川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
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<桜を見る会> 公選法違反、政治資金規正法違反は確実、検察の手は安倍晋三に届くのか、安倍晋三は慶応病院に逃亡入院するのか

2020-11-26 20:36:51 | Weblog

〈追記〉2020.12.03. 東京地検特捜部が安倍晋三前首相の任意聴取を要請した。 


■安倍前首相は「潰瘍性大腸炎」名目で慶応病院に逃げるかも

安倍前首相の辞任表明前。たいそうな車列で慶応病院に入ったニュースを2回見ました。難病の潰瘍性大腸炎再発らしいというニュースがくりかえされました。

そして辞任表明会見が行われましたが、病状について医師の記者発表もなく、安倍氏本人と周辺が「再発して国政担当はムリ」と言うだけでした。医師の記者発表がないことに疑いを持つ人もけっこう多くいましたが、「難病でしんどいから辞める」という首相にしつこく食い下がるわけにもいかない。

案の定、薬が効いたと言って10月ごろから安倍晋三さんが活発に動き始めた。潰瘍性大腸炎は調子のよいときはさほど心配はいらないと、病気の説明にある。

要は、病気辞任にはほかの理由があったということになる。その理由の一つがこの「桜を見る会」問題ではないのか。なるほど総理大臣をやめれば当たる風の強さはぐんと和らぐ。逃げの姿勢だ。黒川弘務氏の自滅で、検察支配が成功しなかったことの影響には多大なものがあります。安倍政権のタチが悪いだけに、検察が悪魔の手から逃れることができて、日本国にも幸運なことでした。

安倍晋三後援会の「桜を見る会」に関する公職選挙法違反、政治資金規正法違反問題の一角がついに崩れた。

11月24日早朝、報道他社が特ダネと言う読売新聞の速報が流れ、雪崩を打って報道各社が追い、夕方から夜のテレビニュースがもれなく伝えたビッグニュースでした。

安倍晋三後援会の「桜を見る会前夜祭」の1人当たり費用は一人5000円会費を超えていて、超過分は安倍事務所が支払っていた。前夜祭会場ホテル側は安倍事務所に領収証を渡していたことを東京地検特捜部が確認した。

11月24日午後、安倍前首相が国会内で記者団に答えました。「23日秘書から報告があった。秘書はこれまで、事実通りに報告していなかった。私は国会で秘書からの報告通りに答えてきた」

不祥事を起こした自民党政治家の定番通りの逃げ口上です。秘書が罪を引き受け、主君である政治家は無傷。2014年の小渕優子衆院議員がそうでした。


もしも安倍前首相に直接事情聴取とかの事態が近づけば、都合の良い持病・潰瘍性大腸炎で慶応病院に逃亡入院するかもしれません。安倍前首相の腹心・甘利明氏がそうでした。

  2016/01/20 週刊文春報道 経済再生担当大臣室で現金授受
      01/21 甘利大臣 記者会見
      01/22 衆・参本会議 経済演説
      01/28 参院本会議後 大臣辞任記者会見
      以後、「睡眠障害」療養のため通常国会全欠、国会逃亡124日 
      06/01 通常国会閉会、で、「睡眠障害」治癒したらしい?
      06/06 神奈川県大和市の事務所で報道陣に本日から政務復帰

  click <政治とカネ > 安倍内閣 甘利明前大臣の大臣室現金授受事件を忘れない(1)
  click <政治とカネ> 安倍内閣 甘利前大臣の大臣室現金授受を忘れない(2) 


〔読売新聞2020.11.24. 06:45 記事から〕

 安倍晋三前首相(66)側が主催した「桜を見る会」の前夜祭を巡り、会場のホテル側に支払われた総額が、昨年までの5年間に計約2300万円に上ったのに対し、参加者からの会費徴収額は計1400万円余りにとどまっていた疑いのあることが関係者の話でわかった。東京地検特捜部は、差額の計800万円超を安倍氏側が補填(ほてん)していた可能性があるとみて、捜査している。

 ホテル側は、安倍氏側から差額を受領したことを示す領収書を作成し、安倍氏側に渡していたといい、特捜部も領収書の存在を把握。ホテル側や安倍氏側から提出された資料を分析するとともに、安倍氏の公設第1秘書や私設秘書のほか、地元の支援者ら少なくとも20人以上から任意で事情を聞いた。

安倍氏はこれまで、「後援会としての収入、支出は一切なく、事務所側が補填したという事実も全くない」と説明してきた。

 

(1)東京地検に告発 2019年11月20日

市民団体「税金私物化を許さない市民の会」地元後援者の無料招待と前夜祭での会費徴収について公職選挙法違反(買収)や政治資金規正法違反に当たるとして安倍首相を刑事告発。市民の会には作家の鈴木邦男さんやジャーナリストの斎藤貴男さんら約50人が参加している。


(2)東京地検に告発 2020年1月14日

「桜を見る会」の関係者後援会員招待など私的利用をめぐり、上脇博之氏を含む13名が告発人になって、「被告発人安倍晋三の下記の告発事実に記載の所為は、刑法第247条背任罪 に該当すると思料しますので、捜査のうえ厳重に処罰されたく告発いたします」として、東京地検に告発しました。告発状ほか明細は、次のアドレスで閲覧・ダウンロードできます。

http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/wp-content/uploads/2020/01/31437555582fb39413a713b8a50cd5ff.pdf


(3)東京地検に告発 2020年5月21日

「『桜を見る会』を追及する法律家の会」662名が告発人になって、「桜を見る会の前夜祭」について、刑法第60条共同正犯、政治資金規正法第25条、同法第12条に該当するとして、安倍晋三内閣総理大臣、後援会代表者・配川博之、後援会会計責任者・阿立豊彦の3名を、刑法第60条共同正犯、公職選挙法第249条の5、同法199条の5に該当するとして、安倍晋三内閣総理大臣、後援会代表者・配川博之の2名を東京地検に告発しました。
 
これの告発状の内容は実に詳しく、一読して全容が理解できます。次のアドレスで閲覧できます。 → https://www.chosyu-journal.jp/shakai/17300
 

(4)東京地検に告発 2020年8月6日

 全国の弁護士や法学者による告発第2陣279人が8月6日、「桜を見る会前夜祭」について公職選挙法と政治資金規正法に違反した疑いで、安倍首相と後援会幹部の計3人に対する告発状を東京地検に新たに提出した。この問題を追及する法律家グループは5月にも662人が同様の告発をしており、これで 941人に上る。


 ※(1) 刑法60条‥‥二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
 ※(2) 公職選挙法249条の5‥‥選挙区内の後援団体等への寄附は罰金50万円以下
 ※(3) 公職選挙法199条の5‥‥後援団体は選挙区内の有権者・団体に寄附して
                 はならない
 ※(4) 政治資金規正法25条1項2号、同法12条1項1号ホ、12条1項2号は、
     資金の出入り詳細の報告項目規定


■これまで知られている東京地検告発は4件

これまでに上記(1)~(4)の安倍晋三前首相の「桜を見る会」東京地検告発が報道されています。
 
 (2)については、今年2020年1月14日に東京地検に告発状を提出したが、同1月31日に「不受理」として、東京地検は告発状を受理しなかったことが明らかになっています。
→ 黒川弘務東京高検検事長(当時)自滅退職前

これまでに類似の告発が成されてきたが、告発状受理 → 不起訴はあっても、不受理というのは異例のことだそうです。

(1)は受理か不受理かの報道を見つけることができていないので、受理・不受理の確認ができません。しかしながら、不受理の公算大と推察します。

(3)は受理されています。(4)はその後の報道をみつけることができていませんが、(3)と同様の性質の告発で告発人の数量的加算の意義があるので、(3)と同様に受理されているものと思います。

 この4件のうち、(2)不受理、(3)受理の相違は、「告発時期」が原因になっていると考えることができます。 
→ 黒川弘務東京高検検事長(当時)自滅退職
                      の後に変化が起きました


■韓国における文在寅政権と尹錫悦検事総長の対立

今、韓国では文在寅政権と尹錫悦検事総長の権力闘争が大変なことになっています。文在寅大統領が尹錫悦氏の硬骨を見込んで検事総長に任じたのだが、文在寅大統領派の主要人物の不祥事が続発しました。

これら不祥事に対して尹錫悦検事総長は何ら手心を加えることなく大統領派を追いつめるものですから、文在寅大統領は女性ながら筋金入りの秋美愛氏を法相に任命しました。この新しい法相は検察庁幹部を地方庁に出し、代わりに検察幹部を文在寅大統領派で固めました。これを韓国紙は「大虐殺人事」と呼んでいます。

さらに、法相による操作指揮権を3回も発動して、尹錫悦検事総長が動けないようにしました。それでも尹錫悦検事総長の意気はへこたれない。迫害に抗する検事総長の姿を見て、世論調査で次期大統領候補人気ナンバーワンにまでなりました。そこで法相はついに、検事総長に職務執行停止命令を出しました。

 尹錫悦検事総長はこれに抗して、地位保全を裁判所に訴えました。日本も同じ傾向ですが、裁判所も上に行けば行くほど、時の政権や時代の空気に迎合的になる傾向があります。法相指揮権発動が連続3回、法相による検事総長職務執行停止命令は韓国でも前例のない異常なものです。今のところ硬骨検事総長に勝ち目がありません。



■安倍首相(当時)による検察私物化作戦――突然遭難

韓国で今展開中の検事総長追い落としは人ごととは思えません。日本でも今年初めから5月まで安倍政権による露骨な検察攻めがありました。黒川弘務東京高検検事長問題です。

安倍首相(当時)は、今年2月8日に定年を迎える黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年延長を1月31日に閣議決定しました。この駆け込み閣議決定による定年延長は検察庁法に従えば完全に「違法」です。しかし安倍首相は公務員法の定年規定を持ち出して、「合法」だと言い張りました。

安倍晋三流は「遵法」ではなくて、折に触れて「無法、勝手なこじつけ合法」が目につきます。「違法の閣議決定」という声は大きくなり、全国各地の弁護士会から「検察官の定年延長は違法」という声明が相次ぎました。

安倍首相(当時)は放っておけなくなって、黒川氏定年延長を後追い合法にするために、検察庁法の改正を企てました。安倍首相は黒川弘務氏を検事総長にしたい。稲田検事総長(当時)との定年レースです。

