大阪のマラソンや駅伝は大体,同じコースをとります。
マラソンスタート前に、八尾飛行場から
中継車の電波を受けるヘリコプターが
無事離陸したと長居競技場に連絡が入ります。
中継スタッフ全員が安堵します。
天候不順でヘリコプターが離陸できないと,
直ちに中継車の電波は,地上リンクに切り替えなくては
ならなくなります。
… … …
マラソンは定刻にスタートします。
防振カメラを積んだ中継車の屋根にもう1台、
ワイドレンズをつけたカメラも
取り付けてあります。
高い角度からコースの広い絵をとらえています。
これには防振雲台はつけられていません。
普通のリモコン雲台がついているだけです。
ワイドレンズのカメラですからカメラブレは目立ちません。
リモコン雲台の操作は中継車の中にあります。
トップと2番、3番の選手が縦に微妙な並んで走っているとき、
後を走っていた選手がスパートをかけてトップに迫ってくる、
には効果的な映像になります。
… … …
トップグループの次のグループを狙う小型の中継車も
用意されています。
単車に2人乗りしたカメラマンも
ランナーに接近して撮ります。
… … …
途中でトップランナーが入れ替わったり,
独走態勢のランナーが途中の不調で遅れたり,
体調不良か,脚の痙攣などでリタイアーする選手は
ぜひ撮りたいカットです。
どこで選手が入れ替わったのか,
あの好調だった選手がコースから消えてしまったなど。
前日のスタッフ打ち合わせで、段取りを決めるのですが,
マラソンがどのような展開になるかわかりません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%A5%B3%E5%AD%90%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%82%BD%E3%83%B3a>
マラソンコースで,森ノ宮駅からNHK大阪放送局のある馬場町付近では、
阪神高速道路がコースを蓋をするように走っています。
その中を中継車はランナーを撮りながら走ります。
その上空にいるヘリコプターは中継車からの電波が受けにくくなります。
… … …
中継車から送られてくる電波は,テレビ局でひとまず
FS(フレーム・シンクロナイザー)という機械に通します。
中継車から入ってくる映像電波を、この機械のメモリーに書き込んでゆきます。
そのメモリーをテレビ局側は読み取りながら放送します。(同期の絶縁)
ヘリコプターの映像電波が乱れると,
メモリーに最後に書き込んだデータを放送では読み続けます。
映像は途切れませんが,走っているランナーはフリーズ(動作が停止)した映像が
放送で流れることになります。
… … …
この不具合を防ぐために,ランナーが森ノ宮駅あたりで右折すると
テレビ局側は2分間のコマーシャルやコース案内などを挿入します。
この高速道路下のトンネルをランナーと中継車が
早く抜け出るのを待ちます。