川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

転載「改革者の顔した権力に用心」吉岡忍・日本ペンクラブ会長(毎日新聞2017.10.20.)

2017-10-25 22:21:42 | Weblog

改革者の顔した権力に用心 吉岡忍・日本ペンクラブ会長

 日本ペンクラブの創立には「表現の自由」という憲法の理念が深く関わっている。島崎藤村を会長に設立されたのは1935(昭和10)年。その頃の日本は満州事変、国際連盟脱退と国際的孤立を深めていた。

 約100人の文学者が集まった。藤村はフランス、ジャーナリストの清沢洌は米国、小説家の岡本かの子は欧米と、外国暮らしが長く、世界が日本の都合だけでできていないことを体験的に知っていた。だが、日中戦争、太平洋戦争と続く時代、言論統制が強まり、ペンの息の根も止められた。

 国際ペンも、第一次世界大戦の荒廃を目の当たりにした欧州の文学者たちの議論から21年に生まれた。敵味方に分断されていた彼らも、戦時下で最初に規制されるのは言論の自由だ、と気づいたからである。言論表現の自由と平和。日本ペンクラブと国際ペンの双方にとっての柱といえる。

 言論表現の何が問題とされるかを考えるとき、第1回芥川賞作家である石川達三の「生きている兵隊」が参考になる。南京事件に関わった軍隊に取材した小説で、編集部が描写を自主規制したにもかかわらず、掲載した「中央公論」は発売禁止となり、作者も編集者も新聞紙法違反で有罪判決を受けた。
 ※次回に「生きている兵隊」を紹介します

 小説は住民虐殺など戦争の残虐さだけでなく、生きるか死ぬかの戦場で次第に精神的変調をきたしていく若い日本兵の姿を描いていた。私は60年代後半、ベトナム戦争の米軍脱走兵をかくまい、海外に逃がす活動をした際、人間として壊れていく若者に会った。その後、アフガニスタンや旧ユーゴスラビアでも社会的不適応に悩む元兵士たちを見た。戦争は昔もいまも、渦中の人間たちを破壊し、背後の社会を息苦しくさせる。

 日本ペンクラブは今年、「共謀罪」の強行採決に際して、法案審議のやり直しを求める声明を出した。また、北朝鮮の核実験を非難するとともに、世界が冷静に、情理を尽くして対処するように求める声明も出した。2005年に憲法改正国民投票法案の白紙撤回を求める声明を発表したのは、曖昧な文言で広範な規制が及ぶ危険を否定できないからだ。言論の自由と多様性は民主主義の基本であり、マスメディアやインターネット言論の規制には大いに疑問を感じる。

 気をつけなければいけないのは、戦争も、言論統制も、改革者の顔をした権力がやるということだ。かつてヒトラーは「貧困を救え」「ドイツの森を守れ」「若者よ、社会に奉仕しよう」と叫んで政治的熱狂をあおり、政権を奪取した。日本の軍部も政党政治の腐敗をなじり、凶作にあえぐ農家を救おうと呼びかけて権力を握り、戦争の悲惨へと人々を引きずり込んでいった。

 現代には情報洪水というわなもある。情報があふれ、スマートフォンで何でも調べられるが、そこには現場も現実もなく、生身の人間もいない。ものを知る、知る構えをつくるには、歴史や現実や人間とたくさん関わり、対話しなければならない。若い人には目先の改憲・護憲情報に惑わされず、自分の力でじっくり考えてもらいたい。


コメント

じわり、増える倒産 中小零細企業は競争力がなく、アベノミクスの恩恵を受けにくい

2017-10-24 10:16:52 | Weblog

<毎日新聞記事から ― 2017年10月21日 奈良地方版>
県内企業の倒産がじわりと増えてきている。

アベノミクスの柱である金融緩和政策が奏功し、昨年は県内企業倒産件数が大幅に減少した。昨年の9月末時点での企業倒産件数は54件、負債総額は33億6600万円だった。

しかし、今年は同時点で60件、46億1900万円と倒産件数、負債総額共に増加しており、1年間の総計も上回ることが確実視される。全国的に見ても同様の傾向となっている。

足元では、日経平均株価が2万円を回復するなど、大企業を中心に企業業績は堅調に推移している。しかし、中小零細企業は競争力がなく、アベノミクスの恩恵を受けにくい。

 また、マイナス金利政策による貸出金利の低下についても、優良企業がより恩恵を受ける構図となっており、借入金の返済猶予を受けている企業は増加傾向にある。

 第2次安倍晋三政権が掲げた地方創生の取り組みや成果は十分とは言えない。

 県を含めた地方経済は、人口の減少、少子高齢化による労働力の不足、後継者難など構造的な問題に苦しんでいる。地方経済の衰退を止めるには、政府による一貫した継続性のある経済政策が必要であろう。

 票の獲得のために、地方経済の問題を政争の具にせず、長期的な視点に立った政策の確実な実行が求められる。今後の企業倒産の動向に注目したい。
            (帝国データバンク奈良支店調査課)


コメント

<安倍首相「国難」解散> の経緯を顧みる 「総理寿命長命化」野心目的で、「森友・加計逃れ」解散

2017-10-21 12:16:35 | Weblog
 (上掲写真)2017.10.21. 安倍首相 衆院選秋葉原遊説


<憲法に基づく野党の臨時国会招集要求を無視>

2017(H29).6.19.通常国会閉会に伴う記者会見でこう語っています。

「信なくば立たずであります」
 「何か指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく」


「国民の皆様から信頼が得られるよう、冷静に、一つ一つ丁寧に説明する努力を積み重ねていかなければならない。その決意をこの国会の閉会に当たって新たにしております」

一方、通常国会が終わったあとにも、次から次へ、「森友・加計問題」の新事実が出て参ります。

このことから4野党共同で、臨時国会を早急に開くよう政府に求めましたが、いつ開くとも答えが出ません。

   憲法 第四章 国会
   第五十三条 〔臨時会〕
  内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の
  総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなけれ
   ばならない。


4野党の臨時国会開催要求は憲法53条の要件を満たしていましたが、内閣支持率が30%台に急落しているため、政府・自民党は歓迎しません。「臨時国会を開かない」とは言っていないので、違憲とまでは言えませんが、政治的サボタージュです。


<内閣改造>

森友・加計問題にかかわる安倍首相自身への批判をかわしたい思惑で、内閣改造が行われました。自民党でもいいけれど、安倍だけは替えてくれ。自民党支持者や保守系浮動層の間にこんな声まで出ていました。

 安倍首相自身への森友・加計疑惑の風をやわらげるための内閣改造。安倍晋三の私的事情による内閣改造でした。

8月3日、改造内閣成立。内閣改造成立の日、8月3日、総理大臣記者会見で次のように話しました。

「謙虚に、丁寧に、国民の負託に応えるために全力を尽くす。一つ一つの政策課題にしっかりと結果を出すことで、国民の皆さんの信頼回復に向けて一歩一歩努力を重ねていく」

「今回の組閣では、ベテランから若手まで幅広い人材を登用しながら、結果重視、仕事第一、実力本位の布陣を整えることができたと考えています」

安倍首相がこう話したのは8月3日、改造内閣組閣記者会見。しかしなんということでしょうか。、この内閣改造の日からたった53日目の9月25日、衆院解散になりました。話が違いすぎる。あんましです。たった53日間で、心変わりしたのです。


<不倫疑惑に勝機を直感、衆院解散へ>

安倍首相は、内閣改造によって、世論と野党の「森友・加計」攻勢をしのぐつもりでした。そこへ、山尾志桜里議員の不倫疑惑が降ってわきました。不人気の民進党がこのダメージを受けました。安倍首相はこれを勝機と見て、衆院解散に踏み切りました。

ひとことで言えば、安倍首相は、競争政党議員の不倫疑惑に政争の勝機を直感したと言えます。一国の衆院解散動機が、これか…。不倫疑惑を勝機と直感して一国を総選挙に動員することには、世界の有力国家・日本の指導者としての矜持のかけらも見られません。ふつうなら恥じ入ると思うのですが…。安倍首相の人間としての格の低さに絶句です。


<国難解散―北朝鮮の脅威>

9月25日「衆院解散」記者会見で、安倍首相は「解散の意義」を次のように結論づけました。

「この解散は、国難突破解散であります。急速に進む少子高齢化を克服し、我が国の未来を開く。北朝鮮の脅威に対して、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この国難とも呼ぶべき問題を、私は全身全霊を傾け、国民の皆様と共に突破していく決意であります」

「国難突破のために解散」。国語的には落第ではありませんか。
「国難」に対応することばは「挙国一致」でしょう。
 国民こぞってまとまって国難に立ち向かおう、ということですよね。


「解散」ということばは文字通り散ってしまうのだから、国難に対応しようという主旨には合いません。そのうえ、衆院解散は各政党の競争をあおることになるので、なおさらバラバラですね。

北朝鮮の脅威というけれど、北朝鮮ミサイルは何年も前から日本の上を飛び越しています。日本海には何回も落ちています。Jアラートを鳴らすけれども、自衛隊がミサイル対応をしていない。日本に落ちないからだと言う。

Jアラートのちぐはぐさに、国難と解散の相応しないちぐはぐさが重なります。国難というような、国民を脅すようなことばを使っておいて、安倍首相は「脅威、脅威」としか言いません。国難とまで言うのですから、国民はそのことについてどうすればいいのか、明らかにしてくれません。

だからこれは、「北朝鮮の脅威」を安倍首相の政治勢力維持に利用しているということはありませんか。Jアラートの使い方も同様ではありませんか。


<国難解散―高齢化>

「少子高齢化」問題は、もう30年くらい前から提起されてきました。これを国難と言うなら、わが日本は10年も20年もの間、国難漬けになっているわけです。小泉政権以後、民主党政権は3年3カ月。ほかは全部自民党イニシアチブ政権ですから、放置しておいた自民党の責任です。原発事故と同じですね。

 「国難」なんてひとごとみたいに言わないでください。


かつての家族は、働き手男性一人の収入で生活、子育てができました。今は、少数の高給取りを除けば、働き手一人だけで家族を作ることが難しい時代です。共稼ぎ世帯がふつうです。それで保育所・幼稚園が必需施設になっています。

高齢化問題は、親子二世帯同居ができないという居住環境と、かなりな長命化によるものです。これは高齢世帯のうち、日常生活を送っていくのに支障があってなんらかの生活援助が必要であったり、施設居住が必要であったりします。

高齢化問題については、わたしの母が死ぬ前に脳梗塞をやりましたし、今は家内のおかあさんが95歳で、わが家から歩いて10分ほどのグループホームに住んでいます。

ほかに独居老人の叔母が数年前にアルツハイマーが高じて痴呆症認定。わたしが家庭裁判所に申請して成年後見人を選任してもらったり、病院や施設入居など必要あるごとに世話をしています。

それに加えて、居住地の地域包括支援センターの運営委員も務めていますので、一般人としては高齢化問題のアマチュア専門家です。

「高齢化」行政はもう長く経験を積んでいるうえに、体制がかなり整っています。職員や、認知症や寝たきり家族のいる方たちは苦労されています。しかし、地域包括支援センターの組織や職務が軌道に乗っているので、今さら「国難」なんてお笑い種です。

もちろん、保育園・幼稚園・学校などと同じように、生活している人間が対象ですから、課題はいつも山積しているのですが。


<国難解散―少子化>

平成25年4月19日、安倍首相は日本記者クラブで「成長戦略スピーチ」をしました。首相はその中で、待機児童問題にかなり詳しく触れて、終わりに次のように決意を述べました。

 「平成25・26年度の二年間で、20万人分の保育の受け皿を整備します。さらに、保育ニーズのピークを迎える平成29年度までに、40万人分の保育の受け皿を確保して、待機児童ゼロを目指します」

平成26年11月21日、安倍内閣総理大臣記者会見(衆院アベノミクス解散)でも、次のように述べています。

 「2年間で20万人、5年間で40万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童を無くしてまいります。更に学童保育についても待機児童ゼロを実現していく。そのスケジュールは全く変わりません。女性の輝く社会を実現する。この安倍内閣が掲げた旗はこれからも高く掲げてまいります。

 平成29年9月25日、安倍内閣総理大臣記者会見(衆院「国難」解散)では、「
 2020年度までに32万人分
の受皿整備を進めます」と言っています。

 このようにくり返して「待機児童ゼロ施策」をはなしています。これもまた、今さら「国難」とはお笑い種です。これを「国難」と言うなら、口から出まかせの演説ばかりで何もしてなかったの? ということになります。

このように、安倍首相はどんな場合でも、少子化対策を常に意識してスピーチをしています。これを「国難」と言いますか?  

