川本ちょっとメモ

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安倍研究(10) 安倍首相は神道政治連盟会長、神道政治連盟と神社本庁と伊勢神宮の関係

2015-04-17 23:54:40 | Weblog
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安倍研究(12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介

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安倍研究(13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く



「安倍研究(5) 総理演説のことばから安倍首相の心性を見る」の記事中安倍首相外交演説に「祝詞(のりと)」ことば」!>の項で記したように、それまでの人生経験で祝詞でしか聞いたことのないことばを、官邸ホームページに掲載されている総理スピーチの中に見出して驚きました。

それもそのはずで、安倍首相は神道政治連盟国会議員懇談会の会長です。(※ Wikipedia 神道政治連盟 参照) 「幸はふ」、「幸わう」ということばは、安倍首相にとって親しみのあることばだったのです。


<神道政治連盟>
神道政治連盟は神社本庁の関係団体で、本部は神社本庁と同じ住所に置かれています。神社本庁は都道府県すべてに、地方本部である神社庁を置いています。神道政治連盟の都道府県地方本部は、神社庁に同居しています。

神道政治連盟国会議員懇談会の会員は平成27年4月7日現在で国会議員293人(衆議院215人、参議院78人)であり、懇談会所属全議員の氏名が神道政治連盟ホームページに掲載されています。

衆議院定数は475人、神道政治連盟国会議員懇談会メンバーはその45%を占めます。参議院定数は242人、同メンバーはその32%を占めます。


<神社本庁>
長崎県神社庁ホームページによれば――。
「神社本庁に所属する神社数は約8万社で、この数は一般に神社と称される宗教法人の約97%にあたります。
 また神社に奉仕する神職数は約2万2千名、宮司に協力して神社をお守りする「神社総代」の方々は約38万名を数えます。」

信仰の面で神社本庁は、皇室の祖先であるとする 「天照大御神」をおまつりする伊勢神宮を、全国の神社の総親神として「本宗 (ほんそう) 」 と仰いでいます。お寺式に言うならば、伊勢神宮は全国大多数の神社の総本山と言えます。

神社本庁総裁は伊勢神宮祭主の池田厚子(昭和天皇の四女)、神社本庁統理は前の伊勢神宮大宮司・北白川道久です。元北白川宮家、戦後、皇籍離脱。

総裁、統理に関する「神社本庁憲章」は次の通りです。

第四条 神社本庁は、総裁を推戴する。 
2 総裁は、神社本庁の名誉を象徴し、表彰を行なふ。

第五条 神社本庁に統理以下役員、その他の機関を置く。 
2 統理は、神社本庁を総理し、これを代表する。 
3 第一項の役員、その他の機関については、規程で定める。


<伊勢神宮>
一般の神社では神職の最高責任者は宮司です。しかし、伊勢神宮では、祭主が最上位にあり、大宮司がその下で神宮司庁を統括します。

現在の祭主は、昭和天皇の四女である池田厚子。しかし高齢のため、臨時祭主の黒田清子が代行しています。黒田清子は今上天皇の長女・紀宮清子さまのことです。

現在の大宮司は、鷹司尚武で、五摂家の一つだった鷹司家28代当主。

伊勢神宮大宮司は祭主を助けて祭典に奉仕し、礼典を執行し、神宮職員を統監し、事務を総監する役職です。その選任については、所定の手続きを経たうえで勅裁を仰ぐことになっています。祭主・大宮司ともに、選任には天皇の裁可を得ます。


<神道政治連盟所属議員>
 ※○印は日本会議国会議員懇談会にも参加

      神道政治連盟   日本会議
      国会議員懇談会  国会議員
      2015.4.7.現在  2015.4.16.
              Wikipedia
<北海道> 伊東良孝(衆)
      今津寛(衆)     ○
      高木宏壽(衆)
      武部新(衆)
      中川郁子(衆)
      中村裕之(衆)
      堀井学(衆)
      前田一男(衆)
      町村信孝(衆)
      吉川貴盛(衆)    ○
      伊達忠一(参)

<青 森> 江渡聡徳(衆)    ○
      大島理森(衆)    ○
      木村太郎(衆)    ○
      津島淳(衆)
      滝沢求(参)
      山崎力(参)

<岩 手> 鈴木俊一(衆)    ○
      高橋比奈子(衆)
      橋本英教(衆)
      藤原崇(衆)

<秋 田> 金田勝年(衆)
      冨樫博之(衆)
      御法川信英(衆)   ○
      石井浩郎(参)
      中泉松司(参)

<宮 城> 秋葉賢也(衆)    ○
      勝沼栄明(衆)
      土井亨(衆)     ○
      西村明宏(衆)    ○
      愛知治郎(参)
      熊谷大(参)

<山 形> 遠藤利明(衆)
      大沼瑞穂(参)
      岸宏一(参)

<福 島> 亀岡偉民(衆)    ○
      菅家一郎(衆)
      吉野正芳(衆)
      岩城光英(参)
      森まさこ(参)

<茨 城> 石川昭政(衆)
      梶山弘志(衆)    ○
      新谷正義(衆)
      田所嘉徳(衆)
      永岡桂子(衆)
      丹羽雄哉(衆)
      額賀福志郎(衆)
      葉梨康弘(衆)    ○
      岡田広(参)
      上月良祐(参)

<栃 木> 佐藤勉(衆)
      船田元(衆)
      茂木敏充(衆)    ○
      簗和生(衆)
      上野通子(参)
      高橋克法(参)

<群 馬> 小渕優子(衆)
      佐田玄一郎(衆)
      中曽根弘文(参)
      山本一太(参)

<埼 玉> 大塚拓(衆)
      神山佐市(衆)
      今野智博(衆)
      柴山昌彦(衆)
      新藤義孝(衆)
      田中良生(衆)
      豊田真由子(衆)
      中根一幸(衆)
      野中厚(衆)
      牧原秀樹(衆)
      三ツ林裕巳(衆)
      村井英樹(衆)
      山口泰明(衆)    ○ 
      関口昌一(参)
      古川俊治(参)

<千 葉> 秋本真利(衆)
      門山宏哲(衆)
      小林鷹之(衆)
      齋藤健(衆)
      櫻田義孝(衆)    ○
      白須賀貴樹(衆)
      薗浦健太郎(衆)   ○
      浜田靖一(衆)    ○
      林幹雄(衆)     ○
      松野博一(衆)
      森英介(衆)     ○
      渡辺博道(衆)
      石井準一(参)
      豊田俊郎(参)

<東 京> 秋元司(衆)     ○
      石原伸晃(衆)
      井上信治(衆)    ○
      大西英男(衆)
      下村博文(衆)    ○
      鈴木隼人(衆)
      萩生田光一(衆)   ○
      平沢勝栄(衆)    ○
      松本洋平(衆)    ○
      山田美樹(衆)
      中川雅治(参)    ○
      丸川珠代(参)

<神奈川> 甘利明(衆)
      河野太郎(衆)
      菅義偉(衆)     ○
      田中和徳(衆)
      星野剛士(衆)
      牧島かれん(衆)
      松本純(衆)
      山際大志郎(衆)
      義家弘介(衆)    ○
      小泉昭男(参)
      島村大(参)

<山 梨> 長崎幸太郎(衆)
      中谷真一(衆)
      堀内詔子(衆)
      宮川典子(衆)
      森屋宏(参)

<長野>  木内均(衆)
      後藤茂之(衆)    ○
      小松裕(衆)
      宮下一郎(衆)
      吉田博美(参)
      若林健太(参)

<岐 阜> 金子一義(衆)
      棚橋泰文(衆)    ○
      野田聖子(衆)
      古屋圭司(衆)    ○
      武藤容治(衆)    ○
      大野泰正 (参)
      渡辺猛之(参)

<静 岡> 井林辰憲(衆)
      勝俣孝明(衆)
      上川陽子(衆)
      城内実(衆)
      塩谷立(衆)     ○
      宮澤博行(衆)
      望月義夫(衆)
      岩井茂樹(参)    ○    
      牧野京夫(参)

<愛 知> 青山周平(衆)
      池田佳隆(衆)
      伊藤忠彦(衆)
      大見正(衆)
      神田憲次(衆)
      長坂康正(衆)
      根本幸典(衆)
      酒井庸行(参)
      藤川政人(参)

<三 重> 川崎二郎(衆)
      島田佳和(衆)
      田村憲久(衆)    ○
      三ツ矢憲生(衆)

<新 潟> 石徹(衆)
      金子恵美(衆)
      斎藤洋明(衆)
      高鳥修一(衆)    ○
      長島忠美(衆)    ○
      細田健一(衆) 
      塚田一郎(参)
      中原八一(参)

<富 山> 橘慶一郎(衆)
      田畑裕明(衆)
      宮腰光寛(衆)    ○
      堂故茂(参)     ○
      野上浩太郎(参)

<石 川> 北村茂男(衆)    ○
      佐々木紀(衆)
      岡田直樹(参)
      山田修路(参)

<福 井> 稲田朋美(衆)    ○
      高木毅(衆)
      山本拓(衆)     ○
      滝波宏文(参)
      山崎正昭(参)    ○

<滋 賀> 上野賢一郎(衆)   ○
      大岡敏孝(衆)
      武村展英(衆)
      武藤貴也(衆)

<京 都> 安藤裕(衆)
      伊吹文明(衆)
      田中英之(衆)
      谷垣禎一(衆)    ○
      宮崎謙介(衆)
      西田昌司(参)    ○
      二之湯智(参)    ○

<大 阪> 大塚高司(衆)
      北川知克(衆)
      左藤章(衆)     ○
      佐藤ゆかり(衆)   ○
      竹本直一(衆)    ○
      渡嘉敷奈緒美(衆)  ○
      中山泰秀(衆)    ○
      原田憲治(衆)

<兵 庫> 大串正樹(衆)
      関芳弘(衆)     ○
      谷公一(衆)
      西村康稔(衆)    ○
      藤井比早之(衆)
      山田賢司(衆) 
      鴻池祥肇(参)
      末松信介(参)

<奈 良> 奥野信亮(衆)    ○
      高市早苗(衆)    ○
      田野瀬太道(衆)
      堀井巌(参)

<和歌山> 石田真敏(衆)
      門博文(衆)
      世耕弘成(参)
      鶴保庸介(参)

<鳥 取> 石破茂(衆)     ○
      舞立昇治(参)

<島 根> 竹下亘       ○
      細田博之(衆)
      青木一彦(参)

<岡 山> 逢沢一郎(衆)    ○
      阿部俊子(衆)
      加藤勝信(衆)    ○
      橋本岳(衆)     ○
      平沼赳夫(衆)    ○
      山下貴司(衆)
      石井正弘(参)

<広 島> 亀井静香(衆)
      河井克行(衆)
      岸田文雄(衆)    ○
      小島敏文(衆)
      小林史明(衆)
      中川俊直(衆)
      平口洋(衆)
      寺田稔(衆)     ○
      溝手顕正(参)

