川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

安倍内閣は福祉圧縮内閣、圧縮はすでに実施されている 税金は消費税だけか? 特別会計や天下りは?

2016-06-30 11:37:25 | Weblog


 ■私が見ている進行中の「福祉圧縮」の現場
  安倍首相の「介護難民解消」選挙政策はウソだ


安倍内閣になってから、すでに高齢者福祉の削減が実施されています。年金も削減が実施されています。安倍内閣は福祉圧縮内閣です。これが安倍自公連立政権の結果です。アベノミクスの成否とは無縁です。

福祉圧縮政策の一つに、介護保険のカバー範囲から「要支援1、2」を外して、市町村に移管したことがあります。

国の方針が下りたため、各地の地域包括支援センターは、これに対応する体制づくりに大わらわです。私は住民委員の立場でこの現場を見ていて、関係公務員の涙ぐましい努力に感謝しています。

この政策は一言で言えば、自助・共助・公助のうち、公助主体から自助・共助中心に移行させるものです。安倍首相の「介護難民解消」選挙政策とは逆の、家庭・血縁者の負担を増やす政策が実施に移っています。

年金・医療・介護への削減強化の傾向は、今の風潮ではこれからも続きます。青年世代にとって、それは自分の未来の姿です。


 ■「若い世代にツケを残すな」政策――若い世代もいずれ政策被害者になる

若い世代にツケを残すな――だから年金・医療・介護予算を削減する。そうだ、そうだ。そのうちに、青年世代が高齢世代になってその波を自分もかぶる。人生の結果が、見え透いているではありませんか。

高齢世代に対して実施されている政策が、今の青年世代、現役世代が高齢世代になったとき、その人生にもっと強く跳ね返ってくることでしょう。

お医者さんが老人の社交場になっている――こんな話題がにぎやかになった時代がありました。お医者さんの待合室で知り合い同士の高齢婦人が楽しそうに談笑しているシーン。20年以上前のことだったか、テレビニュースやワイドショーなんかでしきりに放送されていたので、こんなシーンが記憶に残っています。

実際にはこんなシーンを病院や開業医で見た経験がありません。これは高齢者による医療費のムダ使いを強調して、高齢者医療費を削減する政策実現に使われました。年寄りがムダ使いするために現役世代が苦労すると訴えて、世代間対立をあおって政策の正統性を主張していました。

世代間対立をあおって、青年世代に未来への希望を失わせているのは誰か。政治家と御用評論家と御用実務家です。報道圧力にめっぽう弱いテレビ報道です。

「若い世代にツケを残すな」政策――安倍内閣・自公与党の呼びかけで、若い世代も被害者になるのです。今の若い世代が高齢になったときに、年金・医療・介護が手厚くなるわけがない。そんなこと、わかりきったことです。政治を改めなければいけません。


 ■税金は消費税だけか?
 なぜ「税優遇措置」に切り込まないのか?
  特別会計や天下り問題はどうなった?


ほかにも疑問が多くあります。消費増税分は福祉予算使用に限定するというのが、今の定説です。これは野田内閣終了間際の民主・自民・公明3党の合意事項によります。しかし、消費税8%増税後に福祉関係予算が削減されているという事実によって、安倍内閣でウソになりました。

そもそも、消費税に似た間接税は日本にもありました。「物品税」という。これは奢侈品・高額品に課税されていました。宝飾品はその例です。昭和50年代だったと思いますが、その物品税がなくなりました。

その後に大もめにもめた末に「消費税」と名を変えて間接税が復活しました。しかし課税対象が奢侈品・高額品に限定されず、土地売買や給料人件費など一部例外を除くあらゆる取引に課税されることになりまた。間接税が復活したとき、日常生活にダメージを与える税金に姿を変えていたのです。

ほかにも、税金の種類は数多あります。それらを棚上げして、なぜ消費税ばかりに負担をかけるのか? 高額所得に係る所得税は減税されてきました。安倍内閣で法人所得税も減税されました。なおこれからも法人減税が日程に上がっています。企業に係る税優遇措置になぜ触れないのか? 輸出企業に与えられた消費税の戻し是制度など、数々ある税優遇措置になぜ触れないのか? 金利・配当収入に係る税優遇措置になぜ触れないのか? 

特別会計予算は合計すると、一般会計予算より多い。民主党政権当初に特別会計や一般会計の予算使途に切りこんだが、「2番ではダメなんですか」発言に非難が集中したり、党内対立が激しくて世間の信用を失ったり、そのうえ原発事故や東北大津波など日本史上未曽有の大災害に遭遇して、早くに頓挫しました。――しかし、やろうとしたことは正しい。

--------------------------------------------------------------------------------


<私のアピール> 安倍総理退陣を願う

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍総理退陣まで、国政で安倍自民党に“No”を !
安倍総理を支持する政党、政治家、安倍総理にすり寄る候補者に、
次の参院選・衆院選で彼ら彼女らに“No”を !

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」をめざしています。
安倍首相の抱く国家像は「明治リメーク日本」です。
平和な暮らしで栄えてきたデモクラシー日本。なぜ壊すのですか?

2012年12月26日、安倍内閣が成立しました。
アベノミクス効果で円安・株高が実現しました。
それは、日銀の巨額な国債購入、年金資金による巨額株式投資を伴っています。

円安効果で輸出大企業が栄えました。同じ円安効果で食品など生活関連品、電気代などエネルギー費が値上がりして、大衆には生活費切り詰め効果がありました。

アベノミクスの円安・株高効果の本質とは、なんでしょう?
国民大衆の生活費で、少数の大企業や株投資家の金庫を富ませている結果ではありませんか?
国の財政を浪費して危険度を高め、年金資金を危ないリスクに賭けることではありませんか?
アベノミクスで国民一般が潤うときは来ません。2015年夏以降、明らかに失敗しています。

安倍内閣下で特定秘密保護法が成立しました。安保関連諸法が成立しました。内閣法制局長官と、自民党・高村副総裁と、公明党・北側副代表の三者で手を握って、憲法違反の集団的自衛権を合憲だと、押し通しました。NHKの経営委員や会長には、安倍首相の息のかかった人が座りました。

政府に「批判的な」テレビ論調に政府・自民党の圧力がかかりました。
政府に「同調的な」テレビ論調に、圧力はありません。政府・自民党が「公平でない」のです。
テレビ局や公共の会館管理者などに自主規制が広がっているように見えます。
安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。安倍総理退陣を願っています。





コメント

<政治とカネ> 安倍首相 世襲政治資金は相続税免除(合法)、世襲政治団体は認めるべきじゃない

2016-06-23 22:39:34 | Weblog

<クリック>
きょうは「沖縄慰霊の日」です

<政治とカネ>安倍内閣シリーズ記事
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利明前大臣の大臣室現金授受事件を忘れない(1)
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利前大臣の大臣室現金授受を忘れない(2)
<政治とカネ> 安倍内閣の西川公也元農水大臣 大臣は辞職・議員辞職はなし 痛くもかゆ         くもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の小渕優子元経済産業大臣 大臣辞職したが議員辞職はなし 痛く         もかゆくもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の「政治とカネ」辞職大臣が8名、多過ぎる!
<政治とカネ> 安倍首相 世襲政治資金は相続税免除(合法)、世襲政治団体は認めるべき         じゃない


今回のテーマは偶然に見つけました 国会会議録はおもしろい

今回のテーマは、西川公也元農水相の政治とカネ問題の国会質疑を探していた副産物でした。偶然に、世襲政治家である安倍首相が、父親晋太郎の政治資金を「無税」で実質的な相続をしていて、衆院予算委で質疑議員が政治資金規正法の改正を提案し、安倍首相が改正提案に応じないという所を読みました。

質疑に立っていたのは後藤祐一衆議院議員。安倍首相に政治資金の改正を語りかけました。政治資金を実質的に無税相続できる現行制度を改正するよう提案しました。安倍首相はそれには応じませんでした。

徳川家や細川家のような名族が財団法人を受け継いで、相続税を払わなくてすむ(合法)制度を思い起こしました。社会福祉法人もそうですし、学校法人もそうではないかと思います。

これまで「政治資金の相続」に着目したことがなかったので、世襲政治家が政治資金を相続税免除で「相続」できるということも知りませんでした。しかしこれは違法ではなく、合法なんです。

「政治資金の無税相続」制度の恩恵に、小泉首相の子息・小泉進次郎議員、小渕首相の令嬢・元経済産業相の小渕優子議員も浴したことでしょう。数多いる自民党の世襲議員は皆、「政治資金の無税相続」制度の恩恵に浴したことでしょう。

--------------------------------------------------------------------------------


衆院予算委議事録
政治資金の無税相続 安倍首相の場合

     第190回国会 衆議院予算委員会 第20号 平成28年5月16日
    http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/190/0018/main.html

※上の議事録タイトル、下の議事録小見出し、番号は川本が付しました。
 公開されている議事録にはタイトル、小見出し、番号は付されていません。



 ―― 略 ――

<1> 政治団体を父から息子に引き継ぐ
    相続税はかからない 租税回避できる


〇後藤(祐)委員
 それでは続きまして、(川本注:租税特別措置等による合法的な法人税減額が)ずるいのではないか、透明性を増すべきではないか、このあたりに関して、では政治家はどうかということについて聞きたいと思います。

 政治家に関しては、どういうことがほかの方に比べてできるかというと、相続税なんですね。これは財務省、きょうは国税庁の次長にお越しいただいておりますけれども、お金をいっぱい持っていらっしゃるある方が、選挙に出るという意思を持って政治団体を設立したとします。これは誰でもできます。政治資金としてこの団体に対して寄附を続けていって、あるときこの方が亡くなりました。この政治団体を息子さんなりに引き継ぐ、その場合、相続税はかからないということになると思います。相続税を回避できるんですね。

 このようなことは誰でもできる、そしてこれは合法であるということでよろしいでしょうか。


○星野政府参考人(国税庁次長)
 お答え申し上げます。
 相続税は、原則として、死亡した人の財産を相続によって取得した人に課される税でございます。したがいまして、ある資金管理団体の代表者が死亡し、その子供が代表者に就任したとしても、その資金管理団体が保有する財産は代表者個人に帰属するものではありませんので、相続税の課税関係は生じないということでございます。

○後藤(祐)委員
 政治家だけ認められた特別ルールなんです。政治家はこのやり方をすれば、政治家にまだなっていなくてもいいです、これから選挙に出ますという意思を持って政治団体を設立すれば、誰でもこのやり方で、政治資金を通じて相続税を回避することはできてしまうんですね。


<2> お父様、安倍晋太郎先生の政治資金繰越金5億2000万円
    安倍晋三総理が引き継がれたのではありませんか


〇後藤(祐)委員
 それで、これは安倍総理に伺いたいと思いますが、ただ、これは違法だということではないです。合法なんです。そのことを前提にお聞きします。

 ―― 略 ――

 安倍晋太郎先生の関係政治団体、つまり、安倍晋太郎先生を応援する政治団体というのは恐らくこのほかにもいっぱいあって、私が確認できた分だけ、いわゆる収支報告書は官報に掲載されておりますので、それで確認できた分だけここに掲載しましたが、1990年末、つまり、まだ御存命であられた最後の年の段階でこれだけの繰越金がございます。つまり、安倍晋太郎先生の残された政治資金の合計額と思われるものが5億2000万程度あったわけでございます。

 それで、その次の年、1991年の5月15日にお亡くなりになっています。それで、安倍晋三総理がその後を引き継いで、1991年末に、これらの団体の繰越金というのは3億3000万程度になっている。

 安倍総理に伺いたいと思いますが、このお父様、安倍晋太郎先生の5億2000万の、これは全部とはもちろん言いませんが、かなりの部分を安倍晋三総理が引き継がれたのではありませんか。

○安倍内閣総理大臣
 今お尋ねのような政治団体の収支については、法令の規定に基づき官報等に公表されているものでありまして、収支報告書についても、法令の規定に基づきそれぞれ3年間公表されていたものと承知をしているところでございます。

 政治団体等、資金団体等につきましては、これはそれぞれ、それを管理する会計責任者等が安倍晋太郎である場合もありますし、そうでない場合もございます。

 いわば私が後継者として、彼らが、当時父を応援していた人々が、後継者として安倍晋三を応援しようと。ついては、こうした政治団体等についても、資金的に応援をしてもらおうというところについては、その後も応援を続けていただいたわけでございますが、他方、そうでないところもあったのも事実であろう、このように思います。

 もう随分昔のことでございますから、つまびらかには覚えておりませんが、いずれにせよ、法令にのっとってきっちりと処理をさせていただいているところでございます。


<3> 安倍晋三総理は相続税を幾らお支払いになられましたでしょうか
    1000万以上の相続税をお支払いになられた形跡はない


〇後藤(祐)委員
 違法とは申し上げておりません。その当時のルールにのっとっているとは思いますが。
 今御否定されませんでしたので、やはりかなりの部分を引き継がれたということだと思うんですが、安倍総理は、安倍晋太郎元外務大臣がお亡くなりになったときに、相続税は幾らお支払いになられましたでしょうか。これは通告しております。

○安倍内閣総理大臣
 私が個人として納付した相続税については、私人としての活動に関するものであり、お答えする必要はないと考えております。

○後藤(祐)委員
 お亡くなりになられた1991年から93年ぐらいまでの安倍晋三総理がどっちに住んでいたのかわかりませんが、東京側あるいは山口側の高額納税者リストというのを私は全部調べました。これは所得税なんかも合わせてですが、1000万円以上の納税をされていればこの中に載るはずなんですが、お名前は見当たりませんでしたので、1000万以上の相続税は少なくともお支払いになられていないのではないかというふうに思われます。

 では、この相続税、仮に、先ほどの、安倍晋太郎先生が5億2000万残していた、これを現金でお持ちだったとしたならば、それを普通の相続があった場合、当時、奥様と総理と御兄弟の方がおられたと思うんですけれども、総理の場合のケースについては言いません。

 国税庁次長、一般論としてで結構です。
 5億2000万円の現金資産をお持ちの方で、1991年5月にお亡くなりになりました、妻と実の子供お二人がおられて、債務免除や葬式費用の控除等がなくて、他に財産を取得した者もない、法定相続分を相続し、遺産分割も全て終わっている、配偶者に対する相続税額の軽減以外の税制上の優遇措置もない、こういった条件をつけないと答えていただけないそうなので、という場合の、当時の計算式で計算した場合に、幾らの相続税をお支払いすることになりますでしょうか。

○星野政府参考人
 お答え申し上げます。
 ただいま先生から、一般論として相続税額は幾らかというお尋ねがございましたけれども、相続財産に含まれる不動産、金融資産の種類ですとか、債務の状況ですとか、法定相続人の数、また相続放棄の有無といった個々の事情によりまして課税価格、課税状況が変わってまいりますので、やはり一概にお答えすることは難しいということを御理解いただきたいと思います。

※川本‥‥後藤委員が上のように具体的な課税条件を設定し、事前に通知した質問事例に、星野政府委員は具体的な数字を答えません。一つの仮定事例として答えるだけなので、答弁側に立てば何の問題もないはずですが答えません。仮定条件に基づく回答であっても、安倍晋三総理の事例として何千万、あるいは億以上の税額を示すならば、それだけの税金を回避したとみられることを恐れたのでしょうか。その金額が国会会議録に残されることを恐れたのでしょうか。


<4> 事前に聞いた想定相続税額は1億円弱になるそうなんですね
    これがまさに政治家だけに許された租税回避措置なんです


〇後藤(祐)委員
 今、条件をつけて、事前に国税庁と打ち合わせをして、これだけの条件がきちっと示されればお答えできるということなので聞いたんですが、お答えいただけないようなんです。

 1億円弱になるそうなんですね、事前に聞いた計算によりますと。これがまさに政治家だけに許された租税回避策なんですね。タックスヘイブンだけではなくて、租税特別措置だけではなくて、政治家だけに許された租税回避措置なんです。

 総理、これは政治家、特に世襲の政治家だけに許されているんです。ずるいと思いませんか、総理。

○安倍内閣総理大臣
 今、何かまるで私が相続税を払うことを回避しているようにおっしゃっているわけでありますが、当時は、政治資金については、個人と指定団体に寄附ができました、個人及び法人は。しかし、個人に対してしても、いわばこれは政治献金でありますから、政治の目的のために使わなければいけませんし、政治資金規正法上の対象になります。

 そして、今委員が挙げられたものは、安倍晋太郎の個人と指定団体。

 しかし、それを当時、平成6年以前の法改正において指定管理団体に統一すべきという方向が示されましたので、個人に行っていた政治資金を指定団体に移しているわけでありまして、これは個人の財産ではそもそもないわけであります。個人財産として相続税を払って私がそれを相続するというのは、むしろ、これは大変な公私混同であろうと思います。ですから、個人のお金と政治団体に対する寄附は別であります。

 そして、政治団体に行ったものの中において、私が、その団体を構成する後援会の関係者等の方々から、後継者として頑張ってもらいたい、その中で応援をしていこうという了解を得る中において、私がこれを受け継いでいるものもあれば、そうでないものもあるわけであります。

 ただ、今、後藤委員が言われたように、私の父が政治家であったがために、かなり私が優位な立場において、そうした政治資金を持って政治活動をスタートできた。確かに、大きなハンディキャップをいただいたということについては、私自身、肝に銘じなければならない、このように思っております。

※川本‥‥個人財産における相続税と、政治団体における政治資金受け継ぎとが性質の違うものであることは、質疑者にとっても答弁者にとっても共通の理解事項です。然るに、「政治団体の政治資金を個人のものとして相続税を払うのは公私混同だ」と安倍首相は答弁します。これほどばかげた混同をする者はいません。

質疑のテーマは、子が父から受け継いだ政治活動のための資金は、個人財産の相続に相似している。したがって親子の受け継ぎはしてはいかんでしょうということです。政治資金の世襲はやめようという提案です。

饒舌に駄弁を重ねて、質疑事項とは的の外れた答弁をするのが、安倍晋三総理の特徴です。これは安倍総理に特有の答弁スタイルです。いつも、質疑のポイントから外れた自分の主張を長々と話して、与えられた質疑答弁時間を浪費します。悪質です。質疑者もがまんするのが大変でしょうが、こういう無駄な答弁を読む私もたまりません。



<5> 政治団体の世襲は認めるべきじゃないと思うんです
    ルールを変える――総理のご見解をいただきたい


〇後藤(祐)委員
 今認められていないんですが、当時は、会社から安倍晋太郎元外務大臣に対して寄附をして、その寄附を安倍晋太郎元外務大臣がこういう三つの団体に対して寄附をするという形ができました。

 つまり、これはお父様のお金なんです。少なくとも一旦はそうなっているんですね。安倍晋太郎先生のお金を、流れ流れて、いろいろな団体を通じて今安倍総理が、政治資金としてだと思いますが、扱うことができているというのは間違いない事実だと思います。

 ―― 略 ――

安倍晋太郎先生を応援する会が、安倍晋太郎先生がお亡くなりになったら、一度その政治団体を畳んで、別途、安倍晋三先生を応援する会に変えるべきなんじゃありませんか。つまり、政治団体の世襲は認めるべきじゃないと思うんです。

 ―― 略 ――

やはり政治団体は、その目的とする政治家の方がお亡くなりになった場合には、一度畳んで別の政治団体を立ち上げるという形でやり直すべきだ、このようにルールを変えるべきだというふうに思いますが、これについての総理の御見解をいただきたいと思います。

○安倍内閣総理大臣
 これは、最初は相続税を回避しているかのごとくの質問でございましたが、どうやらそうではないようでございますが。

 いわば、政治団体あるいは後援会、例えば後援会もございますが、後援会の方々については、それはそう簡単に、別に安倍晋太郎の息子だからすぐおまえだということにはならないわけでありまして、そうであればそういう人たちはみんな当選しているわけでありますが、必ずしもそうはなっていないわけでありまして、その中において、応援してやろうということになれば応援をしていただけるわけでございます。

 また、政治団体、資金管理団体については、では、それまで集まっているものをどうしようかということで議論をするわけでございますが、その中において、では、ほかの候補をということもあるでしょうし、みんなで、これはそれぞれに戻そうかと。しかし、それぞれに戻そうかということも、実態、実務上はなかなか難しい課題もあるわけでございます。

 そういう中におきまして、私の場合は、一つ一つお話もさせていただきまして、応援していただければありがたいということでお話をさせていただき、応援していただいたところもあれば、そうでないところもあったということでございまして、今後も、恐らく、そういう急死された場合、亡くなられた場合、政治団体がどういう行動をとるかということについては、その政治団体の役員なりが話し合って決められることではないか、このように思います。

○後藤(祐)委員
 残ってしまったお金をどうするのかというところが恐らく最大の課題なんだと思うんですよ。その問題がなければ、別のものをつくったっていいはずなんです。一度畳んでもう一回立ち上げるとした場合、その残金は国庫納付とかいうことになった場合、もったいないじゃないかというのは恐らくその背景にあると思うんです。

 では、百歩譲って、存続を認めたとしましょう。ですが、それは実質的な相続税の回避になっている可能性があるんです。


 ですから、ある団体から別の団体に立て直しをした場合に、では、税がどうなるのかということを考えると、例えば、今、政治団体間の移動は5000万円までは自由にできることになっていますけれども、そもそもこの場合というのは別の団体から別の団体に移す話ですから、相続税だったらどうなのだろうかということを計算に入れるとか、あるいは、今言ったように5000万円を上限にするですとか、いろいろなやり方があると思います。

 この存続する場合のお金の処理について、もう少し考える必要があるんじゃないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣
 いや、これは相続してはいけないんですよ、そもそも。相続税の対象になる私有財産ではないですから。これは政治献金として、例えばうちの父の場合は政治献金として来たお金ですから、当時は安倍晋太郎個人という形で来ますけれども、これは政治献金なんです。

 そして、かつ、その政治献金については、先ほど申し上げましたように指定団体に入れるということになって、これは届け出も指定という、指定、マル指 安倍晋太郎という形で区分されて、そこに出されているわけでありますから、これは当然、政治団体に行った政治資金として、かつ、これは政治資金規正法の、使途についても対象となるわけでありまして、個人のお金であればどう使おうが個人の勝手でございますが、ここはむしろ、ちゃんと峻別をしなければいけない点なんだろうな、このように思います。

 大切なことは、政治資金規正法上ちゃんと処理をしていく、法に求められる透明性をしっかりと確保していくということが求められているのではないか、このように思います。

○後藤(祐)委員
 逆ハンディキャップがあるので肝に銘じてという先ほどのお言葉が、非常に寂しく感じられます。少なくとも、この安倍晋太郎先生の、御本人からですよ、御本人から寄附された、これについては御本人のお金なんです。(発言する者あり)御本人のお金なんですよ。これは法的に確認をしました、御本人のお金なんですよ。ですから、相続税の回避という意味合いがどうしても出てくるんです。だからこそ、特にその当時のルールが適用されている安倍総理におかれましては、やはり責任が大きいんじゃないのかなというふうに思います。

 きょうは、熊本地震、先ほどの話でいうと中九州地震という言い方の方がいいのかもしれませんが、これに関する補正予算の審議なので、少し最後に申し上げたいと思いますが、山尾志桜里政調会長からも、被災者生活再建支援法の改正案と提出の話がございました。住宅が全半壊した被災者の方に対して今最大で300万円出ますけれども、これを500万円に上げるべきだという話は、自民党が野党のときも提案されていたことであります。

 こういった租税回避策を厳しくすることによって税収を確保する、こういった形を別途講じれば、いろいろな財源が出てくるわけです。ぜひこれを500万円に上げるべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。



--------------------------------------------------------------------------------


<私のアピール> 安倍総理退陣を願う

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍総理退陣まで、国政で安倍自民党に“No”を !
安倍総理を支持する政党、政治家、安倍総理にすり寄る候補者に、
次の参院選・衆院選で彼ら彼女らに“No”を !