  [通常国会閉会~解散までの経過]
  ○ 通常国会 閉会
  ○ 閉会後 森友・加計ともに新事実が次々と
  ○ 閉会中審査
  ○ 4野党、憲法53条による臨時国会早期召集を自民党に要求
  ○ 自公、臨時国会早期召集に難色 憲法53条軽視または無視
  ○ 内閣改造 仕事人内閣を標榜 → 「森友・加計逃れ」改造内閣
  ○ 臨時国会召集と同時に冒頭解散 → 「森友・加計逃れ」解散 → 事実上
    の臨時国会なし → グレーゾーン違憲


8月3日、官邸において改造内閣の大臣紹介をして仕事人内閣を標榜し、記者会見で内閣改造の意義を述べ、9月25日、「二つの国難」解散動機を説明し、消費税増税の使途その他の公約を説明する。……この支離滅裂さと、「森友・加計」保身と、自らの総理長命化という政治的野心のために、解散総選挙を行った。

----------------------------------------------------------------


 ■平成25年4月19日
 ■安倍総理「成長戦略スピーチ」(日本記者クラブ)

  ――略――

さて、ようやく、私の成長戦略の中核である「女性の活躍」について、お話させていただきます。

  ――略――

<待機児童について>

  「待機児童」は、全国で2万5千人ほどいます。深刻です。しかし、「全国で最も待機児童が多い」という状況から、あの手この手で、わずか3年ほどで、待機児童ゼロを実現した市区町村があります。「横浜市」です。

 やれば、できます。要は、やるか、やらないか。私は、待機児童の早期解消に向けて、このいわば「横浜方式」を全国に横展開していきたいと考えています。

 まず、これまで国の支援対象ではなかった認可外保育施設についても、将来の認可を目指すことを前提に、力強く支援します。

 これまで支援の対象としてこなかった20人未満の小規模保育や、幼稚園での長時間預かり保育も、支援の対象にします。

 さらに、賃貸ビルなども活用して、多様な主体による保育所設置・新規参入を促すとともに、事業所内保育の要件を緩和して、即効性のある保育の受け皿整備を進めてまいります。

 保育士も確保しなければなりません。

 保育士の資格を持つ人は、全国で113万人。しかし、実際に勤務している方は、38万人ぐらいしかいません。7割近い方々が、結婚や出産などを機に、第一線から退き、その後戻ってきていません。保育士の処遇改善に取り組むことで、復帰を促してまいります。

このような総合的な対策である「待機児童解消加速化プラン」を用意しました。

 「子ども・子育て支援新制度」のスタートは、2年後を予定しておりました。しかし、そんなに時間をかけて、待ってはいられません。状況は、深刻です。そのため、今年度から、このプランを直ちに実施します。

  平成25・26年度の二年間で、20万人分の保育の受け皿を整備します。さらに、保育ニーズのピークを迎える平成29年度までに、40万人分の保育の受け皿を確保して、「待機児童ゼロ」を目指します。

 その実現のためには、保育の実施主体である市区町村にも、同じ目標に向かって、本気で取り組んでもらわなければなりません。政府としても、最大限の努力を行い、意欲のある市区町村を全力で支え、「待機児童ゼロ」を目指します。


 ■平成26年11月21日
 ■安倍内閣総理大臣記者会見(衆院アベノミクス解散)

 本日、衆議院を解散いたしました。この解散は、「アベノミクス解散」であります。アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか。それを問う選挙であります。連日、野党は、アベノミクスは失敗した、批判ばかりを繰り返しています。私は、今回の選挙戦を通じて、私たちの経済政策が間違っているのか、正しいのか、本当に他に選択肢はあるのか、国民の皆様に伺いたいと思います。

  ――中略――

  アベノミクスの成功を確かなものとするために、私は、消費税10%への引上げを18カ月延期する決断をいたしました。

 消費税引上げを延期する以上、社会保障を充実させるスケジュールも見直しが必要です。しかし、子育て世代の皆さんを応援する、その決意は揺らぎません。子ども・子育て支援新制度は来年4月から予定どおり実施します。

2年間で20万人、5年間で40万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童を無くしてまいります。更に「小1の壁」を突き破り、学童保育についても待機児童ゼロを実現していく。そのスケジュールは全く変わりません。女性の輝く社会を実現する。この安倍内閣が掲げた旗はこれからも高く掲げてまいります。

  ――中略――

私たちは景気を回復させて、企業が収益を上げる状況をつくり、そして、それが皆さんの懐へと回っていく、この経済の好循環を力強く回し続けることで、全国津々浦々に至るまで景気回復を実感できる、この道しかないのです。

 景気回復、この道しかありません。そのことをこの選挙戦を通じて、皆さんにしっかりと訴え続けていきたいと考えています。


 ■平成28年7月27日
 ■一億総活躍・地方創生全国大会in九州 安倍総理講演

 皆さん、こんにちは。安倍晋三でございます。
 本日は、一億総活躍と地方創生という、安倍内閣の二大看板政策を「盛り上げていこう」ということで、九州中から、また全国から、たくさんの皆さんにお集まりをいただき、こうしてお招きをいただきましたことに対しまして、まずは厚く御礼を申し上げたいと思います。

  この7月は、3年に一度の参議院選挙、勝負の月でありました。その結果がどうなるか、まだ全く分からない時点で、石原さんから講演の依頼をいただきました。果たして、頂いたテーマでこの場で明るくお話しができる環境なのかどうか、不安があったわけでありますが、その結果「アベノミクスを力強く前に進めよう」との新たな高揚感とともに、この場にやってくることができました。全国各地域で、与党または我が党の候補に対して御支援をいただいたこと、この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。

  今回の選挙の結果、昨日から、我が自由民主党は、参議院で122議席、単独過半数の議席を有することとなりました。これはなんと27年ぶりのことであります。私の初当選は24年前ですから、政治家人生で初めての経験と言えることになります。それほどまでの、安定した政治基盤を、国民の皆様から頂いたことに、身の引き締まる思いがしております。

  友党・公明党も議席を増やしました。今後とも、長年の風雪に耐えた「自民党と公明党の連立」という強固な土台の上に、互いに助け合いながら、あらゆる政策を一層力強く推進していかなければならない。そう決意をしております。

 子育て中の人、親の介護をしている人、難病や障害のある人、一度失敗を経験した人、人生経験豊かな高齢者の皆さん、恐れを知らない若者たち。多様な人々が、多様な経験や視点を持ち寄ることで、これまでにない社会の活力が生まれると思います。

  これが、「一億総活躍社会」なんですね。
  その実現のための最大のチャレンジが「働き方改革」であります。


 多様な事情を抱えた人たちが、生きがいを感じて活躍できる。そのためには、高度成長時代の「モーレツ社員」のような、長時間働いたことを自慢するような社会は、根本から改めなければなりません。長時間労働を是正してまいります。

 さらに、多様な働き方が可能な社会を創る。そのためには、「正規か非正規か」という雇用形態にかかわらない均等待遇を確保する必要があります。同一労働同一賃金を実現し、「非正規」という言葉を、この国から一掃したい。そう決意をしております。

 これは、社会全体の所得の底上げにもつながっていきます。
 アベノミクスの成果を広く行き渡らせることは、消費の拡大を通じて、次なる成長とデフレ脱却の大きな原動力となるはずです。

  ――中略――

  アベノミクスの果実を生かして、「経済の好循環」を社会全体で力強く回していくことで、GDP600兆円という目標に向かって、成長のスピードを上げていく。「働き方改革」は、成長戦略においても、最大の武器であると考えています

  一億総活躍に向かって、私は三つの的を掲げました。GDP600兆円に加えて、希望出生率1.8、そして介護離職ゼロであります。


 介護しながらも仕事が続けられる。高齢化が進む時代にあって、社会の活力を維持するためには、現役世代が安心して仕事を続けられる環境整備が急務であります。

  仕事と介護の両立できる社会を目指し、介護の受け皿を50万人分整備する目標を掲げました。今回の
経済対策により、この流れを加速したいと考えています。

  子育てと仕事の両立も重要です。安倍内閣では、政権交代前の2倍のペースで、保育の受け皿づくりを進めてきましたが、来年度末までに合計で50万人分を整備します。


 ■平成29年6月19日
 ■安倍内閣総理大臣記者会見(通常国会閉会)

【安倍総理冒頭発言】

 昨日、通常国会が閉会しました。
 4年前、政権奪還後の最初の通常国会において私は、建設的な議論を行い、結果を出していこう、こう各党各会派に呼び掛けました。その原点は今なお変わることはありません。

 しかし、この国会では建設的議論という言葉からは大きく懸け離れた批判の応酬に終始してしまった。政策とは関係のない議論ばかりに多くの審議時間が割かれてしまいました。国民の皆様に大変申し訳なく感じております。

 印象操作のような議論に対して、つい、強い口調で反論してしまう。そうした私の姿勢が、結果として、政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省しております。
(注)通常国会の期間中に国会の内外で何十回となく「印象操作」ということばを使いました。語彙の貧しい人です。そのうえ自分に異論を唱える人に対して「印象操作」だけで片付ける心の狭い人、度量のない人です。

 また、国家戦略特区をめぐる省庁間のやり取りについて、先週、文部科学省が徹底的な追加調査を行った結果、新しく見つかったものも含め、文書を公開しました。これを受け、内閣府の調査も行い、関係する文書等を明らかにしました。
(注)現実には、「記憶にない」「言ってない」「記録は廃棄済」「記録は不存在」のオンパレードで国民の不信を招いた。

 しかし、最初に調査した段階では、それらの存在を確認できなかった。二転三転した形となり、長い時間が掛かることとなりました。こうした対応が、国民の皆様の政府への不信を招いたことは、率直に認めなければなりません。