そのまま進んでいれば、稲田伸夫検事総長(当時)は1956.8.14.生まれ。検事総長の定年は65歳なので、2021.8.14.まで在職できます。

幸いにも黒川検事長(当時)が賭け麻雀問題を起こして突然失脚。安倍政権による強引な検察攻めは遭難して終わりました。

しかし残念なことには、自公与党内の良識派によって、あるいは野党の健闘によって、あるいは私たち国民の良識のうねりによって、それら民主主義の力によって、安倍首相(当時)を思いとどまらせたのではありません。



■安倍前首相の気持ち 「森友」「加計」は終わった
■「桜を見る会」「河井金権選挙の火の粉」はこれから
■検 察 vs 安 倍

  稲田伸夫氏 2014年 法務事務次官
        2016年 仙台高等検察庁検事長
        2017年 東京高等検察庁検事長
        2018年 検事総長

  黒川弘務氏 2010年 法務省大臣官房付
        2016年 法務事務次官
        2019年 東京高等検察庁検事長

黒川弘務氏の法務大臣官房付の期間は長い。そのうえ民主党政権と安倍政権にまたがっています。安倍政権は2012年12月以後です。民主党からも自民党からも重宝される人柄だったのではないでしょうか。それはまた政治家に押されやすい、検察官としては弱さがあったのかもしれません。黒川氏本人も数年間も政治家の足元で働くことを好まなかっただろうと思いますが、政治家が手放さなかったのでしょう。

黒川弘務氏は優秀な人だったそうですが、検察本流人脈から検事総長は任せられないと見られていました。政治家と近すぎるというのが検事総長に向かないと見られた理由です。

安倍首相は早くから検事総長にしたかったと見られていますが、人事は、検察官の枠内で若いころから時々に人物評価が成されながら、行く末の人事を想定したローテーションの中で回っていきます。安倍首相といえども検察官人事にやすやすと介入することは難しかったと思います。

稲田伸夫氏が検事総長になった時からすでに、安倍首相は黒川弘務氏を次期検事総長に想定していました。

安倍政権は法治主義ではなく、人治主義です。必要とする要路に自分の意を通じた人物を配置し、法を曲げることを厭わないその人物を使いこなして国政運営をします。

森友・加計ともに安倍首相(当時)は批判の中を切り抜けてきました。私的カラーの強い政治をするものですから、批判集中は当然です。

森友公文書変造問題は2017年、2018年に大問題になっていました。しかし、大阪地検がすべてを不起訴にしました。あれほど大量で規模の大きい公文書変造であるにもかかわらず、起訴された人は一人もいません。それは、黒川弘務法務事務次官の時代のことです。安倍首相は検察庁を押さえることに、絶大なメリットを再確認したことでしょう。

安倍首相(当時)は黒川弘務氏を検事総長にしたいと考えてきました。その黒川弘務東京高検検事長(2019年当時)の定年は63歳。2020年2月で終わります。もう目前。

検事総長の定年は65歳です。なんとしても満63歳の日の前日までに、黒川弘務氏を検事総長に任命しなければなりません。2019年12月ごろには、安倍首相側から稲田伸夫検事総長に勇退をもちかけています。稲田検事総長は応じません。安倍首相(当時)は焦ります。

稲田検事総長を始め検察主流はなんとか安倍政権の圧力をしのいで、稲田伸夫氏の次は林眞琴氏を想定して人事を構えていました。

稲田検事総長は検察を立て直したい。そのために2019年夏から広島地検に東京地検から応援を派遣して、河井夫妻の金権選挙の調査を始めていました。もちろん安倍首相もそのことを知っていたでしょう。

それに加えて2019年11月8日、田村智子参議院議員(共産党)の国会質疑で「桜を見る会」問題が一気に燃え始めました。2020年1月、2月は「桜見る会」問題は野党の集中砲火を浴びました。

安倍首相(当時)は追いつめられました。黒川検事長の定年日は2020年2月8日。万策尽きた安倍首相は、2020年1月31日、黒川弘務東京高検検事長の特例定年延長を泥縄式に閣議決定しました。これは検察庁法を素人が読んでも違法。安倍晋三個人の私的利益のためだけの閣議決定でした。 

おまけに閣議決定の違法性を隠すために検察庁法の改正を仕掛けた。黒川弘務氏の自滅がなければ、強引に国会を通過させたでしょう。

こういう経過を踏んだうえの東京地検による「桜を見る会」捜査。進展を期待しております。

 2020-05-25.当ブログ記事の文末に私は次のように書きました。


       


〔2020-05-25 川本ちょっとメモの文末から〕

林眞琴氏が次期検事総長に就任するかどうか。まだまだ駆け引きがあるかもしれません。
(※現在、林眞琴検事総長です)

また、河井前法相夫妻の公職選挙法違反を起訴に持ち込めるかどうか。起訴に持ち込めてもそこで終わるのか。あるいは、けた外れの党支給選挙資金の絡みで安倍首相に迫ることができるのか。
(※公判中、自民党総裁・幹事長には迫れない)

「桜を見る会」告発はこれからどう進むのか。東京地検の取り組みはこれからです。森友公文書変造事件では、あれほどの大規模な公文書変造でも関係者全員不起訴にした検察ですから、心もとない限りです。これを機会に検察再建にかけるよう、検察官の皆さまの奮起を期待します。

森友公文書変造事件に絡む赤木夫人の裁判もこれからです。

 


コメント

菅義偉首相も知っている官房副長官2014.02.20.衆院予算委招致の前例――慰安婦問題に関する石原信雄答弁国会会議録

2020-11-15 07:29:40 | Weblog


日本学術会議会員の任命拒否問題について、杉田和博副官房長官の国会招致を巡って、政府与党と野党が対立しています。事務方官房副長官の国会招致は前例が無いとか稀だとかで、政府与党が杉田官房副長官の国会隠しで防戦しています。

菅首相は2020.10.05.内閣記者会インタビューの席で「推薦された方をそのまま任命してきた前例を踏襲してよいのか考えてきた」と話しています。

違法当否の問題はさておき、「前例云云」を言えば、同じ学術会議問題について、任命については菅首相が「前例を踏襲してよいのか」としています。杉田官房副長官の国会招致については「前例稀なるため」と自民国対が前例を踏襲する苦しい言い訳。11.15.現在、自民国対が未だ杉田和博氏の国会招致を拒絶しています。政府・与党の身勝手論理が露骨に出ています。

しかし、慰安婦問題を巡る2014年(平成16年)2月20日衆院予算委員会、山田宏議員(当時、日本維新の会)の質問に、事務方である石原信雄官房副長官(当時)が答弁に立ったという前例があります。

この時は、菅義偉官房長官(当時)も山田宏議員質疑の答弁に立っています。事務方石原官房副長官国会招致について、直上の官房長官であった菅首相は6年前の石原信雄氏のことを鮮明に覚えているはず。

日本学術会議会員の任命拒否問題について、杉田和博副官房長官が学術会議の推薦名簿から6人を削除した張本人であることが既に明らかになっています。

菅義偉首相は6人削除の仔細を見もせず、検討もせずに、杉田官房長官の進言通りに「任命拒否」という重要な決裁をしたことも既に明らかになっています。

日本学術会議人事への政府介入が明らかになっていて、それが杉田官房副長官の手によって行われていたことも明らかになっているのですから、当然、政府与党には杉田和博氏を国会に出席させる責務があります。



 野党、杉田副長官の国会招致要求 森山自民国対委員長は否定的見解
                (毎日新聞 2020.10.14. 20:00)

 立憲民主党の安住淳国対委員長は14日、自民党の森山裕国対委員長と国会内で会談し、菅義偉首相が日本学術会議の新会員候補6人を任命しなかった問題に関して、杉田和博官房副長官を国会招致するよう求めた。杉田氏は新会員の任命にあたり、105人の推薦者名簿から6人を除外する作業に関わったことが明らかになっている。

 安住氏は会談後、記者団に「民主主義の根幹に関わるような人事に関わっているなら説明する責任がある」と述べた。森山氏は記者団に杉田氏の出席について、加藤勝信官房長官らが国会答弁に立つことも挙げ「事務の副長官が国会に出てくるのはまれだ」と強調し、慎重な姿勢を示した。

 政府は菅首相が事務方の判断を踏まえて任命したと説明しており、政府関係者への取材で事務方トップの杉田氏が事前の判断に関与したことが明らかになっている。杉田氏は警察庁出身で、2012年の第2次安倍内閣の発足から官房副長官を務めている。



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https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=118605261X01220140220&current=1

第186回国会 衆議院 予算委員会 第12号
2014年(平成26年)2月20日

  〔従軍慰安婦問題に関する山田宏衆院議員質疑

    ※山田宏氏は2012年12月衆院選、日本維新の会公認で、東京19区落選、
                    比例東京ブロック復活当選
         2016年7月10日参院選、自民党公認で、比例区当選


162 二階俊博
○二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。山田宏君。

163 山田宏
○山田(宏)委員 日本維新の会の山田宏でございます。
 きょうの集中審議のテーマは、外交安保、そして歴史認識、公共放送等ということでございまして、きょう私は、一時間の持ち時間の中で、歴史認識として河野談話の問題、そして公共放送NHKの姿勢について、そして集団的自衛権、こういった昨今の一番関心の高い問題について御質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、河野談話についてお尋ねをしてまいります。
 これはもう御存じのように、一九九三年、平成五年の八月四日に、当時の宮沢内閣の河野官房長官が発表した、いわゆる従軍慰安婦についての談話でございました。この談話がスタートとなって、現在、世界じゅうでさまざまなことが起きておりまして、この談話についてやはりきちっとお聞きをしておかなきゃいけない、こう考えておりまして、きょうは本当に貴重な機会をいただきました。

 まず最初に、これをごらんいただきたいと思います。
 これは、アメリカのカリフォルニア州グレンデール市における慰安婦像です。報道されておりました。この慰安婦像、在米の韓国人系のアメリカ人の方々または韓国人の方々が中心となって運動をされ、グレンデール市の公園に設置をされたものです。いわゆるこの慰安婦像に碑文がございまして、ここにこういうふうなことが書かれております。

「韓国、中国、台湾、日本、フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシア、東チモールとインドネシアの自宅から連れ去られ、一九三二年から一九四五年の間日本の帝国軍に性奴隷状態を強制された二十万人以上のアジア及びオランダ女性を追憶して」云々、こう出ているわけです。

 こんなこと、あったんですかね。自宅から二十万人以上の女性が連れ去られて、日本軍が性奴隷にしたということが掲げられたわけであります。

 私は、この慰安婦の問題については、真実であればきちっと謝罪をすべき課題だ、こう思っております。しかし、仮に、事実でない、または歪曲された事実、または捏造された事実ということであれば、こういったものに対して、きちっと国の名誉をかけて、または先人たちの名誉のためにも、そしてこれから、皆さんのところで育っている子供たち、お孫さんたち、そしてそのまた子供、孫、子々孫々にわたって、こういった碑文の前で、我々日本人がひざまずき、こうべを垂れ、そして卑屈さの中にさいなまれてしまうということは、私は、我々の代でやめてもらわなければならない、こう思っておりまして、きょうは、そういった趣旨で御質問させていただきたいと思っております。

