★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。
左図は、ビデオカメラと建物との盗撮監視位置関係図。右写真は、隠しカメラが見つかった別府地区労働福祉会館。出入りする人が写るように、手前の木の幹に1台が取り付けられていた。 =西日本新聞8月4日から転載。
<クリック>
2016/09/13
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(1)ターゲットは労組拠点、目的は参院選監視
2016/09/14
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(2)事件の概要
2016/11/05
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(3)事件に対する大分県警の対応
2016/11/05
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(4)連合大分の公開質問状 / 大分県警の回答
2016/09/04
2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件――警察による政治活動の自由並びに言論の自由への干渉
2016/09/09
もう一度「2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件」について 民法テレビ電波と郵便受けの視点で
2016/11/12
警察は選挙で自民党の味方? 私のちょっとした見聞をご紹介します
<大分合同新聞 2016年8月3日夕刊 記事>
参院選の公示直前に、野党候補を支援する団体が使っていた別府市内の建物の敷地に、別府署員が無許可でビデオカメラを設置していた問題で、大分県警は3日、捜査の一環でカメラを設置していたことを明らかにし、設置場所が管理地だったことについて「不適切な行為だった」と認めた。捜査上、カメラの設置が必要だったかどうかは「今後、調査をして判断する」としている。
県警刑事企画課は、カメラを設置した理由を「個別の容疑事案において特定の対象者の動向を把握するため」と説明。選挙違反事件の捜査だったかは明らかにせず、参院選に関連してこの他にカメラを設置したかも公表していない。
同課によると、カメラを設置したのは公示日(6月22日)前の同月18日深夜。別府署の男性署員2人が取り付けた。草が生い茂った場所だったことから管理地だという認識がなかったという。事前に登記簿などで確認はしなかった。関係者によると、同月24日朝にカメラに気付いた。
同課はビデオカメラを利用した捜査は「特別の必要性などを各警察署が厳格に判断し、県内でも実施している。管理地に設置する場合は管理者から事前の承諾を得ている」と説明。今回は「カメラを利用した捜査は別府署長、詳細な設置場所やカメラの台数の決定は同署刑事官の判断だった」としている。
<西日本新聞 2016年8月4日朝刊 記事>
大分県警別府署員が6月の参院選公示直前から選挙期間中にかけ、社民党の支持組織が管理する別府市内の建物敷地内に無断でビデオカメラを設置し、人の出入りなどを録画していたことが3日、分かった。県警は、許可なく敷地内に入ったことに関しては建造物侵入罪に当たる可能性があるとして、党関係者に陳謝。ただ、不特定多数の出入りの無断撮影が必要だったかについては「今後調査する」というにとどまっている。
県警や社民党関係者によると、隠しカメラが設置されたのは別府地区平和運動センターや連合大分東部地域協議会が入居する別府地区労働福祉会館(同市南荘園町)の敷地内。参院選の選挙期間中、社民党の比例代表候補の支援拠点があり、大分選挙区に立候補していた民進党現職を推薦する連合大分の関係者らも出入りしていた。
カメラは参院選公示(6月22日)前の同18日夜、同署刑事課員2人が設置。1台は木の幹に、もう1台は斜面にあったブロックの穴の中に設置されていた。同23日に業者が草刈りをした際に発見。録画映像には、電池を入れ替える署員の姿が写っていたという。
設置は署の判断だったといい、県警刑事企画課は「個別捜査の一環で、特定の対象者の動向を把握するため」と理由を説明。県警の小代義之刑事部長は3日、「他人の管理する敷地内に無断で立ち入ったことは、不適切な行為だった」とコメントした。
署幹部は6月26日に社民党関係者に「申し訳ない」と陳謝しているが、連合大分の関係者は「不特定多数を狙った行為で許されない。組合をつぶす圧力だ」と憤っている。
7月10日に投開票された参院選大分選挙区では、連合大分が推薦し、社民、共産両党の支援を受けた民進党現職がわずか1090票差で自民党新人を破り3選を果たした。社民の比例候補は落選した。
