党の大敗、大阪維新に流出しました。

2011春当時の民主党は政権党ですが、東北大津波と福島原発メルトダウンから間を置かない時期で政府大混乱の時期。民主、大敗。その後も、党内闘争盛んで2015春統一戦では府議1という惨状。2016.3.には民主党そのものが解党になるという流れになります。大阪市議会共産党も大阪府議会と同様、大敗でした



4.2011統一地方選 大阪市議会自民党が維新旋風を切り抜けた背景

 
大阪市議会の勢力変化は、大阪府議会にくらべると、より緩やかです。これは、大阪維新の金看板「大阪都構想」が実行されると、大阪市が分割解体されて消滅するからです。大阪市解体は同時に「大阪市民」というアイデンティティの消滅を意味します。

維新の会はさまざまに行政改革を訴えています。そのシンボルが「大阪都構想」です。名前通り東京都のミニ物まね構想、です。東京の物まねがそれほどいいものなのか、それほどいいものでもないのか、とシニカルに私は思います。

橋下徹氏、松井一郎氏、吉村洋文氏の大阪スター維新トリオの言い分は、大阪市が大阪をダメにしてきた、大阪は大阪都構想で東京のように栄える、首都東京非常時の首都代行都市にする‥‥。これは、大阪人の、豊臣大坂城おひざ元町人の矜持を刺激します。

しかし、維新の会の創始者は橋下徹大阪府知事(当時)と松井一郎大阪府議(当時)で、大阪府側の人間です。大阪府の統治者の立場にすれば、大阪市はことあるごとに足かせになるという思いがあるのでしょう。

大阪府の一方的な見地から、大阪停滞の元凶は大阪市政に有りと断じて、大阪市解体 → 大阪府占領政治をするのが、都構想の権力的実体です。

この大阪府、大阪府民による大阪市解体、大阪市占領支配を嫌って、大阪都構想に二の足を踏む、反対する、大阪市民もまた多い。

さらに、大阪都構想によって大阪市は解体されます。大阪市民や大阪市民出身の大阪人の大阪愛の中心にある「大阪市民というアイデンティティ」喪失という心の問題も大きい。



5.大阪府議選 維新 2011春 大勝、2015春 敗北 
  大阪府議選 自民 2011春 大敗、2015春 復活勝利    


大阪都構想の是非は、いつも大阪ローカル政治の一大争点になっています。その是非に決着をつける大阪市住民投票が2015.5.17.と決まりました。

そのため、2015春統一地方選は、大阪都構想の賛否両陣営から5・17都構想決着の日の前哨戦と位置づけられていました。

しかし、2015春統一地方選大阪府議会の結果は、大阪維新「敗北」、大阪自民「復活勝利」。引き続きの大阪都構想大阪市住民投票の結果は「否決」。

なぜこうなったのか。



6.2015春統一地方選「維新敗北」、大阪都構想住民投票否決を生んだ背景 


2015春統一地方選「維新敗北」、大阪都構想住民投票否決を生んだ背景はなんであったのか?

それは、金さえもうかればバクチでもかまわない、という橋下徹氏とその維新なかまたちの人間性に疑問を感じる人々の一群がいたことです。

それは、沖縄米軍関係者による性犯罪防犯対策の手段に、沖縄米軍に「風俗利用」を勧めて恥じない橋下徹氏とその維新なかまたちの沖縄蔑視、女性蔑視、人権感覚への怒りと失望が、特に、女性の間に広がったことです。

それは、公共財を売って恥じず、身軽になることはなんでも良いことだと信じている橋下徹氏とその維新なかまたちに、盲目的に従わない人々の一群がいたことです。

それは、米国投資ファンド「ローンスター」を拒否し、地元「南海電鉄」を受け入れた大阪府堺市の人たちです。



7.維新熱が冷めた4つのできごと  


第一に、橋下・松井コンビによる活発なカジノ大阪市誘致活動。2013年~2015年ごろ、橋下徹大阪市長(当時)はカジノ誘致が持論で、日本維新の会共同代表でもありましたから、自民党と共同してカジノ法案成立に力を入れていました。しかしカジノ誘致反対派世論は、賛成派の経済界世論に対抗して強い。