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」をめざしています。
安倍首相の抱く国家像は「明治リメーク日本」です。
平和な暮らしで栄えてきたデモクラシー日本。なぜ壊すのですか?

2012年12月26日、安倍内閣が成立しました。
アベノミクス効果で円安・株高が実現しました。
それは、日銀の巨額な国債購入、年金資金による巨額株式投資を伴っています。

円安効果で輸出大企業が栄えました。同じ円安効果で食品など生活関連品、電気代などエネルギー費が値上がりして、大衆には生活費切り詰め効果がありました。

アベノミクスの円安・株高効果の本質とは、なんでしょう?
国民大衆の生活費で、少数の大企業や株投資家の金庫を富ませている結果ではありませんか?
国の財政を浪費して危険度を高め、年金資金を危ないリスクに賭けることではありませんか?
アベノミクスで国民一般が潤うときは来ません。2015年夏以降、明らかに失敗しています。

安倍内閣下で特定秘密保護法が成立しました。安保関連諸法が成立しました。内閣法制局長官と、自民党・高村副総裁と、公明党・北側副代表の三者で手を握って、憲法違反の集団的自衛権を合憲だと、押し通しました。NHKの経営委員や会長には、安倍首相の息のかかった人が座りました。

政府に「批判的な」テレビ論調に政府・自民党の圧力がかかりました。
政府に「同調的な」テレビ論調に、圧力はありません。政府・自民党が「公平でない」のです。
テレビ局や公共の会館管理者などに自主規制が広がっているように見えます。
安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。安倍総理退陣を願っています。



コメント

<政治とカネ> 安倍内閣の「政治とカネ」辞職大臣が8名、多過ぎる!

2016-06-22 00:21:55 | Weblog



<政治とカネ>安倍内閣シリーズ記事
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利明前大臣の大臣室現金授受事件を忘れない(1)
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利前大臣の大臣室現金授受を忘れない(2)
<政治とカネ> 安倍内閣の西川公也元農水大臣 大臣は辞職・議員辞職はなし 痛くもかゆ         くもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の小渕優子元経済産業大臣 大臣辞職したが議員辞職はなし 痛く         もかゆくもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の「政治とカネ」辞職大臣が8名、多過ぎる!
<政治とカネ> 安倍首相 世襲政治資金は相続税免除(合法)、世襲政治団体は認めるべき         じゃない


2015年(平成27年)2月25日、第189国会衆議院予算委員会において、西川農林水産大臣が政治資金問題で辞職(2月23日)したことに対する安倍首相の任命責任を問う質疑が行われました。

この質疑の中で馬淵議員は、国立国会図書館が調査した資料を示して、1985年から質疑当日までの30年間に政治とカネの問題で辞職した大臣が17名いること、そのうち7名(41%)が質疑時点で合計3年2ヵ月間(30年の10%)になる安倍内閣の大臣であると指摘しました。


国会議事録 2015/2/25 衆議院予算委員会 関係部分抜書き

〇馬淵委員
―― 略 ――
 そこで、安倍政権における歴代閣僚の政治と金の問題についてということで整理をしてみたいと思いますが、お手元の配付した資料の中、三をごらんください。これは、国立国会図書館にて調査し、作成いただいたものです。1985年、すなわち直近の30年間、この間における内閣での、いわゆる政治と金の問題で辞任した閣僚のリストであります。

 1985年の中曽根内閣から2015年までの、今日のこの安倍内閣までの30年間、これをごらんいただきますと、一々読み上げませんが、17名の方が政治と金で辞任をされています(※2016年2月で18名)。もちろん、辞任の理由はさまざま複合する場合があります。定義はないでしょう。したがって、今回、国立国会図書館におかれては、外形的にも客観性を担保するために、新聞各紙の報道ベースとして作成されたものであります。

 これをごらんいただきますと、まず安倍内閣、安倍政権は2006年9月26日に発足をしました。2007年8月27日までの第一次安倍内閣、2007年8月27日から9月26日までの第一次安倍内閣改造内閣。さらに、2012年12月26日から2014年、昨年の9月3日までの第二次安倍内閣、昨年9月3日から12月24日、これは選挙後ですね、までの第二次安倍内閣改造内閣、これは改造した後の、選挙後までの内閣。そして、昨年総選挙後の12月24日から今日までの第三次安倍内閣。三つの内閣というふうにこれはカテゴリーされるんだと思います。

―― 略 ――

 総理、総理は同じことをずっと言っているんですよ。ずっと9年前と変わらないんです。大臣の辞任のたびに、政治と金の問題で辞任するたびに同じことを言っているんです。みずからは責任がある、政策を推進する、それは責任の果たし方ではないんです。政治と金の問題に真摯に向き合って、それをどう正すか、それを示すのが本来の責任の果たし方なんです。

 総理、わずか3年2カ月で、過去30年間ですよ、歴代の総理がいらっしゃる、30年間の中でわずか3年2カ月の総理の任期の中で7名(※2016年2月で8名)もの大臣が政治と金で次々と辞任を繰り返している。そのたびごとにあなたは繰り言を重ねている。政治と金の問題を全く反省していないからじゃないですか、違いますか。

 そして、これこそまさに、この閣僚の辞任、自民党の体質そのものだと私は思いますよ。古い体質そのものじゃないでしょうか。総理、どうですか。何かおっしゃることがあれば、おっしゃってください。


安倍内閣「政治とカネ」辞職大臣8名のリスト
  ――上記・馬淵議員質疑の後に甘利氏が加わって8名になりました

第一次安倍内閣 2006(H18)-09-26 ~ 2007(H19)-08-27
 ① 佐田玄一郎 内閣府特命担当大臣(行政改革担当)
         2006-09-26 任命 2006-12-28 辞任
         2016年女性あさりで再び批判の的になった
 ② 松岡利勝  農林水産大臣 2006-09-26 任命 2007-05-28 自殺
 ③ 赤城徳彦  農林水産大臣 2007-06-01 任命 2007-08-01 辞任

第一次安倍改造内閣 2007(H19)-08-27 ~ 2007(H19)-09-26
 ④ 遠藤武彦  農林水産大臣 2007-08-27 任命 2007-09-03 辞任

第二次安倍改造内閣 2014(H26)-09-03 ~ 2014(H26)-12-24
 ⑤ 小渕優子  経済産業大臣
         内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)
         2014-09-03 任命 2014-10-21 辞任
 ⑥ 松島みどり 法務大臣 2014-09-03 任命 2014-10-21 辞任

第三次安倍内閣 2014(H26)-12-24 ~ 2015(H27)-10-07
 ⑦ 西川公也  農林水産大臣 2014-12-24 再任 2015-02-23 辞任
         2016年3月24日、衆議院に新しく設置された「環太平洋パートナーシップ
           協定等に関する特別委員会」(TPP特別委)の委員長に就任


第三次安倍改造内閣 2015(H27)-10-07 ~
 ⑧ 甘利 明  内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
         2015-10-07 留任 2016-01-28 辞任
         内閣総理大臣臨時代理 就任順位第3位
         大臣辞任後国会欠席、国会終了後姿を見せる


① 佐田玄一郎氏 行政改革担当大臣辞職事情

佐田玄一郎氏(当時行政改革担当相)の辞職記者会見記事が内閣府ホームページにありません。大臣辞職は2006年(平成18年)12月28日。第165国会閉会が同年12月19日。佐田大臣(当時)の政治資金問題が165国会開会中に表に出ていないのか、国会議事録にも見当たりません。2016年になって、女性問題で再びクローズアップされるのですが、2006年政治資金問題の記事は見当たりません。以下の記事の元はWikipediaに拠りました。

佐田玄一郎氏は、「安倍晋三さんを支える会」会長として、2006年自民党総裁実現に奔走し、安倍政権実現と共に内閣府特命担当大臣(行政改革担当)に就任しました。(しんぶん「赤旗」2006年12月28日)

2006年12月25日、自身の政治団体「佐田玄一郎政治研究会」が1990年から2000年までの10年間、実態のない架空の事務所費を計上し、約7800万円を支出したとする虚偽の政治資金収支報告書を提出していた問題が発覚。佐田の公設第1秘書の証言によれば、同団体には活動実態が無く、1990年から1999年までに活動費として収支報告書に記載していた2億1300万円についても虚偽記載の可能性が指摘されました。(Wikipedia)


② 松岡農水相が自殺 議員宿舎で首つる
   朝日新聞 2007年05月28日14時21分

 28日正午ごろ、東京都港区赤坂2丁目の衆議院赤坂議員宿舎1102号室で、松岡利勝・農林水産相(62)が首をつっているのを秘書らが発見、119番通報した。警視庁によると、松岡氏は自殺を図ったとみられる。松岡氏は新宿区の慶応義塾大学病院で治療を受けていたが、午後2時、死亡が確認された。

 赤坂署によると、松岡氏はこの日午前10時ごろまで、宿舎の室内で秘書と話をしていた。その後、出かける予定だったが、正午ごろになっても本人が室内から出てこないため、秘書が、警護に当たっていた警察官と一緒に室内に入ったところ、松岡氏が居間のドアの金具に、布製のひもで首をつっていたという。

 松岡氏をめぐっては資金管理団体の光熱水費や事務所費の不透明な支出や、入札談合事件で理事らが逮捕された農水省所管の独立行政法人「緑資源機構」に関連する団体からの献金問題など「政治とカネ」をめぐる問題が野党から次々と追及されていた。

 松岡氏の資金管理団体をめぐっては、電気代も水道代もかからない議員会館を事務所としているにもかかわらず、政治資金収支報告書には2005年までの5年間に光熱水費計約2880万円がかかったと計上していた。松岡氏は国会で「ナントカ還元水とかいうものを付けている」と答弁したが、その後は「適切に報告している」などと繰り返すだけで具体的な説明は一切避けていた。

 また、議員会館は家賃もかからないのに、年間約2500万~3300万円を事務所費として支出していたと政治資金収支報告書に記載していた。

 一方、緑資源機構をめぐっては、共産党が、林道などの事業と関係のある7政治団体を含む計9団体が松岡氏に約1億3000万円の政治献金をしていたと指摘している。


 このほか、出資法違反容疑で福岡県警の家宅捜索を受けた会社の関連団体のNPO法人申請をめぐって、松岡氏の秘書が審査状況について照会していたことが発覚。松岡氏の後援者に対し、都内の会社経営者が「松岡氏への資金協力」として渡した100万円が使途不明になっていることが判明するなど、「政治とカネ」をめぐる問題を指摘されることが絶えなかった。

 松岡氏は熊本県出身。1969年、鳥取大農学部卒。1969年に農林省に入り、天塩営林署長などをへて林野庁広報官を最後に1988年農林水産省を退官。1990年2月の総選挙で衆院議員に初当選し、当選6回。農水政務次官や衆院農水委員長、農水副大臣など一貫して農林水産畑を歩んできた。

 2006年9月の安倍政権発足時に初入閣し、農水相に就任。農水族の中心的な存在として知られ、対中コメ輸出や豪州などとの経済連携協定(EPA)の交渉にあたっての手腕が買われた。安倍首相は「攻めの農政を進めるうえで必要な人材」と評価し、光熱水費問題をめぐっても擁護する姿勢を貫いてきた。


③ 赤城徳彦農水省 事実上の更迭事情

議員宿舎で自殺した松岡農水相の後任だが、就任2ヵ月で事実上の更迭となった。政治献金の収支報告書未記載、国の補助金を受けて1年以内の法人から政治献金を受けていた政治資金規正法違反、郵便料金の二重計上、経費の付け替え、赤城徳彦後援会が父親の自宅を主たる事務所にして(事務所実態がない)10年間で約9000万円の経費を計上などが批判された。 <参照> Wikipedia


④ 遠藤農水相が引責辞任、安倍政権で5人目の閣僚交代
   AFP 2007年09月03日 17:31 発信地:東京

【9月3日 AFP】遠藤武彦農林水産相は3日、自身が組合長を務める農業共済組合が補助金を不正受給していた問題の責任を取って辞表を提出、受理された。

 遠藤農水相は、「せっかく任用していただいたのに期待に沿えなかった。心からおわびし、辞任させていただきたい」などと記者団に述べた。

 遠藤農水相は、就任直後に発覚した補助金不正受給と献金授受について、事実を認めていた。当初は留任の意思を示していたが、参議院で野党の追及が強まるとの予測から、辞任を決断した。

 27日の内閣改造後1週間でのスピード辞任は、安倍晋三(Shinzo Abe)内閣にとって大きな打撃。前年9月に発足した安倍政権で、不祥事による閣僚の辞任・交代はこれで5人目となる。(c)AFP


小渕優子経産相、⑦ 西川公也農水相
 ⑧ 甘利経済再生相 (1) 甘利経済再生相 (2)
 上の氏名をクリックしていただくと、関係する前記事が出ます。


⑥ 松島みどり法相 大臣辞職記者会見 2016/10/201

松島みどり法相は10月20日、自身のイラストや名前が入ったうちわを選挙区内で配ったことが寄付行為にあたると国会で追及されたことを受け、安倍首相に辞表を提出後、午後2時半から法務省で記者会見をしました。

<法務大臣臨時記者会見の概要>
【冒頭発言】

本日、法務大臣の職を辞することといたしました。我が国の基本法制、法秩序の維持を司る法務大臣の立場にありながら、このところの私の言動によって国政に遅滞をもたらし、国民の皆様にご迷惑をおかけする事態を招き大変申し訳ないと考えております。安倍総理に抜擢して頂き、法務大臣という重責に就任した身として、経済再生を初めとする山積する課題に取り組んでいる安倍内閣の足を引っ張ることはできない、そう考えました。これからは一議員として安倍政権を支えたいと思っております。

今回、地元の支援者の皆様のせっかくのご期待に沿えなかったことにつきましてはまことに残念であります。在任期間は2カ月足らずでしたが、かねての持論でありました、強姦罪の法定刑が強盗罪より軽い、強姦致傷罪が強盗致傷罪より軽いことの問題を就任直後に提起したのに対し、省内が素早く動いてくれて、有識者による性犯罪の罰則に関する検討会が発足しており、今後に期待したいと思っております。ひとつだけは自分で考えてきたことを進めることが、短い間でしたができました。私からは以上です。

【質疑応答】

Q 就任1カ月半での辞任となったが、率直なご感想を。

A 私自身としては、伝統のある、重い、重要な法務省という役所の大臣になって、これまでの自分の考えからも、これをやりたい、あれをやりたい、国民に法律を近づけたい、いろんな思いを持っておりました。図らずもこういう形で退任することは残念だと考えております。

Q うちわの問題ですが、うちわについて討議資料であると表現されました。有価物ではないともおっしゃっていました。辞表提出して、その認識は変わったか。

A いえ、まったく変わっておりません。私自身、法に触れることをしたとは考えていませんが、とにかく私の問題で国政を停滞させてはならない、その思いで法務大臣を辞職することにいたしました。

Q 国会で追及された問題、配られたのはうちわですよね?

A 国会でも申し上げました。1年間に成立した主な法律について、国民というか私の地元の方々にもいろんな年代の男女の方々に知って頂きたいと一生懸命記しました。反対側には私の名前も入っています。で、確かに形の上でうちわかと言われれば、うちわの形は、持つところはありますし、していると思います。ただし財産上の有価物かと問題については、うちわというのは一般に、信用金庫や商店街の名前が書いてあって、イベントなどで配ってそのまま捨てられる、そんな類いのものだと思いますし、そういう問題になる寄付行為だとは思っていません。

Q そういう中で辞任を選んだのは、民主党からも刑事告発され、ひょっとしたら法に触れるという思いがあっての辞任なのか。

A 違います。刑事告発そのものの問題というよりは、民主党含め野党の中に、この問題など、私の問題だけではないかも知れませんが、こういう閣僚を抱えた中では国会審議ができないとか、あるいは重要法案も審議しないとか、そのような動きが出ています。もちろん法務委員会でも出ております。それがまさに国政に停滞をもたらすことであり、そういうことがあってはならないと思って、私がやったことが法に触れるとは思っておりません。、

Q 配られたもの以外に有価物ととられかねないようなものを配布したことはなかったのか。

A ありません。

Q 一部にカレンダーが配られたという話も出ているが。

A カレンダーというのは、まあ、室内用ポスターですよね。政治の世界で室内用ポスターという、外に貼って見せてはいけないけど、応援している人が自分の家や会社の中で(貼るもの)。これも1枚のペラっとしたものに私の名前や説明や写真を載せているものが中心で、財産上の価値というのは値段からみてもそういうものではないと思っています。

Q それはカレンダーとしての機能は有しているものなんですか。

A 12カ月分の日にちとかは書いています。曜日も書いてあります。

Q そうすれば有価物になってしまうのではないか。

A 財産上の有価物をどれくらいからいうのかちょっとわかりませんが、私はそういう認識は持っていないから、法律違反になると思っていないから、自分の親しい人の後援会その他の会合で配っています。

Q 松島さんの国会答弁を聞くと、今日の辞任は唐突に思えるが、いつの時点でご自身で判断したのか。それとも小渕さんの辞任と一緒になったのは理由があるのか。

A 確かに先週は続投すると、しっかりと法務大臣の仕事を務めて参ると先週の夕方も申しておりました。それから土曜、日曜、諸般の情勢をふまえて辞任の決断をするに至ったということでございます。

Q ご自身の判断なのか。回りから「小渕さんと合わせた方がいいよ」といった助言はあったのか。

A いえ、新聞でそういうこと書かれている記事も見たことあるんですけど、私自身がタイミングとして、国会が遅滞なく、国政が遅滞なく(進む)には、今のタイミングだと考えました。土日、熟考を重ねました。

Q 女性の活躍をうたった改造内閣でお二人が辞任して、今後の政権運営への影響が大きいと言われている。このことについてどう思われるか。

A たまたま私も女性ですし、小渕大臣も女性です。ただ、私の言動が問題になったというのは、私が女でも男でも関係ないことだったと思いますので、それは当たらないのではないか。そして私としてはやはり、安倍内閣にとにかくしっかり仕事してもらいたい。それに支障が出ること、足を引っ張ることは決してしちゃいけない。それがひたすら、なぜ辞めたかと聞かれれば、安倍内閣がやらなきゃいけない、全国津々浦々の経済再生、全国の中小企業も小規模事業も景気が良くなったと感じてもらえる。そんな日本をアベノミクスをつくっていく。そのためにも今、停滞しているわけにはいかない。そのように考えております。

Q 今回の辞任の判断やあいさつなど、総理や官房長官とは話をされたのか。どのような話か。

A 辞任のあいさつというのは私は常に自分の言葉で話すように考えておりますので。間違ってはいけないから一応原稿書きましたけど。

Q 小渕さんのケースに比べると額も少なく、辞任の判断はどう思われるか。立て続けということで、閣僚ドミノにつながりかねないという指摘もあるが。

A 2つめの質問については、私の辞任がドミノとかそういうことじゃなくて、私の辞任それこそは、安倍内閣が日本中に経済再生を実感してもらう、その政策に取り組んでいく。私もそう思ってこの2年半、国会議員として仕事をしてきましたが、それを実現するためであって、それがマイナスになるとはまったく考えておりません。なお、小渕大臣と何か比較をされましたが、それはそれ、小渕大臣の中身をよく存じているわけでもございませんし、私は私で別個の問題でございます。

Q うちわを発注した業者の納品書や請求書では「うちわ」と書いてある。改めて「うちわ」なのか。

A 私も見ました。納品書などは、その会社の人から見ると、商標というかブランド名も書いてあったみたいだけど、会社としてはうちわの範疇に入れているんだと思います。私が申したり私の…えー…領収書なりその他というのは、これは討議資料を印刷したものですから、それは食い違っているというのはおかしいことじゃないと思います。

Q 特捜部が受理したという話もある。受理への受け止めと、元法務大臣として捜査に協力するのか。

A 私もそれほど詳しいわけではございませんけど、告発というものはいっぱいあって、受理というのも一杯あって、その中からそれがどういうものかを捜査、点検がなされていくんだと思います。協力するのかと言われたら、もちろん必要なもの、すでに国会の委員会の方にも収支報告書ですとか、請求書とか領収書とか出してますから、同じものを出すだけで、私もこれから詳しく調べてみないと分からないような複雑な問題は抱えていませんので、それをするだけです。

Q 告発状を出されたから辞任したのか。そこを判断したタイミングと、土日はどういうご判断をされたのか。

A まず告発状の受理とは直接関係ございません。国会審議とか、国政が停滞するかが大事なポイントですから、タイミング的にはね。もう一つは総理から言われたのは、心機一転、新しい気持ちで能力を生かしてほしい、そのような表現をされました。考えたことは、この週末の金曜の夜の時点から何が変わったかというと、いろいろ考えました。でも結論は結局、この安倍内閣の国政を一日も停滞させたくない。それにはどうすればいいのか、私が続けるより辞めた方がいい。私を抜擢してくれた安倍総理を、身を引いて一議員として支える方法があるんではないか。そう思ったんです。

Q 国会では法務大臣の立場で法律を都合良く解釈しているのではないかという意見もあり、大臣としての資質を疑問視する指摘もあった。ご自身こういった指摘をどう受け止めているか。

A それはあたらないと思っております。そして、この、たとえば、告発されたらあとどうなるかという質問があったが、それに対しては法務大臣ですから個別具体的に影響を与えることを言うことができませんと答えました。現在は法務大臣ではありませんので、私の、政治家・松島みどりとして申し上げますと、法に触れることはしていないと考えていると言い切っている次第です。

Q 大臣の資質としてはどう考えるか。

A 大臣の資質、法務大臣の資質…。私は、法務大臣に的確であると安倍総理に考えて頂いて、この重責に就かせていただき、自分では資質があると考えて法務行政にあたってまいりました。

Q 性犯罪の検討会が近く始まるが、1カ月半でやり残したことや後悔する点について思うところがあれば。

A 今申し上げた件に関しては、最初の会合が10月末に始まって、あとはもとより、私がどういう中身にしろと言う考えはありませんでしたから、皆さんがたである程度の時期に結論を出してもらって、それが法律の改正につながればいいと考えていましたので、これについてはある程度満足しているわけです。それ以外につきましては、来年せっかく民法改正、債権法の120年ぶりの改正も法案の中身を詰める時期でしたから、私も一緒に議論したいと思いましたが、それがかなわないことは残念でしたが、与党の一員として法務の重要なマターに関係すること、そして入管の職員を増やさなければいけない。再犯防止のために矯正と保護が一体にならなければいけない、どうしていくかという思いはいろいろありますが、与党議員として党内部会で発言してバックアップしたい。大臣でなくとも国会議員としてできることはいっぱいあると思っています。