<山 口> 安倍晋三(衆)    ○
      河村建夫(衆)    ○
      岸信夫(衆)     ○
      高村正彦(衆)
      林芳正(参)

<徳 島> 後藤田正純(衆)
      福山守(衆)
      山口俊一(衆)    ○
      中西祐介(参)
      三木亨(参)

<香 川> 大野敬太郎(衆)
      瀬戸隆一(衆)
      平井卓也 (衆)
      磯仁彦(参)
      三宅伸吾(参)

<愛 媛> 塩崎恭久      ○
      白石徹(衆)
      山本公一(衆)
      井原巧(参)
      山本順三(参)    ○

<高 知> 中谷元(衆)
      福井照(衆)
      山本有二(衆)
      高野光二郎(参)

<福 岡> 麻生太郎(衆)    ○
      井上貴博(衆)
      鬼木誠(衆)     ○
      三原朝彦(衆)    ○
      大家敏志(参)
      松山政司(参)

<佐 賀> 今村雅弘(衆)    ○
      岩田和親(衆)
      福岡資麿(参)
      山下雄平(参)

<長 崎> 北村誠吾(衆)    ○
      谷川弥一(衆)
      冨岡勉(衆)

<熊 本> 金子恭之(衆)    ○
      木原稔(衆)     ○
      坂本哲志(衆)    ○
      馬場成志(参)
      松村祥史(参)

<大 分> 穴見陽一(衆)
      岩屋毅(衆)     ○
      衛藤征士郎(衆)
      礒崎陽輔(参)

<宮 崎> 江藤拓(衆)     ○
      武井俊輔(衆)
      古川禎久(衆)    ○
      長峯誠(参)
      松下新平(参)

<鹿児島> 小里泰弘(衆)
      金子万寿夫(衆)
      森山裕(衆)
      保岡興治(衆)    ○
      尾辻秀久(参)    ○
      野村哲郎(参)

<沖 縄> なし

<比 例> 赤池誠章(衆)
      有村治子(衆)    ○
      衛藤晟一(衆)
      片山さつき(衆)
      水落敏栄(衆)
      山谷えり子(参)   ○


<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
安倍研究 (2) 日本防衛の対象は遠くインド・中東、アデン湾・ホルムズ海峡・インド洋・太平洋・南シナ海まで
2015-04-06
安倍研究 (3) 安倍首相の「積極的平和主義」は「強い日本」を志向する
2015-04-07
安倍研究 (4) 「積極的平和主義」への安倍首相の使命感は自衛隊に向う
2015-04-08
安倍研究 (5) 首相外交演説で「祝詞(のりと)ことば」! そこに安倍晋三の本性を見る
2015-04-11
安倍研究 (6) 東京育ちの長州人――敗戦で滅びた明治維新型日本のリメーク版をめざす
2015-04-12
安倍研究 (7) 吉田松陰の日本国防策、そして滅びた明治維新型日本
2015-04-13
安倍研究 (8) 「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」だ
2015-04-15
安倍研究 (9) 思想的バックボーンは「維新長州」、 心の支えは祖父・岸信介
2015-04-17
安倍研究 (10) 安倍首相は神道政治連盟会長、神道政治連盟と神社本庁と伊勢神宮の関係
2015-06-16
安倍研究 (11) 安倍首相―長谷川NHK経営委員―日本会議
2015-06-17
安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
安倍研究 (13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く



          ----------------------------------------

<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。

コメント

安倍研究(9) 思想的バックボーンは「維新長州」、 心の支えは祖父・岸信介

2015-04-15 15:25:59 | Weblog



安倍首相がひた走りにめざしている日本の姿は、一度滅びた「明治維新型日本」のお化粧直し、リメーク蘇生です。これが「戦後レジームからの脱却」という価値観政策の本質であり、「戦後70年間の平和」を創造しつづけてきた日本社会のあり方を根本的に否定するものです。それは、自民党の憲法草案に表れています。 (※安倍首相2本柱のもう一つは「積極的平和外交」という抑止力増強政策です。)

その構想の思想的バックボーンは「維新長州」という一言で表せます。吉田松陰であり、松下村塾や塾生であり、高杉晋作であり、変革への情熱です。

しかし「維新長州」の負の側面は、戦争をくり返したことです。その末に、昭和20年敗戦で、「維新長州」が作り上げた日本のあり方は滅亡しました。


<安倍首相は「維新長州」成りきり少年、心の支えは祖父・岸信介>

安倍首相は、徳川幕府の弾圧にも負けず、藩政府の弾圧にも負けず、文字通り命がけで自らの理想世界の実現に突き進んだ「維新長州」に自らの姿を重ねあわせています。子どもっぽい言い方になりますが、安倍首相は「維新長州に成りきっている」少年のように見えてしかたありません。

そして心の支えは祖父・岸信介です。1960年(昭和35年)当時の内閣総理大臣。国民の猛反対に耐え、信念を貫いて、安保条約改定を成立させ、成立後に辞任しました。

自分の祖父であることを誇りに思う岸信介は、安倍晋三にとって政治家の鏡、
総理大臣の鏡です。祖父は国が騒然となるほどの反対に負けず、総理大臣の権力を使い切りました。安倍晋三も祖父と同じように、日本国家の将来のために正しいと信じる政策を実現しようと考えています。

国会は自民一強。千載一遇そのときに、内閣総理大臣である安倍晋三は、「戦後レジームからの脱却」という価値観政策、「積極的平和外交」という抑止力増強政策を、なんとしても実行しようと考えています。彼にとっては、それが自分に与えられた「歴史的使命」なのです。

1960年(昭和35年)当時、岸首相は日米安全保障条約の改正に政治生命を賭していました。全国を席巻した「60年安保闘争」は、戦後大衆政治闘争分水嶺をなすものでした。全学連(学生団体)反対運動の核の一つであり、総評(労働組合)全国時限ゼネストを行いました。それだけでなく、商店会で一日閉店ストをするところが現れ、「アンポハンタイ」と遊びでまねる子どもが現れるほどに、国民的な反対運動へ広がりを見せました。

1960年(昭和35年)は世情騒然。6月、国会に押しかけた全学連の東大学生が圧死。岸首相は安保条約成立辞任後の7月、暴漢に太腿を刺されて2ヵ月の傷を負いました。10月、日比谷公会堂で登壇演説中の社会党委員長・浅沼稲次郎が衆目の前で刺殺されました。

安倍首相はそのような時代を乗り切って信念を貫いた祖父・岸信介を尊敬し、反対に囲まれても正しいと信じることを実現して歴史の評価を得たい、それが正しいことだという一念で固まっています。

「自ら反みて縮くんば、千万人と雖も吾往かん」
 (自らかえりみてなおくんば、、千万人といえどもわれゆかん)
  この孟子の言葉を胸に、私は、これまで、常に、国家国民のためであれ
 ば、批判を恐れずに行動する、「闘う政治家」でありたいと考え、実践して
 きました。
  ――2013(H25).4.3. 第47回 国家公務員合同初任研修開講式 安倍内閣総理大臣訓示

私の祖父の岸信介の座右の銘は、「自ら顧みてなおくんば千万人ともいえ
 ども我行かん」。これこそ長州人の心意気ではないかと思い、私もこれから
 の政治に取り組んでいきたいと思うのであります。
          ――2014(H26).7.19. 長州「正論」懇話会後援会


<祖父・岸信介を尊敬し、国のゆくえに関わる名族の当代を自負する>

父・安倍晋太郎のエピソードも加えて下記のスピーチ引用 ③~⑨ をご覧ください。そこには、国のゆくえに係る日本の名族を誇りに思う気持ち、その当代としての自負心がうかがえます。

祖父の岸信介が、かつて、「もう一度総理大臣になれたら、もっとうまく
 やるのに」と、よく語っていました。一度目の失敗は、私の胸に深く刻み込
 まれています。
  ―― 2013(H25).12.19. 日本アカデメイア 安倍内閣総理大臣スピーチ(政策抱負)

④ メンジーズ首相は、戦後初めて、日本の首相をお国に迎えます。57年前の
 ことでした。通商協定が成立し、日本と豪州の、いまに続く繁栄の道が始ま
 りました。結んだのは岸信介、私の祖父であります。
  これがきっかけとなって、豪州の石炭が、鉄鉱石や、天然ガスが、日本に
 入ってきました。戦後日本産業の復興は、豪州という隣人を得て、初めて可
 能になりました。
  祖父がお国の、メンジーズ首相と成し遂げたように、私はトニー・アボッ
 ト首相と、真新しい礎を、新たに定めようとしています。
       ―― 2014(H26).7.8. 豪州国会両院総会 安倍内閣総理大臣演説

⑤ 志定まればという松蔭先生の言葉をは好んで使っていた。この言葉を使
 っていた。私も消費税を引き上げた際、経済を成長させることを約束し記者
 会見で引用しました。
       ―― 2014(H26).7.19. 長州「政論」懇話会講演会 於・山口県

⑥ ちょうど、日本と豪州が戦争が終わり、新たな関係をスタートさせたのは
 1957年でありました。この時豪州に行き、両国の協力協定を調印したの
 が祖父の岸信介です。アボット首相はそのとき調印している写真と実物を模
 写したコピーを私に見せました。57年前はサインはちゃんと、毛筆のサイ
 ンなんですね。おそらく筆と墨を持って行ったのだろうと思います。そうす
 ると筆力が分かってしまうので。私は祖父の字と比べられると少し、恥ずか
 しいので私は万年筆で署名した。(※豪州訪問時のエピソード)
       ―― 2014(H26).7.19. 長州「政論」懇話会講演会 於・山口県

⑦ 今御紹介いただきましたように、第1回には、私の祖父・岸信介が出席さ
 せていただき、また、私の父・安倍晋太郎も、かつて、この場に立たせてい
 ただきました。    ―― 2014(H26).9.19. 内外情勢調査会講演

私の祖父、岸信介は、60年の日米安保条約改定を行った総理として、多
 くの方々に記憶されていますが、実際には、商工省の経済官僚です。当然、
 得意分野は「経済」です。
  ですから、祖父が総理に就任した時、秘書官だった私の父・安倍晋太郎
 は、「得意な経済で勝負しましょう」と強く進言したそうです。しかし祖父
 は、「確かに経済政策は重要だ。しかし、同時に安全保障は国の基本であ
 り、やり遂げなければならない。政治家以外には誰もチャレンジできないの
 だから。」と答えたそうです。 ―― 2014(H26).9.19. 内外情勢調査会講演

⑨ 加盟が許された日、重光葵外相は国連で演説し、「日本が持つ全ての手段
 をもって、国連憲章が掲げる義務を遂行する」と宣言しました。
  重光を継いで外相となった岸信介―私の祖父でありますが、国会の演説
 で、「常時、国連の権威向上と国連を通じての世界平和の確保のため、応分
 の寄与をなす心構えが必要」だと強調しています。
    ―― 2015(H27).3.16.
        国連創設70周年記念シンポジウムにおける安倍内閣総理大臣スピーチ