左図は、ビデオカメラと建物との盗撮監視位置関係図。右写真は、隠しカメラが見つかった別府地区労働福祉会館。出入りする人が写るように、手前の木の幹に1台が取り付けられていた。 =西日本新聞8月4日から転載。
クリック
2016/09/13
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(1)ターゲットは労組拠点、目的は参院選監視
2016/09/14
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(2)事件の概要
2016/11/05
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(3)事件に対する大分県警の対応
2016/11/05
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(4)連合大分の公開質問状 / 大分県警の回答
2016/09/04
2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件――警察による政治活動の自由並びに言論の自由への干渉
2016/09/09
もう一度「2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件」について 民法テレビ電波と郵便受けの視点で
2016/11/12
警察は選挙で自民党の味方? 私のちょっとした見聞をご紹介します
大分県警別府警察署が別府地区労働福祉会館の敷地内に隠し撮りビデオカメラを設置し、2016参院選期間の会館出入りを撮影監視していました。このことは8月3日、報道によって広く知られるところとなりました。
これまでにわかったところから、大分県警別府署が別府市またはその周辺自治体の税務関係職員のうちで目星をつけた誰かの公職選挙法違反を期待して、ビデオ盗撮による証拠取りを目論んだものと推測できます。
「きっと選挙違反をやるにちがいない、やったらしょっぴいてやる」と目星をつけて、警官が、何もしていない人の社会運動、労働運動、あるいは政治活動をビデオ盗撮していました。何もしていないのに、警察がなんとかして捕まえたいという気持ちで盗撮監視していたのですから、他人事ではなく恐い思いがします。
下に、これまでにわかった事実経過を記録します。おもに、西日本新聞と大分合同新聞の記事から採録しました。両紙の検索をおすすめします。
■これまでの経緯
6月18日 午後7時台
別府警察署員2人が大分県別府市の別府地区労働福祉会館の斜面(私有地)から敷地内に侵入したが、ビデオカメラの設置場所を決められず =1回目の建造物侵入容疑
同日 午後10時台
敷地内に再度侵入し斜面の木に1台目のビデオカメラを結束バンドで固定。 =2回目
その後、会館前の駐車場チェーンを乗り越えて侵入し、別の木の根元に2台目を固定。 =3回目
6月19日
別府警察署員2人がビデオカメラの設置場所を刑事官と刑事2課長に報告。
同日 午後10時台
ビデオカメラ内蔵の記憶媒体のSDカードや映像確認のため、2回にわたり侵入 =4~5回目
6月20日~21日
ビデオカメラ内蔵のSDカード交換のため駐車場側から2回にわたり侵入 =6~7回目
6月22日
参院選公示
6月23日
草刈り業者が斜面を刈っていてビデオカメラに気づいたが、会館設置の防犯センサーだろうと思ってそのままにしていた。
6月24日
会館関係者が刈り残しの見回り中にビデオカメラ2台を発見。会館側がカメラのSDカードの内容を確認したところ、建物に出入りする人たちが映っていた。それで「どこかの陣営に盗撮されている」と別府署に相談。
6月26日
別府署幹部2人が会館を訪問、関係者に謝罪。しどろもどろで謝罪する署の刑事官に、SDカードから印刷した画像を見せて「これはあなたか?」と尋ねると、刑事官が「私です」と認めた。
7月10日
参院選投開票
8月3日
報道により問題が表面化
県警本部刑事企画課は「署員は公有地と誤認してカメラを設置した」と説明。捜査におけるカメラの設置は「ケース・バイ・ケースで署が判断する」とした。
8月4日
連合本部事務局長名で、隠しカメラ設置に対する談話を発表。
8月5日
社民党幹事長名で、隠しカメラ設置に対する談話を発表。
定例会見で大分県警・小代義之刑事部長が「(署員は)私有地だと分かっていて侵入した」と、公有地誤認 → 私有地認知へ、説明を一転させた。
8月9日
大分共産党が、県警本部長に抗議し真相解明を申し入れ。
8月26日
別府警察署刑事官(警視)、刑事2課長(警部)、捜査員2人(警部補と巡査部長)の計4人を建造物侵入容疑で書類送検
8月30日
連合大分から大分県警に、公開質問状。
9月1日
坂口正芳警察庁長官が記者会見で、「このような不適正な捜査が行われたことは誠に遺憾」