 信なくば立たずであります。
 何か指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく。

 先週も調査結果の発表後に予算委員会の集中審議に出席いたしましたが、4年前の原点にもう一度立ち返り、建設的な議論を行い、結果を出していく。そうした政治が実現するよう政権与党としての責任を果たしてまいります。
(注)通常国会の「森友・加計問題」審議が建設的でなかったと言うのでしょうが、安倍首相本人が疑惑の対象であり、官僚たちが事実を話せない環境に置いたからだ。疑惑対象である安倍昭恵夫人、加計孝太郎理事長も国会審議や報道から逃亡したままだった。いや、相手は奥さんと親友なのだから、安倍首相が保護したというのが本当だろう。

 国民の皆様から信頼が得られるよう、冷静に、一つ一つ丁寧に説明する努力を積み重ねていかなければならない。その決意をこの国会の閉会に当たって新たにしております。
(注)実際は、大量のおしゃべりを早口でやりながら、こちらの知りたいことには何もしゃべらず。そのまま選挙入り。そこここに何本も立つ日章旗や振られる日の丸手旗の聴衆に向かって、得意な話題である国難「北朝鮮の脅威」を話すだけ。「私は国家・国民を守る」と。


 ■平成29年8月3日
 ■安倍内閣総理大臣記者会見(改造内閣発足)

【安倍総理冒頭発言】

 先の国会では、森友学園への国有地売却の件、加計学園による獣医学部の新設、防衛省の日報問題など、様々な問題が指摘され、国民の皆様から大きな不信を招く結果となりました。
(注)2017.7.11.毎日新聞朝刊が7月7~9日の報道各社調査の内閣支持率を伝えた。 朝日 33% / 読売 36% / NHK 35% / 日本テレビ 31.9% この支持率急落によって、人心を一新するための内閣改造となった。

 そのことについて、冒頭、まず改めて深く反省し、国民の皆様におわび申し上げたいと思います。
 国民の皆様の声に耳を澄まし、国民の皆様とともに、政治を前に進めていく。

 5年前、私たちが政権を奪還した時のあの原点にもう一度立ち返り、謙虚に、丁寧に、国民の負託に応えるために全力を尽くす。一つ一つの政策課題にしっかりと結果を出すことで、国民の皆さんの信頼回復に向けて一歩一歩努力を重ねていく。

 その決意の下に、本日、内閣を改造いたしました。

  今回の組閣では、ベテランから若手まで幅広い人材を登用しながら、結果重視、仕事第一、実力本位の布陣を整えることができたと考えています。
(注)このことば52日間の虚しさよ。安倍首相が胸を張って記者会見で話した虚言。

 最優先すべき仕事は経済の再生です。安倍内閣は、これからも経済最優先であります。


 ■平成29年9月25日
 ■安倍内閣総理大臣記者会見(衆院解散)
(注)「北朝鮮危機・少子高齢化」国難突破解散であると表明した

【安倍総理冒頭発言】

 5年前、国民の皆様のお力を得て政権を奪還しました。当時、私たちが公約に掲げた大胆な金融政策には大変な批判がありました。しかし、総選挙で勝利したからこそ実行に移すことができた。アベノミクス三本の矢を放つことで日本経済の停滞を打破し、マイナスからプラス成長へと大きく転換することができました。
 今、日本経済は11年ぶりとなる6四半期連続のプラス成長。内需主導の力強い経済成長が実現しています。

  ――中略――

 この5年近く、アベノミクス改革の矢を放ち続け、ようやくここまで来ることができました。今こそ最大の壁にチャレンジするときです。

 急速に少子高齢化が進むこの国が、これからも本当に成長していけるのか。この漠然とした不安にしっかりと答えを出してまいります。それは、生産性革命、そして人づくり革命であります。この2つの大改革はアベノミクス最大の勝負です。

  ――中略――

幼児教育の無償化も一気に進めます。2020年度までに3~5歳まで、全ての子供たちの幼稚園や保育園の費用を無償化します。0~2歳児も、所得の低い世帯では全面的に無償化します。待機児童解消を目指す安倍内閣の決意は揺らぎません。本年6月に策定した子育て安心プランを前倒しし、2020年度までに32万人分の受皿整備を進めます。

 2020年代初頭までに、50万人分の介護の受皿を整備する。最大の課題は、介護人材の確保です。これまで自公政権で月額4万7,000円の改善を実現してきましたが、他の産業との賃金格差をなくしていくため、さらなる処遇改善を進めます。

 ―略―2兆円規模の新たな政策を実施することで、この大改革を成し遂げてまいります。

  ――中略――

しかし、そのつけを未来の世代に回すようなことがあってはならない。人づくり革命を力強く進めていくためには、その安定財源として、再来年10月に予定される消費税率10%への引上げによる財源を活用しなければならないと、私は判断いたしました。

 2%の引上げにより5兆円強の税収となります。

 現在の予定では、この税収の5分の1だけを社会保障の充実に使い、残りの5分の4である4兆円余りは借金の返済に使うこととなっています。この考え方は、消費税を5%から10%へと引き上げる際の前提であり、国民の皆様にお約束していたことであります。

 この消費税の使い道を私は思い切って変えたい。子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当し、あわせて財政再建も確実に実現する。そうした道を追求してまいります。増税分を借金の返済ばかりでなく、少子化対策などの歳出により多く回すことで、3年前の8%に引き上げたときのような景気への悪影響も軽減できます。

  他方で、2020年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成は、困難となります。

  この解散は、国難突破解散であります。急速に進む少子高齢化を克服し、我が国の未来を開く。北朝鮮の脅威に対して、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この国難とも呼ぶべき問題を、私は全身全霊を傾け、国民の皆様と共に突破していく決意であります。

コメント

新書『アベノミクスによろしく』をご紹介 アベノミクスのとんでもない実態を統計データで明らかにした

2017-10-20 19:06:18 | Weblog

前々回、前回と2回つづけて、ブログ冒頭に同じGDP折れ線グラフを掲げました。この折れ線グラフは、たまたま見た誰だったかのリツィートで紹介されていました。

この折れ線グラフの2本の線が乖離しているのを見てすぐに、わたしは「GDP数字にからくりがある」と直感しました。

直感したについては次のような経験がありました。


年金積立金の運用ポートフォリオ変更、株式主力へ

安倍政府が厚生年金積立金運用の主力を国債保有から株式投資に変更したことに怒りを持っていました。たいせつな国民の資産の主力運用を、安全最優先の国債から投機の一つである株式投資に切り替えるなどもってのほか。というのがわたしの持論です。

株が上がれば利益が出る。しかし株は必ず下がって損失を被る。わたしたちの大切な年金積立金を賭博ゲームにつぎこむなど安倍首相は正気か、というのがわたしの考えです。

 ○1989年(平成元年)以後の東証株価(日経平均225)

  1989年(平成元年)12月29日大納会 過去最高値 38,915.87円
  2002年(平成14年) 元年以後2番底 8,578.95円 ITバブル崩壊
  2008年(平成20年) 元年以後3番底 8,859.56円 リーマンショック
                          (金融危機)
  2011年(平成23年) 元年以後1番底 8,455.35円 東北大震災、
                          原発事故
  2017(平成29年)年10月20日 引け値 21,457.64円

民主党政権の時代は、上記1番底、3番底が象徴するどん底GDP4カ年の時代でした。これはどんなに優れた政治家が担当しても苦しんだであろう時代です。安倍政府・安倍自民は、なんでもかんでも民主党政権の失敗だと非難していますが、それは事実ではありません。

その一方で、福島原発事故について、2006年第一次安倍内閣当時に、国会で非常電源喪失対策を求められたにもかかわらず放置していた安倍首相は、福島原発事故の責任を問われるべき立場にあります。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は政府の管理下にあります。
わたしはこういったことを調べて2016年1月、2月にブログに書きました。


■菅官房長官2016年7月参院選遊説「30数兆円の運用益を確保している」

わたしは上記のように、GPIFの運用収益を調べるために数カ年分の「報告書」を読んでおりました。

ですから、「30数兆円」という数字が、有権者をたばかる数字だとニュースで聞いた瞬間にわかりました。安倍政権以前からの実績も算入して、選挙対策数字を演出したのではないかと推測しています。その時点で安倍政権下の運用収益は14兆6000億円でした。


上の2つのことで、「安倍政府は平気で工作数字を宣伝する」ことがわかって以降、安倍政府・自民党が特に宣伝する数字・成果は信用できないと思っています。


『アベノミクスによろしく』 その実態を統計データで明らかにした

こういうところへ偶然に、「モノシリンの3分でまとめるモノシリ話」というサイトとGDP比較がグラフを紹介したリツィートに出会いました。見つけるのが遅すぎたという後悔が残ります。

このサイトの管理人は明石順平という弁護士さんで、つい最近『アベノミクスによろしく』(インターナショナル新書 税別740円) という本が刊行されました。わたしはきょう、この本を買ってきたばかりです。

この本で書かれていることはすべて、統計データを分析した結果です。以下、本書の紹介に代えて、カバー帯のコピー、最終章のまとめ部分、あとがき、をそのまま複写して転載いたします。

<1> カバー帯のコピー

  藻谷浩介氏「客観的事実のみを書いた、文句のつけようのない内容」
  井出英策氏「〝リアル〟がアベノミクスの正義と幻想を破壊する」

  豊富なデータにより、アベノミクスの本当の姿が今、明らかに!

 ○ 異次元の金融緩和でもマネーストックの増加ペースは変わらず。
 ○ 実質賃金大幅下落で、国内消費が「リーマンショック時を超える下落率」
   を記録。
 ○ 3年間で比較すると実質GDP成長率は民主党時代の約3分の1。
 ○ 新しいGDP算出基準への対応を隠れ蓑にし、GDPを異常にかさ上げ。
 ○ 雇用改善は労働人口減、労働構造の変化、高齢化による医療・福祉分野の
  需要増の影響。アベノミクスと無関係。
 ○ 株価はも日銀と年金でつり上げでいるだけ。
 ○ 金融緩和の副作用は、それをやめた時の国債、円、株価の暴落。


<2> 私たちはこれからどうしていくべきか 総まとめ

 ① 異次元の金融緩和を行っても、マネーストックの増加ペースは変わらな
  かった。物価上昇は消費税の増税と円安によるものだけ。マイナス金利も
  効果なし。
 ② 増税と円安で物価は上昇したが、賃金がほとんど伸びなかったので消費
  が異常に冷え込み、経済は停滞した。
 ③ 経済停滞をごまかすため、2008~NA対応を隠れ蓑にした異常なGDP改定
  が行われた。
 ④ 雇用の数字改善は労働人口減、労働構造の変化、高齢化による医療・福
  祉分野の需要増の影響。これはアベノミクス以前から続いている傾向で、
  アベノミクスとは無関係。
 ⑤ 株高は日銀と年金(GPIF)でつり上げているだけ。実体経済は反映され
  ていない。
 ⑥ 輸出は伸びたが製造業の実質賃金は伸びていない。また、輸出数量が伸び
  たわけではない。円安で一部の輸出企業が儲かっただけ。
 ⑦ 3年連続賃上げ2%は全労働者(役員を除く)のわずか5%にしか当てはま
  らない。
 ⑧ アベノミクス第3の矢の目玉である残業代ゼロ法案は長時間労働をさらに
  助長し、労働者の生命と健康に大きな危険を生じさせる他、経済にも悪影
  響を与える。
 ⑨ 緩和をやめると国債・円・株価すべてが暴落する恐れがあるので出口がな
  い。しかし、このまま続けるといつか円の信用がなくなり、結局円暴落・
  株価暴落を招く恐れがある。

太郎 アベノミクスってはっきり失敗だったけど、大きな痛みなしに終えることができないということか……かといってこのまま現実逃避を続けても、結局円と株価の暴落が待っているかもしれないし……引くも地獄、進むも地獄って感じだね……嫌になっちゃう。

モノシリン これだけの現実を見て「民進党よりマシ」って言えるかな?

