2014-06-07のブログ記事「安倍首相の『集団的自衛権』憲法身勝手解釈――四つの観点から賛成できません」の中で下のように書きました。
日本の行政機構のトップが憲法や法律を自分の都合のいいように使うならば、大げさに言うなら、日本の行政機構が崩壊します。
日本の行政機構のトップが身勝手な憲法解釈で憲法を運用するならば、日本の中央・地方の行政機構の各段階の行政執行者の身勝手な法令解釈による身勝手な運用が広がっていくでしょう。
大がかりで組織的な、森友学園問題関係の財務省公文書改ざん行為は、「公文書の改ざんを行って公文書を偽造した」行為です。大阪地検特捜部はこの行為を不起訴にしました。近畿財務局と財務省理財局にわたる大がかりなものであり、近畿財務局の関係公務員から自殺者が一人出たというのに、誰も罪を問われる者がいない。
不起訴の理由は、「土地売り払い価格に影響のない改ざん行為」だからという。そもそもこの売り払い価格の査定というのが、国土交通省の大阪航空局と財務省の近畿財務局と森友学園がすり合わせて不当な根拠作りをした結果、導き出された価格です。<安倍人脈> 国有地格安払い下げ疑惑 森友学園のゴミ堆積申立ての真実性を疑う理由 財務局・航空局の「要求丸呑み」は不可解 これには大阪地検も触れず。
教育基本法の改変を済ませ、「愛国心」教育や「道徳」教育を進めてきた安倍政権治世の下で、こんなことがまかり通っています。「森友学園小学校用地払下げ」と「加計学園獣医学部新設」に関わる疑惑は、安倍晋三個人に係る疑惑です。
私人安倍晋三が、親友の願いをかなえるために(加計学園)、あるいは教育勅語暗誦小学校新設を応援するために(森友学園)、公人・安倍総理大臣の公権力を動かし奉仕させた。
こういう疑惑ですから、安倍政権に力を合わせて疑惑解明を阻む与党も準与党も、道義的にはこんな例え話ができます。
――刑事ドラマで、殺人事件が起きました。利害関係のある殺人犯から頼まれた知人が、殺人犯といっしょに死体を山中に運んで埋めた。この知人は殺人そのものには関わっていません。しかし、殺人犯と共同で殺人隠しのための死体遺棄を行いました。
国会での疑惑解明を葬り去った与党・準与党は、このたとえ話の「殺人犯と共同して殺人隠しの死体遺棄を行った知人」という刑事ドラマの役回りを演じたのです。
しかし未だ、大阪地検による近畿財務局強制捜索が行われていません。大阪地検は政権中枢の意向を受けた検察庁の指揮に抑えられているのでしょうか?
上の2018-03-06ブログ記事の末尾で心配したような結果になってしまいました。検察庁は法務大臣の統制下にあり、上川法務大臣はオーム犯罪者の一斉死刑を実行したことでわかるように、そして7月5日夜の「赤坂自民亭飲み会」に出席していたことでわかるように、安倍首相に忠実な法務大臣です。明けて7月6日、オウム死刑囚7人の死刑執行。上川大臣は平気で懇親会の酒を楽しめたのか、それとも酒を飲まずにいられなかったのか。※「赤坂自民亭」……赤坂衆議院宿舎にある宴会ができる部屋で、酒・料理などを自民党議員が持ち寄って行った安倍首相を囲む会
森友問題で公文書を廃棄し、改ざん偽造を実行させ、国会でうそをつき通した佐川宣寿財務省理財局長を国税庁長官に昇進させた。その功績をたたえて、安倍首相と麻生財務相が昇進させたのです。この一事で、誰だってわかるじゃありませんか。
佐川宣寿氏は早々と国税庁長官を辞職しましたが、二三年過ぎてほとぼりが冷めれば、良い再就職先を得るでしょう。ほとぼりが冷めた後で良い再就職先を得るに違いないのは、加計学園獣医学部新設問題で安倍首相にとって功績のあった柳瀬唯夫元首相秘書官も同じでしょう。国会でうそをつき通して安倍首相を守ったのですから。