 さて、こういう慰安婦像の話ですけれども、こういった像は、昨今いろいろなところで建てられております。ニュージャージー州のパリセイズパーク、ハッケンサック市、ニューヨーク州のウェストバリー、そしてこのカリフォルニア州のグレンデール、こういった似たような碑が建てられている、または像が建てられている。

 さらに、各国でもさまざまな、いわゆる従軍慰安婦にかかわる決議が行われております。(パネルを示す)

 一番上はアメリカの下院の決議ですけれども、二〇〇七年七月三十日、全部読んでいると時間がなくなりますから赤線を引いたところだけ読みますと、「日本帝国主義軍が強制的に若い女性たちを「慰安婦」と言われる性の奴隷にした」と断言しているわけです。

 下のオランダ下院決議では、これも二〇〇七年十一月八日、「強制性奴隷制度」、こういう文言ですね。

 カナダ下院決議では、「日本帝国軍のための「慰安婦」の性奴隷化や人身売買」「日本帝国軍が強制売春制度に関与した」。

 さらに、欧州議会決議では、「若い女性たちを帝国軍の性奴隷にするためだけの目的で公務として徴用し、“慰安婦”制度は輪姦、強制堕胎、屈辱及び性暴力を含み、障害、死や自殺を結果した、二十世紀の人身売買の最も大きなケースのひとつ…、」とまで言われています。

 こういったことについて、これが事実ならば、これは謝罪しなきゃいけませんよ。しかし、これは事実ですか。 事実かどうか、まず外務大臣にお聞きをしておきたいと思います。

164 岸田文雄(外務大臣)
○岸田国務大臣 御指摘のように、グレンデール市におけるこの慰安婦像、さらにはこの碑文、こうしたものが設置され、また、各国において慰安婦問題に関する決議が採択をされております。そして、その中には、我が国の認識とは相入れないものが存在いたします。

 こうした点につきまして、引き続き我が国の立場、また考え方、これはしっかり説明しなければいけないと思いますし、また、こうした問題は、決して外交問題化、政治問題化させてはならないと考えています。

165 山田宏
○山田(宏)委員 私は、事実であれば謝罪すべきだと思う。だけれども、捏造された事実であれば、これは断固、国の名誉をかけて反論しなきゃいけない。
 もう一度お聞きしますけれども、官房長官、この線を引いたところ、これは事実ですか。

166 菅義偉(官房長官)
○菅国務大臣 日本政府の立場、そうしたものや、これまでの取り組み等について、そうした日本政府の立場と異なることについてはしっかり国際社会に理解をしてもらうべく、外務省と連携をしながら、対外的に、広報活動を通じて、正すべきは正していくというのが基本姿勢であります。

167 山田宏
○山田(宏)委員 これは正すべき内容なんですよ。
 これだけじゃありません。これは国の話ですけれども、さらに、アメリカのいろいろな州においていろいろな決議が上げられておりまして、ニューヨーク州の上院、ニュージャージー州の下院、イリノイ州の下院、こういったところで同じような決議が上げられております。

 また、二〇一三年五月三十一日には、国連の拷問禁止委員会では、軍による性的奴隷の被害者と称して最終的な見解が、このいわゆる従軍慰安婦について述べられております。

 さらに、昨今では、フランスにおいて、いわゆるカンヌ映画祭の漫画版とも言われるアングレーム国際漫画祭において韓国が出した展示、もう完全に日本のこのいわゆる慰安婦の問題を、日本軍が強制的に韓国の少女たちを強制連行してレイプをし、性奴隷にした、こういった内容の漫画まで提示される始末であります。

 私は、先ほどもこの質問の趣旨に申し上げたとおり、これが事実ならば、これは謝罪しなきゃいけませんよ。事実じゃなければ断固として反論しなきゃいけないんですね。これは、私たちの国の名誉の問題です。私たちのお父さんや、祖父や祖母や、そのまたひいおじいさんや、兄や弟、おじさん、おばさん、お母さん、おばあさん、その人たちの名誉の問題なんですよ。

 さて、こういったことを、特にアメリカで中心に行われているということに対して、外務省はどういう対応をなさってこられたんでしょうか。

168 岸田文雄(外務大臣)
○岸田国務大臣 まず、先ほど来御指摘いただいております碑文ですとか決議についてですが、慰安婦問題に関する我が国の立場、考え方、これは累次、さまざまな場で説明してきたとおりであります。

 そして、御指摘の碑文等におきましては、我が国の認識と比較して、政府として確認し得ないこと、あるいは異なる内容、これが含まれていると承知をしております。こういった点につきまして、我が国の立場、考え方をしっかり説明していかなければならない、これは当然のことだと認識をしております。

 今日まで、こうした動きに対しまして、まずは関係者に対しまして、在外公館、大使等を通じまして、我が国の考え方、立場を説明する。また、現地の有識者、世論に大きな影響力を持つ有識者等に対してこうした問題について説明をしていくなど、この説明努力を続けてまいりました。

 ぜひ、こうした努力は引き続き続けていかなければならないと思っていますし、また、何よりも、こうした問題を政治問題化あるいは外交問題化させる、こういったことはあってはならないと考えています。

169 山田宏
○山田(宏)委員 政治問題化、外交問題化させないというのはわかりますけれども、させているのは相手の国じゃないですか。我々じゃないですよ、これは。
 今、説明と言っていましたけれども、一体どういう説明を外務省、また在外公館はしているんですか。説明、説明って、内容を教えてください。

170 岸田文雄(外務大臣)
○岸田国務大臣 まず、この問題に対する我が国の今日までの経緯ですとか考え方、これは当然説明しなければなりません。

 また、御指摘の中に地方議会での動きもありましたが、地方議会においてこうした問題を取り上げるということ、米国におきましても、その地方においてさまざまな民族の方々がともに生きようとしておられる、こうした地方自治体のありようを考えた際に、こうした問題を取り上げることはふさわしくないのではないか、こういった説明等、さまざまな視点から、角度から、この問題について我が国の考え方を説明させていただいている、こうした状況でございます。

171 山田宏
○山田(宏)委員 だめなんですよ、それでは。こういう内容は事実でないと説明しなければいけないのに、ここで取り上げる問題ではないとか、外交問題化すべきでないとか、そんなことをやっているから、どんどんどんどんこの内容が広がっていくんじゃないですか。

 外務省の今までの説明、私もアメリカへ行ったときにこの問題をアメリカの議員に抗議をしたとき、いや、この問題については、日本の大使館や領事館の方からは、この問題はもはや謝罪済みだ、見舞金も出している、だからもう終わっているんだ、日本はやるべきことはやってきたんだ、こういう説明をしたと言っているんじゃないですか。

 これは違う事実ですよ、事実とは違いますよという説明じゃなくて、謝った、見舞金を出した、お金も出した、こういう説明だったら、やったということを認めているということじゃないですか。

 どういう説明をしているんですか。反論しているんですか。事実ではないと言っているんですか。その辺をちょっとお聞きしておきたい。

172 岸田文雄(外務大臣)
○岸田国務大臣 この説明に関しましては、この問題に関する我が国の基本的な立場とあわせて、今日までの経緯、これも当然説明しなければなりませんし、そして、それとあわせて、御指摘の内容についても、我が国の認識、これは政府として、さまざまな場でこれまでも累次説明してきたとおりであります。

 これが我が国の考え方であり、こういった点につきましてしっかり説明をし、理解を得る、こういった努力も当然行ってきております。

173 山田宏
○山田(宏)委員 きょうは、テレビを見ている方々がいらっしゃるんですよ。今の答弁では、一体何を説明しているのか、説明したばかり言っているけれども、一体どういう説明をしたのかとお聞きしているんですね、どういう説明をしたのか。

 だって、日本軍がかつて二十万人の韓国の方を中心とした少女たちを強制連行して、レイプして、そして性奴隷にしたと言われているんですよ。どういう説明をしているんですか。それは事実じゃないと説明したんですか、一回でも。

174 岸田文雄(外務大臣)
○岸田国務大臣 当然のことながら、こうしたさまざまな碑文等において、我が国の認識とは異なる点、確認できていない点、これが存在するということ、これは当然のことながら説明をしてきております。

175 山田宏
○山田(宏)委員 いや、説明できていないから、どんどん広がっているんですよ。
 先日、地方議員の方々を中心として、杉並区議会の松浦芳子議員を中心として、何人もの地方議会の方々がカリフォルニア州のグレンデール市に行って、いろいろな方のお話を聞いたと聞きました。その中で、日系の人たちの話を聞くと、自分たちの子供が学校で非常にいじめられているというお話を聞いたというんですね。

 例えば、いろいろあるんですけれども、クラスメートの韓国人でいつも日本のことを悪く言う人がいて、事あるごとに議論を吹っかけられる、反論できずに日本の子供はじっと黙っているしかない、日本の大使館や領事館が日本を代表してしっかり反論してくれればいいのにという言葉や、また、日本の子供たちに対して、韓国人の子供が数人やってきて、独島は、竹島ですね、韓国の領土だと叫んで逃げていく、日本人の子供たちはただ茫然と見ているだけ。韓国系の多い学校に子供を通わせていたとき、ランチで日本のおにぎりを持っていったら、汚い、うんこみたいだ等のことを平然と言われた、韓国人の祖父母が常に孫たちにそう言っているようだ、そのようなことを言われ続けた結果、我が子が、僕には汚い日本人の血が流れていると言って、机に頭をたたきつけていたと。

 今、こういった碑が建てられている場所で日本人がどんなに肩身の狭い思いをしているか、わかりますか。日本の子供たちがどんなに傷ついているか、わかりますか。子供からは、学校に行って日本名で呼ばないでとお母さんも言われているんですよ、日本名で呼ばれたら日本人だとわかるから。
 こんな肩身の狭い思いをさせておいて、きちっと説明しているんですか。外務省は日本人を守るためにあるんでしょう。どこの国を守っているんですか。

 さて、このことについては、もともと、ここまで日本軍が強制連行したと言われる原因になったのは、河野談話であります。

 河野談話は、一九九三年八月四日に、河野洋平当時の官房長官が出した従軍慰安婦にかかわる談話です。翌日、八月五日に宮沢政権が退陣しまして、細川政権にかわっていきました。ちょうど変わり目、自民党政権の最後です。そのときにこういった河野談話を発表し、それが強制連行を認めたという原因になっています。