太郎 う~ん。これだけの現実を見せられると民進党よりマシって言えないよ。だって実質GDPは民主党政権時代の3分の1しか伸びてないし、実質貸金は下げられるし……挙げ句の果てにGDPをごまかす改定するし、その上、超特大の副作用を残すし。残業代はゼロにされそうだし…・‥。

モノシリン アベノミクスの現実を知ればそうなると思うんだよね。輸出が伸びたこと以外はほぼ何も良いことなかったんだから。その輸出の伸びだって肝心の国内消費を犠牲にしたものだしね。でも、国民のほとんどはこの現実を知らない。みんなアベノミクスという言葉は知っているけど、中身とその効果については全然知らない。

太郎 うん。そういう状況だとアベノミクスって選挙対策としてはいいよね。中身は知らないけどなんか「頑張ってる感」は出るし、株価とか為替とか目立つ数字だけは好調に見えるから「民進党よりマシ」って考えにつながりやすいよね。

モノシリン そう。だから、「自民党以外に頼れる政党がない」っで考えになる。本当は史上悪の経済政策を実行して、出口も見つからずに現実逃避をしているだけなのにね。ただ、これは野党も悪い。いつも経済を主要争点にされて負けているのに、経済統計をちゃんと分析してアベノミクスの失敗を国民に知らせることをしてこなかったんだから。

太郎 でもさあ、批判するだけなら野党に投票する気にならないよ。「自民党も嫌。野党も嫌。入れるとごない。だから選挙に行かない」って考えになるじゃん。

モノシリン そうだね。だから民進党をはじめ与る野党には、批判するだけではなく、もっと自民党とは違った政策をアピールしてほしいところだね。

太郎 民進覚って労働者側政党なんでしょ。もっとその点をアピールした方がいいよね。民進党がそういう政党だったなんて僕知らなかったし。

モノシリン そうだね。労働力人口がどんどん減少していくこの国において、貴重な労働力を使い
潰すことにつながる長時間労働をなくすことが、この国の一番の課題と言えるんじゃないかな。そしてそれは使用者側政党である自民党には実現できない。現に残業代ゼロ法案を提出して長時間労働撲滅に逆行することをしでいるしね。長時間労働を撲滅できるのは、労働者側政党しかないんじゃないかな。

太郎 そうだよね。僕、人間らしい生活がしたい。死ぬほど働かされるなんて嫌だよ。だけど、今のまんまじゃアベノミクスはまだ終わらないよね。どうなるんだろ。

モノシリン いつかの時点で円と株価の暴落が起きて経済に大混乱が起きれば、さすがに国民も目を覚ますかもしれない。

太郎 気づいた時には日本終了じゃん。嫌だよそんなの。

モノシリン 太郎、もの凄いインフレが起きるとか、とっても痛い目にあうかもしれないけど、この国が消えてなくなるわけじゃない。諦めちゃいけないよ。もう痛い目にあわずに済む方法はないかもしれないけど、どん底に落とされたってそこからはい上がればいい。君たちの大先輩が敗戦後の瓦礫の山からこの国を立て直したようにね。

太郎 う~ん。ま、頑張るしかないね。僕、なんだかんだ言ってこの国好きだし。

モノシリン その意気だよ。絶望してはいけない。諦めは何も生まない。少子高齢化で大きな経済成長が期待できず、社会保障費が膨らんでいってしまうのは先進国であればどこも直面する問題だ。日本はその間題の最先端に立たされていると言ってよいだろう。君たちが頑張つてこの大問題の解決の筋道を世界に示すんだ。

太郎 なんか話が大きくなってきたね。うん、頑張るよ。そのためにはもっといろいろ勉強
しなきゃだな。

<3> 本書 あとがき

「アベノミクスって思ったよりうまくいってないかもしれないけど、民主党政権時代よりはマシだろう」

 自分で統計データをいろいろ調べてみるまでは、私もそう思っていました。調べてみたら、まるで遠いました。アベノミクスは想像を絶する大失敗に終わっていました。

 これはみんなに知ってもらわなくてはならない、ということで、ブログに書いたのが「アベノミクスによろしく」でしだ。まえがきにも書きましたが、佐藤秀峰先生が二次利用フリーで公開している『ブラックジャックによろしく』を使わせていただくことで、訴求力が格段にアップし、多くの方にブログを読んでいただくことができました。

 大多数の人にとってなじみの薄い、かつわかりにくい「経済」の話に興味を持ってもらうためには、この漫画の存在が必要不可欠でした。佐藤先生には心より感謝申し上げます。そして今回、光栄なことに書籍化のお話をいただき、ブログ版を大幅にパワーアップして本書を書きました。

 なお、ブログ版は暦年データを中心にして作っています。他方、書籍版は年度データを中心に作っていますので、数字が異なります。

 例えば、名目賃金は暦年データでみるとアベノミクス3年間で0・1%しか伸びていませんが、年度データで見ると0・5%伸びています。また、暦年データで改定前の実質民間最終消費支出を見ると、2年連続で下がる現象はリーマンショックの際にも起きています。

 このような違いが生じますので、ブログ版を読まれた方は、くれぐれも暦年データと年度データを混同しないよう注意しでください。

 自分でとことん調べてみて、「民主党政権時代よりマシ」だなんて口が裂けても言えなくなりました。そんなものはただの思い込みにすぎませんでした。

 確かにアベノミクスは、ごく一部の人たちに利益をもたらしました。しかし大多数の国民には何の恩恵も与えていないし、それは今後も変わらないでしょう。為替と株価という目立つ部分が良く見えるだけです。


 その上、私たちはアベノミクスが生んだ特大の副作用と闘わなくてはならない運命にあります。一人でも多くの方に、この現実を知って濁らいたいと強く思います。

2017年8月吉日
                              明石順平




コメント

<安倍政権・安倍自民> 選挙前に経済成果数字を水増し演出した実績あり 今回(2017衆院選)はGDP数字にカサ上げ細工 選挙前はいつも株高になる

2017-10-19 16:10:04 | Weblog

前回と同じグラフを上掲します。出所は他サイト http://blog.monoshirin.com/entry/2017/10/12/184218 の記事で、これは前回記事のグラフ下にも記してあります。サイトのグラフと記事の作成主は弁護士で、このサイト記事を基にして「アベノミクスによろしく」という新書を出しました。

2016年度期中に名目GDP推計計算方法が変更され、これによってGDP推計額が「かさ上げ」されました。ここに数字の操作があると言います。

日本経済新聞 2016/9/15 19:25
 内閣府は15日、12月に予定する国内総生産(GDP)の推計方法の見直しで、新たな基準年となる2011年(平成23年)の名目GDPが19.8兆円かさ上げされるという試算値を発表した。
 新基準で推計した11年の名目GDPは491.4兆円となった。旧基準の471.6兆円より4.2%増えた。
 政府は20年に基礎的財政収支の黒字化を財政健全化の目標に掲げている。推計方法の見直しでGDPが20兆円ほどかさ上げされれば、足元の赤字幅のGDP比率は見かけ上圧縮されることになる。



<名目GDP計算に細工があって実態より大きくカサ上げされている>
前回と同じ上掲グラフをご覧ください。オレンジ折れ線は新方式GDP計算法によるもの、青色折れ線は従来式GDP計算法によるものです。

「自民党 政見公約 2017」(以下「自民2017公約」と呼びます)のアベノミクス5年間の実績として、名目GDPが、① 過去最高 ② 50兆円増加、となっています。

その期間は、493兆円(2012年10-12月期) → 543兆円(2017年4-6月期)、と記されています。これは2012年度第3四半期→2017年度第1四半期のことです。

上掲グラフは年度単位で、2015年度までしか出ていません。従来式GDP計算法で公表されているのは2015年度までです。2016年度から新方式計算で公表されているので、グラフ対比が2015年度までとなっているのでしょう。


しかし、上掲グラフの従来式計算法「青線2015年度」は、過去最高ではありません。1995年度から2007年度までのどれよりも下位。なんと、13位です。

新方式計算法「オレンジ線2015年度」では第2位。第1位は1997年度。第3位は2007年度です。

新計算法で第2位、従来式計算法で第13位。この大きな差異にグラフ作成者が疑問を持ちました。計算法を変えると、なぜこんなに順位が変動するのか?

ほかに幾つものグラフを示しながらこと細かく検証している経過が、モノシリンの3分でまとめるモノシリ話に書いてあります。クリックしてぜひご一読していただくようお勧めいたします。

グラフ作成者は、安倍政権時代の成果を良く見せるために、「新計算法による名目GDPには細工が加えられている」と結論しています。

わたしは、次の項で言うように、以前に「成果数字の見せ玉工作」を検証したので、グラフ作成者の検証を信じるしだいです。安倍政権の発表数字には用心してかかる必要があります。


<2009年~2012年度のどん底GDPの主因はリーマン金融危機と東北大震災・原発事故>
安倍政権はどん底GDPの4年間を民主党政治の無能によるものと批判しています。しかしこれは、リーマンショックを契機にした世界金融危機の波及と、それにつづく東北大震災・福島第一原発事故を主因とするものです。

金融危機のあおりで景況が急落した年は、麻生内閣(自公連立)の時代でした。自公であれ、民主であれ、誰が政権を担当していても、どん底GDP4年間になっていたでしょう。経済環境は、そんな最悪の4年間でした。
→ 前記事参照 <2017衆院選> 安倍自民宣伝の「アベノミクス5年で名目GDP50兆円増加」は世界金融危機につづく東北大災害の「特別に不運なGDPどん底4年間」との対比である、誇れるものではない

その時代と比較して、GDP50兆増加と自慢するのは的外れです。しかも、その計算法に疑いがあるのです。


<選挙前に成果数字を水増しする>
2016年7月参院選。菅官房長官が2016.7.2.遊説先で「年金積立金管理運用独立行政法人は30数兆円の運用益を確保している」と言い、わたしは報道でそのことを知りました。同じ日の公明新聞でも同様の記事が載りました。

2016年は年初から東証株価が下がり続けていて、年金積立金の運用収益は約5兆円の赤字と報道されていました。参院選投票結果への悪影響を恐れた安倍内閣は、2016年度の年度実績発表を参院選投票後に延期しました。例年7月上旬のうちに発表されているにもかかわらず。

