オランダのフィリップス社から、プランビコン管のカラーカメラがやってきまし
た。イメージオルシコン管を使った大きなカメラほどではなく、いままでの白黒テ
レビカメラより少し大きいかなあという程度でした。
このカメラはレンズを通ってきた光をプリズムで赤、緑、青に分光して3本のプラ
ンビコン管に送ります。
レンズは最初からテーラーホブソン社(トリプレットタイプのスピードパンクッ
クで有名です)の10倍の電動ズームレンズでした。
左手のパン棒の真ん中にプリセットボックスが付いていて、ボタンを押すと、あら
かじめプリセットした焦点距離に電動ズームは動いてセットされます。
これは、結局、使い勝手が悪く、プリセットボックスを使わないで、フリーでレン
ズを使っていました。
その後、テレビ界もカラー化されてカメラも国産化されます。
レンズもキャノン、富士写真光機(フジノン・レンズ)になります。
カメラもトランジスター方式、ICからLSIとどんどん小型化され、それにつれて、
低価格になります。
ズームレンズだけが価格面で取り残されてしまいました。
レンズの価格を維持するためにズーム倍率をどんどん大きくしていったのだと思います。
その後、キャノンと富士写真光機は倍率競争でシーソーゲームを繰り広げ、一方
の会社が18倍を発表すると、20倍、25倍、30倍、40倍、55倍、100
倍となります。
何故か、ニコン(日本光学・ニコン)はズームレンズ製作に不参加でした。
報道取材も、16ミリフィルムからビデオテープ取材のENG方式になりました。
プランビコン管も小型のものができました。ソニーのベータカム録画機を搭載し
たカメラが出てきました。
カラー映画では、スタジオで使うフィルムの色温度の問題がありました。
フィルムに合わせて、照明器具の電球の色温度を3200度に合わせなくてはなりませ
んでした。
テレビのカラーカメラでは、ホワイトバランスになります。カメラの方からスタ
ジオの照明用の電球の色温度に合わせるなどどうにでもなります。
番組開始前のカメラ調整では、カメラ3台を並べてテストパターンを写します。
白黒の階段状のパターンが描かれています。それを照らす写真電球の電圧をスラ
イダックで調整してミノルタのカラーメーターで2850度に合わせます。
副調整室のCCUエンジニアは3台のカメラのホワイトバランスを合わせます。
ラッシュ試写まで結果の分からない映画と違ってテレビは、リハーサル中に色のお
かしな照明電球を見付ければそれを交換すればよいのです。