<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
安倍研究 (2) 日本防衛の対象は遠くインド・中東、アデン湾・ホルムズ海峡・インド洋・太平洋・南シナ海まで
2015-04-06
安倍研究 (3) 安倍首相の「積極的平和主義」は「強い日本」を志向する
2015-04-07
安倍研究 (4) 「積極的平和主義」への安倍首相の使命感は自衛隊に向う
2015-04-08
安倍研究 (5) 首相外交演説で「祝詞(のりと)ことば」! そこに安倍晋三の本性を見る
2015-04-11
安倍研究 (6) 東京育ちの長州人――敗戦で滅びた明治維新型日本のリメーク版をめざす
2015-04-12
安倍研究 (7) 吉田松陰の日本国防策、そして滅びた明治維新型日本
2015-04-13
安倍研究 (8) 「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」だ
2015-04-15
安倍研究 (9) 思想的バックボーンは「維新長州」、 心の支えは祖父・岸信介
2015-04-17
安倍研究 (10) 安倍首相は神道政治連盟会長、神道政治連盟と神社本庁と伊勢神宮の関係
2015-06-16
安倍研究 (11) 安倍首相―長谷川NHK経営委員―日本会議
2015-06-17
安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
安倍研究 (13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く



          ----------------------------------------

<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。




コメント

安倍研究(8) 「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」だ

2015-04-13 21:46:06 | Weblog


前記事・安倍研究(6) で述べたように、安倍首相の考え方の基盤には「維新長州」があります。思想的バックボーンと呼んでいいかもしれません。なにしろ名前の一字は高杉晋作から取っているのです。そして吉田松陰を「松陰先生」
と呼んでいます。

幕末・明治維新の舞台は、源氏・平氏争乱の舞台、織田・豊臣・徳川の戦国舞台と並んで、国民に人気の高い舞台です。日本沿岸に出没する外国軍艦に、平和な時代を脅かされる極東の島国、幕末日本。その極東の島国が、大国ロシアに戦争で勝つまでに成長した明治日本。大転換を果たして危機を克服した日本、大国である清国やロシアにも勝った日本。この勝利の記憶、勝利のドラマ、成功体験が日本人の誇りを刺激します。これが、維新ものが日本人に人気の高い所以でしょう。


<明治維新型日本の歴史は戦争オンパレード>

徳川時代は平和がつづきました、しかし、明治以後の日本には戦争がつづきました。「明治維新型日本」、すなわち明治維新~昭和20年(1945年)8月敗戦までの日本は、戦争オンパレードでした。

  元和堰武     1615年(元和 1年) 3月 大坂夏の陣、豊臣氏滅亡
  王政復古     1867年(慶応 3年)11月 大政奉還、徳川府滅亡
  戊辰戦争     1868年(明治 1年) 1月~1869年(明治 2年) 6月
  台湾出兵     1874年(明治 7年) 5月~10月
   (沖縄県設置) 1879年(明治12年) 4月 琉球併合
  日清戦争     1894年(明治27年) 7月~1895年(明治28年) 4月
   (台湾民主国独立)1895年(明治28年) 5月23日独立宣言
  台湾出兵     1895年(明治28年) 6月~10月 台湾独立軍平定
   (台湾割譲)  1895年(明治28年) 6月 日清 下関条約
  義和団の乱=北清事変 1900年(明治33年) 6月 8ヵ国連合軍の主力 
  日露戦争     1904年(明治37年) 2月~1905年(明治38年) 9月
   (韓国併合)  1910年(明治43年) 8月 韓国併合条約
  韓国義兵討伐戦  1907年(明治40年)~ 1910年(明治43年)
  第1次世界大戦  1914年(大正 3年) 8月~1919年(大正 8年) 6月
   (ロシア革命) 1917年(大正 2年) 3月 2月革命
  シベリア出兵   1918年(大正 7年) 8月~1922年(大正11年)10月
  国際連盟発足   1920年(大正 9年) 1月20日 日本は常任理事国
  中国山東省出兵  1927年(昭和 2年) 5月~8月 中華民国軍と戦争
  満州事変・満州占領1931年(昭和 6年) 9月~1933年(昭和 8年) 5月
   (満州建国宣言)1932年(昭和 7年) 3月 1日
  日本、国際連盟脱退1933年(昭和 8年) 3月27日 正式に脱退通告
  盧溝橋事件    1937年(昭和12年) 7月 7日夜 日中両軍衝突
  日中戦争     1937年(昭和12年) 7月~1945年(昭和20年) 8月
  ノモンハン事件  1939年(昭和14年) 5月~9月 ソ連満州国境戦争
  北部仏印進駐   1940年(昭和15年) 9月
  南部仏印進駐   1941年(昭和16年) 7月
  太平洋戦争    1941年(昭和16年)12月~1945年(昭和20年)8月

  ※シベリア出兵はロシア革命干渉戦争です
  ※満州とは清朝(満州族)の故地である満州に当たる東三省(遼寧省・吉林省・黒竜
   江省)を言う。現代中国東北部のこと。
  ※仏印とはフランス領インドシナのことで、現在のベトナム、ラオス、カンボジア。


<「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」>

1615年、大坂城落城・豊臣氏滅亡。1867年、王政復古・大政奉還で徳川幕府滅亡。約250年の江戸時代、海外出兵・戦争がありません。

1868年(明治元年)から1945年(昭和20年)まで、約80年間。戦争をくり返してきました。

1945年(昭和20年)から2015年(平成27年)。日本はこの70年間、戦争も海外出兵も、しなくてすみました。「戦後70年間の平和」な時代にどれほど感謝しても、感謝しきれません。

安倍首相が言う「戦後レジーム」とは、この「戦後70年の平和」な時代のことです。

「戦争がない」ということは、「しあわせな生活」を送っていくための基礎条件です。世界を見渡せば、昔も今も、争乱の悲哀に苦しみながら生活している人々が絶えません。勇敢なジャーナリストの手になる報道写真や映像を日夜見て、戦火の下の暮らしと日本の暮らしの違いに感謝しなければ……と私は思います。


<「戦後レジームからの脱却」は「明治維新型日本のリメーク蘇生」>

 前記事「安倍研究(6) 東京育ちの長州人――敗戦で滅びた明治維新型日本のリメーク版をめざす」の <そして、明治維新型日本は滅びた> の項で述べたように、安倍首相の「戦後レジームからの脱却」は、「明治維新型日本」を現代風ファッションに包んでリメークしているだけのことです。

さらにつけ加えるなら、第一次安倍内閣の政策スローガンであった「美しい日本へ」は、第二次安倍内閣の「戦後レジームからの脱却」とめざすものは同じ
「明治維新型日本」の蘇生です。

滅びた「明治維新型日本」をリメークし、リバイバルさせる、蘇生させる。これが「戦後レジームからの脱却」構想です。

 安倍首相の「戦後レジーム型日本」、すなわち昭和20年(1945年)10月マッカーサー占領政治開始~現在までの日本は、70年間も平和な日本でありつづけてきました。これに反して、「明治維新型日本」の80年間は戦争に明け暮れて、遂には滅びたのです。


戦後時代の平和を大事にすることを、「平和ボケ」と非難する人がいます。そのひそみにならうなら、明治維新から昭和20年敗戦までの時代に生きた日本の指導層と天皇は、「戦争ボケ」していたということになりはしませんか。

しかし、「平和ボケ」と呼ばれるほどに平和を求めて何が悪いのでしょうか?


<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
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安倍研究 (7) 吉田松陰の日本国防策、そして滅びた明治維新型日本
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2015-04-15
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安倍研究 (10) 安倍首相は神道政治連盟会長、神道政治連盟と神社本庁と伊勢神宮の関係
2015-06-16
安倍研究 (11) 安倍首相―長谷川NHK経営委員―日本会議
2015-06-17
安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
安倍研究 (13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く

 

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<私のアピール>
 2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。 


 
 
 
    


 
コメント (3)

安倍研究(7) 吉田松陰の日本国防策、そして滅びた明治維新型日本

2015-04-12 23:09:12 | Weblog


<吉田松陰が思い描いた日本国防策 ―「幽囚録」から ―>

安倍首相が「松陰先生」と尊敬している吉田松陰は、「幽囚録」に日本国防策を書き残しました。その部分を以下に転記します。

<「幽囚録」現代語訳から>

 太陽は昇っているのでなければ西に傾いているのであり、月は満ちているのでなけれは欠けつつあるのである。同様に国も隆盛でなければ衰えているのだ。だから、よく国を保持するというのは、ただたんにそのもてるところのものを失わないというのみではなく、その欠けるところを増すことなのである。

 いま急いで軍備を固め、軍艦や大砲をほぼ備えたならば、蝦夷の地を開墾して諸大名を封じ、隙に乗じてはカムチャツカ、オホーツクを奪い取り、琉球をも諭して内地の諸侯同様に貢納させ、会同させなければならない。また、朝鮮をうながして昔同様に貢納させ、北は満洲の地を割き取り、南は台湾・ルソンの諸島をわが手に収め、漸次進取の勢いを示すべきである。

 しかる後に、民を愛し士を養い、辺境の守りを十分固めれば、よく国を保持するといいうるのである。そうでなくて、諸外国競合の中に坐し、なんらなすところなければ、やがていくばくもなく国は衰亡していくだろう。
         ―― 「吉田松陰 孔孟余話ほか」(中公クラシックス)P199


<そして、明治維新型日本は滅びた>

上は吉田松陰「幽囚録」、現代語訳の一部です。吉田松陰は明治維新の原動力となった長州人材の思想的指導者です。

その吉田松陰はわが日本を列強の侵略から守ることを考えると同時に、日本を守るためにはカムチャッカ、オホーツク、満州、朝鮮、沖縄、台湾、ルソン(=フィリピン)をわが国の支配下に置くことが必要だ、と考えていました。

侵略されないために自国の国防を強化するには、他国を侵略することが必要という考え方です。

明治~昭和20年の天皇以下日本の指導者は次々に戦争をくり返しつづけて、結果的にカムチャッカを除く地域の支配権をわが物としました

。吉田松陰の国防策を実現しました。

吉田松陰の国防策を実現したのですが、昭和20年敗戦ですべてを失いました。ひとくちに徳川300年と呼ばれる平和な時代の領土に、日本はもどったのです。

その後、昭和20年敗戦以後の70年間、日本は平和な時代でありつづけてきました。こんなにありがたいことはありません。


安倍首相の言う戦後レジームから脱却した国の形は、1945年(昭和20年)に日本を滅ぼした明治維新型日本のリメーク版ではありませんか。

明治維新型日本はアジア全域を戦場と化し、アジアの人々を戦火で苦しめ、わが日本を敗戦の焦土に変えました。

何百万もの日本国民が、アジアの山野に野ざらしの遺棄戦死体と化し、遠く南海の底に溺死体と消えました。さらに皇国の国土である東京、沖縄、広島、長崎では、それぞれ十万人という単位で数えるほどの多くの出征兵士の家族や親族が、アジア諸国民の平凡な家族の運命を追うかのように、戦禍に逃げ惑いながら生涯を終えました。