 河野談話のポイントを掲げます。河野談話はちょっと長いので、強制性の根拠になっているところだけ抜粋をいたしました。

 「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。」「当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。」

 これが、強制性の根拠となっている河野談話の主要な部分です。
 これに対して、安倍総理は、第一次安倍内閣のときに、二〇〇七年、平成十九年に、辻元清美議員の文書質問に対して答弁書を出しています。その答弁によりますと、この河野談話の調査結果の発表までに政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった、こうはっきり述べています。
 この見解は、今でも変わりませんよね。

176 菅義偉(官房長官)
○菅国務大臣 今の委員の発言は、第一次安倍内閣において閣議決定をされた内容でありますけれども、その中で、今述べられたように、調査結果の発表までに政府が発見をした資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったこと、こうしたことが閣議決定されておりますけれども、その認識は変わっておりません。

177 山田宏
○山田(宏)委員 そうです。閣議決定をされていますから、これは今の日本国の示している意思であります。そういった事実は発見されなかった、強制連行を示す証拠はなかったということでありました。
 そこで、きょうは大変御無理を申し上げまして、与党、また同僚の野党の議員の皆さんにも御了解をいただき、当時の河野談話の作成時に、その作成の責任を負われました石原信雄元官房副長官においでをいただいております。きょうは本当にありがとうございます。

 私は、当時の方々を非難するというつもりで今回立っているわけではありません。何としても日本に課せられたいわれのない汚辱を晴らしたい、こういう思いで、きょうは質問に立たせていただいております。なので、この河野談話が一体どういう経緯でどのようにできたのかということについて簡単にお話をいただければありがたいな、こう思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、石原元官房副長官は、この河野談話の策定においてどういう役割を果たされたか、お尋ねをさせていただきます。

178 石原信雄(官房副長官)
○石原参考人 河野談話が発出される経緯について申し上げます。
 実は、この問題が起こりました発端は、一九九三年、二年でしたか、東京地方裁判所に従軍慰安婦と称する人たちが、自分たちへの侵害に対して日本国政府の謝罪と損害賠償を要求するという訴えを起こされたわけです。

 その訴訟に関連いたしまして、当時、宮沢内閣発足直後でしたけれども、日本国政府としては、一九六五年の日韓国交正常化条約によりまして、戦中の、戦前のいろいろな問題は全て最終的かつ完全に決着しているということが明らかでありましたので、加藤官房長官から、日本国政府としてこれに対応する余地はないという趣旨の談話を発表いたしました。

 これに対して韓国内ではいろいろな反発があったようでありますが、その翌年、盧泰愚大統領になってからですが、宮沢総理と盧泰愚大統領の首脳会談がソウルで行われまして、これからは過去の問題にこだわらずに未来志向で両国関係を発展させましょうという趣旨でこの会談が持たれたわけですが、実は、その会談の場に従軍慰安婦と称する人たちが押しかけまして、会談が静かな雰囲気でできる状況でなくなってしまったわけです。

 それで、そのときに、この従軍慰安婦問題について、実態はどうだったのかということを日本政府として調査してほしいという韓国側からの要請がありまして、政府として検討した結果、では事実関係を調べてみましょうということで、初めは、これは戦中の、戦後処理の問題は主として厚生省の援護局が担当しておったんですが、援護局に話したところ、そのような資料はなかなかないと。もう戦時中の資料でありましたので、非常に散逸しておりまして、なかなか集まらないということであったんです。

 しかし、何としても事実関係を明らかにする必要があるというので、当時の厚生省だけでなくて、労働省や、あるいは警察庁や、外務省、防衛省、非常に幅広く関係が広がっておりましたので、最終的に官邸の方で、官邸の外政審議室が中心になりまして、各省に資料の調査の要請を行いました。

 その過程で、私は各省に対して、できるだけ努力して、戦時中の資料であるけれども、努力してその種のものを集めるようにという要請を行いました。再三再四、これは協力要請をしたわけですが、その結果を加藤官房長官から発表になりました。

 それは確かに、慰安所の設置だとか、あるいはそれに従事する慰安婦と称する人たちの輸送とか、あるいは衛生管理とか、そういう慰安所の存在を前提とするような通達とか連絡とかというのは文書で明らかになりました。しかし、女性たちを強制的に従事させるという種のものは発見できなかったわけであります。

 それで、その段階でそういう事実関係を加藤談話として発表いたしましたが、その後、やはり関係者が、自分たちは自分の意に反して強制されたんだということを非常に強く言っておりまして、韓国側が加藤談話ではもうおさまらないということで、引き続き、ではさらに調査しようということで、官房長官が河野さんにかわられたわけですが、河野さんにかわってからも引き続き調査を行いました。

 しかし、アメリカの図書館まで行って調べたんですけれども、女性たちを強制的に集めるというふうなことを裏づける客観的なデータは見つからなかったわけです。

 それで、当方としてはそういうことだと言ったんですけれども、韓国側が、やはり彼女たちは自分の意に反して強制されたということを強く訴えているので、何としても彼女たちの話を聞いてもらいたいと。

 そこで、話を聞くか聞かないかということで政府としても種々協議いたしましたが、最終的に、日韓両国の将来のために、彼女たちの話を聞くことが事態の打開になるのであればということで、最終的には、十六人の慰安婦とされた方々からその当時の状況をいわば客観的に公正に話していただくということで、調査官を派遣してヒアリングを行った。

 そして、そのヒアリングの結果、どうも募集業者の中には、かなり強引な手段で募集した、あるいはだまして連れてきた、それから、その募集の過程で当時の官憲がこれにかかわった、かなりおどしのような形で応募させられたということを証言する慰安婦の人がいまして、それらの証言内容を全部とってまいりまして、それを総合的に、我々聞きまして、調査官から話を聞いて、それをもとにして、最終的な河野談話としてまとめたものであります。

 したがいまして、当方の資料として直接、日本政府あるいは日本軍が強制的に募集するといったものを裏づける資料はなかったわけですけれども、彼女たちの証言から、どうも募集業者の中にその種のものがあったことは否定できない、そして、その業者に官憲等がかかわったこともまた否定できないということで、河野談話のような表現に落ちついたところでございます。

179 山田宏
○山田(宏)委員 ありがとうございました。
 今のお話をお聞きしますと、いわゆる官憲、または日本軍が強制連行をして性奴隷にしたなんていう証拠は、安倍内閣の答弁書のとおり、一切ない。しかし、強制性を認めたような談話になったのは、十六人の元慰安婦の韓国人の方々のお話を聞いて、こういう文章になったんだということであります。

 そこで、聞き取り調査が決め手になったと考えていいと思うんですけれども、さて、この聞き取り調査なんですけれども、先月の「正論」という雑誌に、その聞き取り調査報告書の内容、これはまだ政府からはオープンになっていませんが、この雑誌で報道されております。

 これを読みますと、かなりその聞き取り調査の内容もずさんである。氏名も生年月日も出身地もまともに記されていないようなもの、または、連れていかれた場所が、軍の慰安所がない熊本とか台湾とか下関とか大阪とか、こういったところには軍の慰安所はありませんから、そういう軍の慰安所でないところで働かされたという証言もあったりして、かなりずさんだったと思うんです。

 このずさんというふうに指摘されている調査内容を、証言をそのまま受け取って、そして河野談話に反映させたというふうに考えておりますけれども、やはりこの証言について裏づけをとるべきだったと思うんですね。裁判でもやはり、証人で証言する人はいますよ、しかし、その証言の裏づけを必ずとっていきます。証言だけで有罪にされるということはありません。
 この証言の裏づけというものをおとりになったんでしょうか。簡単にお答えいただけたらと思います。

180 石原信雄(官房副長官)
○石原参考人 十六人の方の証言を日本側の担当官が聞いて、それを記録して帰ってきたわけでありますが、その後それを、証言の事実関係を確認するための裏づけ調査というものは行われておりません。

181 山田宏
○山田(宏)委員 ありがとうございます。
 つまり、証言の裏づけをとらないで河野談話がつくられたということであります。
 では、証言の裏づけをとらないで、なぜ、強制性と言われる、強制連行まで今言われていますが、という内容になったのかというと、私は、ここにいろいろな政治配慮があったのではないか、こう考えているわけです。

 それは、ことしの一月一日に、ちょっとコピーで恐縮なんですが、産経新聞の一面に「河野談話 日韓で「合作」」という、こういった報道がされております。

 この内容は、河野談話をつくるに当たって、一九九三年の七月二十六日から七月三十日まで、十六人の方々の証言をソウルでおとりになって、そして発表されたのが翌月の八月四日です。その間に、政府は、原案の段階、つまり、河野談話の原案の段階から、韓国側にその内容を提示し、韓国側、特に韓国大使館を通じて、その指摘に沿って修正するなど、事実上、日韓の合作だったのではないか、こう言われています。

 これは、当時の政府関係者、私は外電等でも確認しているというふうに聞いておりますけれども、談話自体の作成を、どういう言葉にしたらいいのかと。つまり、最初、日本は、軍の意向を受けた業者がと言っていたのを、韓国側は、いや、意向ではだめだ、もっと強制性が明らかな指示にしろと。いや、指示では、そういう証拠はない、では要望がぎりぎりだと言うと、要望ではだめだ、強く請い求め、必要とすることを意味する要請に変えてくださいというような、具体的なこういうやりとりがあって河野談話がつくられていったという報道になっていますけれども、この内容はおおむね真実なんでしょうか。

182 石原信雄(官房副長官)
○石原参考人 私は、この談話の原案を、ヒアリングの結果を踏まえて、外政審議室を中心に文案を作成してまいりまして、その文案を最終的には官房長官のところで推敲して最終談話になったわけでありますけれども、その過程で韓国側とどのようなやりとりがあったのか、私は承知しておりません。

183 山田宏
○山田(宏)委員 石原元官房副長官は承知をされていない、実際やられたのは、外政審議室というところを中心に行われていたと。

 当時の外政審議室長は、私たち日本維新の会が参考人としてこの方もお呼びいただきたいと申し上げている谷野作太郎氏でございます。谷野作太郎氏にお聞きしないと、どういったやりとりがあったかということはわからないだろうというふうに私は受けとめております。

 また、今、河野洋平当時の官房長官がいろいろな指示のもとに、こういうものが作成されていたというお話がございました。その河野洋平当時の官房長官のどんな指示が、この作成に当たってあったのでしょうか。