Q 財産的価値はないという認識だが、大臣が国会に提出した資料では、約2万枚で約174万円、1本あたり80円支払った。何を基準に判断するのか。

A それは、法律の厳密な条文の意味は分かりませんが、それがたとえば売買の対象になる、あるいは投票活動の有無、何十円のものをもらったからこの人に投票するとか、そういう選択肢を、そういうことを、こういう中身を書いている人だから投票してくれるならいいけど、うちわというあおぐものをくれたから投票するという価値判断になるようなものではないと、私はそのような解釈をしています。

Q 投票行動に影響を与えるか、そういう価値を持つか、ということか。

A それは私の考え方であって、法律について、まして告発されているようですから、判断される方の根拠はよく分かりません。

Q 司法が財産的価値があると判断することもありうる。その場合に受け入れるのか。

A それはこれからのことで、わかりません。捜査をされるとしたらどう答えるかは今分かりませんし。

Q 土日に熟考されたとのことだが、うちわが問題になってから10日以上。国会の議論もひととおり出たのではないかというタイミングとも考えられるが、今後さらに審議に影響を与えると判断したのはどうしてか。

A 各委員会、各法律の審議はこれからです。山場を超えたという意味かもしれませんけど、予算委は一般質疑、法務委も大臣所信に対する一般質疑でしたから、いよいよ各法律の議論を各委員会ともやっていくのはこれからだと思っています。

Q うちわの問題が影響を与えるのか。

A 直接うちわの問題ではございません。それだけではなくて、いろいろな総合的判断の中でございます。

Q 有価物かどうかの判断は「売買の対象」「投票の価値判断」ということでいいか。

A 今思いつくのはそういうことです。ほかにもあるのかもしれません。

Q ネット上で売買の対象になっているようだが。

A それはこのような派手な展開になったから。私見てませんけど。夏にお渡しした時点で「もうかった」という顔をしている人、高価なものをもらったという雰囲気の方はどなたもいらっしゃいませんでした。

Q 先週末に刑事告発され、自ら所管している東京地検の捜査対象に法務大臣になってしまった異例の事態だからこのタイミングで辞任するのか。

A 提出は先週ですが、受理されたのは今日になってからと聞きました。私が辞任を心で決めたのは日曜日ですから、そうじゃないです。

Q 今回の辞任が、女性の社会登用にどういう影響を与えるか。

A 私自身、安倍政権の女性を活用ということについては本当に日々感無量でおります。私が何十年も前に大学を卒業したときは、経済学の女子学生など採用してくれる会社はほとんどありませんでしたから。入社案内のパンフレットも男子のところは3m来たけど女子には1冊も来なかった。そういった中で、安倍総理が企業に向けても政府においても政治の世界でも女性を活用しようと思ってくれたこと。そしてその一環として私も法務大臣という重要な職についたこと。それは一連の流れとしてすばらしい。ただ、この女性を活用しようということは、どの会社においても、どの政府、組織においても、そのうちの一人がちょっと失敗だったというか、私自身は再生可能な失敗だと思っておりますが、何かの小さな失敗で部長になった女性が部長をいったん外れても、続く人が有能ならきちんと職に就けると思うし、そしてその女性自身も、安倍内閣が掲げるように再チャレンジで、部長で失敗した女性もいったん外されてもまた頑張ればポジション得られる、そういうものだと思います。

Q 今後の女性活用にマイナスか。

A だから思いません。もし万一、だからやめようということを考える会社があったら、絶対にそんな考えは持たないでいただきたい。

Q 松島さんといえば赤い服のイメージ。今日は公選法上、潔白だという思いで白い勝負服なのか。

A 法務大臣になってからはあまり赤い服は着ないでちょっと落ち着いた色の服をと心がけておりました。今日は、確かに、人間、特に女性が朝、何を着ようかというのは、何か自分でも思うところがありますから、白を着たというのは、よく理解して頂いた。公選法上というよりは、新しいまっさらな気持ちで今日から歩みだそう、そういう気持ちです。

Q 今日という日が小渕さんと同じ日になってしまいました。1日に2人の大臣辞職会見は前代未聞。同じ日になってしまったご感想。ひょっとしたら幕引きをはかるのは早い方がいい、1日で片付けようという思いはどこかになかったか。野党からの追及も早く終わるんではないかと。

A 月曜日ですからね。始まりの日ですし、もちろん野党の行動もマスコミ各社の報道ぶりも見ながら、きりのいいところがここだな、と。

Q あえて同じ日を選んだのか。

A 同じ日を選んだというよりは、結果的に同じ日になったかもしれないけど、別に連絡取り合ったわけでもないですし。

Q ダブル辞任をどう思うか。

A それは皆さんが判断して頂いた方が。私が言うことではないですし。

Q きのうは党の関係者と連絡は取ったか。

A まあ、官邸とか、党の先輩とか、色んな先輩型とお話はしました。でも決めたのは私です。

Q 官邸で総理にどう説明し、総理からはどう言われたのか。

A 申し上げましたのは「せっかく抜擢して法務大臣につけて頂きましたのに、いろんなことで安倍内閣の政治を停滞させかねない事態になって申し訳ありません。辞職したいと思います」と。総理からは先ほども申し上げましたが「心機一転、これからも頑張っていろんな場面で能力を発揮してくれ」と、そう言われました。


コメント

<政治とカネ> 安倍内閣の小渕優子元経済産業大臣 大臣辞職したが議員辞職はなし 痛くもかゆくもない面々

2016-06-20 02:44:38 | Weblog



<政治とカネ>安倍内閣シリーズ記事
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利明前大臣の大臣室現金授受事件を忘れない(1)
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利前大臣の大臣室現金授受を忘れない(2)
<政治とカネ> 安倍内閣の西川公也元農水大臣 大臣は辞職・議員辞職はなし 痛くもかゆ         くもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の小渕優子元経済産業大臣 大臣辞職したが議員辞職はなし 痛く         もかゆくもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の「政治とカネ」辞職大臣が8名、多過ぎる!
<政治とカネ> 安倍首相 世襲政治資金は相続税免除(合法)、世襲政治団体は認めるべき         じゃない


このブログ記事を読んでくだされば、政治資金の使われ方のパターンがよくわかります。桝添前都知事の政治資金の使い方が目新しいのですが、これまではどの政治家も似たような使い方をしているものと思います。ただ公明・共産の組織政党の場合は、他政党にくらべて清潔であろうと信じております。

政治家本人と秘書・会計責任者との連座制、違反確定の場合は5年ていどの公民権停止という具合に、政治資金規正法を改正しなければ、政治家の不正カネ使いが繰り返されるでしょう。


小渕経産大臣スピード辞職、松島法務大臣も同日辞職

2014年10月20日、小渕優子経済産業大臣が「政治資金」の問題で辞職しました。同日、松島みどり法務大臣も、「うちわ配布」問題で、大臣辞職しました。

小渕経済産業大臣辞職の理由は、政治資金報告書の収支が大きく相違していることや、政治資金での購入品目に対する疑惑――すなわち後援会員や地元選挙区有権者への利益供与や公選法違反疑惑で、発端は週刊新潮10月23日号(10月16日発売)の記事でした。


毎日新聞がこの週刊誌記事をキャッチしたのが10月15日。16日には参議院経済産業委員会で、17日には衆議院経済産業委員会でこの問題で質疑が行われました。小渕大臣がこの問題をキャッチしてから大臣辞職まで1週間あったのでしょうか。このスピード辞職が、できるだけマスコミ露出を避けてほとぼりが冷めるのを待つ「忍法安倍隠し」の術です。


今回記事の目次

【1】毎日新聞 2014/10/15
   小渕経産相 政治資金「デタラメ」と週刊誌、16日発売
【2】zakzak by 夕刊フジ 2014/10/16
   小渕経産相 辞任不可避か 政治資金でベビー用品購入も
【3】毎日新聞 2014/10/20
   小渕経産相 地元事務所、有権者にワイン 公選法違反疑い
【4】毎日新聞 2014/10/23
   小渕氏 売却旧宅に表札 家賃払わず母居住 利益供与か
【5】毎日新聞 2014/11/26
   小渕前衆院議員 収入不足計5100万円 観劇会5年分で
【6】毎日新聞 2014/12/20
   小渕前経産相側、家宅捜索前、HDにドリルで穴 データ破壊
【7】読売新聞 2015/10/24
   小渕氏政治資金 第三者委員会が法的責任否定 虚偽記入5年間
   3億円超
【8】日本経済新聞 2015/10/21 
   小渕元経産相が謝罪 元秘書に有罪判決、議員辞職はせず
【9】議事録 第187国会 参議院経済産業委員会 第2号
   平成26年10月16日
   参議院議事録 小渕経済産業大臣 政治資金支出 公私混同疑惑に
   関する質疑  


■小渕後援会 明治座観劇会

【1】【2】【5】は小渕優子後援会による年1回のイベント、明治座観劇会の収入・支出の勘定が合わないことを書いています。それは相当な大金です。記事によって金額に差がありますが、これは衆議院議事録「第187国会 衆議院経済産業委員会 平成26年10月17日」で、民主党・近藤洋介衆議院議員と小渕経済産業大臣の質疑答弁をご覧くだされば、観劇会の規模・収支金額など全容が理解できます。

収支の差額は裏金になって別目的に使われている疑いがあります。観劇会開催支出費用が、明治座観劇会で後援会員から徴収した会費合計より多ければ、その差額が有権者への利益供与に相当することになり、これは公職選挙法違反になります。


親族企業からの購入、著名デザイナーズブランド品、婦人洋品、ベビー用品などの購入

【2】【9】では、小渕元経産大臣の姉の夫、すなわち義兄が経営する「コンセプション」からネクタイ、ハンカチなどの洋品雑貨を政治資金で買い入れていることが明らかになっています。

銀座の百貨店での買い物が目立ちます。そこでの買い物には、ベビー用品、おもちゃ、婦人服・バッグ・靴売り場での買い物が目立つけれども、紳士服売り場の買い物も少しあります。小渕元大臣は夫・男児2人の4人家族ですから、政治資金で私人用途の買い物をしている疑いがあります。

私の叔父は小企業の経営者でした。故人になっていますからいいでしょう。昔のエピソードを話します。叔父はお中元・お歳暮の季節になると、デパートの金券、オーダーワイシャツなどを買って、交際費で落としていました。

あるとき税務調査が入りました。調査員が手際よく請求書・領収証ファイル、預金通帳などを照合していきます。その調査のときは、オーダーワイシャツ、オーダースーツ、金券などについて細かく質問していました。叔父は堂々と、「得意先への贈り物です」と説明しました。2回目に来た時に、調査員がオーダーシャツについてまた聞きました。叔父は1回目と同じように答えました。

調査員がおもむろに百貨店伝票の写しを1枚取り出しました。それはオーダーワイシャツの伝票の写しでした。それにはイニシャル刺繍の指示が書かれていました。「これは社長のですよね」。叔父は降参しました。修正申告をして追加納税をしました。

このように小さなオーナー会社では、社長やその家族のための個人的支出を、会社の交際費、福利厚生費、会議費などの名目で支払うことがよくあります。政治家が「政治資金」を私生活関連費に使っている実態はこれと同じです。

小渕元大臣はこれについて、政治活動の一環としての「基本的に何か人に差し上げる贈答品、また海外に出張をします際に、そのときのお土産」用途であると説明しています。詳細は「第187国会 参議院経済産業委員会 平成26年10月16日 安井美沙子議員質疑」をご覧ください。有権者への利益供与はダメですから、「交際費」という説明になります。どこにでもいる中小零細事業者と変わりない感覚です。疑わしいことです。


後援者の財団所有屋敷に元小渕首相の夫人が住んでいる

【4】のケースでは、こういうこともできるのかと感心しました。

故人の所有資産を財団に移し、その財団の理事とか理事長職を引き継いで給与をもらい、車に乗り、経費を使えば、相続税を払わなくてすみます。これは富裕財産家にとっては有力な節税策の一つで、徳川や細川など名門大名家もこの手を利用していることでしょう。

この屋敷は元々小渕家のものでしたが、小渕元首相の逝去に伴う財産相続を経て、元首相後援者の財団所有となりました。小渕元経済産業大臣の母親、すなわち元首相夫人は、相続―売り払い後においても従来と変わりなく、そして家賃を新たに払うこともなく、住みつづけてきました。


証拠隠滅 ハードディスク、ドリル穴開け

【6】のケースです。これはもう悪質そのものです。




--------------------------------------------------------------------------------

■毎日新聞 2014/10/15 14:00

【1】小渕経産相 政治資金「デタラメ」と
   週刊誌、16日発売



 小渕優子経済産業相の関係する政治団体の政治資金を巡り、16日発売の週刊新潮(10月23日号)が、使途の不適切さを指摘する記事を掲載することが15日、分かった。

 タイトルは「小渕優子経産相のデタラメすぎる『政治資金』」。記事によると、東京・明治座で開かれた有名歌手らが出演する「観劇会」を巡り、地元の政治団体「小渕優子後援会」(群馬県中之条町)は2011年までの2年間で計約1690万円を明治座に支払った。一方、収入は約740万円しかなく、差額の約950万円を後援会が負担した形になっていると指摘。観劇会には有権者が招かれていることから、仮に収支が政治資金収支報告書記載の通りであれば、破格の安さで観劇させたことになり、有権者への利益供与を禁じた公職選挙法に違反する可能性があると指摘している。

 また、後援会など関係3団体が親族の経営するブティックに支出した資金について「秘書がネクタイやハンカチを購入し、ギフトラッピングして議員会館に送った」とする関係者の証言を紹介。さらに地元のネギ農家に支払った約100万円も、贈答用のネギ購入代だった可能性があると指摘している。

 政治資金に詳しい神戸学院大大学院の上脇博之教授は毎日新聞の取材に対し「贈答用ならポケットマネーで出すべきだ。政治資金を使うのは、公私の区別ができていないからだ。ネクタイやネギなどを、誰に配ったのかについても説明が必要だ」と話す。小渕経産相の事務所は取材に対し「確認してみる」としている。【鈴木泰広、斎川瞳】


--------------------------------------------------------------------------------

■zakzak by 夕刊フジ 2014.10.16

【2】小渕経産相 辞任不可避か 政治資金で
   ベビー用品購入も



 小渕優子経産相(40)に金銭スキャンダルが直撃した。関連政治団体が2010年と11年に後援会関係者向けに開いた「観劇会」で、費用の一部である計約2600万円を負担した疑いを、16日発売の「週刊新潮」が報じたのだ。事実なら、公職選挙法違反の可能性がある。「将来の宰相候補」と注目され、第2次安倍晋三改造内閣の主要ポストを射止めた女性閣僚が、進退の危機に直面している。

 「私事で大変お騒がせし、心からおわび申し上げる」

 小渕氏は16日午前の参院経済産業委員会で、疑惑報道についてこう陳謝した。いつものソフトムードではなく、その表情は強ばっていた。それほど、週刊新潮の「『小渕優子』のデタラメすぎる『政治資金』」のスクープ記事は衝撃的だ。

 問題の政治団体は「小渕優子後援会」と「自民党群馬県ふるさと振興支部」。同後援会の女性部は毎年、劇場「明治座」(東京都中央区)を借り切って観劇会を催しているという。ちなみに、今年10月の観劇会は、ヒット曲「珍島物語」で知られる歌手、天童よしみの特別公演だった。

 両団体の政治資金収支報告書によると、同後援会は10年分と11年分の収支報告書に「観劇会」の収入として約373万円と約369万円を記載した。一方、両団体は明治座に「入場料食事代」として、10年に約844万円ずつ、11年に約849万円と約847万円を支出しており、政治団体側が差額にあたる約2643万円を負担した形になっていたのだ。

 有権者に安価で観劇や食事を提供していた場合、買収を禁じた公職選挙法に抵触する可能性がある。後援会員からの収入を政治資金収支報告書に少なく記載した場合は政治資金規正法に触れる恐れがある。

 小渕氏の金銭疑惑はこれだけではない。

 毎日新聞は16日付朝刊で、小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」の不透明な政治資金の支出について報じた。同紙によると、同研究会は、小渕氏の実姉夫妻経営のブティックなどに「品代」として2008年からの5年間で38回、計約362万円を支出したうえ、百貨店でベビー用品や化粧品、著名デザイナーブランドなどに支出していたという。同紙は「疑惑を持たれている支出は1000万円を超える」としている。

 小渕氏は2児の母であり、政治資金でのベビー用品購入は、私的流用を疑われかねない。永田町では「あまりにずさんだ。小渕事務所は、父の恵三元首相を支えたベテラン秘書がいなくなり、現在は素人集団に近いようだ」(事情通)という声もある。

 前出の参院経産委員会では、民主党の安井美沙子議員が、小渕氏を厳しく追及した。

 安井氏「明治座での観劇は寄付行為にあたるのではないか」

 小渕氏「私自身は実費を頂いているものと承知している。ただ、一人一人、確認しているわけではない。後援会に『確認してほしい』と昨日お願いした。(収支の)差額については報道で初めて知った」

 安井氏「(実姉夫妻経営の)親族企業に対し、政治活動費から支出がある。何を購入していたのか」

 小渕氏「姉がデザインしたネクタイやハンカチが売られている。(それらを購入して)贈答品に使った」

 安井氏「公私混同ではないか」

 小渕氏「姉が作ったものだということで、喜んでくださる方もいる」

 安井氏「ベビー用品などに関しては?」

 小渕氏「今の段階では一つ一つ確認できていない…」

 政治評論家の小林吉弥氏は「小渕氏がきちんと説明できるかどうかだ。不透明な支出が2600万円を超える以上、疑惑を払拭できなければ進退問題に直結する。当然、安倍首相の任命責任も問われる。『政治とカネ』の問題は何十年も前から指摘されてきた。税金が原資である政党助成金が支給されている以上、国会議員は政治資金にもっとシビアになるべきだ」と語る。


--------------------------------------------------------------------------------

■毎日新聞 2014/10/20 08:10

【3】小渕経産相 地元事務所、有権者にワイン
   公選法違反疑い



 小渕優子経済産業相の地元事務所が今年、群馬県の選挙区内に住む男性に対し、慶事の祝い品として赤と白のボトルワイン計2本を贈っていたことが分かった。ボトルには小渕氏の写真が印刷されたラベルが貼られており、特注品とみられる。公職選挙法は選挙区内の有権者への利益供与(寄付行為)を禁止しており、同法違反の疑いがある。【角田直哉、町田徳丈、杉本修作】

 ◇赤白2本、顔写真つき

 群馬県内の70代男性によると、小渕事務所の地元秘書が今年、男性の自宅を訪れ、慶事の祝い品として、持参した箱入りの赤ワインと白ワイン各1本を渡されたという。いずれも720ミリリットル入りのボトルには、小渕氏のほほ笑む顔写真と「優しさ輝く日本の未来 おぶち優子」などと印刷されたラベルが貼られ、裏側のラベルには同県中之条町の地ワイン製造会社名などが書かれていた。

 ワインは特注品とみられるが、製造会社のホームページによると、レギュラーワインで1本1000~2000円、贈答用の赤白セットは2600円などで販売されている。

 公職選挙法199条は選挙区内の有権者に対する金品などの寄付行為を禁じている。禁止行為のうち、選挙に関しない寄付や社交の程度を超えない寄付には50万円以下の罰金を科すと規定している。

 ◇義兄経営先で品代362万円、ほかにベビー用品・化粧品など

 小渕氏を巡っては、資金管理団体「未来産業研究会」から実姉の夫が経営する服飾雑貨店などに計約362万円が「品代」として支出計上されていたのをはじめ、ベビー用品や化粧品、下仁田ネギなど、同団体の不透明・不適切な支出は1000万円を超えていた。

 こうした支出について、17日の衆院経済産業委員会で野党議員から選挙区内の有権者への贈答品ではないかと問いただされた小渕氏は「選挙区に(贈り物をしたこと)はありません」などと答弁していた。


--------------------------------------------------------------------------------

■毎日新聞 2014/10/23 07:30

【4】小渕氏 売却旧宅に表札 家賃払わず母居住
   利益供与か



 ◇優子氏が理事務めた財団所有

 小渕優子前経済産業相が一部相続した東京都内の土地建物を今年3月、小渕氏が9年近く理事を務めた公益財団が寮として使用する目的で購入しながら、現在も小渕氏の母親が住み続け、家賃も支払っていないことが分かった。財団側は事実関係を認めた上で「保守管理をお願いしているとの認識だった」と説明するが、専門家は「政治家側への利益供与に当たる疑いがある」と指摘している。【高橋慶浩】

 登記簿や国会議員の資産及び所得等報告書などによると、小渕氏は父恵三元首相の死去に伴い2000年に東京都北区の約891平方メートルの土地と木造2階建て計約250平方メートルの建物を母親や兄弟と共に相続した。土地と建物は昨年12月に群馬県内の建設会社に一括売却された後、その約3カ月後に公益財団法人「本庄国際奨学財団」が計約4億5392万円で購入した。

 同財団は恵三元首相の後援者で大手飲料メーカー創業者の故本庄正則氏が設立し、主に途上国からの留学生を支援している。小渕氏は01年4月に財団理事となり、06年9月の文部科学政務官就任に伴っていったん理事を辞任。政務官退任後の08年4月に再び理事となり、同年9月の少子化担当相就任に伴い再び辞任。10年4月にみたび理事に就任し、12年12月の副財務相就任で翌月辞任している。

 小渕氏の所得等報告書によると、相続分(土地100分の14、建物6分の1)の売却益は5299万円余。また、恵三元首相の1998年の資産公開によると、妻(小渕氏の母親)はこの飲料メーカーの株を19万5250株(当時の株価で約9億9500万円相当)保有していた。

 財団の財産目録や事業報告書によると、土地建物は「学生寮の将来の運営のため購入」したが、開設時期などは具体化していない。事務局長は「現在の建物を生かし、耐震補強をして将来的に留学生を10人ほど受け入れたい。購入元の建設会社の社長とは以前から知り合いで、寮を作りたいと話をしてあったので『どうですか』と持ちかけられた。以前の所有者が小渕家だったのは偶然」と話す。

 一方で「建設会社には『家を残したい』と(小渕氏の母親が)希望を言ったと聞いている」と証言。購入から半年以上たった今月も「小渕」の表札が掲げられ、母親が住んでいるという。近くの不動産会社によると、付近の1軒家の家賃相場は専有面積100平方メートル弱で15万円弱といい、約250平方メートルなら単純計算で家賃は三十数万円。固定資産税は坪(3.3平方メートル)当たり2000~3000円といい、891平方メートルなら五十数万~八十数万円の計算となる。

 事務局長は「我々がしょっちゅう行って窓を開け閉めできない。(母親の)荷物がいっぱいあり、それをかたすというので、それなら自動的に(保守管理を)やってくれるので家賃は必要ないと思った」と説明。「結果として小渕邸と知って購入したが、理事会に諮る際には建設会社から買うとしか言ってない」と明かし、「速やかに出てもらい、管理人を雇う」と述べた。

