雨である
月初めの事務も終わり、税金も納めるばかりに計算した。きょうは午前中、柄にもなくドライフラワーでリースを作り、午後から美容院と買い物。帰るころには上がっていた雨も降りだし、今の時刻はかなり降ってる。
雨が好きかと聞かれれば、そう嫌いではない。涼しいし、雨に閉じ込められると、思いが縦横無尽にあちこちへ飛び回る。この歳になると、生きてきた時間も長く、記憶もたくさん。古い引き出しを開けて、昔の千代紙や布を整理するみたいにいろんなとことを思い出すのも楽しい。
雨の音もいろいろな音色で聞き飽きない。今よりずっと若く、30代初めの私はひたすら待つ女だった。
子供たちが寝るのを待つ。夫が帰るのを待つ。昔の友達から手紙が来るのを待つ。この何事もない退屈な日が過ぎて行くのを待つ。日常にまみれた専業主婦の私。
夜中近く、まだ帰らない夫を待つうちに、雨音は人の足音のように錯覚していた。車で通勤だったので、歩いて帰るわけではないのに、待つ人の足音のような、いえ、もう会わなくなった、会えなくなった誰彼を思い出させる雨の音。
その頃は、永遠にこんな日が続くことを予想するだけでうんざりしていた。公園の砂場の縁にしゃがんでわが子を見ながら、いいお母さんの振りをする。。。。いいじゃないの、と今なら言えるけど、その時は訳もなく焦っていた。
まあ、それが若いと言うこと。若い日の残影を引きずっているのはまだ若い証拠、今は思い出しもしないし、若い日には二度と帰りたくない。あんなにいろいろとしんどいことの続く日々をもう一度繰り返すなんて、まっぴらごめん。
今の平穏な日々がなるだけ長く続いてほしい。それだけ。
きょうは初めは、街で見かけた有名人、芸能人というタイトルにするつもりでしたけど、いい年してあまりにミーハー全開なので止めました。
極め付けを一つだけ。数年前、一人で京都旅行しているとき、四条烏丸に近い某ホテルのエレベーターに、某有名男性歌手が若い女性と乗ってきたのにはびっくりしました。テレビで拝見するより、ずっと色白で優しそうな感じ、小柄な方でした。二階で降りて、非常階段使って外出したようでした。
豪華ホテルではなく、ごく普通のホテル。意外でした。
こちらは相手をよく知っている。でも相手は私を知らない。狭いエレベータの中の変な空気。有名人はいつもこんな感じで人に見られてるんだろうなと、少し同情。まああちらさんはその同情さえめんどくさいことでしょうが。
それとももう慣れているのかなと、無名人の私は想像してみるだけ。