安倍内閣の運用実績として語れるのは、2016年7月時点で、2013年度~2016年度分の3カ年度。この3年分の運用収益は概算14兆6000億円です。この事情は、2016.2.11.安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入 運用の株式比率は20%から50%へ(4止)にくわしく書いております。

「30兆円以上」という数字は、安倍内閣以前からの累積運用収益かもしれません。その数字の由来はわかりませんが、いかにも安倍内閣による成果であるかのように「30兆円以上」の数字を語るのは、ダマシの手口と言えます。

この手口を追及するならば、政権側はこの数字は事実だと言うでしょう。しかし、選挙時の政見演説などで、あたかも自分たちの功績であるかのように語るのは、「ウソではないがダマシの手口」です。


<選挙前にはなぜか株価が上がり、選挙後に沈静し始める>
2016年7月参院選が近くなったころに、「株価が上がった」という新聞記事が多くなっていることに気がつきました。わたしは金融記事に注意を払っているわけではないので、わたしの目に入るきっかけは、新聞の一面に記事が出たり、ニュースサイトの上位に記事が出たりするときです。

それで注意が向いてみると、「株価が上がった」記事や分析記事が頻りに出てきます。それで注意を払って、株価の上下を追って調べてみました。

その結果、趨勢として、選挙が近くなると徐々に株価折れ線が上がり、選挙が終わると徐々に下がるという傾向が出ました。

選挙前に株価が上がり、選挙後に株価が下がる――という傾向について、このブログで2016.5.18.安倍首相は選挙直近になると「株高」対策を打つとして掲載しました。

きょうの毎日新聞(2017.10.20.)一面でも、「東証29年ぶり13連騰」と出ています。「上げ相場はまだ余力がある」とするアナリストもいれば、「官製相場の気配濃厚」とするアナリストもいます。しかし東証株価連騰も続きすぎですから、選挙が終われば相場も落ち着くでしょう。

ここでいう「官製相場」ということについていえば、そもそも安倍政権は、アベノミクス向けに株上げ相場を作る目的で、「年金積立金」の運用を国債主力から株式主力に転換させました。
(参照クリック)2016.2.11.安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入 運用の株式比率は20%から50%へ(4止)

年金積立金運用資産額は2016年度(平成28年度)末で、144兆9034億円です。「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」は世界最大級の日本政府系投資機関ですから、株価介入が時機に応じて行われているとみるのが常識というものでしょう。

 一方、毎日新聞2017.10.20.朝刊の東証13連騰記事によれば、日銀が上場投資信託(ETP)を年間6兆円買っているという。また、経済同友会の小林喜光代表幹事が10月18日の記者会見で「かなりバブリーな方向に来つつある。(株高を)単純に喜べる状況ではない」と、語ったと伝えています。

選挙が終われば、これまでの安倍選挙と同じように、今の株高相場は沈静化していくにちがいありません。


コメント

安倍自民が2017衆院選で誇大宣伝 「アベノミクス5年で名目GDP50兆円増加」は、➡世界金融危機・東北大津波・福島原発事故による「GDPどん底4年間」との対比である

2017-10-18 15:50:11 | Weblog
※ 2016年度期中に名目GDP推計計算方法が変更され、これによってGDP推計額が「かさ上
 げ」されました。
  上掲折れ線グラフのオレンジ線は変更後(現行)計算方式による「かさ上げ金額」、青線は変
 更前計算方式による「従来型金額」を示しています。
  この折れ線グラフの出所は、ブログ「モノシリンの3分でまとめるモノシリ話」
です。



 ○歴代内閣一覧 (官邸ホームページから)
  小泉純一郎内閣(自公)2001(H13).04.26.~ 2006(H18).09.26.
  安倍晋三 内閣(自公)2006(H18).09.26.~ 2007(H19).09.26.
  福田康夫 内閣(自公)2007(H19).09.26.~ 2008(H20).09.24.
  麻生太郎 内閣(自公)2008(H20).09.24.~ 2009(H21).09.24.
  鳩山由紀夫内閣(民主)2009(H21).09.16.~ 2010(H22).06.08.
  菅 直人 内閣(民主)2010(H22).06.08.~ 2011(H23).09.02.
  野田佳彦 内閣(民主)2011(H23).09.02.~ 2012(H24).12.26.
  安倍晋三 内閣(自公)2012(H24).12.26.~ ○


アベノミクスの成果数字を政府与党は次々くり出してきます。しかしほんのわずかの富裕層や大企業を除けば、みんながみんな「実感がない」と言う。

これはなぜ? そもそも課税徴税の制度に不平等があり、富の在りかが偏り、あるいは派遣社員、契約社員、正社員という「労働身分制度」が定着して所得格差が拡大し、しかも固定化しているからでしょう。


上掲図「青色折れ線」を見よ 「GDP50兆円増加」は自慢に値せず
 GDPはやっと2000年代の水準にたどりつくかということろ


安倍政権・与党はアベノミクス5年の成果「名目GDP50兆円増加」を宣伝して、その前の民主党政権をやたらに批判しています。

リーマン金融危機と大津波・原発事故大災害のどん底から、GDPは、日本経済の地力で立ち直ってきた要素がかなりあると見られます。

アベノミクス異次元緩和で日銀は傷み、年金資金は株価維持のための相場投資に使われています。それら強引な手を使ってのGDP50兆円増加ですから、自慢できる数字とは言えません。

どうぞ上掲図「名目GDP改定前後比較」折れ線グラフをご覧になってください。同時に「歴代内閣一覧」で、個別内閣の期間と折れ線を見比べてください。

まず始めに、麻生太郎自公内閣時代に、リーマンショック・世界金融危機直撃によってGDPは急降下、転落したのです。

GDPは2007年度をピークにして2008年度(H20年度)、2009年度(H21年度)の2カ年間、急降下を続けています。

2008年(H20年)夏にリーマンショックを機にして世界金融危機が起こり、2009年(H21)までつづきます。

麻生太郎総理大臣の政権期間2008(H20).9.24.~2009(H21).9.16.の1年間はその大波をかぶりました。不運でした。

GDPは2009年度(H21年度)~2012年度(H24年度)の4カ年間、どん底状態が続きます。

2009年度(H21年度)前半は世界金融危機に直面している時期であり、2009年度後半から2010年度(H22年度)はまだ金融危機の後遺症に苦しんでいる時期でした。

世界金融危機がほぼ収まった2011年度(H23年度)は、3月に東北大津波と福島第一原発事故メルトダウンがありました。

金融危機に引き続く未曽有の大災害に出会って、2011年度(H23年度)、2012年度(H24年度)とGDPのどん底がつづきました。


この金融危機、大津波・原発事故の大災害に出会ったどん底4カ年度は民主党政権の時代でした。

  鳩山内閣 2009(H21).09.16.~2010(H22).06.08.
  菅内閣  2010(H22).06.08.~2011(H23).06.08.
  野田内閣 2011(H23).09.02.~2012(H24).12.26. 

安倍首相も安倍自民党も、ことあるごとに民主党政権の無能ぶりを笑いものにしています。

しかし、世界金融危機、大津波・原発事故の4カ年度にGDPのどん底がつづいたことは、誰が政権を握っていても、安倍政権であったとしても、きっと同じ結果であったことでしょう。

世界金融危機と大津波・原発事故大災害による不運な「GDPどん底4年間」が終わるころに、安倍自民党が政権を取り返した。

その幸運のうえでの強大与党独裁政治のプラスアルファを得ているというのが、今の安倍自公政権が誇る経済データの実態ではありませんか。自民党議席数が多過ぎる。

そんなことよりもむしろ、安倍首相は、福島原発事故の直接原因になった電源喪失について、責任を負うべき立場にあります。

 (参照クリック)2006年12月、原発冷却用電源喪失に関する衆議院「質問主意書」、安倍
   晋三内閣総理大臣名「答弁書」、2011年3月福島第一原発メルトダウン


福島の聴衆のいない所で、衆院選スタートの遊説をしました。なんのやましさも感じないで堂々と、福島に立って遊説スタートを切る。安倍首相はどんな神経をしているのでしょうか。

第一次安倍内閣当時の2006年12月、原子炉冷却用電源喪失の危険性がある場合を指摘した議員質問主意書が議会を通じて提出されました。これに対する安倍内閣総理大臣名の答弁書には、電源喪失問題に真摯に向き合う姿勢などみじんも感じられなかった。

コメント

<2017衆院選> 立憲民主党・枝野代表 右左の対立軸は時代遅れ 「草の根からの民主主義」と「暮らしの足元からの経済再生」を…

2017-10-17 07:00:08 | Weblog
※上掲写真は立憲民主党•枝野代表 2017.10.14.新宿南口広場 街頭演説 (ユーチューブから)

毎日新聞2017.10.17.付け「枝野」インタビュー記事から転載します。
   ◇

 永田町の合従連衡で政権を取ろうとは思わない。「選挙後は野党」ということは明確にしています。できるだけ野党第1党に近付け、政治に影響力を持つ。立憲民主党が大きくなって政権の選択肢になる。筋を通して、この次の総選挙では政権を目指したい。

 安倍政権に対する不安や不満はたくさんある。そんななか、「選択肢がない」「声を受け止めてくれる政党がない」という世論に背中を押されて立憲民主党は立ち上がった。党を草の根民主主義の象徴にしていかなければならない。旧民主党は、それを体現する政党を目指してスタートしました。新しい党に何が期待されているかといえば、その原点ではないかと思っています。

 街頭では「草の根からの民主主義」と「暮らしの足元からの経済再生」の2本柱を訴えています。たくさんの人に集まってもらい、大変熱い支援をいただいている。想定以上でありがたい。

 保守と対立するのがリベラルと位置付けるなら、我々はリベラルではない。右左の対立軸自体が時代遅れだ。我々は草の根の民主主義をやっていく。それをどう呼ぶかは皆さんの判断だと思います。

 民進党がどうするかは、残った皆さんの自立的な判断による。こちら側が残った人を無理やり引きはがすようなことはしません。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を「見直す」とは言っていません。他の選択肢がないかも含め、移設の経緯、現状についてゼロベースで検証するということです。


-----------------------------------------------------------------------

(毎日新聞 2017.10.17.朝刊「語録」から)
「こんな首相初めて」 民進党・岡田克也元代表

 何度も安倍(晋三)さんと議論したが、こんな首相初めてだ。これだけ議論のかみ合わない首相は経験がない。聞いたことにちゃんと答えない。都合が悪くなると、全然関係ないことを5分でも10分でも平気でしゃべり続ける。この国のリーダーをこの人がやっていると、とんでもない間違いが起きてしまうんじゃないか。(福島県南相馬市の16日演説会で)



コメント (2)

