経営コンサルタントへの道

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■【あたりまえ経営のすすめ】1-02 ガラス張り経営とその運営法 A518

2021-12-10 16:18:33 | 【心 de 経営】 あたりまえ経営のすすめ1 経営編

■【あたりまえ経営のすすめ】1-02 ガラス張り経営とその運営法 A518

 多様化の時代になり、ホンモノ智恵が求められる昨今です。

 世の中には、「専門家」とか「プロ」と呼ばれる人が多数いらっしゃいます。

 ところが、残念なことに、その大半というのが、「エセ専門家」「エセプロ」なのです。

 それが露呈したのが、東日本大震災の福島原発事故ではないでしょうか。

 その対応においても、事後対応においても、専門家と言われる人達な何もできず、口を閉ざしてしまっだではないですか。

 ホンモノのプロ、要は「“真”のプロ」とは、どの様な人を指すのでしょうか。

 40年余の経営コンサルタント経験から、最善の策ではないにしても、ベターな策を講じるための智恵をご紹介してまいります。

メモ

■ 1-02 ガラス張り経営とその運営法 A518

 世の中には、「常識」といわれることが多数存在します。しかし、「常識」というのは、本当に正しいのでしょうか。クリティカル・シンキング思考で考えてみたいと思います。

 「経営の透明性」とか「ガラス張り経営」という言葉をしばしば聞きます。この言葉を聞くと「素晴らしい経営者だ」「信頼できる企業」というようなイメージを持つ人が多いと思います。

 私も「ガラス張り経営」を心がけて、これまで組織運営やコンサルティングをしてきました。しかし、「ガラス張り」ということと「情報を隠蔽しない」ということは異なると解しています。

 「情報を隠蔽する」ということは、情報を開示しないで、特定な人、それもしばしば「一人」とか「一部の選ばれた人間」「ある部署」に限定することが多いです。しかも、その特定の人という裏には、後ろめたいことが隠されているというニュアンスが含まれることがあるように思えます。

 「ガラス張り」といいますと、その様な「後ろめたさのない」という意味から、歓迎され、賞賛されると思います。


 では、ガラス張り経営で、経営はうまくいくのでしょうか、社員を上手に管理できるのでしょうか。

 例えば、新しい戦略を構築しようとしているときに、それを社員に話をしますと、社員の中から建設的な意見が出たり、協力したいという積極的な社員が出てきたりと「ガラス張り」のメリットが出てくるでしょう。


 一方で、まだ充分に戦略が練り切れていない段階で、トップが、それを社員に開示したとします。充分な戦略が練り切れていないということは、充分にデータや資料・情報が収集し切れていなかったり、それを充分に分析しきれていなかったりして、それが判断ミスをしている可能性もあります。

 ガラス張りにすることにより、社員からその指摘が出てくれば、ガラス張りの良さが出たように見えます。しかし、一方で、「このような判断ミスをするとは、わが社のトップは一体何を考えているのか」と疑問に感じ、次第に社員からの信頼を失う危険もあるのです。

 社員は、わが社という歴史と伝統ある会社ですからこそ、社員として自社のために骨身を削って仕事をしてくれているのです。裏を返しますと、自分が選んだ会社だけに、素晴らしい会社でありつづけることを期待しているのです。

 上記のように、トップが軽率な判断、たとえ軽率でなくても充分検討しないでした判断に対して、疑義や懸念が社員に生じたとしますと、社員の期待を裏切ることに繋がりかねません。それでは、会社から離れていってしまいます。


 上述の例であります「新しい戦略構築」の話に戻ります。

 例えば、役員会で「委員会制度の導入を検討する」ということを決定し、ガラス張り経営であるという理由で、その段階から、役員間のコンセンサスが不充分なまま、社員に発表をしたとします。

 「なぜ委員会制度を導入するのですか?」と社員から質問されたとします。各役員が統一した見解を述べられれば、社員は、会社に対して信頼を寄せ、この活動を推進すれば、積極的に参画してくれるでしょう。

 ところが、役員毎に言うことがバラバラであったり、社員から反論が出たときに、うろたえたり、キチンとした説明ができなかったりしては、役員に対する信用どころか、会社に失望すらするでしょう。


 コンセプトを充分に役員が咀嚼し、それを表現できるように、充分なる意見交換や討議を経て、具体策やその進捗管理までが明確になっていれば、役員に対する疑問や反論が出ても、自信を持って対応できるでしょう。

 それには、具体策を決める前に、コンセプトがキチンと役員間で理解され、合意されていなければなりません。その様な段階で、得てして、形だけを作ることに終始しがちです。誰が、どの委員会のメンバーになるなど形式的なことばかりに終始していては、肝心のことに充分時間を配分できず、消化不良のままの戦略発表となってしまいます。

 残念ながら、多くの企業で、何かをするというときに中途半端な形のものが社内に公知されることが多すぎるように感じます。

 社長をはじめとする役員が、大所高所から見て、それに気づいたら直ぐに対処すべきです。役員が、それを理解できないまま、走り出さなければならなかったことが多かったり、素晴らしい制度や戦略であっても、消化不要のまま放置され続けていたりしていることが多く、トップや役員・管理職は謙虚に受け止めるべきです。その上、これまで決めてきたことを見直しながら、新しい戦略・政策・方針として立案し、提示し、実行し、進捗管理を続けていくことが肝要と考えます。