 建設会社は「9月に社長が亡くなり、分からない」と話し、小渕氏の事務所は「質問が多岐にわたるので調査し確認でき次第、説明する」と文書で回答した。

 政治資金に詳しい岩井奉信日大教授(政治学)の話 所有者が変われば家賃が発生するのが常識で、誰が見ても納得できる話ではない。公益財団の資格を逸脱した行為で不適切ではないか。買い取ったにもかかわらず居住実態が変わらないなら、そこに何らかのからくりがあるのではと思ってしまう。「家賃はいらない、固定資産税も負担します」では形を変えた利益供与と疑われても仕方がない。


--------------------------------------------------------------------------------

■毎日新聞 2014/11/26 21:52

【5】小渕前衆院議員 収入不足計5100万円
   観劇会5年分で



 小渕優子前衆院議員の関連政治団体の不明朗会計問題で、2013年の支援者向け観劇会でも東京・明治座への支出が収入を約780万円上回っていることが26日、群馬県選挙管理委員会が公表した政治資金収支報告書で分かった。これまで公表されている報告書分を合計すると、09〜13年の5年間で観劇会を巡る収入不足は少なくとも計約5100万円となった。

 13年の報告書によると、「小渕優子後援会」と小渕氏が代表を務める「自民党群馬県第5選挙区支部」の2団体は13年9月下旬、組織活動費として計約1870万円の入場料・食事代を明治座に支払った。一方、観劇代名目の収入は約1090万円だった。

 小渕氏の東京事務所は「刑事告発を受けている関係で質問に対する回答は控える」とコメントした。【尾崎修二、角田直哉】


--------------------------------------------------------------------------------

■毎日新聞 2014/12/20

【6】小渕前経産相側、家宅捜索前、HDにドリル
   で穴 データ破壊



 小渕優子前経済産業相の関連政治団体を巡る政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部が10月に小渕氏の関係先に家宅捜索に入る以前に、関係先にあったパソコンのハードディスク(HD)が壊されていたことが、関係者への取材で分かった。特捜部は、HDが壊された経緯や、記録内容などについて慎重に確認しているとみられる。

 特捜部は10月30日以降、群馬県内の小渕氏の地元事務所や、元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎氏(66)の自宅、役場の町長室などを捜索し、会計書類などを押収した。この際、一部のパソコンのHDは電気ドリルで穴が開けられた状態で見つかった。

 小渕氏側は特捜部に「不要になったパソコンのHDに穴を開けた」と説明しているという。

 小渕氏の関連政治団体を巡っては、後援会が支援者向けに開いた観劇会の収支が大きく食い違っていることが明らかになっている。政治資金収支報告書では2009〜13年の5年間で、支出が収入を5000万円以上上回って記載されている。

 小渕氏の事務所は「捜査に真摯に協力しており、証拠隠滅の事実は一切ない」とコメントしている。


--------------------------------------------------------------------------------

■読売新聞 2015/10/24 03:05

【7】小渕氏政治資金 第三者委員会が法的責任
   否定 虚偽記入5年間 3億円超



 秘書の違法行為を見過ごしたうえ、説明責任も十分に果たしていない。国会議員としての資質に疑問符がつこう。

 小渕優子・元経済産業相の関連政治団体を巡る政治資金規正法違反事件に関し、弁護士らの第三者委員会が調査報告書を公表した。小渕氏の監督責任は「軽微とは言えない」としつつ、法的責任は否定している。

 小渕氏はそれを受けた記者会見で、資金管理や収支報告書作成は秘書に任せ、内容を確認しなかったと説明した。監督責任が「私にも大きく降りかかる」と述べ、謝罪した。後援会の意向を尊重するとして、議員辞職は否定した。

 虚偽記入は5年間にわたり、総額3億円を超える。「秘書任せ」で済む話ではない。自らが秘書を指導し、資金を管理するのは、政治家の最低限の責任である。

 有罪判決を受けた元秘書は、父の恵三・元首相にも仕えてきた。古参秘書への小渕氏の甘えと遠慮が不正を招いた面は否めない。

 事件の発端は、表に出せない慶弔費や選挙の陣中見舞いなどの支出が膨らんだことだ。帳尻合わせのため、虚偽記入を行った。

 小渕氏は記者会見で、肝心の簿外支出の詳細は調査でも判明しなかった、と述べた。関係者の死去や資料の紛失が理由という。

 だが、小渕氏が元秘書を直接問いただすなど、真相を究明する手段はいくらでもあったはずだ。

 簿外支出の実態や他の不適切な支出について、どう説明するのか。その内容に政治家としての「再起」がかかっている、という危機意識が乏しいのではないか。

 小渕氏は昨年10月の経産相辞任時、疑惑を解明し、説明すると約束したが、1年間も口をつぐんだ。こうした不誠実な姿勢が、国民の政治不信を増幅させている。


--------------------------------------------------------------------------------

■日本経済新聞 2015/10/21 1:33

【8】小渕元経産相が謝罪 元秘書に有罪判決、
   議員辞職はせず



 小渕優子元経済産業相が20日、関連政治団体を巡る政治資金規正法違反事件に関して前橋市内で記者会見し「多くの皆様にご心配、ご迷惑をおかけし心からおわびする」と謝罪した。一方で「皆さまの期待に応えられるよう働く」と、議員辞職しない考えも示した。

 小渕氏が事件について公の場で説明するのは経産相を辞任した昨年10月以来、約1年ぶり。これまで発言を控えていた理由を「私自身、事件について何も知らなかった」などと釈明した。

 小渕氏の関連政治団体の収支報告書に架空の寄付金を計上したり、観劇会の収入を過少に計上したりして規正法違反罪に問われた元秘書の折田謙一郎被告(67)ら2人が今月9日、東京地裁で有罪判決を受けた。19日には小渕氏側が設置した第三者委員会が「小渕氏の監督責任は軽いと言えない」などとする調査結果を公表した。

 小渕氏は元秘書の有罪判決について「大変重く受け止めている」と述べた上で「今後は私自身がしっかり監督責任を果たしていきたい」と話した。


--------------------------------------------------------------------------------

■第187国会 参議院経済産業委員会 第2号
平成26年10月16日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/187/0063/main.html


【9】小渕経済産業大臣 政治資金支出 公私混同
   疑惑に関する質疑


質問: 民主党・新緑風会 安井美沙子議員
答弁: 小渕優子経済産業大臣
※当日議事録の中から表題に関係する部分を転記しました



○安井美沙子君
 民主党・新緑風会の安井美沙子でございます。
 本日は、今、小林議員が先ほども質問されていましたけれども、再生可能エネルギーの接続保留問題について、いただいた三十分間、ガチンコで政策議論をさせていただくつもりで昨夜まで準備しておりましたけれども、今朝になって小渕大臣の一連の報道が出てまいりまして、このことを聞かずにはいられなくなってしまいました。

 政治家として政治資金の問題というのは説明責任がございますので、このことをきちっと説明していただかないと、いつまでもこの問題が尾を引いて、経済産業委員会だけは政策議論をできると思っていましたけれども、経済産業大臣としての重責を担っておられて課題も山積している中で、この問題にもう早くけりを付けて集中していただきたい、その思いで今日は最低限聞かせていただきたいと、そのように思っています。

 テレビを、この今日の委員会を注目して見ていられる方も、特に女性、ほかの女性閣僚がなかなか思想信条とか常識を逸した発言とかこういったもので女性たちの共感を得られない中、小渕大臣は、子育てをしながら若くして大臣に就かれ、そして経済産業大臣というもう重鎮、重要なポストにも就かれ、そして将来、女性初の日本の宰相になるんではないかといううわさまで出るほど、女性みんなが私たちの代表として輝いてほしいと、このように思っている方ですから、是非そのことを、皆さんの期待を背に負っているということを自覚されて、この問題、早く解決していただきたいと、そのように思っております。

 まず、分かりやすい問題から入りたいと思います。コンセプションという会社が大臣の政治資金管理団体の政治資金報告書の中に出てくるんですけれども、このコンセプションという会社はどういう会社ですか。

○国務大臣(小渕優子君)
 このコンセプションという会社は、私の義理の兄が社長を務めます、また私の姉もそこでデザインなどをして品物を置いておりますお店であります。

○安井美沙子君
 このコンセプションという会社、つまり親族企業ということですけれども、ここに対して政治活動費から支出がございます。一般の方はなかなか分からないかと思いますけれども、政治資金収支報告書は公開されておりますので、これを見ますとどこに対してどこから幾ら出たかということが一目瞭然なわけです。その中で、2012年には合計84万円、これは2012年には84万円、そして2011年には60万、約60万、2010年には55万、そして2009年には約140万といったことが新聞記事には出ております。

 これ、今朝のことですから、今朝のことですから私も全て精査することはできていないんですけれども、これすぐに分かることです。政治資金報告書ありますので、すぐに見れば分かることなんですけれども、大臣、これ毎年どれくらいの支出があるんでしょうか。

○国務大臣(小渕優子君)
 私も今手持ちでその数字というものがはっきり分かりませんので、これにつきましては一つ一つもう一度調べさせていただきたいと思っております。

 今委員が御指摘になりました数字というものがありますが、大体そのくらいの額を使っているものと承知をしています。

○安井美沙子君
 それでは、この親族の企業であるコンセプションという企業から何を購入されて、どのように使っていらっしゃるんでしょうか。

○国務大臣(小渕優子君)
 そのお店では私の姉がデザインをいたしましたネクタイですとかこうした小さいハンカチですとか、そうしたものが売られています。基本的に何か人に差し上げる贈答品、また海外に出張をします際に、そのときのお土産、そういうものにネクタイやハンカチというものを使わせていただきました。また、姉が父について書いた本がありましたので、それも私の政治資金パーティーに使用したく、まとめて購入をさせていただきました。

○安井美沙子君
 親族の企業に対して政治資金から支出をするということは、これは公私混同ではないですか。

○国務大臣(小渕優子君)
 例えばその書籍に関しましても、姉がそれまでの父の思いをつづったものでありまして、これはほかで求められるものではありません。また、ネクタイ、そしてハンカチに関しても、私の姉が作ったものですと言いますと、それを喜んでくださる方も大勢おられるわけであります。そういう中、政治活動の範囲内の支出であると考えています。

○安井美沙子君
 それでは、それ以外の支出についてお伺いしますけれども、政治資金報告書によりますと、著名デザイナーズのブランドであるとか、それからベビー用品、化粧品、おもちゃ、ストール、それから御地元であられます下仁田ネギ、それからアクセサリー、葉巻、ハンドバッグなどなど、こういったものが支出されている領収書が添付されているようですけれども、これらについては御存じでしょうか。

○国務大臣(小渕優子君)
 私が代表を務めます政治資金管理団体の中で今御指摘がありました贈答品に使っているものというものの購入をしているという御指摘があるということは承知をしております。

 決して公私混同して買い求めたものではないというふうに思っていますけれども、ただ、今の段階で一つ一つ私が確認をできていませんので、これにつきましては、しっかり確認をさせていただきたいと思います。

○安井美沙子君
 私も同じように政治資金管理団体を持っておりますけれども、経理の担当の秘書とは折々に意見交換というか確認をしておりまして、そういった報告書を見ながら、これは一体何なのかと、これはよく分からないねとかということをやっているわけなんですけれども、小渕大臣は事務所のそういう担当の方と折々そういう確認するようなことはされていないんでしょうか。

○国務大臣(小渕優子君)
 本来、私が代表を務めます政治資金管理団体でありますから、そうした日々の確認ということも含めて私がしっかり責任を持って確認をしなければならないところであるということは、そのとおりであると思っております。ただ、今回このような形でいろいろと出てまいりまして、そうしたことを見たときに、私自身の確認というものが十分にできていなかったということは思っています。


--------------------------------------------------------------------------------


<私のアピール> 安倍総理退陣を願う

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍総理退陣まで、国政で安倍自民党に“No”を !
安倍総理を支持する政党、政治家、安倍総理にすり寄る候補者に、
次の参院選・衆院選で彼ら彼女らに“No”を !

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」をめざしています。
安倍首相の抱く国家像は「明治維新リメーク型日本」です。
平和な暮らしで栄えてきたデモクラシー日本。なぜ壊すのですか?

2012年12月26日、安倍内閣が成立しました。
アベノミクス効果で円安・株高が実現しました。
それは、日銀の巨額な国債購入、年金資金による巨額株式投資を伴っています。

円安効果で輸出大企業が栄えました。同じ円安効果で食品など生活関連品、電気代などエネルギー費が値上がりして、大衆には生活費切り詰め効果がありました。

アベノミクスの円安・株高効果の本質とは、なんでしょう?
国民大衆の生活費で、少数の大企業や株投資家の金庫を富ませている結果ではありませんか?
国の財政を浪費して危険度を高め、年金資金を危ないリスクに賭けることではありませんか?
これまでの実績を見ていると、アベノミクスで国民一般が潤うときは来ません。

安倍内閣下で特定秘密保護法が成立しました。安保関連諸法が成立しました。内閣法制局長官と、自民党・高村副総裁と、公明党・北側副代表の三者で手を握って、憲法違反の集団的自衛権を合憲だと、押し通しました。NHKの経営委員や会長には、安倍首相の息のかかった人が座りました。

政府に「批判的な」テレビ論調に政府・自民党の圧力がかかりました。
政府に「同調的な」テレビ論調に、圧力はありません。政府・自民党が「公平でない」のです。
テレビ局や公共の会館管理者などに自主規制が広がっているように見えます。
安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。安倍総理退陣を願っています。




コメント

<政治とカネ> 安倍内閣の西川公也元農水大臣 大臣は辞職・議員辞職はなし 痛くもかゆくもない面々

2016-06-18 18:45:13 | Weblog



<政治とカネ>安倍内閣シリーズ記事
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利明前大臣の大臣室現金授受事件を忘れない(1)
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利前大臣の大臣室現金授受を忘れない(2)
<政治とカネ> 安倍内閣の西川公也元農水大臣 大臣は辞職・議員辞職はなし 痛くもかゆ         くもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の小渕優子元経済産業大臣 大臣辞職したが議員辞職はなし 痛く         もかゆくもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の「政治とカネ」辞職大臣が8名、多過ぎる!
<政治とカネ> 安倍首相 世襲政治資金は相続税免除(合法)、世襲政治団体は認めるべき         じゃない


甘利前経済再生相、4ヵ月国会逃亡

甘利前経済再生相は今年2016年1月28日大臣辞任記者会見以後、野党の国会出席要求があっても、一切の国会審議を欠席しました。

2月16日には衆議院運営委員会理事会に、睡眠障害のため「ストレスを避けて安静にするように」自宅療養1ヵ月を認める15日付診断書を提出しました。3月15日にはさらに2ヵ月療養の診断書を提出し、6月1日国会閉会まで欠席を貫き、6月6日に姿を現して政治活動再開を表明しました。

この「4ヵ月の国会逃亡生活」が、辞職記者会見で語った彼の「美学、生きざま」の実態でした。これが「忍法安倍隠し」の術です。


西川公也元農水大臣、辞職(在職 2014.9.3.~2015.2.23.)

甘利前経済再生相は今年1月28日に辞任表明しました。安倍内閣ではその1年前、西川農水大臣が大臣辞任しています。2015年2月23日でした。理由はやはり、政治とカネの問題でした。大臣就任は2014年9月3日。2014年12月総選挙後の組閣で再任を経て、半年を待たずに辞職したわけです。さっと身を引かせて、世間の注目から隠れる。これが「忍法安倍隠し」の術です。


西川公也元農水大臣、衆院TPP特別委・委員長に就任(2016.3.24.)

西川公也元農水大臣は今年2016年3月24日、衆議院に新しく設置された「環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会」(TPP特別委)の委員長に就任しました。政治とカネの良くないことで大臣辞職してからほぼ1年の後、TPP特別委・委員長という要職に返り咲きました。1年間おとなしくさせて、ほとぼりがさめたら表舞台に返す。これが「忍法安倍返し」の術です。

--------------------------------------------------------------------------------

■西川公也前農水大臣、辞職の事情
 毎日新聞 2015/03/18 「記者の目」から


 西川氏の献金を巡る問題は二つ

西川氏の政党支部「自民党栃木県第2選挙区支部」が2012年9月、4カ月前に林野庁の補助金7億円の交付が決まった栃木県鹿沼市の木材加工会社から300万円の献金を受け、交付決定から1年間の献金を禁じた政治資金規正法違反の疑いがある。

後に分かるが、西川氏は落選中の10年8月から農相就任までの約4年間、同社顧問として計946万円の顧問料を受けていた。

 また政党支部は13年7月、4カ月前に国から13億円の補助金交付が決まった砂糖業界の団体「精糖工業会」の関連会社「精糖工業会館」から100万円の献金を受けていた。

献金時期は砂糖を含む「重要5項目」の関税維持を求める環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉に日本が初参加する直前だった。


 ◇2団体トップ、「一体」と認識

 西川氏は国会などで、木材加工会社について「補助金のことは知らなかった」と説明。工業会については「工業会と工業会館は別法人で、違法ではない」と強調した。

 しかし、木材加工会社やその子会社が受けた補助金のうち、10年9月〜13年11月の5回計21億7000万円は西川氏が同社の顧問を務めていた時期と重なる。

補助金は同社の新設工場の設備投資に充てられ、新工場のニュースは地元紙にも度々取り上げられた。別の業者からは「補助金を受けて拡大したのは業界では常識」との声も聞かれる。

 西川氏は12年12月の国政復帰後も顧問を続けながら、国会議員に提出が義務づけられる「関連会社等報告書」に記載しなかった。

2月23日の衆院予算委員会で語ったように顧問業務がほとんどなかったのなら、顧問料は事実上の献金ではないか。報告書に記載しなかったのは、そのことを隠したかったからだと思える。

 また、砂糖業界からの献金について、「精糖工業会館」社長も兼務する精糖工業会会長は私の取材に「両者は一体なんだよ」と語った。その後、工業会の専務理事が「両者は別組織」と修正しているが、トップが「一体」と認識していたことは確かだ。


 ◇補助金と献金、突出する多さ

 西川氏の辞任後、補助金と献金を巡る問題は他の閣僚や野党議員にも浮上した。しかし、西川氏の場合は補助金や献金の額が突出している。

 また、相手は西川氏が専門とする農林分野の企業、団体であり、特に木材加工会社のケースでは、補助金制度に対する知識もあった。閣僚を辞めれば、それで説明責任が許されるわけではない。辞任時に記者会見しなかった西川氏には公の場で、数々の疑問や矛盾について説明してほしい。

 国会では野党が政治資金規正法の改正を求める一方、与党からは法改正に消極的な発言が聞かれる。国会議員の「政治とカネ」問題の報道に携わってきた記者として言わせてもらえば、中途半端な対症療法では、今後も政権の数だけ新たな問題が生まれるだろう。

--------------------------------------------------------------------------------

■西川公也前農水大臣がTPP国会決議重要5項目
 実行の要請を受ける政界実力者であることを示す記事


TPP 国会決議の実現求め要請文
JAグループ栃木
 
毎日新聞 2015年7月26日 地方版/栃木


 大詰めを迎えている環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉を巡り、JAグループ栃木は25日、宇都宮市内のホテルで「TPP交渉における国会決議の実現を求める緊急要請集会」を開いた。

 農業従事者や県選出国会議員ら約300人が参加。「十分な情報開示がないなか、コメの特別輸入枠の設定や牛肉・豚肉の大幅な関税削減などが報じられ、全国の生産者に不安を与えている」と指摘し、政府や政党に対し重要5項目の関税維持を求めた衆参農林水産委員会決議を必ず実現するよう求める要請文を発表した。

 TPP交渉は28日から、米ハワイで参加12カ国の閣僚会合が始まる。これに合わせてハワイへ向かう西川公也前農相(自民)は「交渉は決めることを前提に臨まない方がいい。国会決議を守ったと評価をもらえるよう最後まで頑張りたい」と語った。【田内隆弘】


--------------------------------------------------------------------------------

                           2015年2月17日

西川公也農林水産大臣の辞任を求める(談話)

                     社会民主党幹事長 又市征治


1.安倍政権の進める、農協「改革」やTPP問題を担当する西川公也農林水産大臣が代表を務める政党支部「自民党栃木県第2選挙区支部」が、選挙区内の木材加工会社から300万円の献金を受けていたことが発覚した。

「補助金を受けている企業だと知らなかった。違法性が考えられると分かったので返還した」などと釈明しているが、国の補助金交付決定後1年以内の政党や政治資金団体への寄付を禁じている政治資金規正法第22条の3第一項に明白に違反する。

返せばすむというものではなく、税金が政治家に還流されること自体が問題であり、知らぬ存ぜぬは通用しない。

2.また、同支部が、TPP交渉で関税撤廃の例外とするよう日本が求める「重要5項目」の一つであり、業界も保護を求めている砂糖のメーカー団体「精糖工業会」の運営するビル管理会社「精糖工業会館」から100万円の献金を受けていたことが分かった。

西川公也農林水産大臣は当時、自民党TPP対策委員長であり、現在も農水大臣として交渉に関わっている。利害関係のある業界からの献金は問題である。

また、精糖工業会は農林水産省の「さとうきび等安定生産体制緊急確立事業」で13億円の補助金交付が決まっており、精糖工業会と精糖工業会館は一体と考えるべきで、法の趣旨に照らせば抜け道を利用した脱法的な献金の疑いがある。

3.昨年秋には、同支部が農水相の親族企業2社に事務用品や土産代などとして支出をしていることが問題になった。

このように政治とカネの問題まみれの西川農水相の政治的・道義的責任はきわめて重大であり、閣僚としての職責を果たしうるか疑問である。西川農水相は、国民にしっかり説明・謝罪した上で、ただちに辞任すべきである。

また、多くの問題を抱えていたにもかかわらず、総選挙後改めて農水相に任命した安倍首相の任命責任は、極めて重い。西川大臣が自ら辞任しないのであれば、安倍首相は速やかに西川大臣を罷免すべきである。

4.社民党は他の野党と連携して、西川大臣の政治とカネの問題の追及を強化するとともに、辞任に追い込む決意である。


コメント

<政治とカネ> 安倍内閣 甘利前大臣の大臣室現金授受を忘れない(2)

2016-06-16 22:50:52 | Weblog



<政治とカネ>安倍内閣シリーズ記事
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利明前大臣の大臣室現金授受事件を忘れない(1)
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利前大臣の大臣室現金授受を忘れない(2)
<政治とカネ> 安倍内閣の西川公也元農水大臣 大臣は辞職・議員辞職はなし 痛くもかゆ         くもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の小渕優子元経済産業大臣 大臣辞職したが議員辞職はなし 痛く         もかゆくもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の「政治とカネ」辞職大臣が8名、多過ぎる!
<政治とカネ> 安倍首相 世襲政治資金は相続税免除(合法)、世襲政治団体は認めるべき         じゃない


今回の記事をお読みいただければ、前回掲載の甘利経済再生担当相辞任記者会見の明細がいかに装飾されているかが、よくわかります。【1】~【5】の新聞記事をサッと読み流してから、【6】の衆議院予算委員会議事録をお読みくだされば、甘利現金授受事件の内容が生々しく小説を読むように迫ってきます。政治家の政治資金の底辺がよくわかります。政治資金、口利きあっせん収賄について、政治家が不起訴、起訴猶予で逃げることなく、必ず有罪・議員失職するよう、法律改正を望みます。