国家戦略特区は「利益誘導」事業に成り得る 中心的唱道者・竹中平蔵氏は大物「規制緩和ビジネスマン」である

2017-10-13 05:58:36 | Weblog

「国家戦略特別区域 諮問会議 議員名簿」に、有識者議員・竹中平蔵氏の肩書は、「東洋大学教授・慶應義塾大学名誉教授」と記載されています。
 
名誉教授ですから、東洋大学でも慶応義塾大学でも実際の仕事はありません。
 にもかかわらず、安倍首相も竹中本人も、本業を隠しています。
 

 
竹中平蔵氏の本業は、パソナグループ (東証一部上場) 取締役会長。  
オリックス株式会社 (東証一部上場) 社外取締役もしています。

学者の名刺を見せて本業ビジネスをするのが、竹中平蔵氏の詐欺スタイル、いや仕事スタイルです。


国家戦略特区制度は、「規制緩和、既得権益打破」をして、特定の人・業者がやりたいことができるように条件を整備してやる制度で、「利益誘導が本筋」です。 

そのうえに人脈が絡めば、どうみたって構造汚職でしょう。          
これが「国家戦略特区」につきまとう制度的性格です。 
 

竹中平蔵取締役会長のパソナグループは人材派遣の有名な大手企業です。創業以来常に、労働関係の規制緩和で社業を拡大してきました。規制緩和は、小泉政権以来つづいてきた自民党政権の政策です。
 
 
小泉首相以後の時代は、労働関係の規制緩和に邁進するばかりです。
平成年間に新しい身分制度ができました。派遣社員―契約社員―正社員。
派遣・契約社員から正社員への道はほぼ閉ざされています。
この労働身分制度はほぼ固定化しています。
当人の仕事能力が優秀であっても、今はこの壁を越えるのが困難な時代です。
 若年世代からすでに、階級化格差社会が広がっています。

 
 
一方、オリックスも規制緩和のうまみをよく知っている企業です。オリックスは、小泉政権時代に規制緩和を主導し、自ら利益誘導をやっています。このブログではオリックスについての過去記事が3本あります。
 
    2006-06-29
    経済政策の地下室人脈―村上ファンド、宮内オリックス会長、福井日銀総裁
   2006-08-01
    宮内義雄オリックス会長と自社の利益のための規制緩和
   2009-02-16
    宮内義雄オリックスとはこんな会社!



○国家戦略特別区域諮問会議運営規則 (平成26年1月7日)
  第4条4 会議は、その決定するところにより、会議に付議される事項について直接の利害関係を有する議員を、審議及び議決に参加させないことができる。← 利益誘導防止の規則

上の第4条第4号の規定を実行するならば、今治特区(加計学園獣医学部新設)審議・決定では、安倍晋三諮問会議議長を外す。神奈川特区(家事支援外国人在)審議・決定では、竹中平蔵有識者議員を外す。――ということになります。
 
              
だが、この規定は完全無視。法律ではなくて運営規則ですが、諮問会議当事者や関係者の遵法精神皆無、完全欠如です。


政府の官邸ホームページに「内閣府国家戦略特区―規制改革メニュー」というページがあります。ここから以下の事業項目をリストアップしました。


◆1.分野 『外国人材』

○規制改革事項 家事支援外国人材
 △実現時期 2015年7月 特区法成立
 △初の活用自治体 神奈川県
 △概要 外国人家事支援人材の活用
     女性の活躍推進等のため、地方自治体等による一定の管理体制の
     下、家事支援サービスを提供する企業に雇用される外国人の入国
      ・在留を可能化→ 竹中平蔵関係
 △事業者
       株式会社パソナ      25人 → 竹中平蔵関係
      株式会社ニチイ学館    15人
      株式会社ベアーズ      7人
      株式会社ポピンズ      5人
      株式会社ダスキン      4人
      株式会社ピナイ・インターナショナル 2人

      神奈川県が2016年7月27日、フィリピン人58人の家事支援外国人
     受入企業
(「特定機関」と言います)を発表しました。受入企業と受
     入人数は上記の通り。

◆2.分野 『教育』

○規制改革事項 獣医学部
 △実現時期  2017年1月告示
 △初の活用自治体  今治市
 △概要 獣医学部の新設
     「国家戦略特区における追加の規制改革事項について(平成28年11
     月9日国家戦略特別区域諮問会議決定)」に従い、獣医師が新たに
     取り組むべき分野における具体的需要に対応するための獣医学部を
     一校に限り特例的に設置認可の対象とできる。
  △事業者  岡山理科大学 (加計学園傘下)  → 安倍首相関係

◆分野 『農林水産業』

○規制改革事項 企業農地取得
 △実現時期  2016年5月 特例法成立
 △初の活用自治体  養父市
 △概要 企業による農地取得の特例
     喫緊の課題である担い手不足や工作放棄地等の解消を図ろうとする
     国家戦略特区において、農地を取得して農業経営を行おうとする
     「農地所有適格法人以外の法人」について、地方自治体を通じた農
     地の取得や不適正な利用の際の当該自治体への移転など一定の要件
     を満たす場合には、農地の取得を認める特例を、今後5年間の時限
     措置として設ける。
  △事業者  やぶファーム株式会社 → 竹中平蔵関係、ほか14事業者
        やぶファーム株式会社は資本金400万円で、オリックス農業株
        式会社20%、
やぶパートナーズ株式会社(養父市が設立) 5%、
       JAたじま25%の出資である。15事業者のうち、市とJAが出資
        しているのは、このやぶファーム1社だけである。



竹中氏は小泉純一郎元総理の信任を得て、小泉政権下で大臣を務め、規制緩和の権化として働きました。当時の竹中の口癖は「グローバル化」。経済のグローバル化、経済成長には規制緩和、開放経済が必須として一本調子に進みました。

経済のグローバル化とは、米国ウォール街金融資本主義に同化して自らもその一翼に並ぼうとするものであります。当時すでに、米国では格差社会が広がりつつあって、それを警告する本が日本でも翻訳出版されていました。しかしその警告が日の目を見ることはなかった。

竹中氏は当時の小泉純一郎総理の下で、規制緩和、郵政民営化にまい進しました。

  第1次小泉内閣 2001(H13).4.26.成立
          経済財政政策担当大臣
  第1次小泉内閣第1次改造内閣 2002(H14).9.30.改造
          金融担当大臣・経済財政政策担当大臣
  第1次小泉内閣第2次改造内閣 2003(H15).9.22.改造
         内閣府特命担当大臣 (金融経済財政政策)
  第2次小泉内閣 2003(H15).11.19.成立
         内閣府特命担当大臣 (金融経済財政政策)
  第2次小泉内閣改造内閣 2004(H16).9.27.改造
         内閣府特命担当大臣 (経済財政政策) 郵政民営化担当
  第3次小泉内閣 2005(H17).9.21.成立
         内閣府特命担当大臣 (経済財政政策) 郵政民営化担当
  第3次小泉内閣改造内閣 2005(H17).10.31.改造
         総務大臣・郵政民営化担当

これでわかるように、竹中平蔵氏には、学者というよりも政治家。そして今は、政治家的手腕を発揮して安倍晋三首相を取りこみ、国家戦略特区を見渡してビジネス価値を見定めるビジネスマン。政府を動かしにらみをきかせるほどの大物です。

竹中平蔵氏は国家戦略特区諮問会議の有識者議員で、国家戦略特区制度をけん引しています。この諮問会議は安倍晋三議長を含めて、政治家5人、有識者5人の10人、少人数です。諮問会議内の議論は簡単に、安倍首相や竹中氏の思い通りにまとまることでしょう。

今治市の新設獣医学部についても、2018年(平成30年)4月入学希望者の入試申し込みと入試実施に間に合う日限までに、大学設置審議会の認可が下りるのはまちがいないでしょう。


■国家戦略特別区域諮問会議 議員名簿

  議 長  安倍晋三 内閣総理大臣
  議 員  麻生太郎 財務大臣 兼 副総理
   同   梶山弘志 内閣府特命担当大臣 (地方創生、規制改革)
   同   菅 義偉 内閣官房長官
   同   茂木敏光 内閣府特命担当大臣 (経済財政策) 兼 経済再生担当
            大臣

  有識者議員  秋池玲子 ボストンコンサルティンググループ
              シニア・パートナー&マネージングディレク
              ター
    同    坂根正弘 株式会社小松製作所相談役
    同    坂村 健 東洋大学情報連携学部 INIAD学部長
    同    竹中平蔵 東洋大学教授、慶応義塾大学名誉教授
    同    八田達夫 アジア成長研究所所長、大阪大学名誉教授




 
 
 
 
コメント

加計学園に関係ある「罪な人」たち―倫理あるいは道徳あるいは国民との信義の上で

2017-10-09 03:35:31 | Weblog

○ 安倍晋三 内閣総理大臣
  元加計学園監査役
  加計学園理事長 加計孝太郎氏と親友関係

○ 安倍昭恵夫人 「御影インターナショナルこども園」(加計学園、神戸市)
         名誉園長

○ 萩生田光一 自民党幹事長代理
  1963年  東京・八王子生まれ
  1991年  27歳 最年少で八王子市議選に初当選
  2001年  都議選に初当選
  2003年  衆議院選に初当選
  
  第一次安倍内閣 2006.9.26.~2007.8.27.
   2007.7.29.参院選で大敗 8.27.安倍晋三、体調不良を理由に総辞職
   2008年  文部科学大臣政務官
  
  2009年8月30日 衆院選投票日 地すべり現象 民主党圧勝、自民党
          大敗、萩生田氏も落選
         落選期間は、千葉科学大学(加計学園)客員教授(有給)
  
  体調を崩し、首相を辞任した安倍晋三(安倍の再起はないと言われた)の
  もとに毎日のように通い続け、再起しましょうと励まし続けた側近の一
  人。稲田防衛相、下村博文都連会長などもそう。安倍さんが辞めたあと事
  務所に取材に行くと萩生田さんがいた。合うんですよ。だから阿吽の呼吸
  で分かり合える。その分、安倍晋三の信頼も厚い。
  (2017.6.22.名古屋CBCテレビ「ゴゴスマ」政治ジャーナリスト鈴木哲夫氏の話)
  
  2012年12月16日 衆院選で自民党圧勝で民主党下野、萩生田氏も当選
         当選後は千葉科学大学(加計学園)名誉客員教授(無給)
  2015年10月  第三次安倍改造内閣 官房副長官、内閣人事局長 就任
  2017年 8月   自民党幹事長代理

○ 木曽 功 千葉科学大学学長・加計学園理事
  2014年4月 第二次安倍内閣 内閣官房参与(文化関係施策担当)就任
  2016年4月 千葉科学大学学長、加計学園理事 就任
  2016年9月 内閣官房参与 辞任
       ※注目 官房参与と学長の重複期間が10月1日~3月末の
           6か月間。こんなことが横行していたとは!