第二に、2013年5月13日の橋下徹大阪市長(当時)記者会見で、普天間基地視察の折に、米軍海兵隊司令官に「米兵の性犯罪防止のために風俗利用を勧めたら、相手はこの話題から引いた」と明かしたことです。

この発言から慰安婦に関する自論展開になって、風俗利用のすすめの反響は、米国では政府機関からも「非常識な女性蔑視」と批判を浴びました。韓国政府からは慰安婦のことで抗議がありました。

政府間だけでなく、国内外に幅広く女性からも「女性蔑視」「非常識」「不快」と批判が絶えず、広がりも大きかった。

さらに松井一郎大阪府知事が「風俗利用は合法的だ」と、すぐさま橋下徹大阪市長を擁護しました。沖縄普天間基地視察の折、日本国の大阪市長が沖縄駐留米軍海兵隊司令官に、米兵性犯罪の防止策として風俗利用をすすめたのです。

これは日本国の大阪市長による、米海兵隊司令官公式訪問の席上発言です。しかも大阪府知事が橋下発言をすぐに擁護しました。

沖縄から、特に沖縄の女性から悲痛な抗議の声が上がっていました。

橋下徹大阪市長(当時)提案の論理構造は、「女性の性被害を防止するには、男性の性欲暴発を抑止することが必要 → 社会的方策としては、性欲の暴発抑止には、男性の風俗女性(有料)による性サービス利用が効果的 → 男性の風俗女性(有料)による性サービス利用を推進 → 風俗性サービス需要増大 → 女性の風俗従業を促進」ということなのです。

理屈の経路を考えなくても、女性なら直感的に侮辱を感じる。

沖縄米軍に風俗の公式利用をすすめることは、風俗需要が大幅に増大することであり、沖縄風俗業拡大の奨励であり、それは自動的に、地元沖縄の女性に風俗就業を要請し奨励することを意味します。

橋下徹大阪市長(当時)に発言撤回を求める声が多々ありましたが、橋下徹市長(当時)も、盟友松井一郎大阪府知事も主張を曲げることなく終わりました。

第三に、大阪府の第三セクター所有になる泉北高速鉄道の売却問題。2008年大阪府知事就任まもなくから橋下徹府知事(当時)は泉北高速売却の検討を始めていました。

2013年、後任の松井一郎府知事は米国のローンスターという投資ファンドに売却を決めました。もう一社、南海電鉄が名乗りを上げていましたが、選定されなかった。ローンスターは米国企業、まして投資ファンドだからいつ引き上げるかわからないという不安が大きい。

泉北高速鉄道が走っているのは大阪府堺市。南海電鉄路線の地元でもあります。泉北高速沿線住民や企業・学園、堺市などローンスター売却に反対。どうせ売るなら南海電鉄にというのが世論で、もめました、もめました。結局、松井一郎府知事がローンスター選定撤回。2014年5月、泉北高速は南海電鉄に売却されました。

第四に、大阪市に次ぐ大都市堺市長が反維新派で、大阪都構想反対でした。

2011統一地方選以後、2015統一地方選までの期間、こういったことが橋下徹と維新への盲目的支持の熱冷ましになって、2015統一地方選の維新敗北と大阪都構想2015.5.17.住民投票否決という結果を生みました。



8.2012年以降毎年、橋下徹氏と松井一郎氏は安倍晋三氏と会食 


2012年春から夏にかけての間に、橋下徹氏と松井一郎氏は上京して安倍晋三氏を訪ねています。安倍晋三氏が自民党総裁になるのは2012年9月で、12月に総理大臣になりました。

橋下徹氏は日本維新の会の代表に安倍氏をリクルートするために3回も通ったのではないかと私は推測しています。その時期の安倍晋三氏には自民党総裁への立候補を勧めたり期待したりする面々が足しげく出入りいていたはずです。