184 石原信雄(官房副長官)
○石原参考人 私は、最終に、河野談話を発表する直前の段階ですけれども、それまで各省の協力要請などを私はやっておりましたので、最終調整のところで、その打ち合わせに入りました。したがいまして、字句で、どこの部分を官房長官がどうしたというようなことは、記憶しておりません。

185 山田宏
○山田(宏)委員 ここはすごく大事なところであります。
 つまり、証言だけで、しかも裏づけもとらないで、それをもとに、もっと言えば心証で、この談話がつくられ、そしてその文言についても、韓国側と綿密な調整が行われたのではないか、こういう疑惑を持たれています。

 こういうようなやりとりが全くなかったというふうに言い切れますか。それとも、多少そういうようなやりとりがあったのではないかと推測されると。官房副長官のところですから、韓国側がこう言っていますよ、ああ言っていますよということが多分あったのではないか、こういうふうに思うんですけれども、その点、大事なところなので、そういうような事前の打ち合わせがあったかどうか、やりとりがあったかどうか、それをお聞きになったかどうか、明確にお答えください。

186 石原信雄(官房副長官)
○石原参考人 もちろん、このヒアリングの結果を踏まえて文章を起草し、それを談話にまとめたわけでありますが、その過程で、どの段階でどの程度韓国側との接触があったのか、私は承知しておりません。

 いずれにしても、それを踏まえて原案が上がってまいりました段階で、官房長官の最終的な御決裁をいただく前の段階で私も拝見し、議論に加わりました。したがって、その前の段階で韓国側とどのような接触があったかということは、私は承知しておりません。

 ただ、この種のものをまとめる段階で、何らかの連絡というか事務的なすり合わせというのはあったのかもしれませんが、私自身は確認しておりませんので、その点はお答えを控えさせていただきます。

187 山田宏
○山田(宏)委員 石原元官房副長官は知らないけれども、こういったものをつくるに当たってはあり得る話だというふうに、私は今のお話を受けとめました。

 普通、国の考え方を定めるのに、一方的な証言だけでそれを形にしていくということは非常に私は問題だ、こういうふうに思っております。

 恐らく、大きな政治的な判断があって、多分、韓国側から当時、こういった強制性というものを認めれば、韓国側は納得して、日韓関係もこれから未来志向でよくなるんじゃないか、そういったような話が相手からもあって、また何らかの示唆があって、こういった文章がまとめられたんじゃないかというふうに考えておりますけれども、そういったようなお話は、当時これを策定するに当たって、内閣官房の中であったんでしょうか。

188 石原信雄(官房副長官)
○石原参考人 韓国側が終始、彼女たちの中にはその意に反して慰安婦とされた者がいるんだ、そのことをぜひ認めてもらいたいということは再三言っておりました。それを、証言の結果として、その心証をもとに河野談話は作成されたわけでありますが、御案内のように、あの談話が出された後、韓国側は、これで過去の問題は一応決着したという姿勢でありまして、韓国政府がこの問題を再び提起することは、しばらくありませんでした。私が在職中は全くありませんでした。

 したがって、そういうような効果は持ったと思うんですけれども、作成過程で意見のすり合わせというものは、当然、行われたということは推定されますけれども、私自身はそのことにタッチしておりませんので、確認できません。

189 山田宏
○山田(宏)委員 いろいろな配慮が、当時、私は善意だったと思いますよ、善意の部分が多かったと思う。これをある程度妥協すれば日韓関係はよくなってくれるんじゃないかと。

 ところが、これだけの、先ほど皆さんに御紹介しました、さまざまな、強制連行または性奴隷、こういった言葉が世界じゅうに輸出され、それが碑文となって永遠に残る結果になりました。これだけ韓国側に配慮した結果、この河野談話は結果的に韓国側に利用されまして、こんな事態に現在なっていると私は言えると思います。
 先ほどのこういった事態を、今、石原元官房副長官としてはどのように、当事者として受けとめておられるでしょうか。

190 石原信雄(官房副長官)
○石原参考人 私は、当時、政府としては、この河野談話の発出に当たりましては、いわば苦渋の選択として、慰安婦とされた人たちのヒアリングを行ったわけであります。

 その際に、我々は韓国側に対して、客観的に過去の事実を話せる人を選んでくださいということで、責任を持ってそういう人を選びますというので、十六人の方が選ばれて、そのヒアリングを行い、その結果を踏まえてあの談話になったわけでありますから、その十六人の方々にどういう問題があったかというのは、我々は韓国側の善意を信頼してこの全体の作業が行われたわけでありまして、その前提にいろいろ問題があるというような報道もなされておりますが、私どもはその点は全くそういう想定はしておりませんだったことを申し上げたいと思います。

 それから、河野談話によって過去の問題は一応決着して、これから日韓関係は未来志向でいきましょうという話でこれは取りまとめが行われたわけですから、そしてまた、当時は、それによって、一応、少なくとも韓国政府側はこの問題を再び提起することはなかったわけであります。しかし、最近に至って、韓国政府自身がこれを再び提起する、そういう状況を見ておりまして、私は、当時の日本政府の善意というものが生かされていないということで、非常に残念に思っております。

191 山田宏
○山田(宏)委員 相手の善意を信じてここまで妥協し、苦労したのに、苦渋の選択をしたのに、結果としてそれが裏切られてしまったというお話でございました。

 私は、もう一度、石原元官房副長官に確認をしておきたいと思うんですが、この河野談話は、いわゆる民間業者がだましたり、強圧的に少女たちにいろいろな行為をしたり、言動をして連れてきたということは証言として言われたかもしれないけれども、しかし、軍、日本の軍隊や、または日本の官憲、政府が、今言われているように、少女たちを強制連行して性奴隷にしたということを認めたものではないですよね、河野談話は。

192 石原信雄(官房副長官)
○石原参考人 談話の文言にもありますように、主として募集は業者が行っておって、その業者の募集の過程で官憲とか軍がかかわった可能性があるという表現になっておりまして、日本政府あるいは日本軍の直接的な指示で募集したということを認めたわけではありません。

193 山田宏
○山田(宏)委員 明確にお話をいただきました。
 日本軍や官憲が直接強制連行に加わって少女たちを性奴隷にしたなどというものを、この河野談話は認めたものではなかった。しかし、現在、それを一方的に曲解し、そして自分たちの主張に合わせて、この河野談話が使われることになりました。

 私はやはり、その全ての原因は、この河野談話の曖昧さにあったと思うんです。何を強制したのか、誰が強制したのかはっきりしない。韓国側はこう受け取る、日本側はこう受け取る、そういった玉虫色的な妥協の産物であった。まさに事実を確認したものではなくて、政治文書であった、こういうふうに思っております。

 特に、この談話自体は、確たる証拠もなく、一方的な証言で、しかもその証言内容も、昨今の調査の明らかになったものによると、かなりいいかげんなものだということがわかってまいりました。

 私は、こういった事態に今陥っている中で、この質問の趣旨で申し上げましたとおり、日本国の名誉を守り、そして日本国の我々の先人、祖父母またはおじさん、おばさん、こういった方々の名誉、尊厳を守り、そして未来永劫にわたって日本の子供たちが、こういった世界じゅうにつくられる、いわれもなき、こういう言い方によって、そこに行って頭を下げなきゃいけない、丸くならなきゃいけない、日本人であることが胸を張れない、こういった状況を何としてもやはり改善をしてもらわなきゃいけない。これは政治家の役割なんですよ。

 どうですか、石原元官房副長官、最後に、私は、もう一度、この聞き取り調査が全てこの河野談話の強制性の原点になっているわけですけれども、この聞き取り調査の再検証というか、裏づけ調査というか、こういったものは行われていなかったというお話でございますが、やはりこれはきちっと行っておくべきだった、または、これからでもやはりきちっと行う必要があるのではないかというお考えをお持ちかどうか、最後にお聞きをしておきたいと思います。

194 石原信雄(官房副長官)
○石原参考人 当時は、慰安婦とされた人たちの中で客観的な状況を話せる人を選んでいただきたい、その要請に応えて、そういう人を選びますということで韓国側が十六人の候補者を出したわけですから、当時の状況としては、それの裏づけをとるというか、そういうことができるような雰囲気ではなかったと思っております。
 一般論としては、この種のものについては裏づけをとるということはあるんでしょうけれども、あの当時の状況としては、そういうことをこちらが要求するような雰囲気ではなかったと思っております。

195 山田宏
○山田(宏)委員 ありがとうございます。
 本当は裏づけ調査をとるべきような話だけれども、当時はそんな雰囲気になかった、それができなかったというお話でございました。
 本来これで全部収束するはずだったこの問題が、今やモンスターのように世界じゅうを駆けめぐっています。そして、今や子供たちが、自分が日本人であるということをこういった場所で胸を張れないという状況に置かれています。

 私は、現内閣においても、少なくともこの聞き取り調査、報告の内容について、これからでも構わないので、ぜひできる限りこの裏づけ調査をして再検証していくべきだ、とりあえず、この十六人の慰安婦の方々の発言内容について、当時とるべき裏づけ調査がなされていなかったのだから、やはりこれからきちっと資料を確認し、そしてまた、これは日本政府だけでやれば、日本の自分たちの思いだけだろう、こういうふうに言われますから、第三国の研究者、中立的な研究者も入っていただいて、この河野談話の再検証をお願いしておきたい、こう思いますけれども、官房長官、これは官房長官談話でしたから、官房長官にお尋ねいたします。

196 菅義偉(官房長官)
○菅国務大臣 まず、安倍内閣の基本的な考え方でありますけれども、これまでの歴史の中で多くの戦争があって、その中で女性の人権が侵害されてきた、二十一世紀こそ人権侵害のない平和な国にしたい、さらに、慰安婦問題についても、総理が国会でたびたび答弁しておりますように、筆舌に尽くしがたい、つらい思いをされた方のことを思い、非常に心が痛む思いであるということを総理は答弁をさせていただいています。この点については、歴代内閣においても同様の思いを持ってきているというふうに理解をしています。

 そして、内閣としては、この問題を政治問題、外交問題にはさせるべきでないという考え方を持っています。ただ、その中で、先ほども申し上げましたけれども、前回の第一次安倍政権のときに、強制性について閣議決定をされたということを私、申し上げました。

 こうした経緯も踏まえまして、内外の歴史学者だとか有識者、そうした皆さんの手によって、今、さまざまな研究も実は行われているということも事実であります。この問題についても、学術的観点からさらなる検討が重ねられていくことが望ましいというふうに思います。

