川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

大阪万博またやる3回目 「維新型」景気づけ町おこし 本番はIRカジノタウン 地震災害は無視

2023-04-22 07:42:21 | Weblog


 戦後日本の万博開催は5回あり、6回目が2025年大阪で開かれます。


 ① 大阪万博(EXPO’70 )     1970(昭和45).  3.15. ~  9.13. 183日間

 ② 沖縄海洋博   1975(昭和50).  7.20. ~  1976(昭和51).  1.18. 183日間

 ③ 科学万博(つくば万博)      1985(昭和60).  3.17. ~  9.16. 184日間

 ④ 緑と花の大阪万博(EXPO’90)   1990(平成 2).  4.1. ~  9.30. 183日間

 ⑤ 愛・地球博(愛知万博)      2005(平成17).  3.25. ~  9.25. 185日間

 ⑥ 大阪・関西万博      予定 2025(令和 7).  4.13. ~  10.13. 184日間


 1964年(昭和39年)東京オリンピックは昭和の戦後復興のシンボル、1970年(昭和45年)大阪万博は昇龍日本経済のシンボルとして国民を元気にしてくれました。

 1975年(昭和50年)の沖縄海洋博には、日本国として沖縄復帰を祝い復帰後の繁栄を願い、沖縄県民のご苦労にお応えする意義がありました。

 沖縄は1972年(昭和47年)5月15日に、米国占領下から日本国に返還されました。連合国占領下戦後日本の独立回復は1952年(昭和27年)4月28日ですから、日本復帰まで本土回復に遅れること20年ものご苦労を沖縄の人々におかけしたことになります。


 ほかの万博──科学万博や愛知万博、緑と花の大阪万博、大阪・関西万博は、名目は別として実際のところは、地方政財界から提起された地方元気万博と言ってよいでしょう。

 とりわけ2025年開催が3回目になる大阪の万博計画はカジノタウン計画承認と併せて、府知事と市長を交換し合った「維新」の橋下氏・松井氏コンビが、安倍晋三首相(当時)の好意を取り付けて得たものです。


 2025年開催予定の大阪・関西万博は「関西」と銘打っています。

 しかし京都には事実上なんのメリットもありません。主力産業の京都観光が大阪の影響を受けることはまったくありません。

 神戸にとっても特段のメリットはありません。神戸港・神戸空港から万博開催地である大阪湾岸の夢洲 ゆめしま(万博開催地である埋め立て人工島)への直航船就航の計画はありますが、大阪側の、神戸からの集客期待の方が大きいでしょう。


 いずれにしても私には、夢洲ゆめしまカジノタウン実現のための
 『3rd Time Osaka Expo』と見えてしかたありません。 



〇 災害──地震、津波、高波を軽視して顧みない「維新の慣わし」

 2008年1月27日、大阪府知事選挙投開票。若さが弾ける新知事誕生で、橋下徹人気はたいへんなものでした。当時自民党所属大阪府議会議員であった松井一郎氏や浅田均氏は、政治の素人であった青年知事に共感して、就任後まもなくから支えつづけました。これが日本維新の会の始まりです。

  松井一郎氏はご存じのように、大阪府知事、大阪市長を歴任して、この4月6日大阪市長退任で政治家を引退しました。浅田均氏は現在、日本維新の会所属の参議院議員です。


 橋下徹氏の前の知事の時代から、大阪府では老朽化した府の本庁舎を移転新築するか、同所で新築に建て替えするかが課題になっていました。

 一方、夢洲の隣にある咲洲さきしまという埋め立て人工島には、大阪府の咲洲庁舎(愛称 コスモタワー)があります。

 大阪府咲洲庁舎の前身は、大阪ワールドトレードセンター(WTC)と呼ばれていました。大阪市が市制100年記念事業で建設し、総事業費1993億円、55階、高さ256m、1995年に完成した超高層ビルです。


 橋下徹氏が大阪府知事になった2008年当時、WTCはすでに経営的に経営破綻状態にありました。橋下大阪府知事(当時)は大阪府庁の移転先としてWTC買収を考えました。破綻している、安く買えるだろう。大阪市に救いの手を差し伸べることで、貸しも作れる。