安倍晋三氏が橋下徹氏のリクルートに乗るわけがありません。それにもかかわらず、春から夏の短い期間に橋下徹氏が3回も面会できたのは、安倍晋三氏の方に維新の会を後のために繋いでおきたいという気持ちがあったのでしょう。

2013年以後年末に橋下徹氏と安倍首相が会っていることは、その時々に新聞報道でも伝えられています。安倍首相には菅官房長官が、橋下徹氏には松井一郎氏が陪席していたと言われています。

この4人とも肌が合うのだと思います。憲法感覚、公共物を売り払うのを理屈抜きに「良い」とする感覚、規制緩和はなんでも理屈抜きに「良い」とする感覚が、この4人に共通しています。

さらに、俗にいう「モリ・カケ・サクラ」すなわち森友・加計学園・桜を見る会を注視していると、安倍首相は私情政治の人という感がします。2012年春から夏の間、自民党総裁になる前の無位無官、衆議院議員・安倍晋三氏を訪ねて、維新の会代表になることを懇請したはずの橋下徹氏に安倍晋三氏の私情の血がなにかのきっかけで通ったのかもしれません。


次回はG20大阪サミット、大阪万博・カジノのセット誘致が「維新」への政治プレゼントであり、相対的に大阪自民が沈没するという、安倍晋三党首総裁の行動について書きます。前回、今回につづいて、やっと次回が結論になります。



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<安倍晋三> 倫理無き党首総裁 大阪で自党(大阪自民党)を真っ二つに割って甚大な打撃を与えた大阪維新の会を支援

2020-09-14 21:45:25 | Weblog





 ※自民党総裁、総理大臣の移行期ですが、ここでは安倍首相、安倍総裁と呼称します。



 ◆2010年、大阪自民党大分裂
 
2010年、大阪府議会と市議会の自民党が、「自民党」と「維新の会」の真っ二つに割れました。大阪自民党大分裂です。

2009年~2012年は民主党政権の時代です。自民党にとって未経験の苦しい野党時代の大阪で、「維新の会」は自民党を割って出ました。

2011年春の統一地方選直前の議席数を見てみます。この時点の「維新の会」議席数はすべて、分裂前の「自民党議席」です。

 〇大阪府議会
  自民党23議席、維新の会29議席。自民党は「52」から「23」へ。
 〇大阪市議会
  自民党20議席、維新の会13議席。自民党は「33」から「20」へ。
                    計  「85」から「43」へ。


 ◆大阪自民党大分裂に至る経緯 

大阪ローカルにおける自民党と維新の会の政治の評価は別にして、自民党の組織問題として見てみます。

2010年大阪市議補選。この時点で「維新の会」はまだ、自民党内の同志組織でした。

それにもかかわらず自民党公認候補を差し置いて、「維新の会」が独自候補を擁立し当選しました。他党候補とともに、自民党公認候補も落選しました。

大阪自民党はこれをもって「反党行為」と認定して離党勧告をし、これに応じて「維新の会」メンバーが離党しました。

「維新の会」は自民党やどかり同志会から脱皮して、一人前のローカル政党になりました。ここまでの時系列経緯は次の通りです。
 
 2008.02.06. 橋下徹・新大阪府知事、初登庁
 2009.04.24. 松井一郎氏ら大阪府議会自民党議員6人で、府議会新会派
        「自由民主党維新の会」を結成
 2010.04.19. 大阪府議会内の自民党会派から発展、大阪府選管に「維新の
        会」として政治団体届出。参加議員30人は自民党籍のまま。
 2010.05.    大阪市議補選。「維新の会」独自候補当選 自民党、落選 
 2010.09.   大阪自民党、「維新の会」活動を反党行為と認定
        「維新の会」参加者に離党勧告、45人離党。


 ◆対立政党(大阪維新の会)に手厚く、自党(大阪自民党)に非情

組織問題としてみるならば、このように甚大な打撃を受けた大阪自民党を立て直すために、現地組織を叱咤激励、支援を惜しまないというのが自民党本部のあるべき姿ではありませんか。