■7月5日夜「赤坂自民亭」安倍首相を囲む懇親会(写真クリック)
「赤坂自民亭」は何が問題だったか
2018-07-14 PRESIDENT Online
ネットや新聞でさかんに拡散されている写真がある。7月5日夜に東京・赤坂の議員宿舎で行われた自民党議員の宴会「赤坂自民亭」の写真である。西村康稔官房副長官らがツイッターでアップした。安倍晋三首相、岸田文雄党政調会長、小野寺五典防衛相ら自民党議員が仲むつまじく杯を上げているのだが、この時は既に西日本で豪雨災害の危険が高まっていた。いったいこの時に何が起きていて、何が問題になっているのか――。
まず「自民亭」の模様を再現してみよう。赤坂にある衆院議員宿舎の宴会ができる部屋。自民党議員がそれぞれ郷土料理や地酒を持ち寄って酒盛りを行った。自民党内の懇親が狙いで毎年行ってる。例年は中堅、若手議員が中心だが、今回は午後8時半ごろ安倍晋三首相が姿を現したこともあり、いつもより多い50人程度の議員が集まった。「自民亭」はこれまで30回近く開いているが現職首相の出席は初めてだったという。
出席者の話によると、それぞれが持ち込んだ酒を飲み比べながらお国自慢をし、安倍首相とツーショットの写真を撮り……といった具合で誰が何を話しているか聞き取れないほどの盛り上がりだった。
安倍首相の地元・山口の獺祭、大規模火災で被災しながら復活した新潟県糸魚川市の名酒・加賀の井、広島の酒・賀茂鶴などが振る舞われたが獺祭を飲めば「安倍支持」、賀茂鶴なら「岸田支持」など9月に迫った自民党総裁選を題材にしたジョークが飛び交った。ちなみに出席議員の大半は結局、獺祭と賀茂鶴の両方を飲む羽目になったという。
〇未曾有の水害の最中に、与党首脳がこぞって酒盛り
乾杯のあいさつは竹下亘総務会長が務め、「自民亭の女将」でもある上川陽子法相の発声で「万歳」をした。
党が一枚岩となって盛り上がるのは大いに結構なのだが、タイミングが悪すぎた。5日は近畿、四国、北陸地方などで記録的な降雨を記録。6日以降の豪雨の被害のすさまじさはここで書くまでもない。
まさに未曽有の水害が起き始めている時に首相、被災者救出や災害復旧に前面に立つ防衛相ら政府与党の首脳がこぞって酒盛りをしていたのだ。
首相官邸で関係省庁の情報を集めて指示を飛ばすべき役割の西村康稔官房副長官に至っては午後10時すぎ、宴会の写真をツイッターに添付し、「和気あいあいの中、若手議員も気さくな写真を取り放題!まさに自由民主党」などとのんきなつぶやきをしている。批判が集まるのは当然のことだ。
※片山さつき議員の同夜のツィッター発信は以下の通り――。「今日は27回目の♯赤坂自民亭@議員宿舎会議室、若手議員との交流の場ですが、安倍総理初のご参加で大変な盛り上がり!内閣からは♯上川法務大臣♯小野寺防衛大臣♯吉野復興大臣党側は♯岸田政調会長♯竹下総務会長♯塩谷選対委員長、我々中間管理職は、若手と総理とのお写真撮ったり忙しく楽しい!」
【西日本豪雨災害の始まり(5日と6日の状況)】
7月5日(水) 14:00 気象庁緊急記者会見 最大級の警戒を呼びかける
15:30 関係省庁災害連絡会議
17:00 兵庫県、大阪府、京都府で約21万人以上に避難勧告
18:00までに京都市、約7万2千人以上に避難指示
20:30ごろ 安倍首相が「赤坂自民亭」に合流 内輪の大臣・
議員らと酒席懇親会 ※クリック写真
22:00 11府県で計約68万6千人に避難指示や勧告が出された
7月6日(木) 04:00~06:00 奈良県居住地の近隣5市町から「避難準備・高
齢者等避難準備開始」とか「避難所開設」など緊