<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
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2015-04-07
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2015-04-08
安倍研究 (5) 首相外交演説で「祝詞(のりと)ことば」! そこに安倍晋三の本性を見る
2015-04-11
安倍研究 (6) 東京育ちの長州人――敗戦で滅びた明治維新型日本のリメーク版をめざす
2015-04-12
安倍研究 (7) 吉田松陰の日本国防策、そして滅びた明治維新型日本
2015-04-13
安倍研究 (8) 「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」だ
2015-04-15
安倍研究 (9) 思想的バックボーンは「維新長州」、 心の支えは祖父・岸信介
2015-04-17
安倍研究 (10) 安倍首相は神道政治連盟会長、神道政治連盟と神社本庁と伊勢神宮の関係
2015-06-16
安倍研究 (11) 安倍首相―長谷川NHK経営委員―日本会議
2015-06-17
安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
安倍研究 (13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く



          ----------------------------------------

<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。


コメント

安倍研究(6) 東京育ちの長州人――敗戦で滅びた明治維新型日本のリメーク版をめざす

2015-04-11 18:06:06 | Weblog



<長州人意識と松陰の弟子意識>

安倍晋三首相の衆議院選挙区は山口県第4選挙区で区域は下関市・長門市です。晋三の父、晋太郎は故郷で育ちました。

安倍晋三首相は東京で生まれ、成蹊小学校、成蹊中学校、成蹊高等学校、成蹊大学法学部政治学科を卒業しています。山口県で生まれ育ったのではありません。

それでも長州の血統であることには違いなく、長州人であることに誇りをもっています。吉田松陰を先生と呼んで尊敬していることも多くの人が知っています。

<戦後レジームからの脱却――万世一系の天皇を戴く「瑞穂の国」>

安倍首相は、第1次安倍内閣のときから、日本国の現状に深刻な危機意識を持っていました。当時、それは「教育の再生」というテーマに顕れていました。

これは1945年(昭和20年)敗戦とそれにつづく米国中心の占領体制の間に、天皇中心の良き日本の伝統が失われてしまったという危機意識によるものでした。だから「美しい日本」を取りもどさねばならない。「戦後レジームからの脱却」です。

「万世一系の天皇」です。万世一系の天皇を戴くところがほかの外国と違うところだ、と安倍首相は言います。それが彼にとってのあり得べき日本の姿です。安倍首相は次のように話しています。

 日本というのは古来から絆を大切にし、地域の絆、家族の絆、そして国の絆の中で、助け合っていろんな困難を乗り越えてきたわけでありまして、それぞれが抱えている問題についてもお互いが協力し合って乗り越えてきた。その中で地域のコミュニティも強い結束の中で育ってきたわけでございます。
 よく「国柄国柄」と、こういうことを議論することがあるんですが、私たちの国柄は何かと言えば、これはもう、古来からの長い長い歴史の中において、日本人の営みの積み重ねの中に自然に出来上がってきたものが、私は、「日本の国柄」ではないかなと思うところでございます。
   ―― 2009(H21).2.11. 平成21年建国記念の日奉祝中央式典 於・明治神宮会館

 この長い歴史をそれぞれの人々が個々の歴史を積み重ねる中で、全体のつづら織ができあがってきたわけでありますが、やはり、真ん中の中心線というのは、わたくしはそれはご皇室であろうと、このように思うわけであります。
(大きな拍手)
 そしてそれはまさに、一本の線で、ずーっと古来から今日までつながっている。ここが諸外国とは大きく違う点であろうと、わたくしは思います。
   ―― 2009(H21).2.11. 平成21年建国記念の日奉祝中央式典 於・明治神宮会館


古代から南北朝に至るまで、天皇家を巡ってはいくつも争乱がありましたし、古代には殺された皇子も天皇もいます。

河内王朝や継体天皇、南朝と北朝に分かれた歴史を考えに入れると、万世一系とも言えません。安倍首相が言う「一本の線」は何度か断ち切られて、そのたびに他所から持ってきた線でつなぎ合わせて、血統を修復した跡が見えます。「継ぎ合わせた一本線」です。

安倍首相が美しく語るほどに、天皇家の歴史は美しいものではありません。下品に仰々しく言えば、古い時代には血塗られた歴史という側面もありました。

そもそも日本各地の各級支配層や農民・民衆がいつの時代も天皇中心を意識してきたわけでもありません。

安倍首相が「おくにはどこですか?」と尋ねられたとしたら、きっと「長州」と答えることでしょう。安倍首相の事実は東京生まれ東京育ち本籍山口県という長州レプリカなんですけれど…。

日本では「おくにはどこですか?」と問われて、「日本」と答える人はいません。今の十代、二十代の人がどうなのか不安が残るところですが、現代日本人ならおそらく、生まれ育った土地か、長く住んでいる土地を答えるでしょう。

このことは封建時代の分国が現代人の意識する「くに」であり「ふるさと」であることを示しています。封建時代民衆の生活のうえでの中心は天皇ではなく、国守・地頭・領主などであったでしょう。

徳川時代には日本の国王は外国から見て徳川将軍でした。大多数の人々にとって「くに」を司る中心が天皇であった時代は永らく途絶えていて、幕末になって徳川将軍に対置される日本の中心に浮上したというのが実情ではありませんか。


<憲法改正――天皇、国防軍、教育>

安倍首相の「戦後レジームからの脱却」とは、憲法を改正することでもあって、憲法改正の主眼は自衛隊を「国防軍」にすることと、天皇を象徴でなく「元首」にすることです。もうひとつの主眼は教育です。安倍首相のことばを下に転記します。

 わたくしは残念ながら、この占領下にあって、日本はその姿かたちを占領軍の手によってつくりかえられたのだろうと、このように思うわけでございます。憲法ができ、そして、教育基本法ができたわけでございます。
   ―― 2009(H21).2.11. 平成21年建国記念の日奉祝中央式典 於・明治神宮会館


その一方、今の明仁天皇は即位後の記者会見で、「私にとっての憲法は日本国憲法であり、憲法を守りたいと思います」という主旨のことをお話になっています。

明仁天皇のこれまでのスピーチや昭和敗戦ゆかりの場所への重なる訪問から想像するに、明仁天皇は昭和敗戦後の平和憲法を歓迎し、平和憲法下における象徴天皇としての新しい天皇像を、すなわち天皇の新しい伝統を築くために力を尽くしておられます。このほどのパラオ訪問に見られるように折あるごとに、平和を希求する天皇自身の姿を広く国民に知らせています。これより後の歴代天皇も明仁天皇の姿をこれからの天皇の伝統として踏襲されるよう願うものであります。

安倍首相やその支持勢力は、時代錯誤なことに明治憲法のように天皇を元首として頂点に置く家族的国家を思い描いています。現行憲法をそのように改変しようと企んでいます。それは明仁天皇の思いとは異なっています。

安倍首相らは天皇を高みに祀り上げて尊重しているように見せかけていながら、事実としては明仁天皇の「平和の象徴、象徴天皇」としての積み上げを平気で踏みにじっているわけです。安倍首相らが本来考えていることは、天皇を利用して権力政治を行うことなのです。


<切迫した危機意識 晋三の名は高杉晋作に由来する>

安倍首相だけでなく多くの政治家が、北朝鮮の核ミサイル保有を深刻な日本国の危機であると捉えています。それだけでなく、安倍首相に切迫した危機意識をもたらしたのは、中国の拡大膨張意思です。2010年9月、中国漁船による日本巡視船体当たり事件のビデオは、日本国民に中国への警戒感を呼び起こしました。尖閣諸島領有を主張して、中国は日本領海や排他的経済水域に進入をくり返しています。さらに中国は南シナ海で、領土係争中の島の基地化工事を進めています。

安倍首相の危機意識は、今の日本を幕末日本に重ねあわせて見ています。自分を幕末の吉田松陰に置き換え、高杉晋作に置き換え、そのほかの明治日本を背負った人にわが身を置き換えて、この国難に際して百年の大計を日本に敷くのが自分に与えられた使命と考えている節があります。安倍首相は「私の役割、天命です」とまで言っています。 ※2013(H25).6.19. 安倍総理大臣・経済政策に関する講演 (於・ロンドン)

 しかしながら、安倍首相のような小人が天命を実行するとなれば、日本百年の大計はわたしたちに悲惨な結果をプレゼントすることになるでしょう。これはとんでもないことです。

安倍首相はまた、第1次安倍政権時のメルマガで、自身の名前の一字が高杉晋作に由来すると明かしています。

 さて、明日10月27日は、私の郷里が生んだ偉人、尊敬する吉田松陰先生の命日です。刑死される前日、安政6年(1859年)の今日、26日、松陰先生は、徹夜で遺書といえる留魂録(りゅうこんろく)を書き上げました。
 「身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂」
 その冒頭に書かれた辞世の句、ここに込められた気概には圧倒されます。
                ―― 2006.10.26. 第1次安倍内閣メルマガ3号

 その一人高杉晋作は、身分を問わずに組織した奇兵隊を立ち上げ、新しい日本への改革の動きを加速させました。
                ―― 2006.10.26. 第1次安倍内閣メルマガ3号

 ちなみに、私の名前「晋三」は、高杉晋作に由来しています。
                ―― 2006.10.26. 第1次安倍内閣メルマガ3号


<安倍首相の体で息づく長州と明治維新>

安倍首相のことばを見てみましょう。

 さて、幕末の時代も、日本は、国家的な危機に直面していました。欧米列強の圧力が高まる中で、徳川幕府が滅び、明治新政府の努力によって、何とか危機を乗り越えることができました。
 ―― 2013(H25).4.3. 第47回 国家公務員合同初任研修開講式 安倍内閣総理大臣訓示

 いまから150 年前には、私の郷里、長州山口から、22 歳だった、後に初代首相となる伊藤博文、5 歳年長の、伊藤内閣で初代外務大臣となる井上馨ら5 人の若侍が、幕府の目を忍んで英国へ留学します。ジャーディン・マゼソン商会が、便宜をはかったようです。5 人は後に長州五傑と呼ばれ、明治近代化に偉大な役割を果たしました。
          ―― 2013(H25).9.30. 安倍晋三日本国総理大臣基調講演
                     (於 日英安全保障会議 RUSIアジア本部)


 「唯 至誠を以て 御奉公申上ぐる一事に至りては人後に落ちまいと 堅き決意を有している。」
 日露戦争のあと学習院長に親任された乃木希典・陸軍大将は、軍人に教育などできるのか、との批判に、こう答えたと言います。
    ―― 2014(H26).3.22 平成25年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示
          