大阪府市議会自民党議席のほぼ半数までも維新の会に持って行かれるなど、大阪自民党の不甲斐なさを示しています。だからこそなおさら、なんとしても大阪自民党再建の道筋をつけてやらねばなりません。それでこそ日本第一党自民党の党首総裁というものではありませんか。

しかし実態はまるでちがいます。2012年9月自民党総裁になった安倍前首相が、苦闘する大阪自民党の強化改革に力を尽くしたことはありません。

逆に「大阪維新の会」を盛り上げて支援しています。
大阪維新の会の勢力維持あるいは勢力拡大に安倍首相が協力する形です。

大阪自民党を割って出た大阪自民党の強敵政党「維新の会」を支援する安倍首相。彼が自民党の党首総裁であることを考えれば、人としての人格の非情、異常さに嘆息します。


 ◆2020.8.28.「安倍首相辞意」に接して 
 ◆吉村洋文大阪府知事が謝意を表明 

 吉村洋文大阪府知事が8月28日府知事記者会見で、安倍首相への熱い感謝のことばを述べています。この感謝のことばのくり返しを読むだけで安倍首相から維新の会への貢献の重さをを理解することができます。

 吉村大阪府知事は現在、日本維新の会副代表(2人制)、大阪維新の会代表代行でもあります。日本維新の会は共同代表 松井一郎大阪市長・片山虎之助参議院議員、大阪維新の会代表は松井一郎大阪市長です。


  【吉村洋文大阪府知事記者会見 2020.08.28. ※ユーチューブから文字化
   
https://www.youtube.com/watch?v=-gK3aPlwz68

  ◆「安倍首相辞意」に接して感謝のことばを表明


<吉村知事冒頭発言>
 あのう昼間にですね、安倍総理の辞意を受けてコメントをということでしたが、ご本人の、ニュース速報じゃなくてご本人の会見を聞かない限りコメントできませんということで、その時そうお答えしましたが、ま、先ほどの総理の会見を受けて思うところです。

 まず持病を抱えながら本当に長きにわたって日本を引っ張っていただいたことに本当に感謝を申し上げたいと思います。

 特にまあ最近ではコロナウイルスの道のウイルスの闘いの中で見えない中ですね、本当に強烈なストレスとプレッシャーの中、日本を引っ張っていくということで、まさに最前線で、あのう、された総理として対応を、持病もある中ですね、このう対応されたこと、本当に心から敬意と、そしてあのう、ありがとうございましたという気持ちでいっぱいです。

 あのう、ま、振り返ればですね、外交にしても、安全保障にしても、景気の回復、経済にしても、本当に歴代最長になるくらい国民の皆さんから支援支持を受けてされてきたと。民主党政権にずたずたになった経済もですね、建て直されて、本当にぼくにとっても素晴らしい総理だと、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 持病が悪化されたということで、健康が何より大切ですから、まずは今治療されているということなので、お体の回復というのをご祈念申し上げたいと思います。

 あのうぼく自身、何度か総理に会わせていただきましたが、まあ会うごとにですね、がんばってますねという温かい声をかけていただいて、本当にあの、まメディア等々からいろいろご批判もすごくされていますが、ぼくの中では本当に優しい総理だという風に思ってましたし、またあの、中央政界と地方政府と言う関係でも本当にさまざまなご支援もいただいてきました

 これからまた新しく(自民党)総裁が新しく選ばれると、これはちょっと僕はもう、自民党の中でわかりませんが、本当にまず安倍総理にはですね、感謝の気持ちと、これまで引っ張っていただいたことへの、本当に敬意と、そしてまずはお体を休めて治療に専念してくださいという風に思います。――ぼくからは以上です。

 それから、あのうやっぱり2025年万博も安倍総理の発信で動き出したということがあります。地元の長としてもですね、2025年万博誘致も決まった。これは安倍総理の大きなお支えがあって来れたことでもありますから、何とかこれを成功させてですね、本当にこの日本の成長の一助になるように、地元自治体としてがんばっていきたいと、こういう風に思います。