急警報メールが相次ぐ。警報音が鳴りっぱなしと
いう感じ。私は一晩中、ネットで大和川の水位
計を見ていました。
10:30 気象庁緊急記者会見
「8日にかけて大雨の『特別警報』を出す可能性あり」
17:10 長崎、福岡、佐賀の3県に「大雨特別警報」発表
19:40 広島、岡山、鳥取の3県に「大雨特別警報」発表
22:50 京都、兵庫の2県に「大雨特別警報」発表
京都新聞に見る7月5日の状況 京都府内14万9千人超に避難指示
近畿地方では5日、長時間降り続く大雨への警戒が続いた。京都府内では6日午前0時現在、強く避難を求める避難指示が京都市と長岡京市、大山崎町の約6万2870世帯約14万9230人に出された。大阪府北部地震で地盤が緩んでいる恐れがあり、自治体が土砂災害への警戒を呼び掛けている。JR山陰線や湖西線、京都駅から滋賀方面の東海道線などが6日始発から運転を見合わせる。
京都地方気象台によると、降り始めの5日午前0時から22時間の降水量で、京都市右京区京北で283・5ミリ、南丹市園部で173・5ミリとなり、4地点で7月の24時間降水量の観測史上最大を記録した。6日午前0時現在、ほぼ府全域で大雨警報が発表され、土砂災害警戒情報も京都市(北、左京、東山、右京、伏見、山科、西京)、福知山市、綾部市、宇治市、亀岡市、向日市、長岡京市、八幡市、京丹後市、南丹市、大山崎町、宇治田原町に出た。
午後11時現在、避難勧告は12市町の約15万7880世帯36万7240人に出た。
京都新聞社の集計で、避難指示や避難勧告など市町が設けた避難所に、少なくとも計322人が身を寄せた。避難指示が出た京都市では午後3時までに北区などの避難所に最大47人、長岡京市は11人(午後8時現在)、大山崎町は32人(同)が避難した。
桂川は京都市西京区で午後9時50分ごろに氾濫危険水位に到達し、国が堤防決壊の危険があると発表した。鴨川も午後9時前、京都市内で避難判断水位を超えた。公立学校と幼稚園は計160校・園が休校した。
夜になり、名神高速道路京都南-豊中、京滋バイパス大山崎-久御山淀、京都縦貫自動車道大山崎-亀岡が通行止めに。また国道9号老ノ坂峠も通行止めになった。鉄道は北陸や山陰へ向かう特急電車が全面運休になった。6日も始発からJR山陰線(京都-浜坂)、湖西線(山科-近江塩津)、東海道線・北陸線(京都-近江塩津)などが運転を見合わせ、東海道線の大阪方面は新快速・快速電車の運転を取りやめる。
滋賀県内でも広い範囲に大雨、洪水警報が発表され、彦根地方気象台によると、5日午前0時から午後11時の雨量は、長浜市余呉町柳ケ瀬と大津市南小松で日降水量の最大記録を更新した。姉川(長浜市)と天野川(米原市)、安曇川(高島市)が氾濫危険水位を超えた。
【心根貧しいわが国の指導者の群れ――安倍首相に群れる面々】
7月5日は、西日本豪雨災害の始まりの日でした。被害が出始めていました。総理大臣、国務大臣、国会議員など、国民のことを心配して政治・行政を行うべき人たちが、東京の中枢で仲間うちの持ち寄り酒席懇親会を楽しんでいました。
彼らは、うそつき総理にかしずく心根貧しいリーダーたちの群れです。人の本性は、他人の危険や困難への対処のしかたにも表れます。自分だけ安全地帯に安住する姿は、いつの時代でも見られる指導者の常の姿です。
気象庁が厳しい災害の可能性を警告している段階にもかかわらず、西日本で大雨警報や土砂災害警報や避難勧告が次々出ている状況であるにもかかわらず、内輪の懇親会を延期もしないでにこやかに楽しみ、その楽しさをツィッターで発信できるほどに、無慈悲なわが国中枢の政治リーダーたちです。