197 山田宏
○山田(宏)委員 この問題についても、さらなる学術的な研究がなされるべきだというお話でございました。
 そのためには、この調査報告書がオープンにならないと研究できないんですよ。これはオープンにしていただけないですかね。

198 菅義偉(官房長官)
○菅国務大臣 当時、聞き取りについては非公開というものを条件に行ったということもありますので、そうした相手との問題、そういう前提のもとにこの調査が行われたということがありますので、そこはもう一度、当時のことを検証してみたいと思います。

199 山田宏
○山田(宏)委員 オープンにしない約束で聞いたんだからオープンにできないということを聞いておりますが、それだったらどうやって検証するんですかね。

 歴史的な検証をしていかなきゃいけないということであれば、オープンにして、いろいろな人たちからきちっと客観的な、いろいろな立場の人たちから研究対象にするか、それとも政府がやはりきちっとチームをつくって、しかし、自分たちの都合のいい学者だけじゃない第三国の学者、研究者も入れて、この調査報告書とそれに伴う河野談話について、やはり検証するしかないじゃないですか。どうやって歴史家が検証するんですか、オープンになっていないものを。

200 菅義偉(官房長官)
○菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、当時は非公開を前提として行ったということでありますし、名前も伏せて行っているということも事実であります。
 そういう中で、私、先ほど申し上げましたけれども、この問題については、歴史学者や有識者の手によってさまざまな問題が今行われておるわけでありますので、学術的観点からさらなる検討というものを重ねていく必要があるというふうに政府も認識をしております。

201 山田宏
○山田(宏)委員 何度も申し上げるようですけれども、これは、確かにその方々が、大変、尊厳や、また非常につらい思いをされたということは私も同情いたします。しかし、今や、この河野談話がもとで、日本人の海外にいる子供たちがまた恥ずかしい思いをしているんです。

 ですから、そういった意味で、先ほどの石原元官房副長官のお話にもありましたように、やはり、この証言がもとでこの河野談話がつくられて、強制性を認めたというふうに言われているわけですから、この証言内容をオープンにできないのであれば、オープンにすべきだと思いますよ、であれば、チームをつくって、きちっとその内容、裏づけ調査も含めて、検証しなきゃおかしいですよ、これは。やってください、お願いします。

202 菅義偉(官房長官)
○菅国務大臣 今の委員の発言につきましては、今まで石原前官房副長官がいろいろ申し上げていました。そうしたものについて、秘密扱いということであれば、そこも含めて、これは検討させていただきたいと思います。

203 山田宏
○山田(宏)委員 やられますか、調査をちゃんと。ちょっとわからなかったんですが。

204 菅義偉(官房長官)
○菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、やはり当時、非公開を前提にこれはやっているわけですから、そういうことというのはやはり政府としても配慮すべきだというふうに、そこは私は思います。
 ただ、この問題について、今、石原官房副長官の話にもありました。その提出方法については、全くこの機密の扱いの中でどうできるかということは検討したいと思います。

205 山田宏
○山田(宏)委員 秘密であるということを前提に検証するということですね。(発言する者あり)提出ですか。
 いや、提出も大事だけれども、政府の中のチームをつくって、そして専門家による検証というものを行うということも含めて、御答弁ください。

206 菅義偉(官房長官)
○菅国務大臣 先ほど来、私、申し上げていますけれども、歴史学者や有識者の人たちが研究をしているということも、これは今、現実的にあるわけですよね。そうした中で、今、官房副長官からの発言もありました。そういう中で、今委員から要請もありましたけれども、機密ということを保持する中で、そこは検討もしてまいりたいと思います。

207 山田宏
○山田(宏)委員 よろしくお願いします。また、報告をお願いします。そして、その内容によっては、新たな官房長官談話も考えていくべきだということは申し添えておきます。

 さて、先日、アメリカの下院外交委員長のロイス議員が総理をお訪ねになられました。総理も会談をされました。この方は、実はこのグレンデールの慰安婦の像の前でひざまずいて線香を上げた人ですよ。こんな事実がないのにそういったことをやった方にお会いになった。

 いろいろな外交上の配慮でお会いになることはもちろんあり得るだろうと思いますが、私は、まず、総理が、こういうことをこの方がやられた人だということは御存じだったのか、そしてまた、御存じであるならば、本来は、いや、このことについてはということで、この慰安婦像の問題について、また、ここで述べられていることについて、きちっと日本国を代表してその方にお話をすべきだったというふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

208 安倍晋三(内閣総理大臣)
○安倍内閣総理大臣 私は先般、ロイス米下院外交委員長を初め七名の超党派、委員長を入れると八名なんですが、下院議員一行の皆様とお目にかかったところでございます。

 ロイス委員長自体が、いわゆる慰安婦の碑に行かれたという事実は承知をしておりましたが、いわば、外交委員長を初め、アジア太平洋地域の安全保障状況あるいは日米同盟の重要性について理解をしている方々、議会の方々とお目にかかって、意見交換を進めていくことは、日米同盟を強化していく上において、相互理解を進めていく上で重要である、こう判断をしてお目にかかったところでございます。

 また、ロイス委員長は、今回の訪問中に拉致被害者家族とも懇談を行っていたわけでございますが、私も面会をする際に、古屋拉致問題担当大臣にも同席をしてもらったわけでございます。

 その会談の中においては、先方から慰安婦問題についての議論はなかったわけでございますが、これは、ロイス委員長だけではなくて、極めて日本のことをよく知っているシャーボット下院外交委員会のアジア太平洋小委員長もおられて、さまざまな議員の方がおられますので、必ずしもそのことについて、こちら側からあえてお話はいたしませんでしたけれども、日本の基本的な外交方針、積極的平和主義等々についてはお話をさせていただいたところでございます。

209 山田宏
○山田(宏)委員 お話の仕方はいろいろあるかもしれませんが、やはり私は、我々はそういったことについて強い関心を持っているということぐらいは言っていただきたかったなというふうに思います。

 そういった中で、この後、石関議員が質問なんですけれども、ちょっと五分だけ、済みません。同じ党なので、また今度返しますので、いただいて、あと五分、お話を。

 石原元官房副長官、きょうは本当にありがとうございました。大変貴重な御証言をいただきました。
 委員長、いいでしょうか。私の方は、もう質問はございません。

210 二階俊博
○二階委員長 結構です。
 石原副長官、御苦労さまでございました。ありがとうございました。


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米誌TIME「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた大坂なおみさん 7つの試合と7枚のマスクにこめた心

2020-11-05 22:40:52 | Weblog


今年2020年9月22日、アメリカ「TIME」誌が今年も「世界で最も影響力のある100人」を発表しました。日本からはテニスの大坂なおみさんとジャーナリストの伊藤詩織さんが選出されました。

大坂なおみさんは、テニス全米オープンで今年2年ぶりに2回目の優勝を手にしました。しかしこの全米オープン優勝をたたえて100人のうちの1人に選ばれたのではありません。

おりしも全米オープン前の今年の夏は、白人警官による情け容赦のない無謀な黒人殺害の現場映像が、テレビニュースで日本の私たちにもくり返し伝えられました。

大坂なおみさんは「Black Lives Matter 黒人の命は大切だ」ムーブメントに共感していましたが、白人警官が従順な黒人男性の背に容赦なく数発銃撃した映像にはとりわけ衝撃を受けました。

彼女は8月27日、ツィッターに書き込みました。Before I am a athlete, I am a black woman.  ――大坂なおみさんはこのとき、非難やスポンサーの反発など予見できる逆風に抗してでも、1試合ごとに黒人犠牲者の名前を1人づつ記したマスクをつけて犠牲者の命を明るみに出すことによって、「Black Lives Matter 黒人の命は大切だ」を人々に訴え、差別・蛮行をする側に抗議する決心をしたのです。

1試合ごとに記された犠牲者の名は次の通りです(時事通信、buzzfeed)

  1回戦 ブレオナ・テイラーさん(当時26歳)
  2回戦 イライジャ・マクレーンさん(当時23歳) 
  3回戦 アマード・アーベリーさん(当時25歳) 
  4回戦 トレイボン・マーティンさん(当時17歳)
  準々決勝 ジョージ・フロイドさん(当時46歳)
  準決勝 フィランド・キャスティルさん(当時32歳) 
  決 勝 タミル・ライスさん(当時12歳) 

7枚のマスクをつけて全米オープンに臨むことを、大坂なおみさんは試合前に公表しました。7枚のマスクをすべてつけ終わるには、優勝しなければなりません。大坂なおみさんは7つの試合に7人の犠牲者の名をまとって臨むことを自分の使命として課しました。

予見できる世間からの逆風と、果たして優勝できるのかという二つのリスクを自分に課した勇気、そしてそれをやりきったことに多くの賞賛が集まりました。

時事通信2020年09月13日14時57分は次のように伝えました。


〈時事通信2020年09月13日14時57分〉

大坂選手の行動を、米タイム誌(電子版)は「大坂のマスクはアスリートの強力な抗議の手段」、米スポーツ専門局ESPN(電子版)は「優勝トロフィーを手に入れるより、はるかに大きなこと」と報じた。大会中には被害者遺族から、行動をたたえるメッセージも受け取った。


BuzzFeed 2020年9月14日は次のように伝えました。


〈BuzzFeed 2020年9月14日〉

米ニューヨークで、テニスの世界4大大会の1つ「全米オープン」が開かれた。新型コロナウイルスの影響で無観客開催となった会場には、「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」と書かれた幕が掛けられていた。

 女子シングルスの第4シードで出場した大坂なおみ選手は、見事に優勝を果たした。全米オープンのタイトルを獲得したのは2度目となる。

 大坂選手は人種差別への抗議を示すマスクをつけて試合会場に現れ、世界中から注目を浴びた。今大会では1試合ごとに、警察の過剰な暴力行使の犠牲となった人々の名前が書かれたマスクを披露すると宣言していた。

ウィスコンシン州ケノーシャで黒人男性が警官に銃撃された事件を受け、全米オープンの前哨戦となる大会では、一度は棄権を表明していた。全米オープンで大坂選手は優勝までの7戦を勝ち抜き、7枚のマスクをすべて着けることができた。

 7枚のマスクに名前があった7人は、なぜ亡くなったのか。なぜ、その名を語り継がねばならないのか。それが今回、大坂選手が伝えたかったことの一つだ。


日経ビジネス 2020年9月29日に記事を書いた河合 薫氏(健康社会学者Ph.D.)は次のように賞賛しています。


〈日経ビジネス 2020年9月29日〉

大坂選手の勇気ある行動には感動し、力をもらった。 推薦者ムーア氏が指摘した通り、「信じられないほどの強い意思」なくして成し遂 げられることではなかったと思う。だって、「7枚のマスクを用意した」と初戦で公言したのだ。決勝戦に出場しない限り、7人の名前が世界に発信されないのだ。