<記者質問1> 大阪府市のですね、重要政策をする中でさっき万博の話もありましたけれども、維新と安倍政権の…… 
※聞き取りできず

<吉村大阪府知事1>
 あのう、これはIRに関しても日本の成長のために必要だということで、法律を作らなきゃいけなかったわけですけども、なかなかそれまでIRが必要だよねっていう意見があっても、法律まではできてませんでしたが、安倍政権のもとでIRの法律というのが制定もされた。

それに基づいて具体的な制度設計というのをこう‥やり、そして大阪においてはそのパートナー、今コロナで中断してますけれどもパートナーまで、まああの、パートナー候補まで決まって、非常にそのう実現に向けて大きく前進したと。やはりこれ安倍政権じゃなかったら難しかったろうと言う風に思っています


<記者質問2> さきほどといっしょのことなんですけど、安倍総理が辞任される、総理が変わることによるですね、重要政策、都構想とかIRとか万博とか、総理が変わることによって影響があるとしたら、どういう方向になると思いますか。

<吉村大阪府知事2>
 都構想については松井市長といっしょに進めて住民の皆さんの賛同を仰ぐことで、総理が変わることの影響はまったくありません。

 まあ、自民党の政権で進めてこられたことですし、そして国として必要だということで進めてこられたことだと思ってますので、そういった意味では、政権が自民党とか民主党とか、大きく変われば別ですけれども、そうじゃない限りは、この大きな方向性について、ええ、特に何かこう大きく変ずるものというものがあるものではないと思っています。

 ただやはりそのう、次の総裁は、あの、まあ総裁選挙、次また総理が選ばれるということになると思います。

ま、これは自民党で総裁を決められるということになるので、ぼくらが関与する部分でもなんでもありませんので、それはあの、見守りたいと思いますし、まずやはり、それが誰になろうともね、やはりこの長きにわたって、安倍総理がこれまで実績を積んでこられて、そしてまあ日本のリーダーとして、まあ事業も抱えながらやってこられたということに本当に感謝と敬意の気持ちでいっぱいです。

 まあその次のことはこれから始まると思いますが、まあそれは今日の段階ではあまりこう、なんか首相になると思ってないし、特に僕の中で感じるものはありません。

 それでも、ご病気でね、それがどうしても充分じゃない、十分な対処でなかったら国を介しており、謝るかもしれないと、本当に強い責任感でのご判断だと思っていますので、まあ、これまで安倍政権のもとでいろいろな道筋、これ大阪においても万博とかいろんな道筋、IRもそうですけど、できていますから、そこについては、ぼくはあの、後輩の政治家として、まあまあ、まだまだ未熟ですけど、やっぱりそれをしっかりやっていきたいと思います。

 まあ散々、安倍総理もいろんな方から批判もされてましたけど、本当に今でも日本を思う気持ちっていうのはものすごく強い方だと思っています。まあまずはやっぱりお体を、ええ、治療してまずはお体を大切にしていただけたらなと思います。


<記者質問3>  安倍政権の間に大阪でサミットがあったんですけど、安倍首相の外交というのをどのように評価されていますか。印象に残ったなあと思うところとか。

<吉村大阪府知事3>  あのう、すごく印象に残ってます。トランプ大統領、プーチン大統領、さまさまな世界各国の大統領。いろんなこう思いもあるなかでね、そういった外交をやっていくというのは非常に難しいと思いますが、本当に良好な関係で日本の国益を守るということを安倍総理、やってこられたと思います。

 まあG20(G Twenty)で大阪サミットの時ご一緒させてもらいました。あのう、そこの横の迎賓館でも一緒に安倍総理と世界の首脳も‥、ぼくも末端で迎えさせていただきましたけれども、そこへ安倍総理がトランプ大統領と話す素振りであったり、プーチン大統領と話す素振りであったりというの見たときに、やっぱり世界の首脳、大統領というのは安倍総理のことを信用しているし、安倍総理は本当に世界の首脳から信用が得られる、得てこの外交されているんだなあというのは肌で実感をしました。

 あのう、トランプ大統領を見ても、なかなかトランプ大統領とうまくつきあっていける世界のトップって数少ないと思うんですけれども、そういったこともやはり日本の国益を考えて総理がされてたと。そういう意味で外交とか安全保障という意味では本当にすばらしい功績を残されたというように思っています。