今回記事の目次

【1】※前回掲載 甘利経済再生担当相 辞任記者会見
【2】毎日新聞記事 2016年2月12日
   建設会社の総務担当者「口利き頼んだ」 甘利氏主張、食い違い
【3】毎日新聞 2016年2月10日 朝刊
   甘利前大臣金銭授受問題 建設会社の男性、強く補償を要求
   UR、野党に議事録
【4】毎日新聞 2016年2月10日 朝刊
   甘利前大臣金銭授受問題 「事務所協力で交渉進む」 建設会社男性、
   「口利き」を証言
【5】毎日新聞 2016年1月29日 朝刊 
   甘利・金銭授受疑惑 UR「秘書と面談12回」
   補償要請なく「口利き」否定
【6】第190回国会 衆議院予算委員会 第11号 平成28年2月10日
   衆院予算委議事録 甘利大臣室50万円は謝礼
   UR都市機構補償2・2億円の経緯
  <1> 甘利氏説明による大臣室50万円受け取り場面
  <2> 建設会社総務担当・一色氏証言
      大臣室50万円はUR補償2・2億円がおりたことのお礼の趣旨
  <3> 甘利氏予算委員会招致を要請 与党理事・安倍総理ともに応じず
  <4> UR都市機構から薩摩興業への2・2億円補償契約は正当な基準で
      計算されているのか
  <5> UR補償金額積算決定の背景 甘利事務所の存在がある
  <6> 甘利事務所が要請
      平成27年10月27日UR都市機構・一色氏 補償交渉
  <7> 甘利事務所・鈴木政策秘書が同席
      平成27年11月12日UR都市機構・一色氏 補償交渉
  <8> UR幹部は、甘利大臣本人が一連の経過を承知か、確認を取った
 
--------------------------------------------------------------------------------


【2】建設会社の総務担当者「口利き頼んだ」
   甘利氏主張、食い違い

     毎日新聞記事 2016年2月12日

 ※一色氏がどういう人脈で大臣室に入れたのか? 甘利大臣がなぜ50万円を返却しなかったのか? この記事から、一色氏が甘利前大臣の古くからの支持者で、甘利事務所と親近関係にあったことがその答えだと理解できます。一色氏のUR都市機構への補償要求内容には、一見して、あくどい感がします。一色氏が自分も法律違反に問われるかもしれない騒動を引き起こした理由はわかりません。しかし、甘利前大臣や自民党の面々が「はめられた」顔をして、被害者ヅラをしているのは真実ではない。一色氏の大臣室訪問を受け入れるだけの人脈のつながりがあったのは事実です。大臣室で甘利大臣が金を受け取ったのは事実であり、返却しなかったことも事実です。一色氏の頼みを請けて、秘書がUR都市機構と何回も接触していたことも事実です。


 甘利明前経済再生担当相の現金授受問題を巡り、千葉県白井市の建設会社の総務担当者だった一色武氏(62)が現金を渡した経緯や状況を詳しく語った。その内容は、甘利氏の閣僚辞任記者会見(1月28日)での説明とさまざまな点で食い違う。双方の主張をまとめた。【本多健、樋岡徹也】

 最大の争点は、現金授受の目的が「口利き」だったかどうかだ。甘利氏は先月の辞任記者会見で、自身の受領について「就任祝いや政治活動への応援と考えていた」と口利き疑惑を否定した。

 一色氏は、都市再生機構(UR)と建設会社の補償交渉で解決の口利きを頼んだとする。甘利氏への2度目の50万円供与では、URとの新たな紛争内容を書面で説明し、2014年11月のパーティーでは甘利氏から「その後うまくいっていますか」と声をかけられたと証言している。


◆内ポケットに入れた?

 現金受け渡しの状況説明も食い違う。最初の大臣室での受領について、甘利氏は「面談後に気づいた」とするが、一色氏は2度とも甘利氏が封筒を目の前で内ポケットに入れたと強調し「(口利きでないなら受領を)断ればいい」と反論する。

 甘利氏への計100万円の供与が政治資金収支報告書上、14年2月4日の寄付と記載された点を、甘利氏は「自分の舌がん治療で事務所が忙しく、一括入金処理した日付にした」と説明。一色氏は「受け取った日付で記載するはずだ」と疑問を投げかける。


◆相談後、補償額アップ?

 一色氏によると、2013年5月に解決を依頼したURとの補償交渉では、2012年に支払われた約1600万円以外の支払いはないように思えた。ところが、甘利事務所が動くと交渉が急進展し、約1億8000万円の追加補償額が提示され、相談からわずか3カ月で約2億2000万円にはね上がったと証言する。

 こうした経緯について、甘利氏側は「話はしたので、あとは当事者同士でやってほしいということだった」として、交渉への介入は否定する。2月10日の衆院予算委員会でも、上西郁夫UR理事長は「基準に従い計算した」と述べた。

 だが、一色氏から民主の大西健介議員が聞いたところでは、甘利氏の秘書がUR本社に出向いて間もなく、URから「補償に関して、別途提案がある」との文書が届き、追加補償額が示されたという。

 また、UR側が、交渉の当事者ではない秘書に補償額を漏らしていたことも判明し、上西氏が陳謝した。


◆供与の総額は

 一色氏によると、甘利氏本人への100万円や秘書への500万円以外にも、提供したのは多額に上る。「口利きの謝礼や経費」などとして2年半の間に15万~25万円程度ずつ53回、計800万円以上を秘書らに渡し、メモや領収証など証拠が確実にあるとする。主張通りならそれだけで1500万円以上となり、他の飲食などの接待も含めれば数千万円に上る可能性もある。

 甘利氏は秘書らへの現金供与や飲食接待自体は認め、全容を調査しているとする。


◆政治家と親交 一色氏

 週刊文春の取材を受けて甘利氏の現金授受問題を告発した一色武氏はどんな人物か。

 関係者によると、神奈川県内で不動産業や運送業に従事し、右翼団体に所属したこともある。政治家や政界関係者と親交があり、父は甘利氏の父の故・甘利正衆院議員の後援会に入っていたという。

 録音やメモなど詳細な記録を持ち、与党内で「(甘利氏は)はめられたのでは」との指摘も出た。

 一色氏は「相手と言った言わないの話にならないよう、以前から記録を残してきた」と話す。


 自身も罪に問われかねず「法を犯して本当に申し訳ないと思っている」と釈明しつつ、強く口利きを働きかけながら2014年以降の新たな補償交渉が進まなかった点を念頭に「彼らは本当は口利きなどできないのに裏切られた」と批判した。【林田七恵】

--------------------------------------------------------------------------------


【3】甘利前大臣金銭授受問題 建設会社の男性、
   強く補償を要求 UR、野党に議事録

     毎日新聞 2016年2月10日 朝刊


 甘利明前経済再生担当相の金銭授受問題を追及する野党の調査特命チームの会合が9日、国会内で開かれ、昨年10月に都市再生機構(UR)側と千葉県白井市の建設会社の総務担当、一色武氏(62)が面会した際、一色氏がURの道路工事を巡って強く補償を求めていたことを示すURの議事録が提出された。

 議事録によると、一色氏は昨年10月27日にURの千葉業務部を訪れ、千葉ニュータウンの開発に伴う道路新設工事に絡んで補償を要求。「話にならない」「もう一度だけ言う」などの言葉も使っていた。UR側は補償内容を説明し「用意はある」と応じている。面会は、同9日に甘利氏の秘書がUR側に「先方の話を聞いてもらうだけでいい。事務所の顔を立ててもらえないか」などと頼んだことを受けて行われた。

 面会翌日の28日にUR側は秘書と会い、「先方は口利きを期待していた様子だったが、従来同様の回答をした」「これ以上は関与されない方がよろしいように思う」などと説明していた。

--------------------------------------------------------------------------------


【4】甘利前大臣金銭授受問題 「事務所協力で交渉
   進む」 建設会社男性、「口利き」を証言

     毎日新聞 2016年2月10日 朝刊


 甘利明前経済再生担当相の金銭授受問題で、現金を渡した建設会社の総務担当者だった男性が毎日新聞の取材に応じた。都市再生機構(UR)との補償交渉で甘利事務所に協力を求めたところ、解決の見通しが立たなかった交渉が急に動き出して補償額が提示され、その額からさらに約4000万円上積みされて約2億2000万円になったと証言した。男性は、解決の謝礼として補償金の一部から甘利氏の当時の秘書に現金500万円を提供したと説明した。

 取材に応じたのは、最初に週刊文春に証言した一色武氏(62)。同氏によると、URの千葉県白井市での道路工事を巡り、建設会社は建物の移転などが必要だとして補償を求めていた。2012年の段階でURが約1600万円を支払うことで合意。建設会社は追加補償を求めたが、交渉は難航していた。

 このため一色氏は13年5月、神奈川の甘利事務所で解決を依頼した。事務所長だった公設秘書(先月辞任)から「シャンシャンでいけますよ」と言われ、紛争の事実確認を求める内容証明郵便をURに送るよう助言され、指示に従ったという。

 一色氏が元秘書から受けた説明では、別の秘書をUR本社へ差し向け、この秘書が1時間待たされたため「国土交通省へ行く」と言ったところ、URの担当者が現れ、補償に対する対応が変化したという。

 一色氏によると、間もなくURから追加補償額として約1億8000万円を示され、建設会社側が「もう少し何とかならないか」と求めたところ、その場で約2億円に増額された。さらに交渉後、電話でURに増額要求すると、UR側は「計算してみましょう」と言って約2億2000万円を提示し、依頼からわずか3カ月後の13年8月6日に合意した。

 同8月20日に補償金の一部が建設会社に入金されると、一色氏は1000万円を引き出し、その日のうちに甘利事務所を訪ね、元秘書に渡した。元秘書は500万円を受け取り、残りは「いつでも使えるように預かっておいて」と一色氏に戻したという。同年11月には建設会社の社長らとともに甘利氏を大臣室に訪ね、お礼の意味で50万円を渡した。

 一色氏は補償増額の経緯を踏まえ、甘利事務所への口利き依頼が効果てきめんだったとし、「(URが)どういう計算をしたかわからないが、お願いが実った」と証言した。

 甘利氏は1月28日の記者会見で、秘書らへの聞き取り調査を踏まえ「秘書は話し合いの状況を確認しただけで、URにお願いや問題の解決などを求めた記憶がない」などと口利きを否定していた。

 甘利事務所に9日、一色氏の証言内容について改めて取材したところ、「発言内容の根拠は知らないが、甘利が記者会見で述べた通り」と回答した。

 一方、URは「確認ができず、現段階で答えられない」と回答した。【本多健、樋岡徹也】

--------------------------------------------------------------------------------


【5】甘利・金銭授受疑惑 UR「秘書と面談12
   回」 補償要請なく「口利き」否定

     毎日新聞 2016年1月29日 朝刊


 甘利氏の疑惑に関連して都市再生機構(UR、横浜市中区)は28日に東京都内で記者会見し、担当職員が2013年以降、甘利氏の秘書たちと計12回面談したことを明らかにした。URは「補償金額の要請はなかった」として「口利き」は否定したが、面談の具体的な様子は「確認中」と明かさなかった。

 12回の面談のうち10回は2015年10月以降に集中。UR問題以外の名目で横浜市内の居酒屋で秘書らを接待し、これを含め3日間連続で接触を持った。面談場所が東京・永田町の議員会館の通路だったこともあった。一度は建設会社の総務担当者が同席。UR側からは幹部級の総務部長が対応した例もあった。

 URは「問い合わせは簡単な状況の確認だったので、異質とは感じなかった」「甘利事務所だから特別な対応をしたわけではない」と強調した。

 URによると、建設会社側に計約2億3600万円を補償金として払ったが、協議がこじれた。協議相手の総務担当者から「甘利事務所にお願いしている」と伝えられ、URは「事業が迅速に進む」と考えた。一方、国土交通省によると、URを所管する同省住宅局長と秘書の間に3度やり取りがあり、局長はURの担当者名と連絡先を教えた。【坂口雄亮】


◇URが明らかにした秘書らとの面談記録◇

         会った場所   出席者

2013年 6月 7日夕  UR本社    秘書1人・UR3人

2015年 7月 6日昼  地元事務所   秘書2人・UR1人
    10月 5日昼  地元事務所  ※秘書2人・UR1人
       9日   議員会館   秘書1人・UR3人
       26日夜  横浜・居酒屋   秘書2人・UR3人
      27日昼  議員会館    秘書1人・UR3人
      28日夕  議員会館    秘書1人・UR3人
    11月 5日夕  議員会館通路  秘書1人・UR1人
    12月 1日午後 地元事務所   秘書1人・UR2人
      16日午前 地元事務所   秘書1人・UR2人
      22日午前 地元事務所   秘書1人・UR2人

2016年 1月 6日午前 地元事務所   秘書1人・UR2人

 (注)※の面談には建設会社の総務担当者が同席


--------------------------------------------------------------------------------


【6】衆院予算委議事録 甘利大臣室50万円は謝礼
   UR都市機構補償2・2億円の経緯

     第190回国会 衆議院予算委員会 第11号 平成28年2月10日
    http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/190/0018/main.html


委員長 : 竹下 亘(自民党)
委 員 : 大西健介(民主党)
参考人 : 独立行政法人都市再生機構理事長・上西 郁夫

※上の議事録タイトル、下の議事録小見出し、番号は川本が付しました。
 公開されている議事録にはタイトル、小見出し、番号は付されていません。



 ―― 略 ――

<1> 甘利氏説明による大臣室50万円受け取り場面

〇大西(健)委員

 その上で、本日は、甘利前大臣本人のあっせん利得あるいはあっせん収賄の可能性ということについて議論させていただきたいというふうに思っております。

 というのも、甘利大臣の先月28日の記者会見の全体のトーンというのは、自分は重要閣僚として非常に忙しく国政に邁進していた、そのため事務所の監督の目が行き届かなくて、秘書は悪事を働いたけれども自分は法に触れるようなことはしていないんだ、そういうトーンだったんですね。

 しかし、果たしてそう言い切れるのか。この点、一つの鍵を握っているのが、私は、甘利氏本人の現金の授受、ここではないかというふうに思っております。

 この点について、記者会見での甘利氏の説明と、建設会社総務担当者、一色氏の証言がいろいろなところで異なっています。これを整理させていただいたのがこのパネルであります。

 まず、ごらんをいただきたいんですけれども、上の段です。

 平成25年11月14日の、大臣室での現金50万円の受け取りの場面であります。甘利氏は、後になって菓子折りの入った紙袋の中にのし袋に入った現金があることに気づいて、秘書に政治資金として処理を指示したというふうに説明しています。

一方で、一色氏は、ようかんの入った木箱に添えて、お礼ですと言って渡して、大臣は封筒を取り出してスーツの内ポケットに入れたというふうに証言をしています。これは、のし袋というふうに記者会見で言われていますけれども、こういう白い封筒だったと。この封筒を内ポケットに入れたというような証言をしておられます。

 次に、平成26年の2月1日の大和事務所の方でありますけれども、ここでは甘利氏は、帰り際に菓子折りと白い封筒を差し出されて、直接受け取ったことは認めています。

 そして、秘書に渡して適正に処理をするように指示したと説明をしています。


<2> 建設会社総務担当・一色氏証言
      大臣室50万円はUR補償2・2億円がおりたことのお礼の趣旨


〇大西(健)委員

 それに対して、建設会社総務担当者の証言でありますけれども、産廃のことについて30分以上大臣に案件の説明をした後に、清島秘書に促されて、直接大臣に封筒に入った現金50万円を渡したと証言をしています。

 また、そのとき、甘利氏はパーティー券にしてと秘書に言ったけれども、一色氏が、いや、個人的なお金ですからと言うと、やはりこれまたスーツの内ポケットに入れたということであります。

 今確認させていただいたように、甘利氏本人も現金の受け取り自体は認めているんです。ただ、スーツの内ポケットに入れたのか、それとも適正に処理するように秘書に指示をしたのかという点で、両者の証言がまず異なっています。

 また、一色氏の証言によれば、大臣室の50万円というのは2・2億円の補償がおりたことのお礼の趣旨で渡した、それから大和事務所の五十万円、これについては、先ほど申し上げましたように、産廃の案件について三十分以上説明をした直後にそのことの依頼の意味を込めて渡したんだということですけれども、この点も食い違っています。

 今言ったように食い違いがあるわけですけれども、実は私、先日、一色氏本人に直接会って、話を聞いてまいりました。

 ここに書いてあることを全部確認させていただきましたけれども、間違いないということであります。そして、11月14日と2月1日の大臣室と地元事務所、この二つの場面についてはいずれも録音があるというふうに聞きました。


<3> 甘利氏予算委員会招致を要請 与党理事・安倍総理ともに応じず

〇大西(健)委員

 私は、一方の当事者である一色氏には話を聞くことができたんですけれども、ただ、閣僚を辞任した甘利さんに質問したくてもできないんです。

 ですから、甘利大臣を本委員会に呼んでいただきたいと改めてお願いをしたいと思いますが、委員長、よろしくお取り計らいいただきたいと思います。


○竹下委員長
後刻、理事会で協議をいたします。

○大西(健)委員

 総理、総理自身も、甘利氏本人が説明責任を果たすことが重要であるということを繰り返し述べられているというふうに思います。盟友である甘利氏に、身の潔白を証明するためにはぜひこの委員会に出てきていただいて、お話をいただきたいというふうに説得をしていただきたいと思います。

 また、参考人招致に反対をしているのは自民党の皆さんなんですね。ですから、自民党総裁として、真相究明に協力するようにぜひ指示をしていただきたいというふうに思います。テープもありますので、総理、ぜひ指示をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。


○安倍内閣総理大臣
 甘利前大臣本人も、さきの記者会見の中で、引き続き調査を進め公表すると語っておりました。今後ともしっかりと説明責任を果たしていかれるものと考えております。

 また、委員会においてどのように取り扱っていくかということにおいては、委員会でお決めいただくことだと思っております。

○大西(健)委員

 1月28日の記者会見からもう何日たっているんですか。その間に説明責任を全く果たしていないじゃないですか。


 ―― 略 ――

<4> UR都市機構から薩摩興業への2・2億円補償契約は正当な基準で計算
    されているのか


〇大西(健)委員

 次に、前回の質疑でも取り上げたURとの補償交渉に関して、先ほどの会見の中でも甘利前大臣は、秘書は金額交渉には介入していないと何度も説明をされているんですけれども、この説明は私は虚偽があるのではないかというふうに思っています。この点について聞いていきたいというふうに思っています。

 まず、平成25年の8月6日に補償契約が結ばれた2・2億円の補償というのがあるんですけれども、URにお聞きをしたいと思います。これは基準にのっとって算出された正当な補償額ということでよろしいでしょうか。確認です。


○上西参考人
 お答えいたします。
 補償金は、公用地の取得に伴う損失補償基準に従って計算をされておりまして、妥当なものと考えております。
 以上、お答え申し上げました。

○大西(健)委員

 私の手元に、平成25年5月20日付のURに送られた内容証明というのがあります。この中で、S社、薩摩興業さんは二つのことを要求しています。URが購入した土地を従前どおり使用させるか、さもなければ営業補償を支払えというふうなことを求めています。

 これに対して、6月21日の、今度はURの回答書の写し、これも私の手元にあるんですけれども、一項めでは、貴社に対し本件土地に関し賃貸する義務や営業補償をする義務はないと、ゼロ回答しているんですね。ところが、二項というのがありまして、そこには、別の土地に存する貴社所有の物件の補償に関し通知人から別途提案がありますので、当該折衝は通知人、担当者との間で行っていただくようにお願いをいたしますと、全くトーンの異なる一文がつけ加えられています。そして、この提案というのが後ほどUR側からあって、最終的にURは2・2億円の補償を行っています。

 なぜゼロ回答だったものが一転して2・2億円の補償につながるような提案になったのか、UR、御説明をいただきたいというふうに思います。


○上西参考人
 お答えいたします。
 内容証明につきましては、1項と2項がございますけれども、1項と2項はそれぞれ違う物件に関しての内容証明でございます。

 なお、少し補足させていただきますと、甘利事務所の方がURに最初に来られたのは25年6月でございます。これはたまたま、アポイントもなく突然いらっしゃいまして、千葉ニュータウンについてというお話だったものですから、千葉でもいろいろな事業をやっておるわけで、担当を誰にするかということでちょっと時間がかかったんですけれども、課長等もいなかったものですから平の担当者三人が対応したということで、会話は十分で終わっているわけでありまして、そのときは、この内容証明郵便の取り扱いについてのお問い合わせだったということであります。

 それ以降、URと甘利事務所は、昨年の10月まで、本件に関して一切の関与というか、対話をしておりません。したがって、この間、補償契約が結ばれているわけですけれども、それについて事務所とのやりとりで金額が動いたということは一切ございません。

 以上、お答え申し上げました。

○大西(健)委員

 先ほども私が申し上げましたように、そのまま企業庁が買った土地を使わせてくれるか、さもなければ営業補償を出せということなんです。それに対してはゼロ回答ですよ。ゼロ回答しているんです。そんなのは言いがかりだぐらいの回答をしているのに、それがいつの間にか2・2億円出るようになったんですよ。

 この部分についても私は一色氏本人に聞きました。そうしたら、甘利事務所の仲介で、難航していた交渉がすんなり決着したというふうに言われています。ですから、まさに一色さんがかかわる前からずっと難航していたんですよ、ところがゼロ回答が二・二億円になるんですよ、これはやはり甘利事務所の秘書さんが本社に行ったということが影響しているんじゃないですか。UR、どうですか。


○上西参考人
 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、1項と2項の物件が違うわけでございまして、1項については道路用地、2項については、その周りの、彼らが賃貸している土地の物件でございます。

 それから、先ほど来申し上げましたとおり、平の担当者が応接しただけでございまして、それでもって金額を動かすということは到底あり得ないというふうに私どもは考えているところでございます。


<5> UR補償金額積算決定の背景 甘利事務所の存在がある

○大西(健)委員

 もう一つ、ちょっと別のことを聞きたいんです。

 先ほどURは2・2億円というのは適正に積算された正当な額だとおっしゃいましたけれども、しかし、この点についても、私が一色氏から直接聞いたところによれば、URからの最初の提案というのは1・8億円だったそうです。その場でもう少し何とかならないのかと言ったら、2000万円アップしたそうです。その後また電話で増額を要求したら、また2000万円ふえたと。

 正当に積算された額が、もう一声、もう一声と言ったら、2千万、2千万とふえて、1・8億円が
2・2億円になるんですか。これはさっきの説明と全然違うじゃないですか。おかしいんじゃないですか。


○上西参考人
 先方さんがそうおっしゃっているだけでありまして、私どもといたしましては、法人の権利や正当な利益を害するおそれがあるため、今後の当機構の補償交渉の遂行に支障を生ずるおそれがあることから、具体的な内容はお答えできません。

 ただし、一般論として、補償交渉の過程において概算額を提示し、その後、補償対象物の特定、単価の時点修正等を行いまして、最終的に金額が変わるということは大いにあり得ることであります。

 いずれにいたしましても、公共用地取得に関する基準に従って適正に算定されたものでございます。
 以上でございます。

○大西(健)委員

 その場で2000万円アップして、電話したらまた2000万円アップする、そんなのがちゃんとした根拠に基づいて積算した額なんですか。あるいは、やはりこの案件のバックには甘利事務所があるということがあったから、こういうことが起きているんじゃないですか。