※クリック「片山さつき議員」ツイッター(コピー)
【心根豊かな孤立住民を救う人たち】
【災害ボランティアに力を尽くす人たち】
【寄金を寄せる人たち】
これら心根貧しいわが国の指導者の群れとは正反対に、心根豊かな人たちのことが伝えられています。政府・国会の指導者たちが東京で変わりなく日常生活を送っていても、人の災難に少しでも力になりたくて行動している多くの心根豊かな人たちがいました。この人々は地位・名誉・利得とは無関係に、社会の下支えをしている人々です。わたしたちが感謝し、見習っていかねばならない人々です。
洪水の中で孤立して助けを待つ多くの人々を救助しつづけた人たち、個人的なせいいっぱいの力を尽くして救助活動をした人たちがいました。一人だけではありません。何人かの人、何十人かの人たちが孤立被災者の救助に力を尽くした姿が伝えられました。
加えて何千、何万というボランティアの人たち、寄金を送る人たち。……しかし、森友・加計問題でうそをつき通した安倍首相や安倍自民なんぞは、こうした人たちを市町村役所や警察消防の指導下で働く緊急災害対策「無給労働力」としか見ていないでしょう。人間を常々、「モノ」か「金銭」で数値化して見ている癖の人たちですから。
人々を、自分たちに奉仕する人間として役に立つか役に立たないかという基準で分類する国会議員が多く見られる時代です。人々の災難に同苦できる教育の一環として、すべての国会議員に毎年1カ月ほどの災害ボランティアを義務づけてはいかがでしょうか。運転免許証と同じ考えで、1年に1カ月の災害ボランティアをしなければ、次の1年間は国会議員免許停止という具合に、ですね。彼ら国会議員・大臣にこそ、国民への奉仕精神教育が必要です。
「見捨てたりしない」命救う無名のボート
毎日新聞 2018.7.10.
堤防が決壊し2400人以上が一時孤立した岡山県倉敷市真備町地区では、複数のボートが住民を助けて回った。「困った時はお互いさま」。名乗ることもなく救助に奔走した無名の人々に、住民たちは「一言でもお礼が言いたい」と感謝の思いを募らせている。
7日午後、同地区の親族宅に避難していた天辰(あまたつ)義輝さん(78)は、2階で親族4人と肩を寄せ救助を待っていた。激しい雨の中、目に障害のある三女(44)と足の不自由なおい(54)を連れて避難することはできなかった。
そこに水色のボートに乗った3人組の中年男性が現れた。「助けてくださーい」。天辰さんが懸命に手を振ると、ボートが寄ってきた。ただ、周囲には助けを待つ高齢者がたくさんいた。「そちらを先に」と頼むと、日焼けした一番年長の男性は「見捨てたりしないから心配せんでいいよ」と励ましてくれた。再びボートが現れ、救出されたのは午後5時ごろ。「あの人たちがいなければ、私たちはここにいない。感謝してもしきれない」と話す。
7日早朝に平屋建ての自宅の天井近くまで水につかった野瀬達雄さん(85)は、妻と天井裏に逃げ込んだ。高さ1.5メートルの隙間(すきま)に腹ばいになって救助を待ったが、誰も来ない。「もう終わりじゃな。今生のお別れじゃ」。妻につぶやいたその時、天井裏の小窓から、黄色のゴムボートが近付いてくるのが見えた。「助けてくれー」。声に気付いた登山帽をかぶった50代くらいの男性2人が、窓から助け出してくれた。男性らは岡山市から来たと話したが、連絡先を聞く余裕もなかった。野瀬さんには2人に伝えたい言葉がある。「ありがとう。命の恩人です」
水上バイクで来たヒーロー 15時間かけ120人救う
(朝日新聞 2018年7月19日05時03分)