9月6日
県警の定例記者会見で、松坂規生本部長が「不適切だった」と認める
しかし県警本部長陳謝1分半のみで、質疑応答と会見のテレビ撮影を拒否。
同日
2団体が県警訪問。「おおいた市民オンブズマン」が質問書提出、「平和をめざすオールおおいた」が真相解明を申し入れ
9月8日
大分県弁護士会が、「大分県別府警察署によるビデオカメラ設置等の問題に関する会長声明」。
9月9日
大分県警から連合大分に、公開質問状に対する回答書。
2016/09/13
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(1)ターゲットは労組拠点、目的は参院選監視
2016/09/14
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(2)事件の概要
2016/11/05
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(3)事件に対する大分県警の対応
2016/11/05
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(4)連合大分の公開質問状 / 大分県警の回答
2016/09/04
2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件――警察による政治活動の自由並びに言論の自由への干渉
2016/09/09
もう一度「2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件」について 民法テレビ電波と郵便受けの視点で
2016/11/12
警察は選挙で自民党の味方? 私のちょっとした見聞をご紹介します
■逮捕理由―住人以外立ち入り禁止
前回9月4日記事、警視庁三鷹署による「2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件」は、都知事選候補のうちの一陣営の運動員或いは支持者によるビラ入れを摘発したものです。
新聞記事では、「三鷹署によると、団地には『住人以外立ち入り禁止』と張り紙があった」と書いています。公職選挙法違反とは書いてないので、ビラそのものは合法的なものということになります。住民が設定した立ち入り禁止区域にビラ入れをしたという配り方が、警察の逮捕理由になりました。
■民法チャンネルを選んだら―広告電波抱き合わせ
テレビの場合、テレビのスイッチを入れて民放チャンネルを選んだら、宣伝広告の電波が勝手に入ってきます。放送会社が宣伝広告の電波を勝手に送ってきます。民放では、宣伝広告の電波は番組の放送電波と抱き合わせになっています。送られてくる抱き合わせ電波は、視聴者が送ってくださいと頼んだのではありません。
それゆえに、民放チャンネルを選択するという行為は、宣伝広告電波が勝手に入ってくるそのことに同意する、あるいは受容するという行為です。
■郵便受け設置―配布物受け入れ意思表示
郵便受け。わかりやすくするために戸建て住宅を例に考えます。郵便受けは通常、住宅敷地と道路との境界の敷地側に設置されています。郵便受けには、郵便物や宅配新聞のほかに、電気ガス水道の計算書や自治会回覧板などいろいろな連絡文書や、種々様々の業界の広告ビラが入ってきます。
郵便受けを設置するということは社会通念の上で、通信・連絡・宣伝広告などに係るものをここに入れてくださいという、設置した人から外部の人に向けた意思表示です。
郵便受けが、住宅敷地の内側すなわち民有地に入りこんだところに設置されていることもあります。この場合は、郵便受けに配布物を入れる目的なら民有地内に入ってもいいですよ、という意思表示があるということになります。
それゆえに、郵便受けを設置するという行為は、いろいろな配布文書が投入されるそのことに同意する、あるいは受容するという行為です。民放チャンネルの選択と意味合いは同じです。
ですから、「住人以外立ち入り禁止」を理由に文書配布人を逮捕するということは、郵便受けに配布物を入れてはいけないというおかしな理屈になります。
■言論活動・政治活動への圧迫
この逮捕事件は、都知事選がらみのビラ配りの摘発です。選挙用途の宣伝ビラなら必ず、都政に関する政見が書かれているでしょう。この宣伝ビラは政治的言論の主張が書いてあるはずです。そして政治的宣伝ビラを配る行為は政治活動になります。
警視庁三鷹署による「2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件」は、言論の自由への不当な圧迫・制限という性質を帯びています。政治活動の自由への不当な圧迫・制限という性質を帯びています。
2016/09/13