 ちなみに、2億2000万円を最終的に払うことになった物件移転の補償契約書というのも今ここにあります。これを見ると、8月6日に結ばれていますけれども、補償金2億2041万2800円。このうち1億7633万円と残額を二度に分けて支払う契約になっていますけれども、最初の支払いの約1億7600万、これはいつ払われたんですか。


○上西参考人
 個々の支払い日あるいは個々の支払い金額について情報開示することは、法人の権利や正当な利益を害するおそれがあるため、従来から非開示としているところでございます。
 以上でございます。

○大西(健)委員

 いや、これは都合が悪いから私も隠していると思うんです。

 ちなみに、私、一色氏にこれも確認しました。入金は平成25年8月20日なんです。この8月20日という日付、ぴんとくる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、8月20日に、その日のうちにこの補償金を引き出して、そのうち1000万円をお礼として同日中に甘利事務所に持っていっているんですよ。

 これはまさにURが支払った補償金の一部が甘利事務所にキックバックされているとも見られるわけでありまして、私は極めて悪質だと思います。口きき、あっせんの対価そのものというふうにまさに見ることができるんじゃないかと思います。

 さらに、一色氏にこれも私聞いておりますけれども、補償契約がうまくいったときのお礼の額、これについては事前に清島秘書と相談の上決めたということなんです。まさに、2・2億円の話がうまくいったら、これぐらいのお礼でいいですかねと。初めに言った額には何か不満そうだったので、では1000万円でいいですかということで1000万円ということを決めて、実際には500万円しかその日は受け取られなかったということであります。


<6> 甘利事務所が要請
    平成27年10月27日UR都市機構・一色氏 補償交渉


〇大西(健)委員

 前回の質疑で私が示した、真っ黒に塗られた記録というのがあったかというふうに思います。あれは平成27年の10月27日と11月12日の記録なんですけれども、これが、前回の質疑を受けて、理事の皆さんの御協力をいただいて一部墨塗りが公開されました。

 その中で、まず上の方の、10月27日という方から見ていただきたいんですけれども、一色氏と思われる人物が冒頭のところで、なぜ本日この場が設けられたのかと聞いて、それに対してUR側が、甘利事務所のほにゃらら秘書からお話があったためと答えています。

 この日の会合というのはUR側から持ちかけたものということでよろしいんでしょうか。また、件名のところにも議員秘書依頼による面談とわざわざ特記をしてありますけれども、議員事務所が補償交渉をセッティングするというのは普通にあることなのかどうなのか。UR、いかがですか


○上西参考人
 10月27日の補償交渉は、9日の、甘利事務所の秘書の方とうちの職員が面会した際に、先方から面会の要請があったことによってセットされたものでございます。

 こうしたことがよくあるかというお問い合わせかと思いますけれども、ケース・バイ・ケースであり得るということだと思います。

○大西(健)委員

 前回も私、12回に及ぶ甘利事務所とURの面談の記録というのを皆さんにお示ししましたけれども、あれとは全然話が違うんですね。最初、何で真っ黒になっていたかというと、これは補償交渉なんですね。補償交渉というのは、当然のことながら、本来、当事者でやるものなんです。それを議員事務所がセッティングするということは本当にほかにもあるんですか。ほかにあるんだったら、ほかの例を教えてください。


○上西参考人
 具体例につきましては、今、持ち合わせがございません。

○大西(健)委員

 あるんだったら、後日、理事会に提出をしていただきたいというふうに思います。
 ないんですよ。ですから、さっきも言いましたように、これは議員事務所とURの接触ではなくて補償交渉そのものですから、それを議員事務所がセッティングするということ自体が私はあっせん行為に当たるんだというふうに思います。

 しかも、さっきもちょっと触れましたけれども、この冒頭の会話はちょっと不自然だと思いませんか。一色氏がこの交渉の場に行っているわけですけれども、きょうはなぜ呼ばれたのか、面談の議題は何かと聞いているんですね。これは不思議ですよね。不思議なんですけれども、私はこういうことじゃないかなというふうに思うんですね。

 つまり、一色氏は、わかっていて聞いているんですよ。わかっていて聞いているんです。つまり、きょうは自分が呼ばれたんだけれども、きょうは甘利さんのところから言われてこの会をセットしたんだよね、来たからには新しい提案があるということだよねということを吹っかけているということなんじゃないですか、冒頭こういう発言をするというのは。つまり、事前に甘利事務所からこの会をセッティングするということがあって、その上でこれがセッティングされているんだから、きょうここに来たからには新しい提案をしてくれるんだよねということを言っているんです。

 ちなみに、この日の会話も録音されています。私はその会話を文字に起こしたものを読みました。そうすると、一色氏は交渉の中で何度も甘利氏の名前を出しています。例えばこんなことを言っています。こういうことを言っているんです。

 まして国務大臣でもね、国務大臣の中でも相当の方だと思うよ、それの秘書の方が、ただ聞いてあげてじゃなくて、ちゃんと聞いてあげてくださいというのが普通だと思うよ、こう言っているんですよ。甘利氏が後ろにいるんだよと。だから、それはただこれを聞きおくという話ではなくて、ちゃんと聞いてあげて、つまり、ちゃんと聞いた上で動いてあげてということを言っているんですよ。

 これは、URとしては相当プレッシャーを感じると思います。私も気の毒だなというふうに思いますが、UR、プレッシャーを感じませんでしたか。


○上西参考人
 お答えいたします。
 補償交渉の中身に触れる件でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。

○大西(健)委員

 中身に触れるところと言いながら、でも、まさにこの会をセッティングしたのは甘利事務所なんですよ。ですから、その中身についても、私は、これだけ疑いがかかっているわけですから、ちゃんと明らかにすべきだと思います。先ほど言いましたように、録音もあります、私も文字起こしを読ませていただきました。何度も甘利氏の名前を出して一色さんは交渉しているわけです。


<7> 甘利事務所・鈴木政策秘書が同席
    平成27年11月12日UR都市機構・一色氏 補償交渉


○大西(健)委員

 パネルに戻っていただいて、下の方です。これは平成27年の11月12日でありますけれども……(発言する者あり)そうなんです。最初はこれは全部黒塗りで、そもそも日にちまで隠されていたので、本当にこの日にちのものかもわからなかったんです。11月12日なんですけれども、相手方のところに、社員と紹介されたが、名刺を切らしているとのことで確認できずというふうに書いてあります。

 つまり、この日の補償交渉には一色氏以外にもう一人の同席者がいます。これは、甘利氏の政策秘書の鈴木氏ということでよろしいんでしょうか。UR、お答えください。


○上西参考人
 お答えいたします。
 我々の交渉は、甘利事務所との関係は東京で行っておりまして、具体的な補償交渉は千葉で行っているということでありまして、千葉の人間は甘利事務所の方を一人も存じ上げないということでございます。

 当日、一人、一色氏のほかに同席されていますけれども、それが誰かということは確認できておりません。以上でございます。

○大西(健)委員

 確かに、千葉ニュータウン事務所で補償担当をしている人は、東京の秘書のことを知らないかもしれません。

 ただ、逆に言うと、薩摩興業の人はもう大体知っているわけですよ。薩摩興業というのは小さい会社ですから、もう何度も交渉しているわけですから。だから、このとき薩摩興業のサトウですというふうに名乗ったということなんですけれども、薩摩興業にそんな人がいないということは逆に言うとわかるんじゃないですか。どうですか、この点、UR。


○上西参考人
 お答えいたします。
 全容を確認できているわけではありませんので、確たることは申し上げられません。

○大西(健)委員

 そもそも、さっきも言いましたけれども、補償交渉というのは当事者間で行われる話で、そこに誰か全然関係ない人が同席していること自体がおかしいんです。ですから、本来、違っていたら同席を断らなきゃいけない話だと思います。

 もう一つ、先ほど確認しましたけれども、この時点では誰だかよくわからなかったということでありますけれども、名刺を出さずにサトウと名乗った人が甘利事務所の秘書だったということに後日気づいたということはありますか。


○上西参考人
 当人にも確認いたしましたが、確認はできないという発言でございました。

○大西(健)委員

 この部分についても、私は一色氏に確認をしました。サトウと名乗った人物ですけれども、この人物は甘利事務所の政策秘書の鈴木氏で間違いがないということであります。

 ちなみに、1月28日号の週刊文春には、鈴木氏と一色氏が千葉ニュータウン事務所に入っていくところ、建物に入っていく写真がもう掲載されているんです。また、この日も録音が残っています。文字起こししたものを読みましたけれども、建物に入る前に、鈴木秘書のことを薩摩のサトウということにしようと一色さんと鈴木さんが打ち合わせをしている、その音がちゃんと残っているんです。

 偽名を使ったということは、まさに先ほどから私が申し上げているように、純然たる補償交渉に秘書が同席するのはまずいということを自覚しているからこそ、偽名を使っているんじゃないでしょうか。補償交渉に甘利事務所の秘書が同席したこと自体があっせんそのものであって、そして、甘利大臣が記者会見で説明をしている、秘書による金額交渉への介入はなかったということもうそになるのではないかというふうに私は思います。


<8> UR幹部は、甘利大臣本人が一連の経過を承知か、確認を取った

〇大西(健)委員

 次に、皆さんのお手元の配付資料の中に、読売新聞の記事というのを入れさせていただいています。
 この記事の中で、UR幹部が甘利氏本人もこの問題を把握しているのかと尋ねたところ、細かいことは申し上げていないが案件は報告をしていると答えたというふうに載っていますけれども、これで間違いありませんか。


○上西参考人
 その発言をしたことは間違いございません。
 以上でございます。

○大西(健)委員

 そうなんです。秘書はそう言っているわけですね、細かいところまでは言っていないけれども報告をしている。甘利氏本人は当然こういう秘書の動きを、案件のことについても報告を受けているんです。そして、甘利氏の公設秘書が口きき、あっせんを行った。さっき一連の経緯を見ていただきましたけれども、甘利氏本人も現金を受け取って、公設秘書も金銭や接待を受けていたということであります。

 つまり、先ほども言いましたけれども、記者会見では、秘書は悪いけれども自分は国民から後ろ指を指されるような行為は今日まで行っていないと大臣は言っていたわけですけれども、これは極めておかしいじゃないかというふうに思います。まさに一体となってこの案件をやっていたんだというふうに思います。それがそうだとしたら、私は、甘利氏に同情した国民はばかを見る話じゃないかなというふうに思います。

 その点、先ほど甘利大臣についてはお願いをしましたけれども、公設秘書であった清島健一氏、そして鈴木陵允氏の両名の本委員会への参考人招致を求めたいと思いますが、委員長、よろしくお取り計らいください。


○竹下委員長
 後刻、理事会で協議をいたします。

○大西(健)委員

 まさに、私は、先ほど申し上げましたように、これは補償交渉に甘利事務所の秘書が同席をしていたということだと思いますが、この点、これでいいんですか、UR。

 実際そのときは気づかなかったということですけれども、結果としては、補償交渉という当事者間で本来やるべきところに甘利事務所の秘書が同席していたということですけれども、それでいいんですか、UR。それはいいことなんですか。


○上西参考人
 私どもとしては確認ができておりませんので、お答えは差し控えさせていただきます。

○大西(健)委員 

 これは、不適切と答えていただかなければならないんだと私は思います。気づかなかったのかもしれませんが、結果としてそういうふうになったということは私は不適切だったというふうに思います。


 ―― 略 ――

コメント

<政治とカネ > 安倍内閣 甘利明前大臣の大臣室現金授受事件を忘れない(1)

2016-06-15 12:48:52 | Weblog



<政治とカネ>安倍内閣シリーズ記事
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利明前大臣の大臣室現金授受事件を忘れない(1)
<政治とカネ> 安倍内閣 甘利前大臣の大臣室現金授受を忘れない(2)
<政治とカネ> 安倍内閣の西川公也元農水大臣 大臣は辞職・議員辞職はなし 痛くもかゆ         くもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の小渕優子元経済産業大臣 大臣辞職したが議員辞職はなし 痛く         もかゆくもない面々
<政治とカネ> 安倍内閣の「政治とカネ」辞職大臣が8名、多過ぎる!
<政治とカネ> 安倍首相 世襲政治資金は相続税免除(合法)、世襲政治団体は認めるべき         じゃない


口きき・現金授受 → 大臣辞任 → 睡眠障害療養・以後国会欠席
→ 東京地検・不起訴(嫌疑不十分)・国会終わる → 睡眠障害治る・復帰表明


甘利明前大臣は安倍首相の腹心です。2006年の自民党総裁選では選対事務局長として安倍政権誕生に尽力し経済産業相に登用されました。第2次安倍内閣の発足(2012年)を後押しし、経済再生担当相に就任しました。


事件発覚・国会雲隠れ・復帰

01/20 報道メディア一斉に週刊文春「現金授受」記事を伝える
01/21 参議院決算委員会、経済財政諮問会議、甘利大臣記者会見
01/22 衆議院本会議・参議院本会議 経済演説
01/28 参議院本会議代表質問に答える 参院本会議後 大臣辞任記者会見
 以後 「睡眠障害」療養の理由で雲隠れ、国会全休
05/26 ホテル・ニューオータニで政治資金パーティー朝食会
    出席者約300人、甘利氏本人は欠席
05/31 東京地検特捜部 あっせん利得処罰法違反
    甘利前大臣本人・秘書2人共に 不起訴処分(嫌疑不十分)   
06/01 通常国会閉会、「睡眠障害」治癒?
06/06 神奈川県大和市の事務所で報道陣に「本日から政務復帰する」


事件の概要

事件は、甘利明前大臣本人が50万円を2回もらっていること、秘書が500万円をもらって、そのうち200万円は政治資金収入に入れ、300万を個人的に費消したというものです。

甘利前大臣は2013年(平成25年)11月14日、大臣室で50万円をもらっています。次に2,014年(平成26年)2月1日、神奈川県大和市の事務所で2回目の50万円をもらっています。


大臣室現金授受は悪質でしょう!

私はずっと昔に田舎政治の現場で似たことを見聞しています。あるとき親しくしていた地方議員に、「あいつは100万もらった」という噂が広がりました。選挙がらみの陣営争いが激しかったときのことでした。私は本人に「本当か、そんなことしたんか」と聞きました。

そのとき彼が言ったことは、「俺がおらんときに置いていったんや。家内がな、何も知らんと受け取ったんや」でした。菓子折りを手付きの紙袋に入れて置いていったと言います。その後、彼は返したと言いましたが、噂が消えることはなかった。

政治家には油断するとアブナイ人が近寄ってきます。政治家にとって、「領収証がいらない」というふれこみの現金は魅力的です。しかし、ベテラン政治家ならアブナイ人への警戒心は強いし、アブナイお金を断るくらいのことはします。断らず、事後返金もしなかったということは、それなりの親近関係があったことを物語ります。本件は、渡す方も受け取る方も、現金の忍ばせ方に手馴れています。

甘利前大臣は辞任記者会見の質疑応答の中でこう言っています。――政治家の事務所は、いい人だけつき合っているだけでは選挙は落ちてしまうのです。

2016年1月28日、大臣辞任記者会見を内閣府HPから下に転載します。まずは甘利前大臣の説明を見てください。

--------------------------------------------------------------------------------


【1】甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨
平成28年1月28日(木) 17:00~18:11
http://www.cao.go.jp/minister/1510_a_amari/kaiken/2016/0128kaiken.html

※当初、全文掲載しましたが、わかりづらいので、一部省略しました。
 番号と小見出しは川本が付しました。全文は上のアドレスでご覧ください。



1 発言要旨


 私をめぐる今回の週刊誌報道、すなわち株式会社文藝春秋発行の「週刊文春」1月28日号記載記事の件で、国民の皆様に御心配をおかけしていることにつきまして深くお詫びを申し上げます。

 今回の週刊誌報道以降、私は、自らの記憶をたどり、事実関係の確認を行い、しかるべきときにしっかりと説明責任を果たしたいと申し上げてまいりました。

 ―― 中略 ――


<1> H25/11/14 大臣室50万円授受――甘利本人の説明

 まず、本件記事の概要については、既に皆さん御案内のことかと存じますので、この場で説明することはいたしません。早速、現時点での調査結果の概要を御説明申し上げます。

 まず、平成25年11月14日の50万円及び平成26年2月1日の50万円の授受についての私の認識について申し上げます。

 平成25年11月14日の大臣室における表敬訪問及び平成26年2月1日の大和事務所における面談については、日々多くの面談などの日程があること、そして時間が経っていることなどから、個別の件についての詳細な記憶はありません。

 記憶の限りで説明をしますと、まず、大臣室で菓子折りの入った紙袋をいただいたと思います。社長らが退室された後に、秘書から、「紙袋の中にのし袋が入っていました」との報告がありました。それで私から秘書に、「政治資金としてきちんと処理をするように」と指示をしたと思います。

 次に、大和事務所での面談は、地元事務所所長であるA秘書からあらかじめ総務担当者が大臣室訪問のお礼と病気の快気祝いに来られると聞いておりました。お礼とお祝いの話の後、総務担当者の私生活に関する雑談などをした後、総務担当者がS社の敷地から産廃が出て困っているとの相談がありました。私は、「地主が責任を持つのではないか」と話したように思います。ただ、資料を持参されていたので、「東京のE秘書に渡しておいてくれ」とA秘書に指示をし、話を終えました。

 そして、帰り際に総務担当者が、菓子折りの入った紙袋と封筒を差し出しました。大臣室訪問の御礼と病気を克服して頑張れという政治活動への応援の趣旨だと思いこれを受け取り、A秘書が、その総務担当者を送って部屋に戻ってきた際に、菓子折りと白い封筒をA秘書に渡し、適正に処理しておくようにと指示をいたしました。

 「週刊文春」は、大臣室にて私が、お土産の袋から現金の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットにしまったと二度にわたって報道しました。実は、この部分が私の記憶と「週刊文春」が二度にわたって報道した内容の違いの一つです。しかも、音声など決定的な証拠が全てそろっているとの報道でありました。お客の前で紙袋から現金の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットに入れるという行為が本当だとしたら、政治家以前に人間としての品格を疑われる行為であります。そんなことはするはずがありません。

 以上が、本事案に係る私、甘利明の認識であります。


<2> H25/11/14 大臣室50万円授受――A秘書から弁護士への説明

 次に、本事案について、A秘書が弁護士に対して説明した内容について申し上げます。

 これから申し上げる調査結果は、元東京地検特捜部の検事である弁護士が、秘書や経理担当者などの関係者から直接聴取し、関連資料等を確認された結果、取りまとめられた報告書に基づいて、そのまま申し上げます。

 平成25年11月14日の50万円の授受の状況等でありますが、S社の総務担当者との間で、総務担当者が千葉で講演会をまとめてくれるという話が出て、その話を盛り上げていくため、一度甘利大臣に会っていただこうという話になった。11月14日に大臣室で、甘利大臣との面会の予約を入れた。甘利大臣には、面会の直前に甘山会に入っていただいた企業の方が表敬訪問に来たという程度の話のみで、URとの件は話していない。

 国会見学、昼食の後に大臣室で面会をした。総務担当者側はS社社長、その知人女性と総務担当者がいた。もう一人いたかどうかは覚えていない。大臣側は、甘利大臣のほかA秘書と大臣の政務秘書官であるE秘書がいた。大臣室には30分ぐらいいたと思う。甘山会について千葉をまとめますからという話があったが、URの話が出た記憶はない。総務担当者側は、S社社長が主に話をしていた。

 面談のどこかで社長が、お土産と就任祝いを大臣に渡した。A秘書の記憶では、社長がご祝儀袋を取り出し、お土産が入っている袋に入れ、その袋ごと大臣に渡していたと思う。大臣がその祝儀袋を袋から取り出したことや、ポケットに入れたような記憶はない。

 以上が平成25年11月14日の50万円の授受の状況等について、A秘書が弁護士に説明した内容であります。


<3> H26/2/1 大和事務所50万円授受――A秘書から弁護士への説明

 次に、平成26年2月1日に面会を設定した経緯及び50万円の授受の状況等について、A秘書が弁護士に説明した内容を申し上げます。

 1月21日、午前11時30分ころ、総務担当者が相談したいことがあると言い、大和事務所にやってきた。S社が使っている土地上の社屋を移そうと思い、新しい土地を掘ったら産廃が出てきたので、S社の敷地の産廃撤去を企業庁にお願いしたいという話だったと思う。 

 総務担当者が大臣に会って話がしたいというので、2月1日、大和事務所で大臣のアポを取った。ただ総務担当者は、産廃の件よりはどちらかといえば、前回、大臣室にいたときは社長ばかりが話をしていて、総務担当者の影が薄かったので、今度は同人が個人としてお祝いをし、大臣とつき合いたいという希望であった。

 2月1日、面談の前に、A秘書の方から大臣に詳しい説明等はしていなかったが、敷地の下から産廃が出てきて、UR、企業庁と問題があるようなので話を聞いてもらえますかという程度の説明をしたと思う。面会時間は二、三十分くらいで雑談がほとんどだったと記憶している。

 産廃の件については、総務担当者はファイル2冊くらい持ってきて説明をしていた。大臣は総務担当者の説明を聞き、S社の方で産廃を掘り出した等と言っていたのに対し、自分で掘り出したのなら自分で処理するしかないとか、見つけた段階ですぐに言わなければだめなのではないか等と言っていたと思う。その後、大臣は総務担当者が持参した資料を東京のE秘書に渡しておいてくれということだった。大臣は総務担当者の話を聞き、面倒に思ったのではないかと思う。この件はこれで話が終わった。

 記憶が定かではないが、総務担当者は帰る前に、甘利大臣に50万円の入った封筒や手土産を渡していたと思う。社長のときと同じようにお祝いの趣旨と聞いていた。大臣から、しっかり処理しておいてくれと言われ、現金50万円の入った封筒を受け取った。これについては、一旦、大和事務所にある金庫に入れた。

 以上が平成26年2月1日に面会を設定した経緯及び50万円の授受の状況等について、A秘書が弁護士に説明をした内容であります。


<4> 50万円受領2回分の会計処理――A秘書から弁護士への説明

 続いて、大臣室及び大和事務所で手交された各50万円の会計処理について、A秘書が弁護士に説明した内容であります。

 平成26年2月1日に大和事務所で渡された50万円は、平成25年11月14日の大臣室で社長から渡された50万円と合わせて、平成26年2月4日に13区支部で寄附として入金処理をした。このうち、平成25年11月14日の50万円は、E秘書が1月下旬ころ、大和事務所に持ってきていたと思う。A秘書がおつき合いをしているところからのものなので、大和事務所で処理をすることで持ってきたと思う。持ってきたのが平成26年1月ころになったのは、平成25年末が大臣の舌がんの件で、E秘書に余裕がなかったからではないかと思う。

 A秘書が大和事務所の経理担当者に、E秘書が持ってきた50万円と、この50万円の合計100万円につき、S社からの100万円の寄附として、第13区支部で処理するよう言い、S社宛ての領収書を作成してもらい、S社に送ったと思う。