  2015年4月2日今治市の官邸詣でが表面化していて、これ以後、加計学園
  =今治市側の特区認定運動が激しくなる。木曽官房参与が加計学園の色
  付きであることは注目に値する。
  ※参照クリック → 加計戦略特区ダイアリー 今治市獣医学部新設を巡る経緯

○ 木澤克之 最高裁判所裁判官 (前加計学園監査役)
  1974年   立教大学法学部 卒業
  1977年   弁護士 登録 (東京弁護士会)
  2013年   加計学園 監事就任
  2016年6月 閣議決定 最高裁判所判事に任命
       ※これも安倍・加計人脈。情実人事が最高裁に及んでいる
  2016年7月 最高裁判所 判事就任
       

<当落を決めるのは有権者 選挙区と国民審査>
安倍晋三氏の選挙区は、山口4区です。
萩生田光一氏の選挙区は、東京24区です。

最高裁判所裁判官の「国民審査」投票が同時に行われます。
木澤克之最高裁判事は○かXか、決めるのは有権者です。

--------------------------------------------------------------------
(毎日新聞記事 2016年11月25日 07時30分)

萩生田官房副長官
父所有物件に事務所…家賃計637万円


 萩生田光一官房副長官(53)=衆院東京24区=が代表を務める自民党東京都第24選挙区支部が、萩生田氏の父親が当時所有し東京都八王子市の不動産会社と転貸借契約を結んだマンション一室の一部を事務所とし、昨年5月までの約3年半で計637万円を家賃として支払っていた。都選挙管理委員会が24日公表した政治資金収支報告書などで分かった。

 政党交付金の使途等報告書によると、全額に税金を原資とする交付金が充てられていた。

 不動産登記簿などによると、事務所は京王八王子駅近くの13階建てマンションの一室(約136平方メートル)にある。この部屋は2000年7月に萩生田氏の父親が購入した。同支部によると、父親は一部区画を第三者に賃貸する契約を不動産会社としたものの借り手が現れず、支部長になった萩生田氏が同社から賃借したという。

 政治資金収支報告書によると、同支部は萩生田氏が12月の衆院選で復活当選した12年に123万円、13年に208万円、14年に216万円、15年1~5月に90万円を同社に支出している。

 この部屋は萩生田氏の後援会事務所としても使われており、同時期に別途計437万円の家賃が父親に直接支払われた。一方、同支部はこの不動産会社から昨年までの4年間で計224万円の寄付を受けている。

 部屋は昨年6月末にこの不動産会社に売却された。同支部は「法律上の問題はないが、誤解を招いてはならないので売却した。父親は転貸借に伴う費用などを支払っており、政治資金の還流には当たらない」としている。

 政治資金に詳しい上脇博之・神戸学院大教授は「違法でないとしても税金が親族に流れており、政治的、道義的に問題がある」と指摘する。


コメント

<2017衆院選> 枝野幸男氏「立憲民主党」結党会見(4終)記者質問―「#枝野立て」というハッシュタグが出た― 書き起こし

2017-10-05 18:24:28 | Weblog

2017年10月2日午後5時から都内ホテルで行われた「民進党代表代行・枝野幸男氏 『立憲民主党』10.2 結党会見(4終)記者質問 書き起こし」を掲載いたします。○印は聞き取りできなかったカ所です。

2017.10.02.
ユーチューブ「立憲民主党 結党会見」
2017.10.02.
<2017衆院選> 民進党代表代行・枝野幸男氏 「立憲民主党」10.2 結党会見(1)冒頭発言―国民生活「1億総中流」時代から格差拡大・貧困増大へ―書き起こし
2017.10.03.
<2017衆院選> 民進党代表代行・枝野幸男氏 「立憲民主党」10.2 結党会見(2)記者質問 ―民進党の混乱から新党立ち上げへ― 書き起こし
2017.10.04.
<2017衆院選> 枝野幸男氏「立憲民主党」結党会見(3) 記者質問―対立軸は「上からの政治」か「下からの政治」か、 わたしたちは「草の根に立つ」― 書き起こし



選挙協力について 市民のみなさんと連携、協力をする中で

記者 朝日新聞の石巻ですが、あのう確認なんですけれども、もうあのう、枝野さんご自身は、民進党自身には離党届を出されたとか、離党されたという形でいいのかということと、当然のことながら立憲民主党に参加される方に関しては、民進党を離党した上で、参加した際に公認を受けるという、こういうことことなのか、現在の見通しをお願いできますでしょうか。

枝野氏 はい。あのう、わたくしは前原代表に電話をしたときに口頭でお伝えをした上で、離党届を事務的に届けておりますし、参加をされる方は、そういう手続きを取るということになると思います。

記者 エフリーナ竹内と申します。野党共闘についてお伺いします。さきほどですね、市民連合と協力していくということで他党のお名前が出てこなかったんですが、例えば北海道の民進党は全部ですね、選挙協力ができている状況で、今、入るところ(政党)を探しているというような感じなんですが、そういった努力は、今後、どうなりますか? こちら(立憲民主党)に入ってきた場合。

枝野氏 これはあの、わたくしは従来から、特に幹事長(※民進党)として参議院選挙に対応していた時から、「野党共闘」という言葉を使ったことはありません。「選挙協力」という言葉も使ったことはありません。ただ、選挙は、特に1人区においては「1対1」の構図の方が望ましいということの中で、特に、安倍政権の暴走を止めてほしいという市民の皆さんと、わたくしどもは幅広く連携する。

 そして今回の総選挙に向けてもですね、民進党の大島幹事長に対して、そうした皆さんから「候補者(※小選挙区)を各選挙区できるだけ1人に絞って、安倍政権の暴走、立憲主義の破壊を止めてほしい」という申し出を受けて、それに基づいてやっていきますと大島幹事長はお答えをしたと承知をしていますので、その点についてはわたくしも全く同じ思いですので、それを継承します。

記者 そうすると、共産党とかですね、やはり擁立をして、そのとき票を食い合う状況も出てきかねないと思うんですが。

枝野氏 あのう、従来も、昨年の参議院選挙も、政党と政党の間での話ではなくて、それぞれの党と幅広い市民のみなさんとの間で、それぞれの党が市民のみなさんの声を受けて努力をしたという結果だと承知をしていますし、わたくしはこれが本来のあり方だと思っています。それについては、市民のみなさんと連携、協力をする中で、やれることは最大限するということだと思います。

記者 わかりました。


無所属出馬でなく、あえて新党立ち上げを選択した理由

記者 テレビ朝日の有馬と申します。あのう、新党を作るということは、明確に今回民進党が分裂するということになると思います。それから、もう一つは、無所属で出るんであれば対抗馬を立てないけれども、新党を作るんであれば希望の党から対抗馬を立てるというような話もあります。そのなかで無所属か新党かということで、あえて新党を選択された理由をお願いします。

枝野氏 この動きがどういう評価をされるのかというのは、外のみなさんのご評価だと思います。わたくしは、あの、民進党を発展的に前の段階に進めるプロセスだという風に、前向きに受け止めていただけるように努力をしていくことが、私の責任、役割だという風に思っております。

 ええ、それからわたくしは、ま、わたくし自身だけのことを考えれば、いろんな選択肢があったのではないかと思っています。ただ、一つには、やはり民進党の理念や政策を期待していただいたり、ま、支持率とかを考えればですね、「期待」とまではいかないけど、本当はこういった方向性の政策・理念のしっかりした政党がほしいということを潜在的に思ってらっしゃる…、わたくしはそういった方がたくさんいらっしゃると思うんですが、そうしたみなさんの声を受け止める場がない。そういったことにしてはいけない。そのためには、受け止めるための場になりうる政党が必要であるということ。これが大きな理由です。

 で、もう一つは、わたくしや、さきほど名前が挙がった先輩や同僚は、無所属という戦い方もあるかもしれないけれども、やはりあのう、今の選挙制度は政党政治を前提にしていますので、政党という枠組みをしっかり用意してあげることが、特にですね若い仲間であるとか、この間、がんばってきた候補予定者に対する責任ではないかと思ったということが、政党として立ち上げることの二つの理由です。

記者 もう1点だけ。あの、お答えいただけるかどうかわかりませんけども、前原代表とはかなり長い間、お話……政治生命のうち話してこられたと思いますけれども、あの今回ですね、その前原代表のおっしゃてたことと実態が変わってきているということですが、前原代表が小池さんにだまされたんではないかとか、前原代表が確信的に党内をだましたのではないかというようなことも言われはじめてますが、その点ですね、今、枝野さん、どのように見てらっしゃいますか?

枝野氏 わたくしは、それについてコメントする、あるいはできる立場だとは思っていません。ただ、こういった結果になったことはたいへん残念だと思っています。

記者 共同通信の浅田と言います。今日、枝野さんと共に、赤松さん、長妻さん、阿部さん、菅直人さん、初鹿さんが同時にですね、というか同じ日にですね、離党届を出していますが、この6人が結成メンバーというか、そういう理解でよろしいんでしょうか?

枝野氏 あのう、他の方の事実関係は、わたくしは直接は承知しておりません。


この状況を喜んでいるほうがおかしい、と思います

記者 TBS朝チャンの藤森と申します。よろしくお願いします。ええと、さきほどから「残念なプロセス」というお言葉がつづいていました。これまで両院議員総会後に共に戦おう、合流を目指していた相手側の希望の党の小池代表から「排除」ですとか「合流という考えはさらさらない」なんていう言葉が出てきましたが、これについては、代表代行としてどんな思いでいらっしゃいましたか?

 枝野氏 まあ、あの、このプロセスについては全体として残念である、と。そして、民進党が民進党という枠で結束して前に進むことを期待をしていただいたみなさんには、代表代行であったものとして大変申し訳なく思っておりますが、そのプロセスの一個一個にことついて、今、わたくしが何か申し上げることは全く建設的ではない、と。

 まあ、残念なプロセスを経た上でですね、まあ、この機会に、わたくしどもがこれまで「優れた理念と政策を持っている」と自負していながらも、それが十分に国民のみなさんに伝わらなかった、理解を得られなかった。ええ、これを、そうした状況から脱却する、大きなチャンスに変えていきたい。そういう風に思っています。

記者 それから、もう一つだけ。その希望の党の小池代表がこの選挙に出馬するかしないか。どちらにしても無責任だという声まで上がっていますが、選挙で戦っていく相手としての希望の党、その代表が出馬するかどうかについて、枝野さんのお考えをお聞かせください。

枝野氏 まあ、あの、ほかのどなたが出馬をするのかしないのかとか、他の党や他人がコメントする性質のものでないとわたくしは思います。一般論として。

記者 毎日新聞の影山と言います。あのう、選挙制度は政党政治だとおっしゃっていましたけれども、立憲民主党として全国の比例代表ブロックに、候補を名簿登載するということでよろしいんでしょうか。

枝野氏 ご期待いただいている、あるいは潜在的に期待していただけると思われる有権者のみなさんがいるという中で、そうしたみなさんの声を受け止める政党が必要であるということが、今回の結成の大きな、最大の目的であります。

 本来であればすべての小選挙区に立てるのが筋かもしれませんが、それは現実的でもないし、自民党を利することにもなりますので、それはまったく考えておりませんが、比例ブロックについては、できればそうしたい。ただ、まさに、今一人で呼びかけた段階でありますので、そうしたいとは思っていますが、できるという見通しを明確に持っているわけではありません。

記者 サンケイスポーツの丸山と申します。よろしくお願いします。2点ありますけど、まず、「民主党」という名前をですね、今回、名前の中に含んだことには、特別なこう、原点というか、そういうような思いがあったでしょうか。

枝野氏 あのう、わたくしにとっては民主党の時代から、ああ、もう20年あまりの積み重ねが、昨日までの民進党の理念や政策だと思っていますので、あのう、そのことに思い入れがなかったらおかしいと思っていますし、わたくしは、わたくしが地元の人に訴えているわたくしの姿勢の一つは「変わらぬ初心」ということですので、そういった意味では(思い入れは)有ります。

 ですが党名をどうするかということについては、さきほど申し上げました通り、むしろ今、わたしたちが明確に、特に我々が何者であるか、他と比べてですね。といったときには、その立憲主義をしっかりと守るということ。そして我々が考える、本来の民主主義というものを、この国により深めていくと。それがやはり大きな柱であると。ということから「立憲民主党」という名前を選ばせていただいた、ということです。

記者 わかりました。あともう1点ですが。ええ、ま、最初にですね。今回民進党出身の方で希望の党の合流にいったん応じた方でも、望んだ方でも、「呼びかけに応じるならば、どなたでも排除しない」とおっしゃいました。

 もし戻ってくる方がいるとすれば、さきほど枝野さんがいみじくもおっしゃったように、何事にも代えがたい理念をですね、再三代えて戻ってくると取られかねないんですけれども、そのことについては有権者にどういう説明をされるでしょうか?