 乃木大将は、常に、第一線にあって、兵士たちと苦楽を共にすることを、信条としていたと言います。諸君にも、部下となる自衛隊員たちの気持ちに寄り添える幹部自衛官となってほしい。
    ―― 2014(H26).3.22 平成25年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示

 長州というのは近代国家の日本を生み出す原動力になった場所です。志士たちが生まれた土地であります。皆様と同じように、長州人の血を引いている受け継ぐ一人であることを大変誇りに思うのであります。
            ―― 2014(H26).7.19. 長州「正論」懇話会講演

 その久坂家への手紙の中で松蔭先生はこう記しております。天下公正をもって。国の将来のために尽くすことを自らの任務として自覚しているということです。
  この教えは150年経った今でも心に響いてくるものがあります。
            ―― 2014(H26).7.19. 長州「正論」懇話会講演

 志定まればという松蔭先生の言葉を父は好んで使っていた。
            ―― 2014(H26).7.19. 長州「正論」懇話会講演

 先般欧州歴訪で、ロンドンで長州ファイブの記念碑を訪れたプラス、薩摩の皆さんも留学しているのでたくさん名があります。希望に燃えて果敢に異国の地に渡った長州の若者に思いをはせました。
             ―― 2014(H26).7.19. 長州「正論」懇話会講演

 「書は古なり。幸せは今なり。今と古と同じからず。幸せと書はなんぞよく一時あえせん」、松陰先生は弟子たちにこう説いた。行動を起こすのは現実に対応するものである以上、昔のことを書いてある書物に書いてある通りにやってはダメだという戒めです。
            ―― 2014(H26).7.19 長州「正論」懇話会講演

 明治国家の礎を築いた岩倉具視は、近代化が進んだ欧米列強の姿を目の当たりにした後、このように述べています。
 「日本は小さい国かもしれないが、国民みんなが心を一つにして、国力を盛んにするならば、世界で活躍する国になることも決して困難ではない。」
         ―― 第百八十九回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説


<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
安倍研究 (2) 日本防衛の対象は遠くインド・中東、アデン湾・ホルムズ海峡・インド洋・太平洋・南シナ海まで
2015-04-06
安倍研究 (3) 安倍首相の「積極的平和主義」は「強い日本」を志向する
2015-04-07
安倍研究 (4) 「積極的平和主義」への安倍首相の使命感は自衛隊に向う
2015-04-08
安倍研究 (5) 首相外交演説で「祝詞(のりと)ことば」! そこに安倍晋三の本性を見る
2015-04-11
安倍研究 (6) 東京育ちの長州人――敗戦で滅びた明治維新型日本のリメーク版をめざす
2015-04-12
安倍研究 (7) 吉田松陰の日本国防策、そして滅びた明治維新型日本
2015-04-13
安倍研究 (8) 「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」だ
2015-04-15
安倍研究 (9) 思想的バックボーンは「維新長州」、 心の支えは祖父・岸信介
2015-04-17
安倍研究 (10) 安倍首相は神道政治連盟会長、神道政治連盟と神社本庁と伊勢神宮の関係
2015-06-16
安倍研究 (11) 安倍首相―長谷川NHK経営委員―日本会議
2015-06-17
安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
安倍研究 (13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く



          ----------------------------------------

<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。

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安倍研究(5) 首相外交演説で「祝詞(のりと)ことば」! そこに安倍晋三の時代錯誤な本性を見る

2015-04-08 23:10:15 | Weblog




<首相外交演説で「祝詞(のりと)ことば」!>

2012年(平成24年)12月26日 安倍内閣総理大臣 就任記者会見 ~ 2015年(平成27年)3月22日 平成26年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示 まで、官邸と外務省のホームページから103本の記事を閲覧しました。そして、閲覧を始めて5本目の記事の中で一つの言葉に出会ったとき、驚きました。それは「幸(さき)わう」という言葉です。


① 2つの海(※インド洋と太平洋)が結び合うこの地において、思想、表現
 、言論の自由――人類が獲得した普遍的価値は、十全に幸(さき)わわ
 ねばなりません(※栄えなければなりません)。
   ―― 2013(H25).1.18. ジャカルタ・スピーチ (※アルジェリア・テロ事件発生       により急きょ帰国のため中止になったが、官邸ホームページに掲載されている)


② 私はこの1年と半年ちかく、日本経済を、いまいちど、イノベーションが
 さきわい、力強く成長する経済に立て直そうと、粉骨砕身、努めてまいり
 ました。
  ―― 2014(H26).5.30. 第13回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)
                安倍内閣総理大臣の基調講演 於 マレーシア


「幸わう」という言葉に聞き覚えがありました。それは、神社で聞く「祝詞」ことばです。会社勤務をしていたころの新年初出勤の日に、そこでは団体で奈良県有数の大神神社に参り祈祷してもらう習わしになっていました。

今、大神神社のホームページを見ると、次のように紹介されています。


③ ご祈祷では、神職が神様と参拝者の間を執りもつ祝詞(のりと)を奏上しま
 す。これがご祈祷の一番大切なところです。
  祝詞に当神社の鎮魂詞(いのりのことば)、「幸魂(さきみたま)奇
 魂(くしみたま)守給(まもりたまえ)幸給(さきはえたまえ)」を神職
 が三度唱えますので一緒に唱えてください。  ―― 大神神社ホームページ


なんと、祝詞ことば! 祝詞ことば、すなわち神社の神職が祈禱の始めに唱えることばが、外交演説に使われるのは異例のことです。

この言葉をわざわざ使うことによって、安倍首相は全国の神社や神職、そして神社を敬う日本人たちに、「私は君たちと志を朋にする日本のリーダーなんだよ」と言外の気持ちを訴えたのです。

そして安倍首相が伝えようとしたこの気持ちは、相手の人々にしっかりと伝わり勇気を与えたことでしょう。ここに安倍首相のこだわりと心性を覗き見る思いがします。



<「幸わう」は古代語>

「幸わう」の辞書検索の結果は下の通り。たまたま祝詞に聞き覚えがあったので、私には連想が働きました。でも「幸わう」という日本語を私は知らなかったし、現代日本人で「幸わう」という文字を見ても音声で聞いても、意味を理解できる人は少ないでしょう。日本人の大多数が知らないことばをわざわざ使うところに、安倍首相のこだわりを見ることができます。心性を覗く思いがします。

1.幸ふ さきは・ふ
一(動ハ四)幸運に巡り会う。豊かに栄える。「言霊(ことだま)の-・ふ国と語り継ぎ/万葉集894」二(動ハ下二)幸いをもたらす。栄えさせる。「いかしの御世に-・へ奉れ/祝詞出雲国造神賀詞」
大辞林 第三版

2.幸ふ
《「わう」は接尾語》[動ハ四]幸運にあう。豊かに栄える。[動ハ下二]幸運を与える。栄えさせる。「言霊(ことだま)の―・ふ国と語りつぎ」〈万・八九四〉「いかしの御世に―・へ奉(まつ)れ」〈祝詞・出雲国造神賀詞〉
デジタル大辞泉

3.言霊の幸ふ国
言語の呪力によって,幸福がもたらされている国。日本の美称。「そらみつ大和の国は…-と語り継ぎ言ひ継がひけり/万葉集894」
大辞林 第三版


<「幸わう」ということばから連想した長谷川NHK経営委員>

安倍首相がNHK経営委員に推薦した人物の中に、埼玉大学名誉教授・長谷川三千子氏と作家・百田尚樹氏がいます。

長谷川三千子氏は、日本会議の代表委員の一人です。日本会議は右翼的活動団体として日本社会に幅広く裾野大きく活動している団体です。

長谷川氏は、著名な右翼として知られた野村秋介氏追悼20年記念文集に寄せた追悼文の中で、「野村秋介氏の自殺は神に命をささげた行為であり、たとえ昭和天皇が人間宣言をされた後であっても、現行憲法にどのような規定があっても、その瞬間に今生きておられる天皇がそのままの姿で神になった」と書いています。

昭和天皇の人間宣言も現行憲法の規定や思想も、そして昭和天皇の意思がどうであろうと関わりなく……天皇をこのように勝手に利用するのが、日本会議の思想的リーダーの姿です。

できることなら、2014年12月4日の過去記事『安倍首相によるNHK間接支配 (中) 天皇を現御神(アキツミカミ)とする長谷川三千子NHK経営委員』をお読みください。

安倍首相も、信頼する長谷川三千子NHK経営委員のように、「天皇が現御神(あきつみかみ)になる」と考えているのではないかと、疑いが生じます。


<ほかの言葉使いにも神経質になる>

「幸わう」ということばに驚いたので、安倍首相の言葉使いに神経質になって
しまいました。細かなことに気がまわります。就任以来の演説・講演の中に
「自虐的」、「とこしえ」、「瑞穂の国」、「ことほぐ」などのことばがあり
ます。

▽「自虐的」 安倍首相は本音のところ「自虐史観」に共感している?
安倍首相は今年2月19日衆院予算委員会の民主党議員質問中に、「日教組はどうなんだ」とヤジを飛ばし、事実誤認のうえのヤジということで2月23日衆院予算委員会で陳謝しました。安倍首相の政治傾向を見れば、日ごろから日教組に不快感を抱いていて、それが不適切ヤジに表れたものでしょう。

また、安倍首相は今年3月20日参院予算委員会で、自衛隊と他国軍の共同訓練に関する維新の党議員の質問に対し「わが軍の透明性を上げていくことに大きな成果を上げている」と答弁し、直後に「自衛隊」と言い直しました。自民党憲法草案では「国防軍」であり、戦後レジームからの脱却を志している安倍首相の胸中では既に「わが軍」なのでありましょう。

上の二つの例でわかるように、安倍首相は比較的素直に自分の思いを言葉に出しています。「自虐的」も同じことで、日ごろの自分の思いを表現することばとして、すんなりと胸の内から現れたのでしょう。


④ しかし、実は、現在、メモリーカードなどに入っているタイプの半導体 
 は、東芝が生産量ナンバー・ワンなんです。三重の四日市から、世界中に
 半導体を売っています。「日本ではもうだめだ」なんて、評論家特有の
 「自虐的発想」に呑み込まれてはいけません。
  ―― 2013(H25).5.17. 安倍総理「成長戦略第2弾スピーチ」(日本アカデメイア)


上の用例はビジネス上の話題で、その世界の啓蒙書では「プラス思考とマイナス思考」、「積極的と消極的」、「楽観的と悲観的」などといったことばがわかりやすい解説で説かれています。「自虐的」という用例を、私がビジネスや経済の分野で見聞きするのは初めてです。

日常的には、「ダメダメ、そんな考えじゃあ。もっとプラス思考でいこうよ!」といった風に使います。プラス思考でイメージトレーニング! 「自虐的発想」なんてことばを聞くだけで、気が滅入って逆効果です。そんなことばを使って気分が高揚するのなら、安倍首相も人格が軽すぎる。「日教組はどうなんだ」というヤジでは、安倍首相のまちがいが指摘されましたね。

「自虐的」ということばは、「自虐史観」ということばを連想させます。自虐史観では、戦後占領政策のおかげで日本の良い所が失われたので復活させなければいけない。日中戦争は侵略戦争ではなかった、と主張しています。

安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を提唱しているところから、本音では自虐史観を肯定しているか、親近感を持っているものと思います。下に引用したように、そういったところから「自虐的発想」という表現が生まれるのでしょう。

▽「瑞穂の国」 アベノミクスは瑞穂の国資本主義なのか?
(古語)稲の穂が豊かに実る国の意。「豊葦原瑞穂国」は古代神話の中の国土の美称の一つ。「古事記」「日本書紀」に見える。

「瑞穂の国」……。「倭」と呼ばれていた時代の古代神話に表れたことばです。「瑞穂の国」は、歴史、古典の授業や文芸の場で使われることがあっても、現代で使われる機会は限られています。まして、農作物の収穫で栄える「瑞穂の国」のイメージを重ねて、実体経済の代名詞として使う用法には無理があります。

重ねて言います。「瑞穂の国」……。「倭」と呼ばれていた時代の古代神話に表れたことばです。経済政策「成長戦略」の講演に当たって、古代「瑞穂の国」を重ねてくる安倍首相の心にどのような日本の国が見えているのでしょうか?