日テレNews24 2020年9月28日18:25 は全米オープン準決勝戦マスク「フィランド・キャスティルさん(犠牲当時32歳) 」の母親バレリー・カスティールさんと、決勝戦マスク「タミル・ライス君(犠牲当時12歳) 」の母親サマリア・ライスさんのインタビュ―映像を伝えました。

フィランド・キャステルさんは2016年7月6日、警官に射殺されました。彼は、車のテールランプが壊れていたことを理由に停止を命じられ、自分は銃携帯の許可証を持ち銃を携帯していると警官に告げて財布に手を伸ばしたところ、撃たれました。同乗していた婚約者のダイアモンド・レイノルズさんは、Tシャツのそでや胸部付近から大量の血を流し、のけぞった姿勢でうめき声を上げるカスティールさんと銃撃する警官の姿を証拠撮影しました。後部座席にはレイノルズさんの4歳の娘が乗っていました。

この事件には報復の悲劇がありました。後日、テキサス州ダラスでフィランド・キャステルさん射殺事件抗議集会があり、何者かが、警備についていた警官5人を射殺しました。(CNN日本版2016.07.08 Fri posted at 17:06 JST )

タミル・ライス君は2014年11月22日、銃を持った男が徘徊しているという通報を受けて出動したパトカーが現場到着。降車した警察官が銃を構えて歩み始めたところ、タミル君も模造銃を持って警官の方に歩み始めたところ、警官が銃撃し、翌日、搬送先病院で死亡しました。(AFP日本版2014年11月27日 13:01 発信地:クリーブランド/米国 )


〈日テレNews24 2020年9月28日18:25〉

 
フィランド・カスティールさんの母親
 バレリー・カスティールさん


 私の息子は銃を所持する免許を持っていたので、警官に「自分が車の中に武器を持っている」と伝えたのです。

 それでも警官は、「何も取り出すな」と怒鳴りつづけたんです。息子は過去に60回以上も職務質問を受けたことがあるので、警察が求めることがわかっていたんです。

 パトカーのライトを見て、警官が自分の免許証を見たがるだろうと察したんだと思います。その車の中には女性も子供も乗っていて、息子が「何をするって言うんですか。武器を持っていることをきちんと伝えたじゃないですか」と言ったのに、殺されたんです。

 しかしその後警官には無罪判決が‥‥。

 私の息子は人々の見本となる指導役で、小学校のカフェテリアで働いていました。生徒の名前はもちろん、誰がどんなアレルギーを持っているかも覚えていました。

 朝は早く仕事に行って、障害がある子供がバスに乗るのを手伝う良い人間でした。こうして話すことも、息子がいないことも、そのすべてが現実ではないようです。私にとって辛いものです。しかし私は語りつづけなければいけないのです。

 警察がどれだけまちがったことをしたのか、皆さんに知っていただきたいからです。


 
タミル・ライス君の母親
サマリア・ライスさん
 
 タミルは12歳のときにオハイオ州クリーブランドで、2人の警官に殺されました。あの日、自宅の玄関先に近所の子供がやってきて、「おばさんとこの子が銃で撃たれた」と言ったんです。

 現場に近づくと、娘がパトカーの後部座席で叫んでいて、16歳の息子は8人の警官に囲まれていました。そして目の前には、タミルが警官の横で地面に倒れていたんです。撃たれたきっかけは、おもちゃの銃を持っていたこと。

 目を離したすきに外をふらつく子供もいますが、タミルはそういう子ではありませんでした。公園でおもちゃの銃を使って遊んでいただけなんです。タミルが悪いことをしていたようには見えませんでした。

 なぜ亡くならなくてはならなかったのか、私にはわかりません。

 彼女が自分の舞台を使って「タミル・ライス」の名前をマスクにつけて出てくれたことに感謝します。本当に特別で、力強い発言だわ。私たちを気にかけてくれて、私たちや私自身を信じてくれて感謝しています。

 これからも逆風があるかもしれないけれど、信念のために戦いつづけてほしい。彼女に心からお礼を言います。



コメント

日本維新の会の権力無法、報道圧力を松井一郎代表 (大阪市長) と馬場伸幸幹事長 (衆院議員) の行動に見た

2020-11-01 15:26:28 | Weblog

【大阪都構想 大阪市4分割ならコスト218億円増加】
2020.10.26.12:00 毎日新聞が「大阪市試算によれば、都構想にあるように大阪市を4分割すれば、行政コストが218億円増加する」と伝えました。それまで大阪市民に知らされていない事実でした。すぐさま在阪報道各社が後追いしました。

私は夕方のテレビニュースで、松井大阪市長が「市長の許可なしでするなんて、市長の許可もなしに、ね」と言って、このニュースがデマであるような言い方をしているのを見ました。この毎日新聞報道は次の通りです。


(毎日新聞 2020.10.26.12:00 報道)  大阪市財政局試算 大阪市4分割なら
  行政コスト218億円増加 都構想実現で特別区収支悪化も 



 大阪市を四つの自治体に分割した場合、標準的な行政サービスを実施するために毎年必要なコスト「基準財政需要額」の合計が、現在よりも約218億円増えることが市財政局の試算で明らかになった。人口を4等分した条件での試算だが、結果が表面化するのは初めて。一方、市を4特別区に再編する「大阪都構想」での収入合計は市単体と変わらず、行政コストが同様に増えれば特別区の収支悪化が予想される。特別区の財政は11月1日投開票の住民投票でも大きな争点で、判断材料になりそうだ。


人口のスケールメリット失う 
 国の地方交付税制度は、自治体が一定水準の行政サービスを維持できるよう、基準財政需要額から基準財政収入額(地方税収を4分の3にするなどして算定)を引いて不足分を国が補う仕組みだ。税収の多い東京都は交付税をもらわずに財政運営できるが、大阪市のように交付税に頼る自治体は「交付団体」と呼ばれる。

 基準財政需要額は、「社会福祉費」や「商工行政費」など国が定めた分野別の単価に、人口や世帯数などの数と、地域事情に応じた複数の補正係数を掛けて算出する。総務省は「行政事務は一般的にスケールメリットが働き、規模が大きくなるほど経費が割安になる傾向がある」という考えで、人口が多いほど需要額を抑えられる仕組み。

 2015年の国勢調査時に269万人だった大阪市の20年度の基準財政需要額は6940億円。市財政局は毎日新聞の取材に対し、人口を4等分して約67万3000人ずつに分割した需要額について、合計すると218億円多い7158億円との試算を示した。都構想で設置される特別区は、現在の地方交付税制度では想定されていない自治体のため、人口規模以外は現在と同じ条件で計算した。

 都構想は、市を廃止し、人口60万~75万人の4特別区に分割する制度で、市財政局によると、人口は若干異なるが、今回の試算と同様にスケールメリットは失われ、行政コストは上がることが想定されるという。

 制度案を議論する計37回の法定協議会では、特別区の財政見通しを議論する資料として、4特別区の基準財政需要額を示すよう自民党が要望した。だが、事務作業を担う府市の共同部署「副首都推進局」は試算してこなかった。担当者は「職員が増えることによる費用など必要な数字は示している。法定協からは試算の指示がなかった」と理由を説明する。

 特別区の交付税は、地方交付税法や都構想の根拠法となる大都市地域特別区設置法に基づいて、4特別区を一つの市町村とみなして計算する。このため交付税の合計は現在の大阪市と変わらず、行政コストだけが増加することになる。制度案では、消防などの事務が府に移管されるため、行政コストの差額は218億円からは縮小し、最終的には200億円程度になるとみられる。  市財政局の担当者は「都構想の4特別区の行政コストが今回の試算と同額になるとは限らないが、デメリットの一つの目安になる。財源不足が生じれば、行政サービスの低下につながる恐れもある」と説明している。


副首都推進局、自民市議の要請に法定協で示さず
 大阪市を分割した四つの自治体の行政コストの合計を現状と比較した市財政局の試算は、都構想が実現した場合に誕生する特別区の財政運営にも影響を与えるとみられる。「基準財政需要額」と呼ばれるコストは、都構想の制度案をつくる法定協議会でも自民党が今回の試算に近い数字を示し、算出を要請していたが、府市の共同部署「副首都推進局」は「法定協からの指示はなかった」として出さなかった経緯がある。

 「特別区にすると行政コストが200億円ぐらい増大する。地方交付税は増額されず、財源不足が生じる恐れがある」。2019年4月の知事・市長のダブル選の結果を受けて再開した同年9月の法定協。都構想に反対する自民の川嶋広稔市議は、独自で試算した数字を根拠に特別区の財政運営に懸念を示し、重点的に議論するよう今井豊会長に訴えた。

 これに対し、大阪維新の会の守島正市議は「我々は特別区長のマネジメントなどでコストを削減するという前提に立っている。交付税の総額が変わらなくても、コスト圧縮で自主財源ができる」と述べ、交付税は増えなくても、都構想にはそれを上回る効果があると反論。維新側は川嶋市議に、計算式を示して具体的に指摘するよう求めた。

 法定協に関する事務作業は、府と市が共同設置する副首都推進局が担ってきた。川嶋市議は「知事、市長がこの場で提案したら職員が総動員でやってくれるが我々はそういうこともできない。正しい数字に基づいて制度論の議論ができればと思っているので、よろしくお願いします」と行政として計算するよう求めた。

 今井会長は「協定書(制度案)をとりまとめるうえで必要となる資料の作成を事務局に指示したい」と応じたが、推進局が作成することはなかった。

 基本的方向性の採決を控えた同年12月の法定協で、改めて行政コストが増えることへの懸念を示した川嶋市議は「今更遅いと言われるが、検証するための資料を出してくれと最初から言っている。(行政側が)出してくれないのは問題だ」と指摘した。

 だが、維新の横山英幸府議は「行政コストが200億円増えると言われても根拠がないから分からない。過度な不安でしかなく、建設的な提案になっていない」と一蹴。松井一郎市長も「府と市で一元化になることで新たな財源を生み出してきている。そもそも論に戻るから一々言う必要はない」などと答えており、かみ合わないまま法定協での議論が終わった。

 法定協で決定した制度案を審査した総務省は今年7月、「特段の意見はない」と承認した。だが、毎日新聞の取材に「特別区の財政が成り立つかどうかについて、お墨付きを与えるものではない」と説明。特別区の財政を巡っては、賛成派、反対派によって大きく評価が分かれている。