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(1)ターゲットは労組拠点、目的は参院選監視
2016/09/14
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(2)事件の概要
2016/11/05
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(3)事件に対する大分県警の対応
2016/11/05
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(4)連合大分の公開質問状 / 大分県警の回答
2016/09/04
2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件――警察による政治活動の自由並びに言論の自由への干渉
2016/09/09
もう一度「2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件」について 民法テレビ電波と郵便受けの視点で
2016/11/12
警察は選挙で自民党の味方? 私のちょっとした見聞をご紹介します
2012年12月12日に掲載した記事を削除、改稿して再掲します。
■地方生活では日常生活で他人地を通ることがあたりまえにある
我が家は中学校のすぐ近くで、家を出て坂を降りると小学校がある。車で行ってはいるけれど、徒歩圏内に病院がある。車かバスに乗っていけば、そう遠くないところに県立病院もある。大型食品スーパーが1キロ圏内に4つある。コンビニもドラッグストアもある。便利な住宅地域に私は住んでいます。
でも都会ではありません。地方都市と言えますが、大都市域住民から見れば、「いなか」ということになりましょうか。市街化調整区域があって、田んぼがあります。里山も残っています。
ときおり、運動のつもりで里山へ足をのばして歩くことがあります。里山にも田んぼにも里道(りどう)と呼ばれる細道があります。里道(りどう)は公共物ですが、細道が里道(りどう)であるかどうかは部外者にはわかりません。里山にはもちろん所有主がいますから、里山を歩くということは無断で人の所有地の中をうろついていることになります。
田んぼが重なっているところでは、幅2メートルくらいの農道が走っていることもあれば、畦道も縦横に走っています。特に春のよい天気の日には、自転車で走ったりします。これらの道にも里道(りどう)とそうでない道があって、通り抜けるわたしには判別できません。田んぼ仕事をしている人がいても、通り抜けるのを咎められることはありません。里道(りどう)なんかは少ないですから、大方は私有地の道を通り抜けているはずなのに。
■団地内郵便受けビラ入れで逮捕(2012年東京・三鷹)
2012年12月11日付け毎日新聞(mainichi.jp)が伝えています。――都知事選 ビラ戸別配布で70歳容疑者を逮捕。男は8日午後0時半ごろ、団地の各戸のドアの郵便受けにビラを入れて回っていた。三鷹署によると、団地には「住人以外立ち入り禁止」と張り紙があった。男は氏名などを黙秘。住民が肩を痛めたと訴えたため10日に傷害容疑も付けて送検したという。
この記事から察するに、2012年12月8日正午前後、ビラ配り中に現行犯逮捕されたものと思われます。8日逮捕、10日肩が痛いという訴えによる傷害容疑を付け足した。おそらく肩が痛いと訴えた住民が8日当日に警察に通報し、警察が現場に駆けつけた。
警察の到着前に、この住民とビラ配布人70歳が口論になったかもしれません。そのときに「帰れ、帰らない」でもみあいになったかもしれません。そうであっても逮捕された人は70歳。訴えた人の年齢はわかりませんが、年下であるかもしれません。当事者住民が「痛いと言っている」だけの傷害容疑は、ビラ配り人の悪人イメージを広めるためのものと考えます。
「住人以外立ち入り禁止」張り紙のある各戸ドアの郵便受けに都知事選のビラ入れをしたから、という逮捕理由には問題があります。
<1>
集合住宅の場合、各戸占用面積の内側は当然、各戸の私的占有領域になるでしょう。すなわちドアの内側です。家人に無断でドアの内側に入ってビラを置いていけば、当然のこと、不法侵入になります。
<2>
集合住宅の場合、廊下や階段は入居者が自宅に出入りするために必要な入居者共用領域になります。この共用領域に向けて各戸ドアの郵便受けがあります。この場合通常の生活感覚では、共用領域は居住者以外の人が踏みこんで良い公共的空間です。
「住人以外立ち入り禁止」との張り紙があっても、電気ガス水道の検針係は立ち入りしているでしょう。郵便配達、新聞配達、宅配の人たちも立ち入りしているでしょう。そのほか飲食・美容などの日用生活関係のビラ入れをする人も立ち入りしているでしょう。立ち入りしてあたりまえの生活空間です。