  55階建て、高さ256mの高層ビルは大阪府新庁舎にふさわしいと考えました。
 それは名案でした。

 しかし神戸淡路大震災で、神戸市の人工島ポートアイランドと六甲アイランドは液状化しています。

 ディズニーリゾート用地の埋め立て造成と同じころ、海べりを埋め立てて造成されていた千葉県浦安市の大型高級住宅地一帯は、東日本大震災のときに液状化がひどく深くて、上下水道・ガスの埋設管がすべて使えなくなりました。住宅地の道路も凹凸はなはだしく、車のタイヤの半分まで土砂に埋まりました。高級住宅地であっても、長く生活不適な状態が続きました。


 夢洲も咲洲も東南海・南海大地震が発生すれば、同じようになるだろうと想像するのはたやすいことでした。


 橋下徹大阪府知事の大阪府庁の咲洲さきしまWTC移転案に、防災学者の河田恵昭教授が強く反対しました。 ※咲洲WTCは現在の咲洲大阪府庁舎で愛称コスモタワー

 大阪府庁の本庁舎が咲洲にあるならば、東南海大地震が発生した場合、大災害の指揮中枢である大阪府庁の建物そのものが地震動、津波、高波などに被災して、災害対策活動不能に陥る危険性がある。

 なおかつ、咲洲は出島であるので、発災から何日もの間、閉じ込められて活動不能に陥る可能性も考えておかねばならない。


 河田恵昭教授の大阪府庁咲洲さきしま移転反対提言に、
 当時の橋下徹知事も松井一郎大阪府議も聞く耳を持たなかった。
 大阪ワールドトレードセンター(WTC)は大阪府咲洲さきしま庁舎になった。


 ──ここから2011.03.13.読売新聞記事に拠る──

 2011年3月11日14時46分、東日本大震災発災。
  遠く東北の震源であっても、大阪市は震度3。

 大阪府咲洲庁舎は長周期振動に揺られた。
 ある府職員によれば「ゆっくりした長い揺れが10分近く続いた」 と言う。
 発災時に咲洲庁舎ビルの展望台にいた男子大学生が話す。
 「長い横揺れに立っていられなかった。手すりにずっとつかまっていた」 

 咲洲庁舎ビル(コスモタワー)のエレベーター全28基すべてが緊急停止。
  3月11日東日本大震災発災の翌日12日夜になっても8基が復旧していない。

 咲洲庁舎に近い天保山では60センチの津波が到達した。

 近い将来の発生が予想される東南海・南海地震では、周辺がさらに高い津波に見舞われる可能性がある。

 埋め立て地にみられる液状化現象によって道路の通行ができなくなる恐れもあり、河田恵昭・関西大教授(防災・減災論)は「防災上、長所より欠点がはるかに多く、庁舎移転はやめるべきだ」などと指摘していた。

                ──ここまで2011.03.13.読売新聞記事に拠る──


 咲洲には、地下鉄が海底トンネルで入る予定です。東南海・南海地震が発生すれば、咲洲も地下鉄も、津波で海没する可能性がある。

 さらに今、河田恵昭教授が指摘しています。
 「津波よりも、台風の高波の波高の方が恐ろしい場合もある」


コメント

<リニア新幹線工事> 地下水量保持への川勝平太静岡県知事の厳格対応は当然 同じJRでJR東日本の「信濃川不正取水」悪例あり

2023-04-16 00:08:09 | Weblog



〇 川勝静岡県知事の奮闘には意義がある
 静岡県の川勝平太知事が国策のリニア新幹線工事を巡って、妥協なき戦いをしています。

 国策工事の圧力にさらされようが、近隣県や当の静岡県内の国策工事を早く進めたい群れから非難批判にさらされようが、地下水を守ろうとする姿を見て応援せずにはいられません。

 4月11日午前11時ごろ、JR東海の丹羽新社長が前社長であった金子会長とともに、静岡県庁の川勝知事を新任あいさつのため訪ねました。そのニュースが一斉に伝えられましたが、どのニュースも静岡工区が着手できないためにリニア新幹線開業時期の目途が立たないことも併せて伝えました。

 事実はその通りなんです。しかし、リニア新幹線の完成予定が大幅に遅れているという事実と、川勝静岡県知事が静岡工区の地下水流出の件で着工許可を出さないからという事実が何年も続いている間に、「わからず屋の知事のおかげで」という空気がまん延してきているように思います。

