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この写真は、外国の映画のカチンコです。我が国のスタジオで使っているものより二倍くらい大きいです。
映画の撮影で、音声がある限り、必ずカチンコを使います。
ディレクターチェアに座っている監督さんが
「用意…」
助監督さんがカチンコをカメラの画面内に出します。
「スタート…」
カメラにスイッチが入ってフィルムが回ります。
音声録音部のテープレコーダーが回った合図のブザーを鳴らします。
このブザー音を確認して助監督さんはカチンコの拍子木を開いた状態から
「カチン…」と打ちます。そして、拍子木を開きます。
カメラ前から「カチンコ」を引っ込めます。
カチンコの拍子木の開いた状態と打ち鳴らして拍子木が閉じた状態と再び開くまでが画面で必要なのです。
カチンコが引っ込められると、俳優さんの演技が始まります。
… … …
テレビの録画撮りでは、スタジオの二階にある、副調整室内で録画テープを走らせます。
中に居るディレクターがトークバックで、
「30秒前…」
「15秒前…」
スタジオ内のADさんが
「5、4、3、2 …」
台本を持った手で合図をします。
テレビ生放送時代からの俳優さんはこれで慣れていますが、映画の「五社協定」が、なくなって、映画俳優さんがテレビドラマに出演するようになりました。
映画俳優さんはテレビのADさんの「5、4、3、2、…」がどうしても馴染めないといいます。
テレビの小道具係がどこかからカチンコを都合してきました。
テレビのVTRの機械は映像も音声も同時に入りますから、カチンコは全く必要がありません。
VTR本番で、
ADさんの「5、4、3、2、…」
で、誰かがカチンコを陰で「カチン…」と鳴らしたことがありました。
その映画俳優さんは、長年、カチンコの「カチン…」で演技を始める癖になっていたのでしょうか…。
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