 さらに、産廃の件の対応状況について、A秘書が弁護士に説明した内容を申し上げます。

 総務担当者が持ってき資料は、甘利大臣が「総務担当者との面会時にE秘書に渡しておいて」と言っていたので、そのまま事務所の誰かに、E秘書に届けてもらったと思う。E秘書に献金のことは伝えていない。その後、随分待たされた記憶はあるが、それから数カ月以内には、E秘書が千葉県に電話した結果を伝えてきた。E秘書から電話をもらい、その後、総務担当者に対し「千葉県も処理に困っていて難しい。千葉県とはこれ以上話ができない。力になれないと思う」と伝えたと思う。A秘書が弁護士に説明した内容の説明は以上です。

 弁護士によりますと、第13区支部の政治資金収支報告書には、平成26年2月4日にS社からの100万円の寄附金の記載があることが確認できました。また、大和事務所の経理事務員に対して電話でヒアリングをしたところ、S社からの寄附金として処理をした等の説明を受けたとのことです。


<5> 大臣室受領50万円の処理、敷地下産廃案件の取り扱い――大臣政務
    秘書官E秘書から弁護士への説明


 一方、E秘書も弁護士に次のとおりの説明を行っています。 11月14日、A秘書の案内で総務担当者や社長らが大臣室で大臣と面会をした。一緒にいたが、A秘書が連れてきたので、関心を持って見聞きしていなかった。どのようなやりとりがなされたかは、ほとんど覚えていない。

 大臣からお菓子と言われ、受け取った手土産を渡された記憶がある。その後、中を確認したところ、立派な祝儀袋のようなものが入っているのに気がついた。大臣からはきちっと処理するよう言われ、A秘書の関係なので、大和事務所に持っていくのがいいと思い、時期は覚えていないが、大和事務所に行ったときに持っていった。大臣の舌がんの件があったので、年が変わっていたかもしれない。大和事務所で適切に処理すると思っていた。どのように処理したかは聞いていなかった。

 また、大和事務所から資料が送られてきたことがあったかについては、いつ資料が送られてきたかは覚えていないが、大和事務所から送られてきたことはある。普段でも地元で国絡みの陳情があると、それが送られてくることはある。重要な案件であれば、甘利大臣から資料届いたか等と聞かれることがあるが、この件では甘利大臣からは全く話はなかった。E秘書も甘利大臣に報告しなければならない重要な案件でないと思い、甘利大臣には全く説明や報告等はしていない。

 資料に記載のあったところへ電話をしたが、千葉の企業局の方にと言われたので、そちらへ電話をした。案件の内容は説明しているかもしれないが、どのような説明をしたか等は覚えていない。一般論として、このような場合、誰が処理するのか等について質問をし、一般的に地主が処理するという回答だったと思う、との説明でありました。

 以上が、E秘書が弁護士に対して行った説明の内容であります。

 以上のとおり、各50万円については、私が秘書に指示したとおり、政治資金として処理されていたことを確認しました。

 なお、平成25年11月14日の50万円につきましては、私からきちんと処理するようにと指示を受けていたものの、私の舌がん騒動で入金が遅れてしまったとのことでしたので、収支報告書の入金日については、選管などとも相談し、適切に対応するよう事務所に指示をしました。

 ―― 中略 ――


<6> S社のUR都市機構補償交渉への関与――A秘書から弁護士への説明

 次に、報道されている秘書とS社との間の平成25年8月20日の金500万円の授受についての調査状況を報告いたします。

 まず、S社とURの補償交渉への関与等でありますが、A秘書の弁護士に対する説明の要旨を申し上げます。

 総務担当者と初めて会ったのは平成25年2月ごろであり、その後平成25年5月の連休後、5月9日だったと思う。大和事務所に来た際に、URとの間の補償に関する陳情があった。それに対して確認するという対応をした。その後、大和事務所のC秘書に総務担当者から預かった資料を渡し、当事者の双方から話を聞くという趣旨で、現状を調べてくるように頼んだ。C秘書からの報告については、記憶が定かではないが、URに行って現状について教えてもらったのではないかと思う。

 その後、大和事務所で総務担当者と会った際、詳細は覚えていないが、話はしてきたので、後は当事者でやってほしいという話だったと思う。総務担当者との間でそれ以上の話はなく、この件はこれで終わったとの認識であった。A秘書やC秘書が金額交渉等に介入したことはない。

 以上が、S社とURの補償交渉への関与等に関する、A秘書の弁護士に対する説明の要旨であります。


<7> S社のUR都市機構補償交渉への関与――C秘書から弁護士への説明

 続いて、本件についてのC秘書の弁護士に対する説明であります。

 A秘書から頼まれて、平成25年5月か6月ころ、一度URに行ったことがある。その際、A秘書から数枚程度の資料を渡されたと思う。その中にS社の名前はあったと思う。話し合いの進捗状況の確認に行ったと思う。URに何かお願いをした記憶はない。解決をしてくれなどと話した記憶もない。


<8> H25/8/20 A秘書とS社総務担当者の500万円授受――A秘書から
    弁護士への説明


 次に、500万円授受の有無及び趣旨についてのA秘書の弁護士に対する説明の要旨を申し上げます。

 8月20日、総務担当者と大和事務所で会った。その際に、2億2,000万円という話は聞いた記憶がない。当日、総務担当者が1,000万円を出してきて、そのような多額の献金は受け取れないと言ったが、結果として100万円と400万円の合計500万円を受領して、大和事務所の経理事務員に100万円と400万円で分けて領収書を切るように言ったと思う。独断で決められないと思い、100万円は献金としていただき、400万円は預かり、事務所の者と相談して判断しようと考えた。2枚とも寄附として領収書を、これは13区支部を作成してもらい、総務担当者に渡した。なお、総務担当者からは領収書は要らないと言われたが、領収書は発行しなければいけないと言って発行した。

 その後、経理事務員と400万円の扱いについて相談したところ、やはり400万円については返した方がいいとなったので、その日のうちに総務担当者に返したい旨伝えたが、総務担当者は、一旦渡したお金なので受け取ってもらいたい、自由に使ってほしい旨言ってきた。そこで、400万円のうち100万円を大臣の元秘書の県会議員の方へ回すこととして、9月6日に渡した。元秘書の県議に対する100万円の寄附については、事前に総務担当者に話をしている。

 9月6日に、総務担当者に県議からの100万円の領収書を渡したが、300万円については、結局総務担当者に返せず、自分の机の引き出しに保管してしまった。なお、400万円の領収書は総務担当者の方で処分しておくという話であり、その後に処分したと聞いた。

 この300万円については、その後、本来自腹でしなければならない支出・支払い等に使った。自腹での負担が大きいので、誘惑に負けてしまった。県議に100万円渡したことや、300万円を返さないで使ったことは、甘利大臣や事務所の者には話していない。

 以上が、500万円授受の有無及び趣旨について、A秘書が弁護士に対し説明した内容であります。


<9> H25/8/20授受500万円処理経過等――報告

 加えて、弁護士が確認した500万円授受の有無及び趣旨について、甘利明事務所関係者の説明や関係資料によれば、平成25年8月20日の500万円のうち100万円は、同日、S社からの寄附として入金処理がされ、平成25年政治資金収支報告書に計上されていることが確認できました。また、県議が代表を務める大和市第二支部の平成25年政治資金収支報告書に、S社からの100万円の寄附が計上されていることについても確認されました。

 また、大和事務所の経理事務員は、A秘書から相談され、寄附として受け取るのはせいぜい100万円と言った。500万円は受け取ったが、400万円は返却するという話だった。そこで、入金簿のS社の欄に、「8月20日400万円は返却のこと」とメモ書きした。400万円は返却したとA秘書から聞いた。そこで、入金伝票に「9月6日返却」と書いた等と説明し、また同じく、大和事務所の同じく経理を担当している事務員も、同様、同趣旨の説明をしております。

 このメモ書きと入金伝票の記載は確認できました。これはみんな弁護士ですよ。

 以上のとおり、当初受け取った500万円のうち、第13区支部と大和支部の2支部への各100万円については、それぞれ収支報告書に記載されていることを確認しました。

 残りの300万円については、A秘書が総務担当者に返金を申し入れましたが、強く拒まれ、結果としてA秘書が手元で管理し、費消してしまったとの報告を受けました。したがって、300万円については収支報告書の記載を欠いている状況に、状態になっていますので、選管などと相談の上、適切に対応するよう指示をしました。

 以上、本日までに弁護士に調べてもらい判明した内容を、中間報告という形で報告を受けた内容を踏まえ、説明をしました。現在も引き続き、記事に掲載をされているような事実があったのか調べてもらっています。

 秘書らの対応につきましては、現在も調査をしてもらっているところであり、URなどとのやり取りの内容についても今後明らかになると思います。

 ただ、現時点では、先ほど説明したとおり、A秘書が寄附として受領してしまった300万円を費消してしまったことが明らかになっています。さらに、A秘書とB秘書からは、総務担当者やS社社長から、飲食や金銭授受などの接待を多数回にわたり受けている事実は認めているとのことであり、調査をしている弁護士を通じて、両名から辞表が提出されました。今後も調査を引き続き行いますが、辞表は本日付けで受理することといたしました。

 そして、総務担当者及びS社からの政治献金につきましては、選管などとも相談をした上で、全て返金するよう事務所に指示をしました。

 また、今回の報道後、調べてみて初めてわかったことですが、信用調査会社によれば、S社は3年連続赤字企業であるおそれがあり、そうであれば総務担当者やS社は政治資金規制法22条の4に違反する寄附をしたことにもなるので、その観点からも直ちに返金をするように指示しました。

 今回の報道があってから、A秘書に対しまして、S社社長から毎日のように、口裏合わせをしようとの電話があったとの報告を受けています。

 ―― 中略 ――

 国会議員としての秘書の監督責任、閣僚としての責務及び政治家としての矜持に鑑み、本日ここに閣僚の職を辞することを決断しました。

 先ほど、この会見の趣旨と私の辞意については、安倍総理に御連絡をいたしました。この会見の後に官邸に伺って、直接お伝えをいたします。

 ありがとうございました。



質疑応答

(問)大臣、先ほどの説明の中で、大臣室と大和事務所で会ったのが平成25年11月14日と26年2月1日とおっしゃいましたけれども、そのA秘書がその前に500万円を受け取ったときというのが平成25年8月20日です。ということは、それよりも前になるわけです。そのA秘書が500万円を受け取ったということを知っていて、大臣室でS社と会うことになったのか、若しくは500万円は知らないけれども、S社から相談を受けているということを知った上で、大臣室で会ったのでしょうか。

 そして、100万円と400万円の領収証についてなのですが、400万円の領収証は発行して総務担当者が処分したという話でしたけれども、甘利大臣の事務所の方で、その領収証の控えというのはないのでしょうか。

(答)500万円も含め、この一連の接待も含めて、不覚ですけれども、週刊誌報道が出て初めて知りました。全く事情がわかりません。東京事務所に来られたのも、後援会に入ってくださる方が表敬しますからといわれて、お受けしたということだけです。そこでは、確かに一生懸命、先生を応援していきますよみたいなことしか言われていませんでした。


(問)千葉の甘山会を立ち上げるに当たってということでしょうか。

(答)甘山会は1個しかないのですが、1個の人たちが、こちらの人たちが集まって懇親会をつくったり、こっちの人が集まってつくったりして、そこで、通称で懇親会をそうみんな呼んでいらっしゃるのです。そのお会いしたのが、大臣室が初めてだと思います、11月14日。


(問)領収証の控えについてはいかがでしょうか。

(答)全くわかりません。


(問)現金の授受のところをお聞きしたいのですけれども、14日の方は菓子折りを、これは虎屋の羊羹というふうに報道されているのですけれども。

(答)羊羹かどうかわかりませんが、大きい袋をもらったけれども、少し重かったのは何となく覚えています。


(問)記憶があると。そうすると、受け取ったときには現金が入っているということは、認識はなかったということですか。

(答)わからなかったです。多分、その中に入っていて、それで置いて、秘書にお菓子をもらったよと言って渡して、秘書が何か、かなり立派だったらしいけれども、大きいのし袋みたいな、祝儀袋みたいなのが入っていたと。とにかく大臣祝いとか、大臣祝いといったって1年ぐらいたっているのですけれども、初めて大臣室に来られるので、何か秘書が言っていたような気がします。それで、「では、会社からの政治献金ということで、ちゃんと処理してね」ということで言った記憶があります。


(問)2月1日の方なのですけれども、こちらの方は、現金を受け取ったという認識はあったということですか。

(答)来られる前に、私、秘書に来客が入っているときに、知らない人で、何かわからないのに会わせるなと言っているものですから、A秘書にも、かなりいきなり連れていって、後で私が何の用件でこの人が来たのかわからないことなので、ちゃんと確認しろといったときに、たしかちょうど大臣室の後、舌がん騒ぎになります。11月14日ですから。中旬から下旬でうちの公設秘にだけ最初に言って、かなり深刻な状態で悶々としていたまま、あの前です、フロマンとやった12月1日の前に、がんとわかるわけなのです。だから、あのときの交渉は、私は、これが政治家最後の交渉と思ってやりましたけれども。


(問)秘書が300万円を、いわば費消してしまったということになりますと、横領ということになると思うのですけれども、この辺の処理について何かお考えですか。

(答)それはまず、どうやった形で返せるのかです。政治資金規正法上は、入っていない金をお返しすることになる。全部返しますけれども、それは県選管と相談するように指示しています。とにかく地元で何が起きているかが全くわからない。そういうつき合いで、何回もフィリピンパブとか報道をされていますけれども、全く不覚ですけれども、知りませんでした。とにかく地元をほうりっ放しにしてしまったというつけが回ってきたということでしょうか。


(問)調査の結果次第、結果が判明すれば刑事的な告訴も考えると。

(答)東京地検の人に、これは私誰だか知らないのです。接触できませんから、知りませんが、特捜の人、経験者に全部調べてもらっています。今日はそれの報告をしていますから、それをずっとやってもらうと。これは、結構時間かかると思いますけれども。


(問)大臣が辞任を考えられたのはいつ頃で、総理にお話ししたのは、先ほどお話がありましたけれども、いつ頃なのかということを、もう少し詳細に教えてもらえますか。

(答)最初は地元のところに記者さんが来ていると、週刊誌の記者。「誰が来ているの」と言ったら、「週刊ブンゲイ」と聞いたのです。だからわけのわからない週刊誌かと思ってそのまま、何か変なスキャンダルなのだろうと思って無視していってしまったのです。それ以降、とにかくほとんど国政で頭いっぱいというのでやっていましたから、完全に放りっぱなしだったですから。1月16日に私の地元の自宅に、そう話しかけられましたから、何か聞いたことがない、そうしたら秘書が聞き違いで、「週刊文春」だったという、「週刊ブンゲイ」とか言われたので、わけのわからないやつには会うつもりないというので、それが最初で、それから17日、翌日の夜にA秘書から、取材の依頼が来ているということを、電話で報告を受けました。とにかく事実関係を確認しろと。それから19日の午後に私から官房長官、総理に、取材を受けていることについて報告をしたと。それから記事になって。それで今日辞任するというのは総理には、ここに入るそれこそ直前です。慰留はされましたけれども、まぁ、私の性格を御存じですから、しようがないと。


(問)常々、大臣は、周りのスタッフの人たちを非常に信頼していらしていたと思うのですが、愕然となさったということで、率直なお気持ちだったと思います。ただ、こういった中で、今後どのように自分の地元を立て直していくというお考えなのか、まず聞かせてください。

(答)これは目を光らせる秘書をもう考えています。そこが目を光らせると。この事務所長は真面目が取り柄なのです、人がよくて。だけれども、すごく線が細くて、完全に取り込まれちゃうということなのです。だから真面目な人が取り込まれてしまうと、もう全部信じてしまうということで、ですから、いろいろな会に連れてくるようになってしまったのです。どんどん潜り込んでこられましたから。それで気がついたら熱烈な支持者ではなかったと。


(問)FNNフジテレビが入手した写真で、去年の夏ごろと思われる、大臣室で告発記事を出した人たちとのお写真というのがあったのですが、あれはどういった。

(答)地元に聞いてみたのですが、お金ではなくて、セミナーをやるのです。勉強会でいろいろな講師が来て、会費1,000円ぐらいでやって、勉強して、将来の市会議員を目指そうとかいうのをやって、そこから議員も出ているのですけれども、そこに潜り込んでこられて、そこの一行が30人ぐらいバスで来たときに、時間がないですから、順番順番に、どんどんベルトコンベアみたいに流して、私が座っていて、ぱっと後ろに入って、また抜けてという、そういう写真撮りの中の1シーンだそうです。


(問)ということは特に個別で告発された方と、ということではなく。

(答)流れ作業で。


(問)たくさんいらした中の。

(答)30人か何十人か来た中で、「はい、5人ずつ」って入れかわって、ぐるぐるぐるぐる後ろ通って、「はい、こっち、はい、こっち」とやる撮影会です。国会見学の場合、そうでないと全然間に合わないので。


(問)国会見学の際、割とよくあるということなのでしょうか。

(答)はい。


(問)秘書が勝手に費消したという300万円、かなり多額ですけれども、何に費消したのでしょうか。

 それからかなりの回数の接待を受けたということですけれども、それは幾ら分でどんな接待を受けたのでしょうか。

(答)これは、私がいろいろ最初はびっくりして、「おまえ何をやったのだ、こうやったんだ」と言っていますけれども、私が言ったって、本当のことを言わないです。私によく思われたいと思うから。そこで、私と無関係な第三者の弁護士さんを、うちの事務所とも関係ない人を頼んで、どういう人だか私は知りませんけれども、その人が一人一人聴取している中で出てきたので、何か県連のバーティー券でわりあい高くて処理し切れないものをそれで購入したりとか何とか、そういう話だったみたいですけれども、ここは私が聴取していませんから、正確な話は、これから東京地検の弁護士さんが報告書を全部作ると思います。


(問)つまり私用で使ったわけではないということなのですか、300万円は。

(答)私用もあるのでしょう。私用もあるし、県連パーティー、みんな割り振って、秘書が売るのですけれども、残ってしまう分があるのです。それを何とか引き受けていたという話も聞いた、仄聞していますけれども。


(問)50万円を大臣室にのし袋で持ってきた件なのですけれども、社長と総務担当者がいなくなってから確認したら、50万円あったと。

(答)いえ、そのまま大臣室に来られて、みんな帰ると、私、袋のまま「大臣室のスタッフで食べて。」って渡すのです、うちの秘書に。秘書に渡して、秘書が持って行って、どのくらい後か忘れましたけれども、「のし袋が入っていますよ」と言うから、「ああ、そう」と。そういえばお祝いに来るとか、何とかに来るという話が事前にあったので、では正式処理しておいてという話をしました。


(問)これは、要は何も言わずに置いていったということだと思うのですけれども。そういうことはあり得るのですか。

(答)「大臣、どうぞどうぞ、これ」みたいな。「おみやげです」みたいな感じで、「大臣、どうぞ」みたいな感じで。これ、お祝い金ですと、お金ですというのは言わなかったと思うのです。


(問)けじめのつけ方のタイミングについて伺いたいのですけれども、この後、秘書の方の調査結果が待っているのですけれども、繰り返しになるのですけれども、今日のタイミングでけじめをつけられた理由というのは、どこにあったのでしょうか。

(答)事務所の責任者、監督すべき責任者が報道されている一番大きい部分について関わっていたという報告を受けたものですから。それからもう一人の秘書が、いろいろ報告があるのは、その都度、一色氏と一緒に、飲食で回っていたと。この2人がということで、それで2人から辞表が出ました。申し訳ないということで。

 それ以外の秘書は、全く聴取してもらった限り関知していない、関与していないのです。一方が責任者であるということと、それから、これから審議が始まる。しかし、動かない。それからTPPが始まる。もろもろ、これこれで政治資金は第三者に確認してもらって、ちゃんと処理されていましたと言って、「では、わかりました。はい、はい」といくかということを考えて、私は安倍政権を支える役ですから、安倍政権を支える役が、安倍政権の障害になることは忍びないと。


(問)秘書の方の調査結果は、大体いつ頃をめどに出したいと考えていらっしゃいますでしょうか。

(答)これは、何とかパブとかですね、もうあちこち行っているので、これを全部調べるのはどのくらいかかるか、今は何とも言えません。

 だから、今回の私の件も、皆さんは何でそんな簡単なことをこんなに待たせるのだと思われたと思うのです。でも、これを報告されたら、それじゃあこのくらいかかるなというのはおわかりいただけたと思うのです。第三者を入れて、弁護士さんに、我々が知らない三者できちんと調べてくださる方。その人が、私の知らない人が、一つ一つ聴取していったのですから、面接してですね、それで領収書も全部調べて、帳簿から調べてですね。だからこのくらいは相当早い方だと思いますけれども。


(問)確認なのですけれども、閣僚は辞任されるということですけれども、議員活動は続けていかれるということでよろしかったでしょうか。

(答)はい。一からやり直します。


(問)甘利大臣が当選1期のときから取材をさせていただいている者からしますと、今回、こういう閣僚辞任という決断を出されたのは、政治理念ですとか政治信条を見てきた者からしますと、まあ当然の結論を出されたのだと思います。

 ただ、ベテランの甘利大臣であるからこそ、違う観点から一つお伺いをいたします。政治家のところへ、事実関係が違っていたら教えてください、支援者という形である人間が近づいてきたと。支援も受けたと。そういう中で、その支援者と称する人間が徹底的にメモや録音をしていたと。あるとき、手の平を返すように、徹底的に、これは敵というのでしょうか、敵対的な動きに移ったということは、これからも恐らく政治の場面で、私は余り今まで、これだけ執拗なことというのは、いい悪いを別にして、取材で経験したことはないのですが、これからもあり得ると思うのです。そのときに、例えば与野党関係なく、政治家の選挙活動、あるいは日々の政治活動に、いい悪いではなく、何がしかの影響が出るのだと思うのです。甘利大臣御自身は、現在、そうしたことについて、御自身の責任ということではなくて、そうしたことについてどのような御感想、あるいは問題意識を持たれたのか。今後のためという観点からお伺いをしたいと思います。

(答)私ですね、これについて、どの時点でどうすればこういう事案が避けられるのかということをずっと考えていたのですけれども、まず政治家の事務所は、いい人だけつき合っているだけでは選挙は落ちてしまうのです。小選挙区だから。かなり間口を広げてですね、来る者は拒まずとしないと、当選しないのです、残念ながら。その中でぎりぎりどう選別していくかと。

 だから、問題ある人と写真がいっぱい出ますけれども、そんなのは誰も避けられません。パーティーで写真を撮ってくれと言われて、「どなたですか。ああ、あなたとは撮りませんよ」なんて絶対言えませんから。写真が出るのはけしからんというのは、防ぎようはないです。誰でも防ぎようはないです。よほど社会に知られている反社会の代表みたいな人だったら、あの人危ないってわかるでしょうけれども、避けられないです。   ―以下、略―

コメント

<再考> 安倍首相は、選挙直近に株高対策=経済対策を打つ

2016-06-08 19:40:17 | Weblog


安倍首相の政治スタイルの実績から見て、川本ちょっとメモ5/18付と5/27付記事では、選挙直近に株高対策=経済対策を打つと書きました。

2016年7月の参院選向けに、1月29日、日銀はマイナス金利政策を打ち出しましたが、株価には全く効果がありません。

日銀が無力になって、政府は3月から財政出動の準備に入っています。財政出動は補正予算の形を取るので、実行は参院選後の秋になります。

それで、参院選前には、消費税増税延期の約束と、大型補正予算による施策を約束することになります。これからその経済施策はこれからより詳しく有権者に提示されるでしょう。