 しかしながら、同じJRでJR東日本の「信濃川不正取水」という悪例があります。川勝知事が「二リア工事地下水流出課題」について厳格に取り組むことは当然のことです。


〇 リニア計画を捨てて南鳥島海底のレアアース開発を最優先国策工事に
 4月13日だったと思いますが、お昼番組のワイドスクランブルを見ておりましたら、丹羽新社長の川勝知事訪問ニュースを取り上げて、リニア新幹線の静岡工区未着工のためにリニア開業時期の見通しが立っていない事情を実に簡単に紹介しました。

  それと同時に、中国のリニア鉄道計画がどんどん進んでいて、このままでは日本のリニア先端技術が中国の後塵を拝するというかのような話を紹介しました。

 中国の国土は広大な大陸に広がっており、さらに習近平主席の「一路一帯」という野心的な経済侵略構想には必須なのでしょう。

 しかし日本の将来にとって二リア鉄道技術は、必須のものではありません。日本の将来にとって原発輸出が必要ないのと同じです。

 さまざまな問題を抱えているリニア計画は早く廃止した方が良い。同じ国策工事をするなら、ちっぽけなリニア計画を捨てて、それとは比較にならないほど重要性の高い南鳥島周辺海域のレアアース大規模開発に、一刻も早く国力を傾けるべきです。この海底のレアアース埋蔵量は実に世界需要の数百年分と言います。


〇 ワイドスクランブルでの中室牧子教授のコメント
 そのうえで司会の大下容子アナが、コメンテーターの中室牧子慶応大学教授にコメントを求めました。

 わたしは中室教授は実務家タイプで、非常に優秀な人という好印象を受けています。

 近年、データサイエンティストという肩書の若い優秀な人が出てきていますが、中室教授もそういうタイプの人です。コメントを求められると何であれ即座に、スピードの速い話しぶりでにこやかに、しかも理路整然と、大方の場合は語り口に何か一つのデータを折りこんで、実務的説得力のあるコメントを終わる──というスタイルの人です。

 この日、中室教授は、「静岡工区未着工のためにリニア新幹線の工事の進捗の目途が立っていないので、なんとかしなければ」という視点でコメントしました。

 大下容子アナが、地下水の問題が焦点になっていると、未着工のポイントを中室教授に振りました。

 中室教授は「そういうことがあるにしても、これほどの大事業で莫大な資金を投入しているのだから、計画を断念したり、工事が遅延するという無駄はできません」と、工事を急ぐべきいう趣旨のことを話しました。

 中室教授のお話はいつものごとく説得力のあるものでしたが、残念ながらここには、経済的実利主義の価値観しか見られません。仮に地下水の持つ重要性に無知であったとしても、立ち止まるくらいの視点があっても良いだろうと思います。

 このように優れた知性であっても、その人の知性の方向は一様ではないということに、わたしたちは常に注目しておかねばなりません。

 知性の方向はその人の視点に固有のものであり、その人の視点はその人の価値観によるものであり、その価値観はその人の成長過程や次々と積まれていく学問環境や実務環境などの人生経験と交錯しつつ、形成変化してきたものだと考えます。それぞれの人の知性の方向性は、その人の知性の優秀さとは無関係にわたしたちの生活に影響を及ぼします。


〇 静岡県の地下水依存率は大きい
 静岡県の年間水使用量に対する地下水依存率は「62.3%」で、水道水の地下水依存率は58.6%です。
 ※これは2005年現在の数字で2009.5.20.発行、講談社ブルーバックス『見えない巨大水脈  地下水の科学 』P33に拠ります。国土交通省はじめ種々の最新統計を探しましたが、県別地下水使用量の最新統計をほかに見つけることができませんでした。

 水利用は地球生活にとって、地球温暖化の問題と2本立てになる重要な課題です。地下水の利用や保全問題は、目前の経済問題ではかることはできません。

 地下水帯水層の工事による切断がたいへん無駄な地下水流出をもたらすことは、トンネル工事やそのほかの大規模建設工事で数知れず起きています。


〇 わたしが聞いた地下水出水の実話
 大きな建設会社の工事事務所長をしていたわたしの叔父(故人)から聞いた経験談があります。それは大型宅地造成工事中の地下水出水の話です。

 そのとき、200ヘクタール(60万坪)の丘陵地のニュータウン宅地造成工事に数社の大手建設会社が取り組んでいて、叔父は6分の1ほどの分工区の工事所長をしていました。掘削土工をしていた現場で突然、ものすごい勢いで水が噴き出しました。地下水の流水帯か帯水層を切断してしまったのです。

