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「あの日にドライブ」 荻原浩

2016-10-13 | 読書

 

2007年10月、三男の運転で高雄に向かう。今出川通り、仁和寺前をドライブ中。

この時は院生2年目。長かった仕送りもあと少し。頑張れ、お父さん。


今年上半期、直木賞を受賞した作家の15年くらい前の作品。面白かった。一流私大を出て、大手都市銀行で同期の中では順調に出世コースを歩んでいた伸郎は、部下をかばって支店長と対立し、関連会社への出向を命じられたのを機に退職する。

現役時代のプライドが邪魔して職探しにモタモタしているうちに、公認会計士の受験をすることを思い立ち、とりあえずタクシーのドライバーになる。

慣れない仕事はきつく、一日のノルマも果たせずに、収入も銀行員時代から激減。

俺の人生こんなはずではなかった。。。。。

伸郎はかって住んでいた学生アパートの部屋を、仮眠用にと借りたり、昔の彼女が離婚して実家へ帰っているのをこっそり見に行ったりして、取り戻せるなら、別なあったかもしれない人生の分岐点まで帰りたいと妄想を膨らませる。

現実に足のついていない妄想からは、前向きな人生の道は見えてこない。私はそう思う。この人、都合いい妄想に浸りすぎ。でも少しずつ、仕事にも慣れ、本当の幸せは毎日を地道にこなす先にありそうだと示唆して小説は終わる。

タクシードライバーの方たちの内情、私は申し訳ないけど、この歳まで知らなかった。

私がタクシー利用するのは、姑様のお供で近くの病院へ行く時と、海外旅行からの帰り、疲れ果てて、広島駅から自宅に乗る時だけ。

とても上客ではないようです。特に旅行帰りは気持ちがハイになって、いらんこと言いがちなので、これからは気を付けよう。

とても面白く、かつ読みやすく、昨日購入、今朝読了。泥酔したかつての支店長が客になったので、仕返しするところはカタルシスあり。で、自分がこだわっていたことが大したことじゃないと気が付き、前に進む。読後感、さわやか。

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