これらの人たち全部を逮捕しないで、都知事選のビラ入れだけをターゲットに逮捕していることで、この逮捕事件の異常さがわかります。おそらく、都知事選がらみのビラはいろんな陣営が入れているはずですが、そのうちの特定の陣営のビラだけを対象にしたものと想像できます。
「不法侵入」を適用するには無理のある状況下で、選挙に関して、特定の陣営のビラ配り人を、警察が逮捕しました。
ですから、この事件は言論活動や、政治活動に対する「抑圧」または「弾圧」と表現してよい事件で、「民主主義的自由」を侵す事件です。
■公共的空間の政治的自由
そこそこの規模の団地は公共空地がたくさん取ってあります。わたしが住んでいるところにも近くに団地があります。たくさんの5階建てが配置されています。団地から外の一般道路へ出入り口が3つあります。団地内には駐車場もありますから、車が徐行できる通路があります。原付スクーターや自転車が走ることができる道もあります。
この団地の中を通りぬけする人もあります。わたしも団地の中を見物して通り抜けたことがあります。水道・ガス・電気――検針する人も出入りします。新聞配達や郵便配達が、上の記事にあるドアのポストに入れていきます。
ドアの郵便受けは同居家族以外の人に向かって、いろいろな配布物を入れてくださいという意思表示です。ドアに設置された郵便受けは、居住者が広く外に開いた窓口という意義があります。これに「住人以外立ち入り禁止」を付するなら自己撞着というものです。
だから、自己撞着という矛盾する「住人以外立ち入り禁止」を付した住人は、警察への協力者なんでしょう。ドアの郵便受けは住民自身が外部に向かって開いている窓口ですから、ポスティングの目的なら、郵便受けまでは誰が立ち入っても良いはずです。
■警察による法律の拡大適用(座りこみごぼう抜きの事例)
これまでに述べたところから、上の「東京三鷹ビラ配り逮捕事件」は、法律の過剰適用もしくは拡大適用と言えます。
いまの日本では見ることがありませんが、昔、学生デモの盛んなころには座りこみ学生をごぼう抜きして検挙する風景がよく見られました。あたりまえのようにごぼう抜きして警察に放り込むわけですが、それに適用されたのが道路交通法でした。道路上で立ち止まってはいけないというような条文があるのです。適用されたのは、道路交通法 / 第5章 道路の使用等 / 第1節 道路における禁止行為等 / 第76条4項2号です。
(禁止行為)
第76条
何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。
2 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
3 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
(1) 道賂において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。
(2) 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しゃがみ、又は立ちどまつていること。
(3) 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
(4) 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
(5) 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。
(6) 道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。
(7) 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為
■人気タレントの街歩きロケ撮影
道路で立ち止まってぶらぶらしていたり、話していたりすることは、繁華街では普通にあることです。人で混雑している場所では、すり抜けたり、よけて通り過ぎたりした経験は誰にでもあります。通行の邪魔になるからといって検挙することは、普通はありません。
近ごろでは、タレントの街歩き番組がいくつもあります。店の前で立ち止まって出演者同士でおしゃべりするシーンでは歩道を占領しています。その間、一般歩行者がそこを通れないことがよくあります。時によっては撮影スタッフのメンバーがその周囲で通行人止めをしている画面が入ることがあります。それでも彼らテレビクルーが「交通の妨害で検挙された」とは、聞いたことがありません。
でも警察権力を行使する者がその気になれば、法律をどのようにも拡大解釈して、好みによって、ある者を捕まえたり、ある者をとがめもしなかったりできるわけです。