⑤ 日本は、「瑞穂の国」です。自立自助を基本としながら、不幸にして誰
 かが病に倒れれば、村の人たちみんなで助け合う伝統文化。「頑張った人
 が報われる」真っ当な社会が、そこには育まれてきました。
  春に種をまき、秋に収穫をする。短期的な「投機」に走るのではなく、
 四季のサイクルにあわせながら、長期的な「投資」を重んじる経済です。
  資本主義の「原点」に立ち戻るべきです。
  目先の利益だけで動くマネーゲームではなく、しっかりと実体経済を成
 長させて、その果実を、広く頑張った人たちに行き渡らせる。これが、ア
 ベノミクスの狙いです。
  ―― 2013(H25).6.5. 安倍総理 「成長戦略第3弾スピーチ」(内外情勢調査会)


「『瑞穂の国』の資本主義」(著・渡邉哲也 刊・PHP研究所)という本が出
ています。Wikipediaによれば、著者・渡邉哲也氏の結婚式には麻生太郎現副
総理が出席しているし、右派色の強い「チャンネル桜」にも出演しています。
上の瑞穂の国スピーチ部分は、そのあたりからの着想ではないでしょうか。

「瑞穂の国」の瑞穂は、強い陽光と青い空の夏風にそよいでいるのでもなく、初秋の快い風にそよいでいるのでもなく、ナショナリズムの風に吹かれています。それが、安倍首相の好みなのです。


▽安倍首相の心性は「永遠の0」にも表れている


 今週末から映画「永遠の0」が公開されます。私も見に行きたいと思っているのですが、日本の航空機技術の始まりは、103年前の今日だそうです。
 明治43年12月19日、代々木公園で、日本で初めて飛行機が空を飛びました。その滞空時間は4分、高度はわずか70mでありました。
 飛行実験を一目見たいと集まった10万人にものぼる観客は、この小さな一歩に、大きな拍手を送ったと言います。「いつか、飛行機の時代がやってくる」。当時の人々のワクワクする気持ちが伝わってきます。
  ―― 2013(H25).12.19. 日本アカデメイア 安倍内閣総理大臣スピーチ(政策抱負)


上の青字の引用部分からは、日本の航空機技術の誇るべき結実が「特攻機」であるという印象を受けます。

10万人もの観客が集まったという103年前の明るい話題。そのエピソードを映画「永遠のゼロ」から始める。安倍首相は、この映画の小説家・百田尚樹氏をNHK経営委員に推薦したという経緯があります。

「永遠のゼロ」は大ヒットしました。多くの人々の共感を集めました。……が、日本のため、故郷のため、家族や愛する人のために逝く自殺特攻は、「美しい日本」という第1次安倍政権の政策イメージにぴたり、重なり合ってきます。

「永遠のゼロ」の飛行機は特攻機で、国がやらせた自殺攻撃機なのです。平和な時代の飛行実験に大観衆が集まったという明るい話題と結び合うものは何もありません。

「いつか、飛行機の時代がやってくる」。当時の人々のワクワクする気持ちが伝わってきます。――安倍首相はこのような明るい話題を紹介する切りだしに、特攻機を結びつけています。

安倍首相の心象風景には、国を守り故郷を守り家族や恋人を守るためにと自分を納得させて、決められた死に飛びこんでゆく青少年とともに、自殺特攻機が美しく見えるのでしょう。これこそ安倍首相が感動する美しい光景。美しい日本なのです。

私は、諸君の先頭に立って、国民の生命・財産、我が国の領土・領海・領 空を断固として守り抜く決意です。
        (2013.9.12. 第四十八回自衛隊高級幹部会同 安倍内閣総理大臣訓示)

――こういった決意を、安倍首相はくり返して語っています。あたりまえのことですが、首相は決意をするだけであり、実行を命令するだけであり、その実行を迫られるのは自衛隊員です。

安倍首相は、決然たる決意を示す、自分の勇姿に酔っています。安倍首相の、
国を守る決然たる決意を、過去記事2015(H27).3.31.「安倍首相『わが軍』発言――胸中はすでに『国防軍』の中から<安倍首相 言行録>を、お読みください。

作家・百田尚樹氏について、2014年12月6日の過去記事『安倍首相によるNHK間接支配(下) 百田尚樹語録 国防軍は戦争を抑止する一番の力、土井たかこは売国奴』をお読みください。この人も、安倍首相のおめがねにかなった人です。安倍首相が共感を持つ人です。

       (参照)安倍首相のスピーチなど → 官邸ホームページ


<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
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2015-06-23
安倍研究 (13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く


          ----------------------------------------

<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院で自民党に“No”を。


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安倍研究(4) 「積極的平和主義」への安倍首相の使命感は自衛隊に向う

2015-04-07 23:44:14 | Weblog



<安倍首相の使命感>

安倍首相は強い使命感を持って政治に臨んでいます。


①「次元を超えた」発想がなければ、現下の国家的な危機は、乗り越えられ
 ません。 ―― 2013(H25).4.3. 第47回 国家公務員合同初任研修開講式
                    安倍内閣総理大臣訓示


② 私達には、世界の行く末に対し、善をなし、徳を積む責務があります。
 ―― 2013(H25).4.28. 主権回復・国際社会復帰を記念する式典 内閣総理大臣式辞

③ そして、日本の力を取り戻し、豊かにしていくこと。それが、私の役割
 、天命です。
   ―― 2013(H25).6.19. 安倍総理大臣・経済政策に関する講演 (於・ロンドン)

④ みなさま、私は、私の愛する国を積極的平和主義の国にしようと、決意
 しています。いまや私にはわかりました。私に与えられた歴史的使命とは
 まずは日本に再び活力を与えること、日本人に、もっと前向きになるよ
 う励ますこと、そうすることによって積極的平和主義のための旗の、誇ら
 しい担い手となるよう、促していくことなのだと思います。
     ―― 2013(H25).9.25. ハーマン・カーン賞受賞に際しての安倍内閣総理
                  大臣スピーチ(ワシントン Hudson Institute)


なお上の②は、1952年(昭和27年)4月28日、敗戦国日本の被占領統治が終わったことを記念して祝う式典での言葉です。

しかし沖縄は日本と切りはなされて解放されず、その後も20年間米国統治がつづきました。このため、沖縄では「屈辱の日」とされている4月28日、1万人規模の抗議集会が開かれました。基地問題への抗議であり、日本政府への抗議でもありました。


<深刻な危機意識の源は北朝鮮と中国>

安倍首相に旺盛な使命感をもたらしたものは、上の①に言う「国家的な危機」という意識です。そして、日本アカメディアでのスピーチが安倍首相に深刻な危機意識をもたらしたものが何であるか、端的に明らかにしています。北朝鮮と、そしてそれ以上に、大国化していく中国です。


⑤ 北朝鮮による核・ミサイルの問題があります。中国が、一方的に、防空
 識別区を設定しました。尖閣諸島周辺では、領海侵入が相次いでいます。
 力による現状変更の試みは、決して受け入れることはできません。南西地
 域をはじめ、我が国周辺の広い海、そして空において、安全を確保するた
 め、自らの防衛態勢を強化することが必要です。
  ―― 2013(H25).12.19. 日本アカデメイア 安倍内閣総理大臣スピーチ(政策抱負)



<「積極的平和主義」とは強い国、一級国家のこと>

安倍首相の言う「積極的平和主義」とは、強い日本をめざす政策です。(参照、前記事安倍研究(3) 安倍首相の『積極的平和主義』は『強い日本』を志向する) そして、ワシントンの保守系シンクタンク「戦略問題研究センター(CSIS)」で語ったように、一級国家であるための「積極的平和主義」です。


⑥ アーミテージさん、わたしからお答えします。日本は今も、これからも、
 二級国家にはなりません。それが、ここでわたしがいちばん言いたかっ
 たことであります。繰り返して申します。わたくしは、カムバックをいた
 しました。日本も、そうでなくてはなりません。
    ―― 2013(H25).2.23. 日本は戻ってきました(CSISでの政策スピーチ)



<「積極的平和主義」を担うのは自衛隊である>

結局、どのようなことばで語ろうとも、安倍首相に「積極的平和主義」を発動させた唯一の理由は中国の大国化による「東シナ海・南シナ海の波高し」なのです。

そして、第一次安倍政権から引き続いての課題はペルシャ湾~ホルムズ海峡の原油ルート、紅海~アデン湾の貿易ルートでした。

安倍首相は「積極的平和主義」の拠るべき力の中心が日米同盟にあり、自衛隊にあると語っています。

⑦ 日本は、世界の平和と安定のため、これまで以上に積極的に貢献してい
 かねばなりません。私は、「積極的平和主義」こそが、我が国の21世紀
 の看板であると考えます。日米同盟が、その「鎖」の中心であるべきは言
 うまでもありません。
 ―― 2013(H25).10.27. 平成25年度自衛隊記念日観閲式
                             安倍内閣総理大臣訓示

 

⑧ そして、この「積極的平和主義」の実践は、その士気と能力の高さで、
 世界から評価される、諸君たち自衛隊の存在を抜きに、語ることはできま
 せん。   ―― 2014(H26).10.26. 防衛省・自衛隊60周年記念航空観閲式
                      安倍内閣総理大臣訓示



<「積極的平和主義」は「抑止力」の言い替えにすぎない>

安倍首相の持論は「自衛隊の防衛力強化と日米同盟強化による抑止力」であり、そのことを「積極的平和主義」と言い替えているにすぎない、と言えるでしょう。

しかし、日本側から見る「抑止力」は、日米同盟の枠外にある中露からは自国への「攻撃力」と見えます。当然のことです。「抑止力」とは相手国への脅しなのですから。

尖閣への中国の圧力が、日本の危機感を高めました。しかしそれ以前に、日米安保の基地列島でもある日本列島・沖縄は、中国を威圧してきました。自国からの一方的な観点に熱を上げるだけでなく、相手側からの視点も冷静に見ておきたい。