枝野氏 ま、ここはもう短時間での、さまざまな急激なプロセスや判断を求められるという中でありますので、もし、わたくしが今日申し上げた立憲民主党の理念や政策と異なるのであれば、それは希望の党で戦われるんじゃないかという風に思いますよ。

記者 すいません。朝日新聞の益田と申します。この間ですね、希望の党との政策とか理念が違うのじゃないかという思いが高まってきて、きょうご決断なされたと思うんですけれども、最終的に(新党結成を)決断するきっかけというか、何か大きな分水嶺みたいなものはあるんでしょうか? このタイミングになったことというのは。

枝野氏 ま、あのう、いろんなものが積み重なっていく中で、昨日、前原代表に電話でお話しをさしていただき、午後もう一度、こんどはお会いをしてお話を聞かしていただいて、「残念ながら、認識が違っているな」ということが、きっかけで、その上で熟慮をさしていただいたということでございます。

記者 すいません。その認識の違いというのは、何に対しての何の認識でしょうか?

枝野氏 前原さんは、両院議員総会で提起した、そうしたプロセスを踏んでいるという認識ではないかと、わたくしは受け止めさしていただきましたので、そこがわたくしの認識と違っているなということでございます。

記者 両院議員総会で了承されたプロセスにのっとっていない、という風に認識されているということですか?

枝野氏 そうですね。さきほどらい申し上げている我が党の理念・政策を新しい器で実現するんだということについて、違っていると判断せざるを得なかったということでありますから、この決断(※新党結成)に至った、ということであります。

記者 すみません。ニコニコ動画の長尾です。基本的なことを確認したいんですけど、やはりですね、これ民進党の支持者に限らずなんですけども、十数年間やってきた民主党・民進党がですね、あさっりと衆議院民進党が事実上解体したことに、有権者は相当ショックを受けていると思うんです。

 こうしたなかで、ネット的に言えばですね、昨日までは、選挙に関してはですね、いわゆるリベラルが死ぬ寸前だったわけだと思うんですけれども、今回、ツイッターなどのSNSで「#枝野立て」というハッシュタグが出まして、今こそ枝野氏が立つべきだという声がネットから出てきたと思います。リベラル層の期待が枝野さんの新党に集まりつつあるんですが、こうした状況についてお聞きしたいと思います。


枝野氏 冒頭にも申し上げました通り、さまざまな国民、有権者のみなさんから「このままでは困る」と。「自分たちの思いを受け止めてくれる政党がない」「この選挙で立候補者が出ないということは困る」「何とかしてほしい」……という声は、ネット上に限らず、この間、たくさんいただきました。そうした声は大変ありがたいと思いますし、責任も重いと思います。そうした声にお答えしなきゃならない責任を感じたというのが、今回の決断の大きな理由であります。

記者 日刊スポーツの○○です。民進党から希望の党の方に移られて出られる方の選挙区でも、立憲民主党に参加する議員の方が出たいという選挙区では、つまり民進党から出られた方が希望の党から出馬される選挙区において、立憲民主党の候補者がそこに出るということも厭わない、ということでしょうか?

枝野氏 あの、基本的にはそういうケースは、民進党から希望の党に行かれた方のところ(※選挙区)に、立憲民主党から候補者が出るとは想定していません。基本的には、民進党でともに戦うことを想定をしながら今回、「どうしても出たければ無所属で出ろ」と、いう状況になっていらっしゃる方に、まずは呼びかけさしていただいてますので、その方の選挙区には、民進党から希望の党に行かれた候補者はいないはずなので。

記者 その選挙区(※民進党出身で希望の党公認候補の選挙区)においては、さきほどおっしゃられた有権者の受け皿というもの民進党から希望の党に移った人が出る選挙区では、先ほど言っておられた有権者の受け皿が無くなってしまうと思いますが。

枝野氏 これが、選挙の1年前であればいろんな選択肢があったんだと思いますが、今回、残念ながら選挙の直前にこういう選択をせざるを得なくなった。そういう状況の中にありますので、できれば比例代表においては、すべての比例ブロックに候補者を擁立したい。それもなかなか簡単ではないが。できるだけそうした選択肢をお示しをしたい、と思っています。

記者 もう1点。みなさん、民進党を離党して立憲民主党に入られるということですが、民進党の資金からどの程度、立憲民主党に行かれる方のところへ入れることができるのか? そのあたりはいかがなんでしょうか。

枝野氏 あのう、これまでも無所属であっても、あるいは違う党に行かれる方に対してもですね、民進党として公認料等をお支払いになっていたわけですから、まあ同じように、違う党から立候補するということであっても、この間まで一緒にやってきた我々に対しては、差別無く、そうした対応はしていただけるものと思っております。

記者 毎日放送(※在大阪)の三沢と申します。大阪の選挙区について聞かしてください。あのう、週末、小池さんと松井知事(※大阪府知事)がお話をしまして、(※日本維新の会と希望の党が)選挙協力をしていくことになりました。で、小池さんはこれまで、政策と理念が一致する人は公認するかどうかを決めるという風に言っていたんですけれども、維新との選挙協力ということで、大阪の民進党からの候補予定者はすべて排除をするということになりました。こうした選挙協力の形っていうのは、どういう風に見てらっしゃいますでしょうか?

枝野氏 あのう、個別のことを言い出しますと、いろんなそれ以外の地域の思いがありますので、個別のことは申し上げるつもりはありません。でも今、政党として大事なことは、理念、政策を明確にして、わたくしが判断する限りでは、わたしたちが目指している理念、政策とは違うということなので、希望の党とは違う政党を立ち上げなければならない。そうしたことのなかで我々は理念・政策を共有しながら、どうしても出たければ無所属で出るしかない、という状況にあるなら、そうしたみなさんにはぜひ、(※立憲民主党に)参加していただきたい。大阪においてはそういう方が多いと思っています。

記者 ビデオニュースの神保です。あのうこれ、新党立ち上げの会見なんですけれども、枝野さんを拝見してて、何かこう新しい党を立ち上げる希望に満ちた明るい雰囲気というものが……。どちらかと言えばちょっとやつれている雰囲気も感じるんですけれども、そこでお伺いしたいんですが、これ、枝野さんとしては不本意な状況なんですか? 

 それとも、もともと民主党、民進党というのは党内に基本政策で大きな対立を抱えていて、なかなか一つに成れないという悩みを抱えていた。今度こういう形で、枝野さんが手を上げることで、リベラル新党という受け皿ができると、明確な政策的な共通項を持つ集団ができる可能性がある。そこで、やむを得ずこういう状況になったと捉えているのか、考えておられますか? それとも、いやむしろ、ここで打って出るチャンスだと見ておられるのか? そこをお願いします。

枝野氏 それはどちらか片方ではない、と思います。この状況を喜んでいるほうがおかしい、と思います。つまり今まで、長年存在をしてきて、つい1カ月前の代表選挙で、2人の代表候補が、わたくしも含めて「一致結束してやっていきます」と言っていた政党がこういう状況にあるというのは、これ喜んでいたらおかしいわけでありますけれども、やはり「ピンチはチャンス」という言葉があるようにですね、こうした状況の中で、さきほどらい繰り返しておりますように、わたくしどもが積み重ねてきた理念や政策を、よりクリアに、より分かりやすく、国民のみなさんにお訴えをして、理解を得る。そうした事に向けて新たな出発するということは、大きな可能性を持っている。そうした意味では、ピンチはチャンスであると前向きに受け止めている。

枝野氏 すみません。1時間を過ぎておりますので、この方を入れてあと2問ぐらいでお願いします。

記者 IWJの沢と申します。よろしくお願いいたします。ええ、政党届をもう出されたということなんですが、それ以前にですね、弁護士でもある枝野さんにお聞きしたいんですが、今回の前原氏のだまし討ちのような行為は、背信行為にあたらないのでしょうか? 前原氏をですね、代表から解任することはできなかったのでしょうか? また、そのつもりはおありになったのでしょうか? あともう1点、よろしいでしょうか。新党にせずにですね、民進党のままの方が政党交付金や組織力の点では良いのではないかと思うのですが、手続き的に不可能だったのでしょうか? よろしくお願いします。

枝野氏 はい。「法律家としての」という部分では、事実関係がよくわかりませんので、何か申し上げられる状況ではない、という風に思っております。本来であれば、民進党の一員として、しかも1カ月前に代表選挙で「結束してがんばっていこう」とわたしも訴えたわけですし、特に地方のみなさんから、地方組織のみなさんから、そのことを強く求められているという中では、何とか、民進党の中において、この選挙を戦うと。そして民進党として準備をしてきた仲間が、ちゃんと党の公認として戦えるということを、まず何とかできないかどうかということを、努力したということは客観的な事実として申し上げますが、その具体的なその中身については申し上げるべきではないと思っている。

枝野氏 はい、最後。

記者 フリーの西高と申します。1点はですね、民主党が今の民進党になる前に、立憲民主党とするか、民進党にするかという議論がありました。今回、命名するにあたって「立憲民主党でいこうか」と言った方に相談したのかどうか、ということがまず1点。それと、きょう連合の神津会長とお会いになったそうですけれども、希望の党についても支援するといったような話が連合の方からあったと思うんですけれども、そのへんの話をどうされたかということをお伺いしたいんですけれども。原発の話はどうされたかということもお伺いしたいんですけれども。

枝野氏 まず1点目については、民主党と維新の党との合流の際の候補としての「立憲民主党」という名前を挙げた人の一人はわたくしです。相談をしたというか、人格は一緒です。

 それから後者(※連合・神津会長との会談)なんですが、あのう、他党とのことについては聞いておりませんし、具体的な話というよりは、わたくしどもは、ここまでのわたくしのお話でご理解いただいている通り、民主党、民進党で積み上げてきた理念、政策をよりブラッシュアップして実現すると、クリアに実現するということでございますので、連合のみなさんと民進党が積み上げてきた政策ということについても、完全に引き次ぐ立場ですというようなお話はさせていただきました。具体的な政策テーマについてはお話しはしていません。

 すいません。あの、長時間やらせていただきましたが、まだ手が挙がっておりますが、次の日程が重なっておりますので、お許しをいただければと思います。

 ええ、がんばって今日の会見が、10年も20年も30年も先も使われるようにがんばっていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いをいたします。どうもありがとうございました。(しばらくカメラ撮影つづく)

 ―結党会見・終―



コメント