朝日新聞(大阪本社)9月3日朝刊「声」から、兵庫県・賀屋さん(高校女子17)の投稿を転載します。
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私は先日夕方に1人で外を歩いていて、ある親子の会話が耳に入って。4歳ぐらいの女の子が空を見上げながら、こう言っていた。
「ねえ、見て。お月さんがついてくるよ」。
お母さんは「そうだねえ」。
女の子は少し興奮気味だ。
私も幼い頃に同じようなことを思った記憶がある。女の子の言葉を聞いて懐かしかったのと同時に、幼い子どもはさまざまなものを見ているんだと思った。
大人が気づかなかったり見過ごしたりしているものを、子どもはちゃんと見ている。この女の子は、何げないところで面白い発見をしたのだ。
「気づく」ということはとても大切だし、すごいことだと思う。学校で勉強して得られるものではない。
私は今、受験勉強で日々何かに追われるような生活。周りが見えなくなっている。外を歩いていても、ただぼうっとして何も気づかないだろう。親子の会話を聞いて、自分を見つめ直すことができたように思う。