<記者質問4> ※質問内容、聞き取りできす。

<吉村大阪府知事4>
 安倍総理もおっしゃってました。その中で僕自身がいちばんやっぱり、やってもらいたかったなあと思うのは憲法改正の国民投票、これはぜひやっていただきたかったなあと言う風に思います。もちろん、拉致問題、それから北方領土、そして憲法改正。この3つ、安倍総理が掲げられて、いずれも非常に重要なことだと言う風に思います。

 まあ、これも次の自民党の総裁の話になるので、ぼくがどうこう言えるものではないですけれども、日本にとっても国家にとってもこの三つの課題というのは非常に重要なことなので、ぜひ次の総理には安倍総理の意志も受けてですね、その三つの課題に取り組んでいただきたいと思います。

 ただこの三つの課題はなかなか国政マターなので、今のぼくは知事と言う立場ですのでね、できることというのは限られていますけれども、知事としてできることはやっていきたいと思います。これまでもやってますけどもやっていきたいと思っていますが、まあ基本的には国政マターになると思うので、そこをぜひ次の方にはやってもらいたいなと思います。


次回は、安倍首相による公然とした「維新の会」支援の前と後、大阪府市議会の獲得議席の差異を見比べます。党首総裁によって試練を受ける大阪自民党を浮き彫りにする前後差が表れています。


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<安倍政治> 人治政治の弊害、身内人脈でNHK監視、人治政治の手法は法の私的立法と私的運用

2020-09-01 08:52:34 | Weblog

(注) 8月30日付ブログ記事を削除して、その後半部を改題改稿して掲載します 


安倍首相が難病辞任を表明しました。私は病気辞任できる安倍首相は最後まで運の強い人だと思います。なぜなら、歴史上最長在任の宰相という栄誉に加えて、任期途中の難病辞任という悲運の宰相として退任できるからです。


【人治政治の弊害――官邸官僚が権力を振るう】

安倍政権では官邸官僚が各省次官や局長を動かしていると言われます。そういう姿、その一端は前川喜平前文部次官の加計学園に関する証言でも明らかになっています。 ※下の過去記事をクリックしてご覧いただければ幸いに思います
 

2017-05-21
<安倍親友 加計学園> あなたは安倍首相がクリーンであると信用できますか? 「総理のご意向」文書 リーク全文文字起こし
2017-05-24
<安倍親友 加計学園> 「総理の意向」文書が裏付ける「加計」の流れ 「広域的に」「限り」の語句追加で京産大離脱
2017-05-26
<安倍親友 加計学園> 前川ショック(前文科省事務次官) 官邸側のネガティブキャンペーンは捨て置け
2017-05-27
「あったものをなかったものにできない。」からもらった勇気  ※他サイト 退職後の前川氏
2017-05-28
<安倍親友 加計学園>「前川ショック」官房長官 記者会見 5/17~5/26 文字起こし
2017-06-01
加計学園問題について語る 前川喜平氏(前文部科学省事務次官)記者会見全録 2017(H29).5.25. 文字化
2017-06-19
<加計学園> NHK新入手文書 「10/21 萩生田副長官ご発言概要」文書画像テキスト化(NHKクロ現 6.19.夜放送)
 
 
 


また、醜聞事件に官邸官僚が関係するという、強権腐敗まで起きています。今年2月19日の衆院予算委員会で、ミャンマー出張の折に和泉洋人首相補佐官と厚生労働省の大坪寛子官房審議官が宿泊ホテルのコネティングルームを利用していたとして、取り上げられました。高級官僚同士の公費外国出張中不倫疑惑で、コネクティングルームを予約したことは国会質疑で確認されています。

公費出張中の男女高級官僚がわざわざコネクティングルームを予約して投宿すること自体がおかしなことで、コネクティングルームを予約させられた事務官は情けない思いをしたことでしょう。
 
