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環境省が4月21日に「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」を発表し、風力発電に大きく期待できることを示しました。報告書の『概要版』が見やすいので、ぜひご覧ください。
下記の朝日新聞新聞記事によれば、低い稼働率を考慮しても、最大で原発40基分の発電量が見込める結果ということです。日本の原発は現在55基(Wikipediaによる)です。
温室効果ガス削減には原子力発電の推進が必須というキャンペーンがまやかしだったことがはっきりしました。水力発電、揚水発電、風力発電、太陽光発電などをミックスして開発利用すれば、原発完全廃炉は実現可能ですね。
経済産業省の「エネルギー白書2010」の中に、『原子力立国計画』という言葉が見えます。古く自民党政権時代から現在の民主党連立政権にいたるまで、原子力発電は一貫して国策として推進されてきました。下にエネルギー白書の抜粋を記載します。
民主党連立政権の鳩山由紀夫前首相は、2009年9月22日午前(日本時間同日夜)ニューヨークの国連総会で演説をしました。2020年までに1990年比で25%の温室効果ガスを削減するという日本の中期目標を明言しました。そして、この目標が衆院選のマニフェストで掲げた政権公約であるとしました。
この25%削減目標を推進する原動力は「原発推進」だという認識が、民主・自民・公明の主要3政党で容認されてきました。電力会社は原子力発電を「クリーンエネルギー」と呼んでキャンペーンを張りました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
●エネルギー白書2010 第3部第3章 「第1節 原子力の開発、導入及び利用」から抜粋
原子力発電については、燃料のエネルギー密度が高く備蓄が容易であることや燃料を一度装填すると一年程度は交換する必要がないこと、使用済燃料を再処理することで資源燃料として再利用できることから供給安定性に優れており、また、発電過程で二酸化炭素を排出することがなく地球温暖化対策に資するという特性を持っていることから、基幹電源と位置付け推進しています。
―中略―。
「原子力立国計画」は、2006年5月に経済産業省が取りまとめた「新・国家エネルギー戦略」の一つの柱として位置付けられているとともに、2007年3月に閣議決定されたエネルギー基本計画の主要部分の一つです。
―中略―。
2008年7月には、「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定されました。この中において、発電過程で二酸化炭素を排出しない原子力発電は、低炭素エネルギーの中核として、地球温暖化対策を進める上で極めて重要な位置を占める、とされ、改めて環境対策としての原子力発電の重要性が認識されました。そこで、新規建設の着実な実現とともに、既設炉の有効利用にも取り組んでいくと示されています。こうした取組みにより、2020年をめどに発電電力量に占める「ゼロ・エミッション電源」の割合を50%以上とする中で、原子力発電の比率を相当程度増加させることが目標として定められております。また、核燃料サイクルを確立するとともに高速増殖炉サイクルの早期実用化を目指しています。
2008年における原子力発電所の稼働率は58%にとどまっていますが、原子力発電は我が国の総発電電力量の約3割を担っていて、エネルギー安全保障の確保や地球温暖化対策の観点からその重要性がますます増しています。このことから、我が国では引き続き、原子力発電を基幹電源として位置付け、安全の確保を大前提として、国民との相互理解を図りつつ、その推進を図っています。
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●風力発電で原発40基分の発電可能 環境省試算(朝日新聞 2011年4月22日5時0分)
環境省は21日、国内で自然エネルギーを導入した場合にどの程度の発電量が見込めるか、試算した結果を発表した。風力発電を普及できる余地が最も大きく、低い稼働率を考慮しても、最大で原発40基分の発電量が見込める結果となった。風の強い東北地方では、原発3~11基分が風力でまかなえる計算だ。
同省は震災復興にあたり、風力発電を含めた自然エネルギーの導入を提案していく方針だ。
今回の試算は、理論上可能な最大導入量から、土地利用や技術上の制約を差し引き、さらに事業として採算性を確保できることを条件に加えた。
試算によると、固定価格買い取り制度など震災前に政府が決めていた普及策だけでも、風力なら日本全体で約2400万~1億4千万キロワット分を導入できる。風が吹いているときだけ発電するため、稼働率を24%と仮定。それでも出力100万キロワットで稼働率85%と仮定した場合の原発約7~40基分に相当する。
ただし東北など電力需要を上回る発電量が期待できる地域がある一方で、電力会社間の送電能力には現状では限界がある。試算どおりに導入するのは短期的には難しいとみられている。
家庭以外の公共施設や耕作放棄地などを利用する太陽光発電や、用水路などを活用する小規模の水力発電についても検討したが、多くの導入量は見込めなかった。これらを普及させるには、さらに技術開発を促すなど追加的な政策が必要だという。