戦後日本の万博開催は5回あり、6回目が2025年大阪で開かれます。
① 大阪万博(EXPO’70 ) 1970(昭和45). 3.15. ~ 9.13. 183日間
② 沖縄海洋博 1975(昭和50). 7.20. ~ 1976(昭和51). 1.18. 183日間
③ 科学万博(つくば万博) 1985(昭和60). 3.17. ~ 9.16. 184日間
④ 緑と花の大阪万博(EXPO’90) 1990(平成 2). 4.1. ~ 9.30. 183日間
⑤ 愛・地球博(愛知万博) 2005(平成17). 3.25. ~ 9.25. 185日間
⑥ 大阪・関西万博 予定 2025(令和 7). 4.13. ~ 10.13. 184日間
1964年(昭和39年)東京オリンピックは昭和の戦後復興のシンボル、1970年(昭和45年)大阪万博は昇龍日本経済のシンボルとして国民を元気にしてくれました。
1975年(昭和50年)の沖縄海洋博には、日本国として沖縄復帰を祝い復帰後の繁栄を願い、沖縄県民のご苦労にお応えする意義がありました。
沖縄は1972年(昭和47年)5月15日に、米国占領下から日本国に返還されました。連合国占領下戦後日本の独立回復は1952年(昭和27年)4月28日ですから、日本復帰まで本土回復に遅れること20年ものご苦労を沖縄の人々におかけしたことになります。
ほかの万博──科学万博や愛知万博、緑と花の大阪万博、大阪・関西万博は、名目は別として実際のところは、地方政財界から提起された地方元気万博と言ってよいでしょう。
とりわけ2025年開催が3回目になる大阪の万博計画はカジノタウン計画承認と併せて、府知事と市長を交換し合った「維新」の橋下氏・松井氏コンビが、安倍晋三首相(当時)の好意を取り付けて得たものです。
2025年開催予定の大阪・関西万博は「関西」と銘打っています。
しかし京都には事実上なんのメリットもありません。主力産業の京都観光が大阪の影響を受けることはまったくありません。
神戸にとっても特段のメリットはありません。神戸港・神戸空港から万博開催地である大阪湾岸の夢洲 ゆめしま(万博開催地である埋め立て人工島)への直航船就航の計画はありますが、大阪側の、神戸からの集客期待の方が大きいでしょう。
いずれにしても私には、夢洲ゆめしまカジノタウン実現のための
『3rd Time Osaka Expo』と見えてしかたありません。
〇 災害──地震、津波、高波を軽視して顧みない「維新の慣わし」
2008年1月27日、大阪府知事選挙投開票。若さが弾ける新知事誕生で、橋下徹人気はたいへんなものでした。当時自民党所属大阪府議会議員であった松井一郎氏や浅田均氏は、政治の素人であった青年知事に共感して、就任後まもなくから支えつづけました。これが日本維新の会の始まりです。
松井一郎氏はご存じのように、大阪府知事、大阪市長を歴任して、この4月6日大阪市長退任で政治家を引退しました。浅田均氏は現在、日本維新の会所属の参議院議員です。
松井一郎氏はご存じのように、大阪府知事、大阪市長を歴任して、この4月6日大阪市長退任で政治家を引退しました。浅田均氏は現在、日本維新の会所属の参議院議員です。
橋下徹氏の前の知事の時代から、大阪府では老朽化した府の本庁舎を移転新築するか、同所で新築に建て替えするかが課題になっていました。
一方、夢洲の隣にある咲洲さきしまという埋め立て人工島には、大阪府の咲洲庁舎(愛称 コスモタワー)があります。
大阪府咲洲庁舎の前身は、大阪ワールドトレードセンター(WTC)と呼ばれていました。大阪市が市制100年記念事業で建設し、総事業費1993億円、55階、高さ256m、1995年に完成した超高層ビルです。
橋下徹氏が大阪府知事になった2008年当時、WTCはすでに経営的に経営破綻状態にありました。橋下大阪府知事(当時)は大阪府庁の移転先としてWTC買収を考えました。破綻している、安く買えるだろう。大阪市に救いの手を差し伸べることで、貸しも作れる。
55階建て、高さ256mの高層ビルは大阪府新庁舎にふさわしいと考えました。
55階建て、高さ256mの高層ビルは大阪府新庁舎にふさわしいと考えました。
それは名案でした。
しかし神戸淡路大震災で、神戸市の人工島ポートアイランドと六甲アイランドは液状化しています。
ディズニーリゾート用地の埋め立て造成と同じころ、海べりを埋め立てて造成されていた千葉県浦安市の大型高級住宅地一帯は、東日本大震災のときに液状化がひどく深くて、上下水道・ガスの埋設管がすべて使えなくなりました。住宅地の道路も凹凸はなはだしく、車のタイヤの半分まで土砂に埋まりました。高級住宅地であっても、長く生活不適な状態が続きました。
夢洲も咲洲も東南海・南海大地震が発生すれば、同じようになるだろうと想像するのはたやすいことでした。
橋下徹大阪府知事の大阪府庁の咲洲さきしまWTC移転案に、防災学者の河田恵昭教授が強く反対しました。 ※咲洲WTCは現在の咲洲大阪府庁舎で愛称コスモタワー
大阪府庁の本庁舎が咲洲にあるならば、東南海大地震が発生した場合、大災害の指揮中枢である大阪府庁の建物そのものが地震動、津波、高波などに被災して、災害対策活動不能に陥る危険性がある。
なおかつ、咲洲は出島であるので、発災から何日もの間、閉じ込められて活動不能に陥る可能性も考えておかねばならない。
河田恵昭教授の大阪府庁咲洲さきしま移転反対提言に、
当時の橋下徹知事も松井一郎大阪府議も聞く耳を持たなかった。
大阪ワールドトレードセンター(WTC)は大阪府咲洲さきしま庁舎になった。
──ここから2011.03.13.読売新聞記事に拠る──
2011年3月11日14時46分、東日本大震災発災。
遠く東北の震源であっても、大阪市は震度3。
遠く東北の震源であっても、大阪市は震度3。
大阪府咲洲庁舎は長周期振動に揺られた。
ある府職員によれば「ゆっくりした長い揺れが10分近く続いた」 と言う。
発災時に咲洲庁舎ビルの展望台にいた男子大学生が話す。
「長い横揺れに立っていられなかった。手すりにずっとつかまっていた」
咲洲庁舎ビル(コスモタワー)のエレベーター全28基すべてが緊急停止。
3月11日東日本大震災発災の翌日12日夜になっても8基が復旧していない。
3月11日東日本大震災発災の翌日12日夜になっても8基が復旧していない。
咲洲庁舎に近い天保山では60センチの津波が到達した。
近い将来の発生が予想される東南海・南海地震では、周辺がさらに高い津波に見舞われる可能性がある。
埋め立て地にみられる液状化現象によって道路の通行ができなくなる恐れもあり、河田恵昭・関西大教授(防災・減災論)は「防災上、長所より欠点がはるかに多く、庁舎移転はやめるべきだ」などと指摘していた。
──ここまで2011.03.13.読売新聞記事に拠る──
咲洲には、地下鉄が海底トンネルで入る予定です。東南海・南海地震が発生すれば、咲洲も地下鉄も、津波で海没する可能性がある。
さらに今、河田恵昭教授が指摘しています。
「津波よりも、台風の高波の波高の方が恐ろしい場合もある」