日曜の朝の定番番組だった「兼高かおる世界の旅」は1959年から31年も続いた長寿番組だったそうで、著者は31歳から62歳までという長い期間。
1959年と言えば我が家が白黒テレビを買ったばかりだったかも。当時16万円だったと子供心にも憶えている。とんでもなく高い買い物で、放送局は少なく、昼間はテストパターンばかり見せられたけれど、その頃からある番組なんですね。
まだ庶民にとっては海外旅行なんて夢のまた夢という時代に、自在に世界を飛び回ってレポートする番組は世界に向けて開かれた唯一と言っていいくらいの窓だったと思う。
で、見てたかというとほとんど見たことあれませんでしたね。日曜の午前中にテレビ見る習慣がなかったし、その頃は遠い将来自分が海外へ旅行するなんて夢にも思ってないので、あまりにも縁遠い話で、彼女のゴージャスなスタイル容姿とはっきりとしたものの言い方にも、いっそうその思いを強くしたので。
今思えば見ておけばよかったとちょっと残念。
この本で意外だったのは、さぞや大取材陣で世界中を移動したのかと思いきや、彼女とカメラマンと担当者の三人だったという。当然彼女は企画の段階からかかわり、現地でのアポイントメント、通訳、レポートなどほとんど八面六臂の活躍。これには驚いた。
平たい靴だと歩きにくいそうで、毎回踵のある靴にスカート姿、うんうんこれならどんな要人に会っても礼を失しない最強の姿。ハードな海外の旅を女らしい柔らかな物腰でこなしていくのも見どころ出たのだと思う。
人生がどうこうという話もさることながら、旅行仕度が面白かった。
旅先で持つバッグはポケットがたくさんで高価に見えないことが大切だそうで。それと洋服の上からゴム製の伸びるベルトを。これは何でも落としたり忘れたりするのを防ぐため挟んでおくそうで。
それと部屋履にビーチサンダルを。これいいかもしれない。私は日本のホテルで使ったスリッパをいつも持参しているけど、10日もするとよれよれになるので次回からは持って行こう。
それと宗教的な施設では信者さん以上に礼を尽くすこと、出されたものは何でも食べてみるのも大事だと思った。
謙虚にしたたかに、しなやかに、そして時には大胆に世界のいろんなところへ出かけて行った著者は80台半ばでまだお元気なはず。
淡路島には記念館があり、世界の民芸品を展示したり、ミニ世界旅行のできるモニュメントもあるらしい。今さらだけど、通りがかることがあれば寄ってみようかな。