安倍首相とつながりが深かった山口敬之氏による詩織さんレイプ事件では、北村内閣情報官が中村格警視庁刑事部長(当時)に連絡して逮捕を中止させたという、アニメかドラマのようなニュースがありました。
 
昔、テレビや映画の時代劇で、徳川将軍側用人が権力を振るうストーリーがありました。安倍政権の時代に徳川将軍側用人のストーリーが生きていたとは‥‥。この分なら当然、悪徳御用商人も活躍しているはずです。
 


人治政治――NHK経営委員に百田尚樹氏、長谷川三千子氏送りこみ
 
NHKには経営委員会というものがあります。
 
  ※NHK経営委員会 https://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/index.html
 
経営執行陣トップのNHK会長は経営委員会が決めます。
 
経営委員会は、NHKの経営内容、コンテンツ企画内容などNHKのあらゆる活動分野にわたって審議する最高機関です。経営委員は12名で、その中から互選で経営委員長を選出します。
 
2013年10月、安倍内閣の推薦、国会承認を経て、NHKの新しい経営委員が任命されました。その中に、作家の百田尚樹氏と埼玉大学名誉教授の長谷川美千子氏が入っていました。百田尚樹氏はその後、自分から申し出て辞職しました。長谷川三千子氏は今も経営委員をつづけています。
  
 
 
政府が統制するのではなく、安倍首相と意を同じくする同志とも言える人をNHKに送りこんで誘導統制していきます。これが「人治」というものです。
  
百田尚樹氏は「永遠のゼロ」と「日本国紀」でよく知られています。「日本国紀」はよく売れたと聞きます。それだけ百田氏のファンが多いのでしょう。しかし、まちがいが多いので、日本史の世界では相手にされていないようです。
  
百田尚樹氏は『日本国紀』に「我が国、日本は神話の中の天孫の子孫が万世一系で二十一世紀の現代まで続いているとされている」と書いています。神話の中の天孫の子孫が今につづく天皇家であると現代にあって書くのは、まともな神経ではありません。万世一系でないのは、古代に暗殺された天皇や滅ぼされた皇子があり、中世に南北朝の争いがあったことを思い起こせば、誰もが知っている事実です。
  
長谷川三千子氏は、野村秋介氏追悼文で次のように書いています。
 

<「野村秋介氏追悼文」から ―― 長谷川三千子>

「すめらみこと いやさか」と彼が三回唱えたとき、彼がそこに呼び出したのは、日本の神々の遠い子孫であられると同時に、自らも現御神(アキツミカミ)であられる天皇陛下であった。そしてそのとき、たとへその一瞬のことではあれ、わが国の今上陛下(※きんじょうへいか=今の天皇)は(「人間宣言」が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうと)ふたたび現御神(アキツミカミ)となられたのである。――2013(H25).10.15. 野村秋介追悼20年 群青忌


野村氏が自死に際して「すめらみこと いやさか」と3回唱えたとき、そのとき元気に生きている天皇がどう思うとも、その瞬間に現御神(アキツミカミ)となられた。――という価値観の持ち主である長谷川三千子氏を、安倍首相が選んでNHKに送りこみました。長谷川氏は2013年から今も、NHK経営委員を務めています。
 
安倍首相は、自分の身内的人脈を優遇する性癖が強い。長谷川三千子氏は、2012年自民党総裁選前に結成された団体「2012年安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」http://test2.unitedscene.jp/abe/whatus.html の代表幹事で、百田尚樹氏も発起人の一人です。長谷川氏はまた、日本会議代表委員35人のうちの一人でもあります。
  

◆法の公正運用に反する私的運用と私的立法、法治政治に反する人治政治

  
集団的自衛権に関する憲法解釈変更は「法の私的運用」である
  
ここで私が定義する「法の私的運用」とは、権力者が自分の政治観や政治目的に都合よく合うよう法を解釈して運用することを言います。

憲法9条解釈の集団的自衛権合憲論を政府部内で固めるために、安倍首相は内閣法制局長を取り替えました。外交上国際的に通用する現実的な安全保障政策がどういうものかについて通暁している外務省から人材を起用しました。この小松法制局長官は着任まもなくから病を得て、お気の毒なことに任務を果たす暇もなく病没されました。
   