 なんとか止めようとして臨時の土の堤で遮るのですが、地下水の流出が止まることはなく、何日も続いたといいます。結局は流路を確保して流水の影響をなんとかしのいで、工事を続行することができたけれども、その造成工事は赤字で終わったと言います。この赤字工事のことで社内的にたいそうな非難を浴びて、それを契機にして退社する羽目になりました。東電福島第一原発メルトダウンで流行語になった「想定外」の地下水出水事故でした。 



コメント

<大阪カジノタウン 不審> 米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックス連合体に賃貸月額1㎡当たり428円、35年賃貸契約の予定

2023-04-08 21:43:49 | Weblog


 大阪府市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)の市有地の賃料が不当に安く違法だとして、市民有志85人が1月16日、大阪市に対し、IR事業者との賃貸借契約の締結の差し止めを求めて住民監査請求した。賃料の算定を巡り、市側がIR事業の土地価格への影響を「考慮外」とするよう指示したことなどを違法だと指摘。一方、市側は賃料の設定は適切に行われたとしている。
         (以上、朝日新聞2023.1.16.)(※)IRとはカジノタウンのこと。


 IRの予定地は、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)にある49ヘクタールの市有地。一部は大阪メトロ中央線延伸部に新設予定の「夢洲駅(仮称)」に隣接する。市は事業予定者の米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの連合体に、この土地を35年間貸し出す予定で、賃料は年間で約25億円に設定されている。 
                      (以上、朝日新聞2023.1.16.)



 上記の大阪市に対する住民監査請求を市監査委員が受理した場合は60日以内に審査しなければいけない定めになっている。だから監査請求が受理されなかったか、却下されたかのどちらかの結末になったのだろう。4月3日、大阪市民が賃貸借契約の差し止め訴訟を大阪地裁に提起した。



 大阪府、市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)を巡り、市民ら10人が4月3日、事業予定者に貸し出す市有地の賃料が「安すぎて違法」として、市を相手取り、賃貸借契約の差し止めを求める訴訟を大阪地裁に起こした。
                       (以上、朝日新聞2023.4.3.)



【鑑定結果に不審

 2019年11月、大阪市が不動産鑑定4社に依頼した鑑定結果が出た。

 4社のうち3社が1㎡当たり土地評価額12万円、
         1㎡当たり月額賃料428円 ──で一致した。
 大阪市は3社一致分を採用した。

 2020年12月、大阪市は再度、上の3社に鑑定依頼した。
 2021年  3月、鑑定結果が出た。

 今度は2社の評価額が1平方メートルあたり12万円で一致。
    同じ2社の1㎡当たり月額賃料は428円前後を示した。
 大阪市は2社一致分の評価額12万円/月額賃料428円を採用した。



 2019年鑑定結果と2021年鑑定結果が同額になっている。


 こうした結果について、東京のある鑑定士は、
 「2社が価格で一致したとしても、賃料まで一致することは珍しい。3社が価
 格と賃料で一致するなんて聞いたことがない」
と驚く。
(朝日新聞2023.2.1.)

 鑑定士の間には「2年間評価額が変わらないのも理解できない」という声もある。(朝日新聞2023.2.1.) 


 その通りで、この2年で周辺の地価は上昇している。

 

 IR(カジノタウン)予定地の一部は大阪メトロ中央線延伸部に新設予定の「夢洲駅(仮称)」に隣接している。

 夢洲の北隣の人工島・舞洲(まいしま)にある「工業地」の公示地価は、
 2019年1月時点で1平方メートルあたり7万8千円、
 2021年1月時点で1平方メートルあたり7万9600円に上昇した。

 舞洲の東隣、ユニバーサルスタジオのあるユニバーサルシティ駅前の相続税路線価は、2019年1月32万円から、2021年1月37万円に上がった。



【大阪市の意向を忖度か

 ホームページで公開された議事録によると、松井市長が重ねて「ほぼこの価格なのか」と問うと、鑑定評価を発注する港湾局長は「そうだ」と応じた。IR推進局長は「変わると事業計画に大きく影響するので、できるだけ変えずに」などと説明した。 (以上、朝日新聞2023.2.1.)
 
 複数の不動産鑑定士は「不動産鑑定の仕事は固定資産税の評価に限らず、行政からの発注が多い。ここまで言われたら、変えられない」と話す。
                    (以上、朝日新聞2023.2.1.)


コメント