安倍首相は日米同盟に熱を上げ、太平洋~インド洋の海洋守護神であるかのように振る舞っています。不安でなりません。


⑨ 周知の通り、北朝鮮の脅威に関連して、日本はミサイル防衛分野におけ
 る努力を活発化させている。ミサイル防衛分野に関する日本の計画に、中
 国というファクターも影響を与える、と考えても間違いではないか。私の
 理解では、日本のミサイル防衛システムは、米国の進めるグローバルなミ
 サイル防衛システムの一部になろうとしている。ロシアはこれまでアメリ
 カの計画に対して懸念を示し、米国政府に対し、このシステムがロシアに
 向けられたものではないという法的保証を要求した。もし、同様の要求を
 行った際、日本はロシアに対してそのような法的保証を与えてくれるのか
 。   ―― 2014(H26).2.8. 内外記者会見(ロシア・ソチ)
                  インターファクス通信・ドミトリー記者の質問

       (参照)安倍首相のスピーチなど → 官邸ホームページ


<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
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安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
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          ----------------------------------------

<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。



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安倍研究(3) 安倍首相の「積極的平和主義」は「強い日本」を志向する

2015-04-06 23:50:47 | Weblog



<「積極的平和主義」という旗印を立てる>

 2013年(平成25年)9月25日、アメリカのシンクタンク・Hudson Institute におけるハーマン・カーン賞受賞スピーチで、安倍首相は「積極的平和主義」という用語を使いました。その翌日、同年9月26日、第68回国連総会における一般討論演説でも「積極的平和主義」を紹介しています。同年7月参議院選挙の自民党勝利を得て安倍政権は強力になり、安倍首相は自らの政策を『積極的平和主義』と名づけました。


国際社会との協調を柱としつつ、世界に繁栄と、平和をもたらすべく努めてきた我が国の、紛うかたなき実績、揺るぎのない評価を土台とし、新たに「積極的平和主義」の旗を掲げようとするものです。
        ―― 2013H25.9.26. 第68回国連総会における一般討論演説

 


日本は、世界の平和と安定のため、これまで以上に積極的に貢献していかねばなりません。私は、「積極的平和主義」こそが、我が国の21世紀の看板であると考えます。
 ―― 2013H25.10.27. 平成25年度自衛隊記念日観閲式内閣総理大臣訓示



<「積極的平和主義」とは>

積極的平和主義の防衛範囲は、注目すべきは、前回『安倍研究(2) 日本防衛の対象は遠くインド・中東、アデン湾・ホルムズ海峡・インド洋・太平洋・南シナ海まで』の記事のごとく、大きく広げられることです。安倍首相は、東南アジアからインド、中東までという諸国・海域の安定が日本の安全のために必要だと言っています。

積極的平和主義のルールは、「法の支配」や「海洋の自由」といった価値観に基づきます。これは、「米英西欧的世界秩序の維持」を意味し、安倍首相は「日本は貢献する」と国際的に約束しています。

経済的繁栄が積極的平和主義にとって必要不可欠であると、安倍首相は次のように言っています。


 まずは経済を強くする。それなしには何事も始まりません。そのため女性の力、「ウィメノミクス」が必要不可欠だと、再三言っております。経済を強くするのは、後の世代に、安心で、安全な日本を残すためであるのはもちろんのこと、世界に対し、「積極的平和主義」の旗にふさわしい、務めを果たせる国であろうとするからです。
 ―― 2013H25.9.30. 日英安全保障会議基調講演(於、アジア本部=東京)



<安倍首相は「強い日本」を目指す>


強い日本は、世界の公共財を、責任もって守り、育てる日本です。

強い日本は、インド洋から、太平洋にかけての、広い海がつなぐ一帯に、平和と、安定と、繁栄をもたらす日本です。

強い日本は、世界から貧困を減らし、子どもや女性の、人権の蹂躙に立ち向かい、疾病や、環境の悪化を少しでも防ぐ日本です。

そういう日本にしたいと思って、(私は)再び立ち上がったのです。二度目の機会(※総理)を手にして、思いはますます強まりました。
       ―― 2013H25.6.19. 安倍総理大臣・経済政策に関する講演
                    (Guildhall, London, UK)

 (参照)安倍首相のスピーチなど → 官邸ホームページ


<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
安倍研究 (2) 日本防衛の対象は遠くインド・中東、アデン湾・ホルムズ海峡・インド洋・太平洋・南シナ海まで
2015-04-06
安倍研究 (3) 安倍首相の「積極的平和主義」は「強い日本」を志向する
2015-04-07
安倍研究 (4) 「積極的平和主義」への安倍首相の使命感は自衛隊に向う
2015-04-08
安倍研究 (5) 首相外交演説で「祝詞(のりと)ことば」! そこに安倍晋三の本性を見る
2015-04-11
安倍研究 (6) 東京育ちの長州人――敗戦で滅びた明治維新型日本のリメーク版をめざす
2015-04-12
安倍研究 (7) 吉田松陰の日本国防策、そして滅びた明治維新型日本
2015-04-13
安倍研究 (8) 「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」だ
2015-04-15
安倍研究 (9) 思想的バックボーンは「維新長州」、 心の支えは祖父・岸信介
2015-04-17
安倍研究 (10) 安倍首相は神道政治連盟会長、神道政治連盟と神社本庁と伊勢神宮の関係
2015-06-16
安倍研究 (11) 安倍首相―長谷川NHK経営委員―日本会議
2015-06-17
安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
安倍研究 (13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く


          ----------------------------------------

<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。







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安倍研究(2) 日本防衛の対象は遠くインド・中東、アデン湾・ホルムズ海峡・インド洋・太平洋・南シナ海まで

2015-04-03 23:49:23 | Weblog




<2013年2月22日、日米首脳会談に見る課題別比重>

安倍内閣成立は2012年(平成24年)12月26日。2ヵ月後の2013年(平成25年)2月22日(米ワシントン現地時間、日本時間は23日)、総理就任後初訪米でオバマ大統領と日米首脳会談が行われました。

会談内容が外務省ホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_abe2/vti_1302/us.html に、『日米首脳会談(概要)平成25年2月22日』として掲載されています。

この記事の内訳は――
  ① 日米関係       1020文字
  ② アジア太平洋地域情勢 950文字
  ③ 中東・北アフリカ情勢 331文字
  ④ 経済         1278文字
  ⑤ その他(子の親族)   95文字
              3674文字

①②③は、外交・安全保障問題で2281文字になります。文字量から見ますと、内閣発足から翌年(平成25年)7月参院選までの間国内的に力説していた「経済第一」よりも外交・安全保障分野の方に比重がかかっていることがわかります。これは総理就任記者会見時の文字量比較と同じ結果です。


<日米同盟、一級国家を志向>
2013(H25).2.22. ワシントンCSISでの政策スピーチ

上の首脳会談と同日、現地時間2012年2月22日ワシントンで、安倍首相はCSIS(戦略的国際研究センター)で『日本は戻ってきました』と題してスピーチをしました。CSISは「日米同盟政策提言 アーミテージ・ナイレポート」(参照:当ブログ 2015/3/14、3/18、3/24)という報告書を出したシンクタンクで、安倍首相はこの路線上を走っています。官邸ホームページからスピーチの一部を下に転載しますが、これは安倍首相の外交・安全保障に関する基本路線を簡潔に示しています。


アーミテージさん、わたしからお答えします。日本は今も、これからも、二級国家にはなりません。それが、ここでわたしがいちばん言いたかったことであります。繰り返して申します。わたくしは、カムバックをいたしました。日本も、そうでなくてはなりません。

 総理の職を離れて、5年という長い年月を送りました。それは、わたしにとって省察の時となりました。何はともあれ、これからの日本はどこに立つべきか、ということについてであります。あれこれが、果たして日本にはできるだろうかとは考えませんでした。何を、日本はなし続けねばならないかに、関心が向くのが常でした。そのような場合、変わらず胸中にありましたのは、次の3つの課題であります。

 いまや<アジア・太平洋地域、インド・太平洋地域は、ますますもって豊かになりつつあります。そこにおける日本とは、ルールのプロモーターとして主導的な地位にあらねばなりません。ここで言いますルールとは、貿易、投資、知的財産権、労働や環境を律するルールのことです。

 第二に、日本はこれからも、誰しもすべてを益すべく十分に開かれた海洋公共財など、グローバルコモンズの守護者であり続けねばなりません。

 日本とはかような意欲を持つ国でありますからこそ、第三に、わが国は米国はじめ、韓国、豪州など、志を同じくする一円の民主主義各国と、いままで以上に力を合わせなくてはなりません。

 ルールの増進者であって、コモンズ(※公共財)の守護者、そして米国など民主主義諸国にとって力を発揮できる同盟相手であり、仲間である国。これらはすべて、日本が満たさなくてはならない役割なのです。



<安倍首相の「安全保障」基本認識>
2013(H25).9.12. 第四十八回自衛隊高級幹部会同 安倍内閣総理大臣訓示

2月訪米から7月参議院選勝利を経た9月。自衛隊での訓示では、日米同盟を前提として「法の支配」「海洋の自由」という価値観を共有する豪州、インド、
ASEAN諸国など海洋アジア諸国と力を合わせていきたいとし、「日米安保体制は公共財」であるとしています。

ここで、東南アジアからインド、中東までという諸国・海域の安定が日本の安全のために必要だと明示されました。そして安倍首相は、日米安保条約は、海洋の平和と安定を守るために必要な公共財だと言っています。通商交通路の安全と自由確保という海洋公共財の考え方と、特定国の安全保障条約を同列に公共財とするのは、理屈に合いません。

自衛隊高級幹部会同総理大臣訓示から「安全保障」基本認識を示すものを下に転記します。


① 我が国の主権に対する相次ぐ挑発。我が国を取り巻く安全保障環境が厳し
  さを増す「現実」から、私たちは、目を背けることはできません。
② ペルシャ湾、ホルムズ海峡の安定、マラッカ海峡から南シナ海の平和など
  、世界に広がるシーレーンの確保は、資源小国の我が国にとって、死活的
  な問題であります。
③ 世界の平和と安定に寄与し、積極的な責任を果たすことなくして、我が国
  自身の平和を守ることはできません。
④ 日米安保体制は、地域の平和と安定のための大切な公共財であります。こ
  の抑止力を高めるためにも、我々は、更なる役割を果たしていかねばなり
  ません。
⑤ 地球儀を俯瞰する視点で、豪州、インド、ASEAN諸国など海洋アジア
  諸国をはじめ、「法の支配」や「海洋の自由」といった価値観を共有する
  国々と連携し、外交・安全保障面での結びつきを強めてまいります。