同じく集団的自衛権容認派である横畠裕介次官が内閣法制局長官に昇格しました。この横畠法制局長官が安倍首相の意を体して、集団的自衛権を是認する憲法9条解釈変更は自衛権に関する従来の政府解釈の延長線上にあって、従来解釈から逸脱するものではない――という法制局見解を貫きました。

  
憲法を変えることなく、内閣法制局長官を取り替える。新任の法制局長官は法の解釈変更が、従来の法解釈の延長線上にあって従来解釈から逸脱するものではない、という法制局見解を示す。
  
内閣法制局は政府新法案を国会提出前に審査するところですから、法制局長官のお墨付きがあってこそ、解釈変更の内閣閣議決定ができます。
  
法を変えることなく → 所管部局長を取り替える → 新任部局長が法解釈や法運用を修正して、安倍首相の政治目的を叶える役割を果たす。
  
これが、新任責任者が「法の私的運用」行うことで安倍首相の政治目的達成に貢献するという、安倍式人治政治の一つの典型です。

  
2014年、2015年の集団的自衛権論議の時期、私は一貫して憲法9条解釈変更に反対してきました。

  
平和の問題は安全保障政策の問題であり、安全保障政策とは軍事力・経済力・外交力・国際民間交流など総合力をもってして、最大限に戦争を避けようとする問題です。

  
憲法解釈を自分の流儀に合わせて容易に変更することは、法解釈の私的運用をずるずると広げていくことにつながり、法適用全般の乱れにつながっていきます。法解釈・法運用・法適用には公正の観点で自制の効いた厳格なものが要請されます。
 
私は集団的自衛権の是非については、政治要求に強いられた憲法9条解釈の変更ではなく、憲法9条改正の是非をもって臨まなければならないと考えてきました。
  
黒川弘務東京高検検事長定年延長問題は法の私的立法である
  
ここで私が定義する「法の私的立法」とは、権力者が自分の政治観に都合よく合うよう新法または既存法の改正法を作ることを言います。
   
安倍首相は黒川東京高検検事長を最高検察庁検事総長に任命したかった。しかし検察庁の抵抗が強くて叶えることができなくなった。検察庁が抵抗しているうちに、黒川検事長の定年退職日が近くなったのです。
  
そこで安倍首相は、個別の検察官について特例定年延長をできるよう検察庁法を改正して、黒川検事長の定年を延長することを考えました。そうすれば、抵抗する現検事総長の定年が先に来ます。

  
検察庁法改正をする → 改正検察庁法に従って人事配置の幅を広げて時を待つ → 意中の人材を検事総長に任命して検事総長を取り替える → 新任検事総長が安倍首相の意向を尊重して、事件の捜査・立件・起訴不起訴について政治的配慮を常とする。これが安倍首相の企てでした。

  
必要とあらば「私的立法」をしてでも所管部局長を取り替える → 意中の人材を新任部局長に据える → その新任責任者が安倍首相の政治目的に見合うよう政治的配慮をした法運用を行う。
  
これが、安倍式人治政治のもう一つの典型です。
 
 
 
安倍首相は自分に都合の良い人材を検事総長に据えて、検察庁を制約しようと考えました。内政統治を危うくするような危険な考えでした。しかし、幸いにも黒川弘務氏個人の賭け麻雀の問題で、安倍首相の企ては一朝にして崩れました。

  
検察庁支配の企ては、私的立法を経て、自分に都合の良い人材を都合の良い部署に配置して、柔軟性の幅が大きい法運用を期待する手法です。

  
憲法9条解釈変更は、自分にとって都合の良い人材を必要な部署に配置して法運用や法解釈の変更を企てる手法です。

  
どちらも人治政治で、法治政治や法の公正運用とは対極にあります。

  
安倍首相はこうして前代までの首相には見られないほどの乱れた政治手法を取ってきました。公文書の保全についても、これほどの乱脈ぶりが公然と行われる時代が来るとは思いもよりませんでした。
  

 
 
 
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