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「ペスト大流行 ーヨーロッパ中世の崩壊ー」 村上陽一郎

2021-06-04 | 読書

誰が読んだのか、夫実家にあったので借りて読んだ。1983年発行。今回の新型コロナ肺炎の流行がなければ、たぶん読まなかったと思う。

岩波新書なので簡単な概説書と思っていたが、コンパクトながら史料を駆使して、ペスト流行の諸相が過不足なく書かれている。名著だと思った。

ペストはエジプトから中東付近の風土病で、普段はおとなしく、病気も散発する程度だけど、ひとたび大流行になると他のどれよりも死者の多くなる大変な伝染病だとこの本で知った。

歴史の記録に残る最初の流行は、紀元前3世紀。この本では14世紀に50年間にわたってヨーロッパで流行したのを主に取り上げている。

医学の未発達な当時、ひとたび流行が始まるとほとんど手立てはない。村全体、町全体が消滅し、流行は西はイングランド、東は中国まで広がり、著者の推計で死者は7千万人とのこと。新型コロナは本日18時現在で、全世界で3,701,409人、それだって大変な数字だけど、人口の少ない当時、犠牲者の数は桁外れということが分かる。

これだけのパンデミックになれば、人口の減少で農奴制が維持できなくなり、小作制度へと移行すると契機になったという。

また旧来の信仰では救われないと感じた人たちが、自然発生的に鞭打ち運動を始めたそうで、これは自らや仲間内を鞭でたたいて贖罪としたとのこと。あまりに多くの死を見た後の虚無、自虐、救いへの強い希求などが一緒になったものでしょうか。

病気の原因を大気の汚染、地球内部からの毒性物質の噴出とか、いろいろ非科学的なことが出てくるけれど、中でも戦慄したのが「ユダヤ人が井戸に毒を入れている」という風評が立ち、ユダヤ人を捕まえて大きなワインの樽に詰め、川に沈めたとか、このほかにも歴史上何度もユダヤ人の虐殺はあったそうで、関東大震災の時の話と全く同じなので、本当に身の毛がよだつほどの恐怖と嫌悪感を感じた。なんで、非常時に時代も場所も遠く離れたところで同じ虐殺が行われたのかと。

この人間の残虐性を、今の時代の人間が克服しているかと言ったら、私は決してそんなことはないと思っている。

2018年の7月、広島県は激烈な土砂災害に見舞われ、多くの家が流されたのですが、そのあと、外国人のグループが夜中に車で乗り付けて、壊れた家で窃盗をしているという噂があるという報道を見ましたもん。

噂は普段の無意識が表に出てきたもの。本当かどうかは分からない。噂を検証もせずに報道していいんかな。

真に受けて、「ひどいことする、人間と思えん」とコメントしている人がいたけど、外国人がらみの事件が起きずに幸いでした。あれは噂だったと後追いの報道があったけど、ああいう非常時には節度を持って報道するべきでは。

その後ペストは17世紀、19世紀のはじめと、ほぼ300年毎に大流行、次は2200年前後かもしれないそうで。もちろん今はいい抗生剤があって克服しているけれど、病原体の方がもっと強くなってるかもしれないし、人類と病気の闘いはこれからも続いて行くことでしょう。

死は誰にとっても逃れられない運命だからこそ、それに至るまでよりよく生きることの大切さをこの本で教えられたと思う。


2016年、スペインのトレドを旅行した時、ユダヤ人がこの街を去る時にいつか帰って来る目印にと、舗道にユダヤ文字を刻んだという説明がありました。第二次大戦の時?と深く考えなかったけれど、14世紀のペスト流行ではトレドのユダヤ人が指令を出して流行らせていると言われたそうで、もしかしたらその時に街から連れ去られたのかなあと思った。

調べてもいいんだけど、気が滅入るのであえてしない。

パンデミックはもう一つの戦争。理不尽な大量の死を前にして、人は理性をなくし、恐怖を感じ、残酷になるのでしょうか。つくづく恐ろしいと思った。

 

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梅雨寒に紬の単衣

2021-06-04 | きもの

母のお下がり、バチ襟。単衣。普段着。

一応着ているということで。自撮りは苦手。

紬でバチ襟、着易かった。

普段着物の着付けは、雑誌の写真みたいにきちんとせず気楽にを心がけています。

衣紋は今の時期は抜いたほうが涼しい。前も合わせすぎずにゆったりと。

昔も今も、自分サイズの着物ばかり持つ人はそう多くないと思う。昔お下がり、今リサイクルにオークション。それは着付けで工夫する。これもなかなか面白いことで。

正しく合わすのは、帯から上の背中心の縫い目と帯から下の上前の端の線だけ。帯から下の背中心は左右にずれていてもOK、と思って着ています。

着丈は多少大きくても腰ひもで調節できるけど、身幅は大きくても小さくても着にくい。大きい方が余分な布の始末が大変そうですが、おかげさまで身幅が余り過ぎる着物にいまだ出会ったことありません。ありがたや。

着丈が中途半端に短いのは適当な部分で揚げをして、男物みたいに対丈で着てもいいと思っています。面倒でしていませんが。

 

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ふね、舟、船の散歩道

2021-06-04 | 日記

自粛期間中です。地元を歩きましょう。

入り江の船溜まり。漁船。

兄弟船。

中型船。

ベイクルーズ船。ランチ、ディナー、結婚式など。

島多数。西能美島の砲合山は砲台山の間違いと思います。砲台跡があります。

宮島行き高速艇。

江田島の切串行きフェリー。

江田島はいくつか港がありますが、切串が一番近い。市内へ通勤通学する人多数。

ずっと先の国際フェリーターミナルは以前、釜山から船が来ていました。今は廃止。船内往復2泊、観光1日のツアーもありましたが、行きそびれてしまいました。

船はご当地アイドルSTU48の専用劇場でしたが、今は使っていないのかな・・・

松山行きフェリーが出航。

こちらは松山行き高速艇。


消防署の前の消防艇。

船の火災に出動するそうです。

ゆうせいと表示する船。郵便物の運搬?

県警の船。海の上で悪い人を取り締まる?

あちら海上保安庁の桟橋。

通称六管桟橋。昔の陸軍桟橋あたり。

ホテルに隣接してヨットハーバー。

遠いので本日は省略。

結局1時間半くらい歩きました。まだまだ港は広い。残りはいつかまた。

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