<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
安倍研究 (2) 日本防衛の対象は遠くインド・中東、アデン湾・ホルムズ海峡・インド洋・太平洋・南シナ海まで
2015-04-06
安倍研究 (3) 安倍首相の「積極的平和主義」は「強い日本」を志向する
2015-04-07
安倍研究 (4) 「積極的平和主義」への安倍首相の使命感は自衛隊に向う
2015-04-08
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2015-04-15
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2015-06-16
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2015-06-17
安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
安倍研究 (13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く


          ----------------------------------------

<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。



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安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見

2015-04-02 23:06:34 | Weblog




2011年(平成23年)3月11日、東北地方太平洋沖地震が発生しました。原発事故という未曽有の人災に多くの人々が恐れおののき、大津波という未曽有の自然災害に多くの人々が亡くなりました。この東日本大震災に、日本中が深い悲しみに沈みました。

2010年(平成22年)9月7日、中国漁船が無法にも海上保安庁巡視船に体当たりするという事件が発生しました。この事件によって、日本人の対中感情と中国人の対日感情が共に悪化しました。2012年(平成24年)9月11日、尖閣諸島のうち魚釣島、北小島、南小島の3島が国有化されました。これ以後、日中関係が悪化します。


<短命内閣、六代つづく>

国内政治では、5年半つづいた小泉内閣のあと第1次安倍内閣が成立し、それ以後は短命内閣がつづきました。

  第1次安倍晋三内閣 平成18年9月26日~平成19年9月26日
  福田康夫内閣    平成19年9月26日~平成20年9月24日
  麻生太郎内閣    平成20年9月24日~平成21年9月16日
  鳩山由紀夫内閣   平成21年9月16日~平成22年6月8日
  菅 直人内閣    平成22年6月8日 ~平成23年9月2日
  野田佳彦内閣    平成23年9月2日~平成24年12月26日

小泉のあと、安倍~福田~麻生への内閣たらい回しにあきれた民心が、清新な政治を求めて民主党を選びました。その民主党の最初の鳩山総理が実現可能性のない「普天間基地県外移設」案で、余りにも軽い挫折の姿を見せて国民の失望を買いました。民主党外交の未熟な姿です。

菅直人内閣は不運にも東日本大震災に遭遇し、その対処に忙殺されるままに内閣の生命を終えました。菅第2次改造内閣の前原誠司国土交通大臣も、中国漁船による海上保安庁巡視船体当たり事件で、中国人船長を検挙しておきながら釈放するという一貫性のない未熟な外交の姿を見せました。野田内閣は尖閣国有化で日中関係を先鋭化させるという失敗を犯しました。外交だけでなく民主党内部の不統一などによって、国民の民主党への失望は大きいものでした。


<第2次安倍内閣スタート、安全保障への意欲強し>

上に掲げた6代の短命内閣への国民の失望を受けて、日本を再生させるべく第2次安倍内閣が誕生しました。

安倍首相は当初から大きな危機意識を持っていました。2012年(平成24年)12月26日の内閣総理大臣就任記者会見で、次のように述べています。

「国家、国民のために目前の危機を打ち破っていくという覚悟において、本日、危機突破内閣を組織いたしました。」

就任記者会見における総理冒頭発言の内訳は――
  ① 前置き部分     667文字  
  ② 日本海側大雪対策  193文字
  ③ 東日本大震災復興  375文字
  ④ 経済        388文字
  ⑤ 日米同盟・安全保障 502文字
  ⑥ 教育        202文字
  ⑦ 国土強靭化     162文字
  ⑧ その他       424文字
           計  2913文字

「最後に、繰り返しになりますが、この政権に課せられた使命は、まず、強い経済を取り戻していくことであります」。――安倍首相は、総理就任記者会見においてこのように語っています。

しかしながら、就任当初から安倍首相が真に危機感を抱き、強い関心を抱いているのは、「日米同盟・安全保障」の分野であることが上の文字数から読み取れます。

そして、2013年(平成23年)7月参議院選挙で自民党が勝利を得て後には、「日米同盟・安全保障」への傾斜に拍車がかかります。

   ◇   ◇   ◇

<安倍内閣総理大臣 就任会見 冒頭発言> ※官邸ホームページより
 2012年(平成24年)12月26日

 本日、第96代内閣総理大臣を拝命いたしました。先般の総選挙の結果を受けて、自民党、公明党で連立政権を樹立いたしました。今回の総選挙の中において、全国を遊説で回りながら、国民からの期待として、この政治の混乱と停滞に一日も早く終止符を打ってもらいたい、そういうひしひしとした期待を感じました。一方、まだまだ我が党に対して、完全に信頼が戻ってきているわけではない、政治全般に対する国民の厳しい目が続いていることを実感いたしました。その中で、内閣を発足し、一日も早く結果を出していくことで信頼を重ねていきたい、信頼を得ていきたい、そういう緊張感で今いっぱいであります。

 この3年間、民主党政治の結果として、経済においても外交・安全保障においても、あるいは教育、暮らしにおいてもさまざまな課題が山積をしておりますが、過去を振り返っても、あるいは前政権を批判しても、今現在、私たちが直面をしている危機、課題が解決されるわけではありません。我々は過去を振り切り、今から未来に向かって力強く第一歩を踏み出していきたい、こう考えています。

 国家、国民のために目前の危機を打ち破っていくという覚悟において、本日、危機突破内閣を組織いたしました。総裁や代表経験者あるいは次世代を担うリーダー候補に入閣をしていただきました。人物重視、実力重視の人事を行いました。危機突破のために十分にその力を発揮していただきたいと思います。

 この危機突破内閣の発足に当たって、全ての閣僚に対しまして、経済再生、復興、危機管理の3つに全力で取り組むよう、指示をいたしました。

 特に危機管理に対しましては、現在も北日本の日本海側では劇的な大雪となっており、大きな被害の発生も懸念されます。先ほど内閣危機管理監に対して、人命の保護を第一に警戒対応に万全を尽くし、今後の大雪対策に万全を期すべく、対策室の設置を指示いたしました。政権を担うことになった以上、その瞬間から、油断することなく、全力で危機管理に当たる責任があります。そのことを閣僚全員に徹底をいたしました。

 東日本大震災の被災地は、2度目の寒い冬を迎えています。いまだに32万人の方々が仮設住宅などで避難生活、困難な生活を強いられています。復興の加速化が何よりも重要であると認識をしています。被災地、とりわけ福島の現場の声に精通をした方に復興大臣になっていただきました。被災地の心に寄り添う現場主義で、復興庁職員の意識改革、復興の加速化に取り組んでいただきます。特に福島については、除染や生活再建など、課題は山積でありますが、新設をした福島原発事故再生総括担当大臣を中心に、関係省庁の力を結集して、国が前面に立って、国の責任において、福島の再生に取り組んでまいります。閣僚全員が復興大臣であるという意識を共有し、あらゆる政策を総動員してまいります。これにより、単なる最低限の生活再建にとどまらず、創造と可能性の地としての新しい東北をつくり上げてまいります。

 強い経済は、日本の国力の源であります。強い経済の再生なくして財政再建も日本の将来もありません。長引くデフレによって、額に汗して働く人たちの手取りが減っています。歴史的な円高によって、国内で歯を食いしばって頑張っている輸出企業もだんだん空洞化しています。強い経済を取り戻す、これはまさに喫緊の課題であります。経済再生の司令塔として、日本経済再生本部を創設いたします。経済財政諮問会議も再起動いたします。新たに経済再生担当大臣、デフレ脱却・円高対策担当大臣、産業競争力担当大臣を設けて、きめ細かな政策実施に向けた体制を整えました。

 内閣の総力を挙げて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、この三本の矢で経済政策を力強く進めて結果を出してまいります。頑張った人が報われる日本経済、今日よりも明日の生活が良くなると実感できる日本経済を取り戻してまいります。

 そして、国益を守る、主張する外交を取り戻さなければなりません。日中関係、日韓関係、そして日本の外交・安全保障の基盤である日米関係にたくさんの課題があります。

 アメリカ、ロシア、インド、ASEAN諸国など、世界地図を俯瞰するような視点で戦略を考えていくことが必要であります。総合力としての外交を戦略的に展開してまいります。

 何よりも、日米同盟の信頼関係を再構築しなければなりません。先日、オバマ大統領と電話会談をいたしました。その際、長期にわたって関係を構築していくことで合意をいたしました。日本外交の基軸である日米同盟の絆を改めて強化していくことが、日本の外交・安全保障立て直しの第一歩であると認識しております。

 総理として、国民の生命、領土、美しい海を守り抜いていくという決意を示していきたいと思います。今、この瞬間にも、尖閣諸島沖では、海上保安庁や自衛隊の諸君が日本の海や空を守っています。日本の安全保障は人ごとではなく、今、そこにある危機であります。新たに国家安全保障強化担当大臣を設けました。司令塔となる国家安全保障会議の設置など、内閣を挙げて、外交・安全保障体制の強化に取り組んでまいります。

 現在、子供たちの命と未来が危機的な状況にあります。いじめや学力の低下など、さまざまな問題により、危機に瀕している教育の再生は政治の責任であります。さきの安倍政権時代に教育基本法を改正いたしました。改正教育基本法のもとで公教育の最終責任者たる国が責任を果たしていく仕組みづくりなど、より具体的な改革を進めてまいります。子供たちに世界トップレベルの学力と規範意識、歴史や文化を尊重する態度を育んでまいります。

 一つひとつの国民の暮らしの不安を払拭していかなければなりません。安心社会をつくり上げることも安倍内閣の重要課題であります。笹子トンネル事故は、高度経済成長時代につくり上げられたインフラの老朽化に対する国民の皆様の不安を高めました。国民の命を守るため、また、日本の競争力を高めていくためにも、国土強靭化対策を進めてまいります。

 持続可能な社会保障制度の確立も喫緊の課題であります。三党合意に基づきまして、社会保障・税一体改革を継続してまいります。また、女性活力・子育て支援担当大臣を設置いたしました。女性が活躍をし、子供を産み育てやすい国をつくっていくことも安倍政権の使命であります。まず、隗より始めろとの精神に基づいて、党の4役のうち2人を有能な女性にお願いをいたしました。今回の人事でも、実力本位で、積極的に女性を登用いたしました。

 最後に、繰り返しになりますが、この政権に課せられた使命は、まず、強い経済を取り戻していくことであります。人口が減少していくから成長は難しい。確かに難しい条件ではありますが、成長をあきらめた国、成長していこうという精神を失った国には未来はないと思います。我々は、決断し、そして、正しい政策を実行することによって成長していく。明るい未来を目指して国民一丸となって進んでいく国づくりを目指していきたいと考えております。

 私からは以上であります。


<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
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安倍研究 (11) 安倍首相―長谷川NHK経営委員―日本会議
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安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
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          ----------------------------------------

<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。

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