西日本豪雨で甚大な浸水被害を受けた岡山県倉敷市真備(まび)町で、多くの住民が取り残される中、「どげんかしたらないかん」と、水上バイクで約15時間にわたり、約120人を救助した町出身の若者がいる。「町のヒーローじゃ」。救助された住民たちから命の恩人として感謝されている。
「おかんが真備の家に取り残されとる。どうにか助けてもらえませんかね?」
7日昼前、岡山県総社(そうじゃ)市の建設業、内藤翔一さん(29)は、同じ真備町出身の後輩で岡山市に住む上森圭祐さん(25)から電話で頼まれた。
地元の浸水被害に、内藤さんは「なんかできんか」と思っていた矢先だった。趣味で水上バイクに乗ることがあり、免許も持っている。総社市の自宅から真備町はほど近い。
「すぐ行っちゃるわ」
水上バイクを友人から借りて、出発した。
昼過ぎ、泥水は民家の2階ほどまで上がり、水かさは依然として少しずつ増していた。木やタイヤなど様々なものが流れ、油の臭いが鼻を突いた。ヘリの音が響く中、ベランダや屋根の上に避難している人々から救助を求める声が、数メートルおきに聞こえた。
「助けて」「こっち回って!」
「次行くけ、待っとって」と伝え、最初に上森さんの母親を救出した。
取り残されている人々の多くが高齢者。自力でバイクに乗ることができず、抱きかかえる必要がある。途中から地元の後輩にも手伝ってもらった。助け出した人々は、高台にある森泉寺まで運んだ。
近くの岩田忠義(ただよし)さん(73)夫婦も内藤さんたちのバイクに助けられた。軒下まで水が迫り、夫婦で屋根の上に避難した。昼過ぎに119番や110番で救助を頼んだが、助けは来なかった。ヘリが近くを飛ぶ度にタオルを巻いたさおを振って助けを求めた。
数時間すると「ブーン」と鈍い音が響いた。「もしかして、やっと助けが来たのか」。近づいてきたのは水上バイク。内藤さんから「子どもを先に運ばせてな。絶対戻るけん、絶対間に合うけん、頑張って」と励まされ、ほっとした。
しばらくして、約束通り内藤さんは来た。バイクに乗りながら「じいちゃん、命がけで助けたんじゃけ、長生きしてよ。絶対で」と肩をたたかれた。
うれしくて、涙が出た。
「内藤さんは、町のヒーロー。命の恩人じゃ」
「立て直したい」炊き出しも
屋根の上に3時間以上立ち続けて足が動かなくなった高齢夫婦にも出会った。水は屋根の上に達していた。疲れ切った顔で「もうだめじゃ。わしらええけ、他行ったげて」と言った。
「いや、絶対助けてやる」。水上バイクをロープで固定し、屋根まで歩み寄り、水につかりながらも、夫婦が呼吸できるように高めに抱きかかえて乗せた。
日が暮れると、住民はライトを振ったり笛を鳴らしたりして存在を知らせていた。夜中には水深が浅くなり、水上バイクの底が何かにぶつかって何度も転倒したが、起き上がって救助を続け、午前4時までに計120人ほどを運んだ。途中から、避難先の森泉寺には内藤さんの後輩数人が集まり、バイクから住民を降ろす作業などを手伝った。
森泉寺によると、7~8日に100人ほどが境内に身を寄せた。寺以外にも、希望する場所まで送られた人が20人ほどいた。
水上バイクは傷だらけになった。燃料は何度も補充した。必死に救助を続け、最後は全身がつって動けなくなった。後日、避難所で炊き出しのボランティアをしていると、救助した高齢者から次々と感謝の声をかけられた。「それだけで、やってよかったと思った」
内藤さんに母親を救助してもらった上森さんも町に駆けつけていた。7日昼過ぎから深夜まで釣り用のボートで救出にあたり、約100人を避難させた。
2人は現在も避難所での炊き出しや知人の家や店舗の片付けを手伝っている。実家の片付けも残っているが、「自分ができることを続けて真備町を立て直していきたい」と内藤さん。被災地を駆け回っている。