<株価グラフを見る>
2015年までの株価グラフを見ればわかりやすいので、下の西暦年をクリックしてご覧ください
→→ 2012年2013年2014年2015年



2012年(平成24年)野田内閣


2011年(平成23年)は3月11日に東日本大震災が発生して、苦難の年になりました。

翌年になる2012年5月~11月、日経平均株価終値は8,800円くらいを前後して推移していました。その後11・16衆院解散から12・16衆院選院投票日に向ってじりじりと上げて、年末ぎりぎりに安倍内閣が成立し、12月28日の日経平均株価は10,395.18円でした。民主党政権に失望しきっていた世情が、自民党政権による政策転換に希望をつないだことの表れでした。

   2012年01月05日 日経平均 8,560.11円
      03月27日 日経平均10,255.15円
      06月04日 日経平均 8,295.63円 
      08月21日 日経平均 9,156.92円
      11月14日 日経平均 8,664.73円
      11月16日 衆院解散(野田内閣) 
      12月14日 日経平均 9,737.56円
      12月16日 衆院選投票日、政権交代へ 


2012年12月安倍内閣成立~2013年7月参院選
 景気刺激策 → 日銀「異次元金融緩和」

2013年1月11日総理記者会見で、安倍首相は、緊急経済対策を発表しました。

「安倍政権では、まず政策の基本哲学を変えていきます。「縮小均衡の再分配」から、「成長による富の創出」へと大胆に転換を図っていきます。「委縮し続ける経済」に決別をして、イノベーションや新しい事業が次々と生み出されていくような、そして、それによって雇用と所得が拡大をしていくという「強い経済」を目指してまいります。強い経済を取り戻していくためには、大胆な金融政策、そして機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という三本の矢を同時展開していくべきだと考えています」

「規模の面では、補正予算による財政支出は13兆円、事業規模は20兆円を超える、リーマンショック時の臨時、異例な対応を除けば、史上最大規模となります。この対策によって、実質GDPをおおむね2%押し上げ、約60万人分の雇用を創出してまいります。経済再生への強い意思と明確なコミットメントを示す本格的な経済対策に仕上がっていると思います」

そして、2013年4月4日、日銀は「異次元金融緩和」政策を発表します。その内容は次の通りです。

(1)日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する(注1)。このため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行う。

(2)量的な金融緩和を推進する観点から、「マネタリーベースが、年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。」

(3)イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。また、長期国債の買入れ対象を40年債を含む全ゾーンの国債としたうえで、買入れの平均残存期間を、現状の3年弱3 から国債発行残高の平均並みの7年程度4に延長する。

これで金融・証券界は賑わい、デパートの高額品が売れ、それがテレビニュースやワイドショーでどっさり伝えられて、世間は株高効果で浮かれました。民主党政権時代とは打って変わった上げ潮ムードのさなかで参議院選投票日を迎えました。

  2012年12月26日 自公連立政権・安倍内閣成立
      12月28日 日経平均10,395.18円
  2013年03月20日 黒田東彦、日銀総裁に就任
      03月21日 日経平均12,635.59円
      04月04日 日銀、異次元金融緩和決定
           物価上昇2年で2%上昇が目標
      04月05日 日経平均12,833.64円
      07月19日 日経平均14,589.91円
      07月21日 参院選投票日


■2013年7月参院選後~2014年12月衆院選
 8ヵ月で息切れ → 日銀「異次元金融緩和」拡大、年金積立金「株投入倍増」

安倍首相は「株高」に全力を尽くしています。「円安」も「株高」を作り出すための方策です。「株高」でさえあれば、ほかの政治でさまざまな無理押しをしても国民は文句を言わない。そう思っています。

異次元緩和は成功し、世間は「株高」に沸いて、自公与党は2013参議院選で勝ちました。

ところが2014年に入ると「異次元緩和」効果が息切れします。8ヵ月しかもたなかった。5月19日14,006.44円まで、年初から下げ続けます。その後は15,500円ラインを上下してもたつきます。

2014年10月31日、日銀「異次元金融緩和拡大」決定、塩崎厚労相が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が年金積立金「株投入倍増」を認可しました。

この施策は効果てきめんでした。株価上げ潮の中で、12月14日衆議院選投票日を迎えます。2014衆議院選、自公与党勝利。またも勝利です。

しかし、年金積立金の株投入比率をここまで増やすことは、株価下げ場面でのダメージが大きく、安倍内閣温存という安倍晋三私的目的のために国民の老後資産を危険にさらすものです。

   2013年12月12日 与党、平成26年度税制大綱発表
            復興特別法人税1年前倒し廃止決定
      12月30日 日経平均16,291.31円

   2014年01月06日 日経平均15,908.88円
      05月19日 日経平均14,006.44円
      09月25日 日経平均16,374,14円
      10月17日 日経平均14,532.51円
      10月30日 日経平均15,658.20円
      10月31日 日銀、異次元金融緩和拡大決定
        〃   年金積立金、株式投資25% → 50%へ
      10月31日 日経平均16,413.76円
      12月12日 日経平均17,371.58円  
      12月14日 衆院選投票日 


2014年12月衆院選後~2016年7月参院選

2015年の株価は順調だったのですが、8月下旬~9月末までガクンと値を落とします。2回目の「異次元緩和拡大」と「年金積立金株投入倍増」の効果は10ヵ月しかもたなかった。

しかし日経平均株価は10月始めに18,000円を取り戻し、それから年末にかけて良いペースを回復しました。

この8月下旬~9月いっぱいの株価下げ局面の影響で、GPIF第2四半期は、期間収益ー7兆8,899億円になっています。もっともGPIF第3四半期は、期間収益+4兆7,302億円と黒字になっていて、通算ー3兆1,597億円です。

2016年の日経平均株価は年初から6営業日続落して、衝撃を与えました。1月21日16,017.26円まで下がり、1月29日日銀は「マイナス金利導入」を決定しました。そんなことできるのん? 

驚きの「マイナス金利」発表でしたが、株価には何の影響を与えることもできない。証券・金融界は日銀の追加施策を期待しましたが、3月25日日銀はマイナス金利継続を表明することしかできず、証券・金融界の失望を買いました。

しかしこれで、日本政府と日銀は、日銀のできる金融操作だけでは経済局面を打開できないことを世界に公表したことになります。おまけにその後の株価の低迷が、政府・日銀・GPIFなど公的年金機関投資家が無力であることを示しています。さらに、これらの事実が安倍内閣誕生以後のアベノミクスの実績が失敗だったことを明示しています。

安倍内閣誕生から異次元緩和で安倍首相に奉仕してきた日銀は今や、打つ手を縛られて喘いでいます。

   2015年01月05日 日経平均17,408.71円
      08月20日 日経平均20,033.52円
      08月25日 日経平均17,806.70円
      09月29日 日経平均16,930.84円
      10月05日 日経平均18,005.49円
      12月02日 日経平均20,012.40円
      12月30日 日経平均19,033.71円

   2016年01月04日 日経平均18,818.58円
      01月21日 日経平均16,017.26円
      01月29日 日銀 マイナス金利導入決定
        〃   日経平均17,518.30円
      02月12日 日経平均14,952.61円
      02月26日 日経平均16,026.76円
      03月14日 日経平均17,233.75円
      03月15日 日銀 マイナス金利継続決定
      03月18日 日経平均16,724.81円
      05月19日 日経平均16,646.66円
      05月20・21日 伊勢志摩サミット財務大臣・中央銀行総裁会議
      05月26・27日 伊勢志摩サミット首脳会議
      05月27日 日経平均16,834.84円
      06月01日 首相記者会見、消費税延期
      06月07日 日経平均16,675.45円
      07月10日 参院選投票日


2016年7月参院選に向けての経済公約

6月1日総理記者会見で、安倍首相は「消費税10%増税延期」を公式に表明しました。消費税増税延期を経済対策と見ない人もいるでしょうが、これは立派な経済対策と言えます。その分だけ、消費減少を防げるからです。

そして安倍首相は、「アベノミクス『三本の矢』をもう一度、力一杯放つため、総合的かつ大胆な経済対策をこの秋、講じる考えです」と話しました。

黒田バズーカとか言う黒田総裁の日銀には、その異次元緩和には、もはや日本経済を主導する力がありません。それで政府は、3月ころから財政出動を検討しています。これは補正予算の形を取るので、参院選に間に合いません。おそらくこれから参院選投票日までに、より具体的な施策が有権者に提示されるでしょう。


三度目まで化かされたくはない

2013年参院選、2014年衆院選と2回、国民は安倍政権に化かされました。恩恵は底辺にまで及ぶはずでした。今年2016年参院選は、「三度目」になります。仏の顔も三度までと言いますが、三度まで化かされてはたまりません。大型補正予算は、巨額赤字国債によって賄われます。アベノミクスはこれまでに公的年金資金をつぎこみ、日銀に従来にない規模で赤字国債を買わせてきました。安倍首相のアベノミクスは、国民資産を食いつぶす危険にさらしているのではないか。もうやめてほしい。不安です。

--------------------------------------------------------------------------------

<私のアピール> 安倍総理退陣を願う

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍総理退陣まで、国政で安倍自民党に“No”を !
安倍総理を支持する政党、政治家、安倍総理にすり寄る候補者に、
次の参院選・衆院選で彼ら彼女らに“No”を !

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」をめざしています。
安倍首相の抱く国家像は「明治維新リメーク型日本」です。
平和な暮らしで栄えてきたデモクラシー日本。なぜ壊すのですか?

2012年12月26日、安倍内閣が成立しました。
アベノミクス効果で円安・株高が実現しました。
それは、日銀の過剰な国債購入、GPIFの過剰な株式買い入れを伴っています。

円安効果で輸出大企業が栄えました。同じ円安効果で食品など生活関連品、電気代などエネルギー費が値上がりして、大衆には生活費切り詰め効果がありました。

アベノミクスの円安・株高効果の本質とは、なんでしょう?
国民大衆の生活費で、少数の大企業や株投資家の金庫を富ませている結果ではありませんか?
国の財政を浪費して危険度を高め、年金資金を危ないリスクに賭けることではありませんか?
これまでの実績を見ていると、アベノミクスで国民一般が潤うときは来ません。
そのうえ、アベノミクスはすでに、行き詰まっています。

安倍内閣下で特定秘密保護法が成立しました。安保関連諸法が成立しました。内閣法制局長官と、自民党・高村副総裁と、公明党・北側副代表の三者で手を握って、憲法違反の集団的自衛権を合憲だと、押し通しました。NHKの経営委員や会長には、安倍首相の息のかかった人が座りました。

政府に「批判的な」テレビ論調に政府・自民党の圧力がかかりました。
政府に「同調的な」テレビ論調に、圧力はありません。政府・自民党が「公平でない」のです。
テレビ局や公共の会館管理者などに自主規制が広がっているように見えます。
安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。安倍総理退陣を願っています。



コメント

安倍首相の政治スタイルから同日選を考えてみる――後日談

2016-06-04 23:19:41 | Weblog


2016年5月31日朝刊各紙が、消費税10%増税を延期し、衆参同日選がないことを、一斉に確定報道しました。ということは、5月30日夜のうちに、コトが決まったということでした。同6月1日総理大臣記者会見では、安倍首相が消費税10%増税の延期と、7月10日参院選投票日を公式に明らかにしました。衆院解散はなかった。私の見立ては、衆参同日選はあるというものでしたから、当たりませんでした。 「安倍首相の政治スタイルから同日選を考えてみる」


衆参同日選報道・コメントは辻占いと同じていどの値打ちでした

同日選の有無については、有るという見方と無いという見方を並列的に話すキャスターや解説者、コメンテーター、新聞報道ばかりでした。この報道やコメントの質は、私が高3受験生の時に見てもらった占い師と変わりないものです。私の占い師体験を下に書きます。

私の母にはけっこう占いをおもしろがるところがあって、私も時々同行したことがありました。私が高3のあるときのことでした。河原町(私は京都育ちです)に母といっしょに行くことがあり、タクシーの道すがらに母の出来心で途中下車しました。占い師のところで母が見てもらったあとに、高3受験生だった私を見てやってくれと占い師に言いました。

私はどっちでもよかったので、母の言うとおりに見てもらいました。手相を見て、筮竹をもんで、占い師がいろいろと見立てを言います。私はイエスかノーかで詰め寄ります。知りたいのは合格・不合格の結果だけです。それ以外のごまかし講釈は要りません。XX大の入試に通るか通らへんか。何回かくり返して同じことを聞きました。そのときの占い師の最終解答は、「しっかり勉強すれば必ず通ります。しっかりやらないで通る人はいませんよ」でした。占い師は本当にそう言ったんです。

衆参同日選についての数多のコメントや報道は、この占い師と同じていどのものでした。ぐずぐずと話をひっぱって、結局、有るのか無いのかはっきり言わないコメンテーターなど役に立ちません。

報道記者は、できるだけ広範な事実や発言を提示して、読者や視聴者に判断の材料を示すのが主たる役どころでしょう。コメンテーターや評論家と少し役どころが違います。


同日選有り無し――田崎氏、曽我氏、宮崎氏、後藤氏、孫崎氏  

時事通信社解説委員・田崎史郎氏が5月のそんなに遅くない段階で、「同日選は無い」と断言しているのをテレビで見た記憶があります。しかし田崎氏は「安倍首相御用達」評論家として知られ、安倍ボイスマシーンのような人です。彼は、ジャニーズの誰がどうしたこうしたと事細かに興味深く話す芸能レポーターの政界版です。芸能レポーターの料理材料は芸能人。田崎レポーターの料理材料は政治家です。どちらも同じレベルの娯楽、アミューズメントです。それで誰もが田崎氏の言葉通りに受け取らずに、聞き流していました。

きのう6月4日のABCテレビ(大阪)の「正義のミカタ」という番組中で、朝日新聞編集委員・曽我 豪氏が立って、衆参同日選のことについて解説していました。その中で曽我氏は、同日選への安倍首相の意欲を語って、「私は最後まで同日選は有ると思っていました」と話しました。同日選についての首相と周辺の状況を述べて、それで同日選は有ると、最後まで思っていたと話しました。誠実な人です。

この言葉が終わるや否や、コメンテーター席に座っていたなんでも評論家・宮崎哲弥氏が口を挟みました。――私は、熊本地震以後、同日選はないと思っていました。

ああ、みっともないこの言葉。それならもっと早くにそう言ってください。震度7熊本地震の発生は、5月14日夜と5月16日未明の2回です。熊本地震以後と宮崎氏が言うのなら、せめて5月20日ごろに確言予測してほしかった。

私が「安倍首相は選挙直近になると「株高」対策を打つ」に、「私の結論は『消費税増税延期決定』です」と書きいれたのは5月18日夜でした。そして「安倍首相の政治スタイルから同日選を考えてみる」に、「同日選はない」と書き入れたのは5月27日でした。

きょうの宮崎哲弥氏のみっともないことばを聞いたあと、ネットで調べてみると「宮崎哲弥 衆参同日選挙やる意味分からない」というインタビュー動画が2016/05/25に公開されています。

ここで宮崎氏は、衆参同日選挙に対する考えを問われました。宮崎氏は、「私は政局評論家ではありません。政策評論家です」と答えて、同日選の有り無しについて答えを避けています。続けて「衆参同日選挙しなければいけない理由がない」と話しました。同日選の意義がないとコメントしているので、有り無しの見込み判断をしていません。

それなのに、「同日選は無いと思っていた」と、今ごろになって堂々と話すのが彼らしいところです。日ごろテレビで彼が話していることには、彼の考えらしきものは何ら感じられません。おそらくインターネット情報を熱心に収集して、そのネタを話しているだけだろうという印象で、私なんぞにとってはばかばかしくて聞くに堪えません。

もう一人、テレビ番組「報道ステーション」コメンテーター・後藤謙次氏が「同日選はないだろう」と予測しているのを見つけました。「スポーツ報知」2016年5月30日6時0分配信記事で、「7月の参院選を前に支持率も悪くはない。安倍首相は解散の決断はしないだろう」と書いています。5月29日夜までの判断です。後藤氏も無難で政権への心配りしたコメントしかしない人ですが、5月31日一斉報道より一日前のことですから、宮崎哲弥氏とは大違いです。

外務省国際情報局局長ほかを歴任した東アジア共同体研究所・孫崎 享氏も、「同日選挙は、『出来なくなった』」というインタビュー動画が2016/05/26に公開されています。同日選挙は「出来なくなった」と簡単に答えています。各地衆議院小選挙区の1人区で野党統一候補の準備が進んでいて、自民党が議席を減らすのはまちがいない。だから今、衆院解散はしたくてもできないと言っています。話の筋が明解ですし、5/26時点のことです。朝日新聞編集委員・曽我 豪氏が「最後まで同日選は有ると思っていました」と同日選への見込みが当たらなかったことと同様に、好感を持ちました。

衆参同日選の予測は、つまるところ総理の一存に依存しているので、見立てが当たらないことをそんなに気にしなくていい。政界の指導者なら選挙は命がけだからそうはいかないでしょうが、それ以外の人はあたらなくてもいい。それよりも、判断の理由や根拠、評者の考え方などをはっきりと示して結論を出してくれてこそ、評論家やジャーナリストと言えるでしょう。

‥‥この衆参同日選を巡る形勢を2016年6月1日付毎日新聞が伝えているので、下に転載します。同日選への安倍首相の執心がよくわかります。

--------------------------------------------------------------------------------

検証 消費増税再延期決定(その2止) 「増税」「解散」熟考半年 首相の判断連動 きしみ見え始めた政権 (毎日新聞 2016年6月1日朝刊)


 「消費増税の延期について国民の審判を仰ぐには参院選がある」。安倍晋三首相は5月31日夜、出身派閥である細田派の国会会期末の慰労会に顔を出し、衆参同日選は見送り、参院選で増税延期の判断を問う考えを示した。

 もともと増税の再延期と衆院の解散は、昨年から別々に検討されていた。しかし、首相が2014年11月の増税延期の際、衆院を解散していたことから、二つの判断は次第に重なり合うようになった。

 首相の考えのなかで、方向性が先に明確になったのは、税の方だった。首相は昨年の後半、「(財務省は)消費税率8%への引き上げで経済に影響はないと言っていたのに、大丈夫じゃないじゃないか」としばしば周辺に漏らすようになった。14年4月の消費増税後、個人消費がなかなか回復しなかったことを懸念していた。

 首相官邸が、水面下で消費増税の再延期に向けた準備を始めたのは昨年12月ごろだったと政府関係者は明かす。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の議題を設定するタイミングと重なっていた。

 12年12月に返り咲いた安倍首相の政権が3年半にわたり、堅調な支持を維持してきたのは、経済政策のアベノミクスが一定の成果を上げたからだ。だが原油安や中国など新興国経済の不安定化により、株価は下落し、円高も進行した。

 新興国経済の不安定化により「世界経済はリスクに直面している」。サミットで首相が打ち出した「リスク論」の原案は昨年12月には浮上していた。

 首相は「アベノミクスは雇用創出などでは着実に成果を上げている」と自信を示し続ける一方で、サミットで各国が一致した世界経済のリスクに対応するためだとして、消費増税を再延期する場合の理屈とした。

 一方、衆院解散に向けてフリーハンドを得るための策も取った。昨年11月16日、首相はトルコ外遊中に記者団に、通常国会を1月4日に召集すると早々に明言した。150日の通常国会の会期末は6月1日。「解散から40日以内に選挙する」との憲法の規定を使って6月1日に解散すれば、7月10日に衆参同日選が可能となる召集日をあえて選んだ。

 個人消費の落ち込みを招く消費増税に踏み切れば、アベノミクスが失速する恐れがある。首相は増税延期に傾いてはいたものの、再延期すれば「公約違反」と批判されることを懸念していた。批判を回避するには、衆院解散をする道がある--。官邸筋は「首相は政治論と政策論との間で揺れていた」と解説する。

 最終局面で首相は政府・与党幹部と協議の場を持ったものの、増税延期と同日選回避はすでに決断しており、事実上の「通告」に近かった。二つの決断の過程では、政権中枢や省庁間の亀裂も浮き彫りになった。「政権がガタガタし始めた」(自民党三役経験者)と懸念の声も出ている。


■同日選 徐々に後退

 通常国会の開会日が1月4日に設定されたことで、永田町では、年明けから同日選実施への観測が急速に強まった。2月、自民党のベテラン議員が所属の派閥事務所を訪れると、親しい閣僚の一人が、過去の衆院選の得票総数と獲得議席をまとめた資料を差し出した。閣僚が「今みたいに民主党(当時)が全然駄目なときに解散すべきだ」と指摘したため、この議員は「ダブル(同日選)はある」と受け取った。

 当初、首相の念頭にあったのは念願の改憲を実現するために衆参両院で3分の2以上を確保するための「攻めのダブル」だった。長期政権の仕上げとして改憲が現実的な目標としてちらつき始めた。「改憲派」の先達である中曽根康弘元首相が断行して大勝した1986年の同日選の再来だ。

 首相は2015年に念願の安全保障関連法を成立させており、周辺は「残るは憲法改正。首相がそれを追求しないわけがない」と語る。

 だが、その高揚感は長くは続かなかった。年初からの株価の低迷が長引くと、格差拡大などアベノミクスの負の側面が指摘され始めた。中堅・若手議員の失言が相次ぎ、不倫報道で若手議員が辞職。内閣支持率も低下傾向を見せた。

 「このままでは参院選で勝ち抜けない」。参院の改選議員の焦りが広がり、参院自民党の溝手顕正議員会長は3月、同日選について「賛成だ」と明言した。衆院選を同時に行えば、連動して参院選での票が伸びるとの参院の議員心理からの発言だった。参院の改選数1の1人区で野党の選挙協力が進み始めたことも危機感を強めた。

 憲法改正のための同日選が「攻め」とすれば、この段階では参院選で負けないための「守りのダブル」に変質していた。

 「守り」がさらに進むと、解散で衆院の議席が減少することへの懸念が浮上してくる。4月の北海道5区補選で野党共闘が成立し衆院選でも野党共闘の可能性が現実化。自民党の4月調査では、衆院で「20〜30議席減らす可能性がある」(党関係者)との結果も飛び出した。現在の保有議席は自民292、公明35。調査結果の通りになれば、同日選で衆院の「3分の2」ラインを割りかねない。政権の中枢を担う菅義偉官房長官を中心に、慎重論が力を持ち始めた。

 「今の衆院議員はかつてほど集票力がない」(自民党幹部)と「ダブル選効果」に疑問を呈する意見も出始めた。5月の自民党調査では、参院選単独でも改選対象の現有50議席以上を得られるとの結果が出た。

 31日夜の細田派の会合。首相は「熊本の震災があり、前回(14年衆院選)からまだ1年半しかたっていない。衆院選をあえてやることに国民が理解できるのか。今回は先送りする」と説明した。だが、実際は、政権を維持するための得失を最後まで慎重に勘案した結果の決断だった。

コメント