上の毎日新聞記事に対する松井市長、自民党、公明党、共産党の反応を毎日新聞は次のように伝えました。


(毎日新聞 2020.10.26. 21:21)

 新たに表面化した218億円の行政コストを各政党はどう受け止めたのか。

 都構想の制度案を議論する計37回の法定協議会で、自民は独自試算として毎年の行政コストが約200億円増えると指摘し、府市の副首都推進局に資料の作成を求めてきた。しかし、法定協で多数派を占める大阪維新の会などはこれに応じず、実現しなかった。財政局が試算した行政コストは、自民が指摘した数字に近い数字となった。

 維新代表の松井一郎大阪市長は、報道陣に「特別区は(需要額を算出する)係数が定まっておらず、計算できないため、(実際の事業の)リアルな数字を積み上げて長期的に財政が成り立つことを示した」と話し、財政上の懸念はないとの認識を示した。
 (注)松井大阪市長は「基準財政需要額は係数が定まらず計算できない」と言う大阪市 財政局の試算に根拠がないような表現だが、市財政局は係数を定めて計算している。逆に、「リアルな数字を積み上げた」と松井市長は言う。しかしコロナ後は中国頼りのインバウンドが当てにできない一事、鉄道、バス、航空。USJのような業界が大変な業績悪化で、簡単に回復するとは思われない時代です。

 維新とともに都構想に賛成する公明市議団の西崎照明幹事長は「行政コストは協定書とは違う話。住民投票で可決されたら、(特別区になる)2025年1月以降も住民サービスが維持されるよう党として主張していく」と話した。
 (注)「主張していく」というのはありがたい話ですが、2025年1月以降の住民サービス維持に保障がないことを白状しているようなものです。次期衆院選への思惑から、2019年5月統一地方選後に方針を急転させた公明党ですから、信頼しかねるところです。

 一方で特別区の行政コストを独自試算した自民の川嶋広稔市議は「全てオープンにして堂々と議論すべきだったのに、副首都推進局はなぜ数字を出してこなかったのか。本来は法定協で取り上げてほしかった」と憤った。

 同じく反対する共産市議団の山中智子団長は「松井市長が計算するよう指示を出して、市民に説明を尽くし、それでも大阪市を廃止・分割するのかを市民に問うべきだった。多くの市民に特別区の本当の姿を知っていただきたい」と話した。


この大阪市財政局による「大阪市4分割行政コスト増加」試算に対して、10月29日午後5時半から約2時間、報道発表した本人である東山潔・大阪市財政局長が緊急記者会見を開きました。

この記者会見で、東山局長は10月26日発表の試算について、「松井市長から
世の中に存在しない架空の数字を発表することは『捏造』と厳しく注意され、この試算が虚偽のものだという認識に至った」
という趣旨を語りました。東・大阪市財政局長の追い込まれた姿は哀れそのものです。

これは、松井市長が権力で、「事実を捏造とするお詫び会見」を強要したものと見るのがまっとうなところでしょう。安倍政権もそうでした。菅首相も学術会議任命拒否問題で、無法な権力を振るう姿を見せています。

松井市長は日本維新の会代表でもあります。この事実経過をしっかり残しておきたいと思う所以です。

毎日新聞の大阪市財政局長「捏造お詫び会見」記事は次の通りです。


(毎日新聞 2020.10.29.22:58 報道)
  大阪市4分割コスト試算「捏造」
 市財政局 2日で一遍、松井市長面談後
 
 大阪市財政局の東山潔局長は29日夕の緊急記者会見で、市を四つの自治体に分割すると行政コストが現状より年間218億円増加するとした局の試算を撤回した。わずか2日前に毎日新聞の記事について「きちっと書いてある」と述べていた局長は「試算そのものがあり得ない」と見解を一変させた。「大阪都構想」の住民投票を3日後の11月1日に控え、市財政部門のトップは言いよどみながら、自らの試算を「捏造」と表現した。

 「誤った考え方に基づき試算した数字を報道してもらったことで、報道各社や市民に誠に申し訳なく、深くおわび申し上げます」。午後5時半から始まった記者会見の冒頭で深く頭を下げた東山局長。中断を挟んで2時間以上に及んだ会見で、謝罪を繰り返した。

 会見によると、東山局長は29日午後、大阪都構想を推進する大阪維新の会代表の松井一郎市長と市役所本庁舎で20分ほど面談。事情を説明し、「公務員として捏造と評価されても仕方ない」と厳しく注意され、夕方の会見に臨んだ。

 市中枢の財政局が作成した試算は人口減の要素に限定し、それ以外の要素を加味しなかったために市長から「架空の数字」と指摘されたという。このような経緯を「捏造」とすることに報道陣からは疑問視する質問が相次いだ。東山局長は「当初はスケールメリットの参考になると思って算定したが、市長の指摘を受けて捏造だと認識した」と自身に非があると語った。

 都構想で設置される特別区の財政運営は11月1日の住民投票で市民の大きな判断材料になる。財政局は毎日新聞の取材に「需要額の試算は特別区のデメリットの一つの目安にはなる」と説明していたが、この日の東山局長は「当初は意味があると思って出したが、間違った方法で出したことに責任を取るべきだと思った」と説明。会見では質問に対して数秒間沈黙するなど、終始厳しい表情を浮かべて、謝罪を繰り返した。

 東山局長は、9月下旬に担当者が毎日新聞以外の報道機関から需要額の算出を求められた際、「『プレッシャーで何か出さなければならないと感じた』と話している」と説明。取材者による誘導があったとの認識を示したが、「不都合なことがあったら全て記者の誘導になってしまう」などと報道各社からは反発の声が上がった。


 大阪市財政局長記者会見の主なやりとり  
 大阪市財政局の東山潔局長が29日夕、市役所で緊急の記者会見を開いた。報道陣との主なやりとりは次の通り。

 財政局長 大阪市を4市に分市した場合の基準財政需要額の資料について、本日、市長に考え方を説明し、市長から厳重な注意を受けた。「世の中には存在しない架空の数字を提供することはいわば捏造(ねつぞう)だ。資料を提供した財政局のガバナンスの問題だ」と。(今回の試算は)いわば虚偽のもので実際はありえないものだという認識に、市長に説明した中で至った。報道各社や市民に誠に申し訳なく、深くおわび申し上げる。

  ――試算を「虚偽」とした評価の根拠は。

  財政局長 当初は人口段階のみの補正を適用することで算出した。ただ市長に説明した折、他の要素を捨象して算定するというものは交付税の実態の算出上考えられず、ありえない架空の数字だという厳しい指摘を受けた。

  ――今日、市長と話して計算をしたこと自体が間違いだったという認識に至ったのか。

  財政局長 そうだ。非常に簡略の方法で架空の数字を出す考え方自体が誤りだった。

  ――最初に取材対応した時、試算は意義があると思ったから答えたのか。

  財政局長 その数字はスケールメリット減の一つの参考になると。意味があると思って出した数字だからこそ、間違った手法で出したことに深く責任を感じている。


◆多角的に取材・報道 
毎日新聞は今回、大阪市財政局への適切な取材や提供資料に基づき試算を正確に報じた。

試算は標準的な行政サービスの実施に毎年必要なコスト「基準財政需要額」について、大阪市を単純に四つの自治体に分割した場合に現在よりも約218億円増加するとの内容だった。市財政局の説明を受け、報道では大阪市を四つの特別区に再編する大阪都構想を前提にしたものではないことも明示。市財政局への確認作業や総務省、専門家への取材も重ねた。

今回の試算を巡っては、都構想の制度案を議論する法定協議会で、自民党が同様の行政コストの公表を求めたが、最後まで算出されなかった経緯がある。

報道は都構想の賛否を問う住民投票の告示後だったが、市財政局は毎日新聞の取材に対し、「4特別区の行政コストを考える一つの目安になる」と説明。特別区移行後の財政見通しは賛否両派の主要な争点になっている点を踏まえ、毎日新聞は有権者の判断材料になる有益な情報になると判断した。
 
 


日本維新の会の馬場伸幸幹事長が10月29日衆院代表質問の中で、このことについて「毎日新聞の重大な誤報」と演説しました。時事通信が次のように伝えました。


(時事通信 2020.10.29.19:48 報道)
  都構想コスト増は「大誤報」 維新・馬場幹事長、衆議院代表質問で反論

「重大な誤情報を1面トップに掲載した。あってはならない事態だ」。大阪都構想を推進する日本維新の会の馬場伸幸幹事長は29日の衆院本会議で、11月1日の住民投票を前に、都構想が実現した場合は行政コストが増大するとした一部報道を「大誤報」と批判した。報道を「逆風」と捉え、全国放送される代表質問で反論した形だ。

 報道は大阪市の試算として、都構想で市が4特別区に分割されれば、行政コストの目安となる「基準財政需要額」が増大すると指摘していた。これに対し、馬場氏は「基準財政需要額は府と特別区を合算して初めて意味を持ち、現在の府と大阪市の需要額と同額になる」などと主張した。
  
 (注) 公表された大阪市財政局は計算根拠を明らかにしています。これを一方的に国会で非難するのは道理が通らない。まして公表されたものを報道して「大誤報」と罵られてはたまらない。 日本維新の会代表である松井一郎大阪市長と、日本維新の会幹事長である馬場伸幸衆院議員による無法な報道弾圧です。



【政治家は学生選手の誠実な心根を見習ってください】
きょう(2020.11.1.) はお昼を食べながら、全日本大学駅伝中継をテレビで見ていました。ちょうど最終区間 (8区) で、見始めたときは3位駒澤大が2位青山学院を追い抜いていくシーンでした。

以後、1位東海大、2位駒澤大で推移しました。2位駒澤大  (田澤廉走者) が1位東海大 (名取燎太走者)  のすぐ後ろを追走します。3位は少し落ちて、この二者の争いです。

どこかの地点で1位がスピードを上げて2位を引き離すのか、2位が1位を追い抜いて引き離すのか、はらはらしながら見ていました。

2位駒澤大の田澤簾がゴール前ほぼ1km地点でラストスパートに入りました。わずかに前を走る東海大の名取燎太を追い抜き、名取との差を広げます。そのラストスパートは劇的でありました。

1位でゴールインした駒澤大・田澤簾選手はゴールイン直後のインタビューで、2位東海大・名取燎太選手に感謝する気持ちを話しました。

「名取さんがしっかり引っ張ってくれたおかげで、自分が勝った。名取さんには感謝してます」 ――私がテレビ中継を見ていたのは8区の後半でしたが、テレビ中継が終わる前に田澤選手のことばを聞けたことは、幸せなことでした。


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