 ガラス張り経営だからと言って、何でもかんでも発表して良いというのではなく、タイミングや反意を考慮して実施すべきです。

 

 原点に戻って「経営」とは何かを考える

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】FACTから「真実」を知ろう

2021-12-10 13:44:23 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】FACTから「真実」を知ろう

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

【 注 】

 本号は、11月第4火曜日に発信する予定のものでした。

 お届けが遅れまして大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

 陳謝と共に、平素のご愛読への感謝の意を申し上げます。

 

本

■  今日のおすすめ

 『噓と感情論で封殺された「5つの日本の真実」』(高橋 洋一著 徳間書店)

 

本

■  FACTを正しく見極め、正しい判断を(はじめに)

 

 著者は、数量政策学者らしく統計やグラフ等を基に公正・中立的な立場から政治、社会、経済を論ずる経済学者です。財務官僚を経て現在は嘉悦大学ビジネス創造学部教授を勤め、財政政策、金融政策を得意とします。

 著者は、2021年5月の「さざ波」事件で内閣官房参与を辞任しました。この事件は五輪中止論が高まる中、著者が自身のTwitterに、日本が世界の主要国の中で感染者が極めて低いことを示す「世界の感染者数のグラフ(ジョンズ・ポプキンス大学データ)」を添付して、『日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと「笑笑」』と投稿したことに端を発します。「さざ波」は、元厚労省医療技官木村氏が1年前から著者と共演する「正義のミカタ」(朝日放送テレビ~テレビ朝日ANN系の大阪キー局~で毎土曜9:30より放映)で使っていた言葉を引用したものでした。

 しかし、朝日新聞系の論座などの一部マスコミは、このTwitterは『必死の五輪反対論を「せせら笑う態度」』と批判し『これで内閣官房参与とかいうと「笑笑」』などと揶揄しました。立憲民主や共産党は菅内閣の任命責任と結びつけ、著者の国会招致を要求しました。

 これに対し著者はTwitterに「日本の状況を客観的的に分析し正確に伝えるのが本意で、それを妨げる用語は使用しないようにします」と謝罪し、政権批判と結びつくや、内閣官房参与を辞任したのです。

 著者は紹介本を出版するに至った思いを次のように表現しています。『この事態を通して、マスコミや立憲・共産は(状況の一部を「切り取り」)、「表現がけしからん」の一点張り。それでは真に私たち国民にとって重要なことが掻き消されてしまう。本書でFACTを正しく見極めて頂きたい』と。

 著者は紹介本で、5章60項目の『掻き消されている「真実」』を紹介しています。次項ではその中から「知っておきたい『掻き消されている「真実」』を見てみましょう。

 

本本

■  知っておきたい『掻き消されている「真実」』(紹介本の記述を要約引用)

 

【賃金の伸びが低すぎる。メディアや日銀が理解していない「ヤバイ現実」】

 OECDの実質賃金データでは、日本は1990年22ヵ国中12位、2019年は21位。1990年当時のOECD加盟国で、この30年間の名目賃金の伸びを見てみると、ほとんどの国で2倍以上となっているのに、日本の伸びはほぼゼロで、伸び率は最低だ。

 名目賃金は一人当たり名目GDPと同じ概念なので、名目賃金が低いのは、名目GDPの伸びが低いからということになる。日本の名目GDPが1990年からほとんど伸びておらず、世界でもっとも低い伸びだ。名目経済の成果の反映である賃金が伸びないのは、当然ともいえる。

 名目GDPともっとも相関が高いのがマネー伸び率だ。各国のデータでみても相関係数は0.7~0.8程度もある。「90年代以降の30年間」と、「90年より前の30年間」を比較すると、名目GDPの伸び率とマネーの伸び率は一貫して相関があることがわかる。具体的にいうと、「90年より前の30年間」では、日本のマネーの伸び率は、データが入手できる113カ国中46位と平均的な位置にある。一方「90年代以降の30年間」では、日本のマネーの伸び率は148カ国中、なんと最下位である。結果、名目GDPの伸び率も最下位だ。

 マネーの伸び率は、日銀が金融政策でマネタリーベースを増やすことでコントロールできるのだ。リーマンショックで先進国の中で唯一金融緩和をしなかった日銀(白川総裁時代)の罪は重い。デフレのA級戦犯は中央銀行なのだ。

 最近の日銀はかつてのような失敗はなくなったが、それでも筆者の基準からみれば、まだいまいちだ。ETF、REIT、国債買い入れなど金融緩和政策の出口の話は、デフレ脱却の目標を達成してから言うべき話だ。日銀の政策検証で必要なことは、過去30年間の日銀の間違いを総括することだ。

 

【民主主義指数からみる中所得国インドと中国の将来】

  イギリスの「エコノミスト」の調査機関エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(Economist Intelligence Unit)が2年おきに発表している、各国・地域の政治の民主主義の水準を測る指数「民主主義指数」と世界銀行の「一人当たりGDP(2000年~2019年平均値)」のデータに基づき、中国とインドの先行きを予測する。

 ここで面白いのは、民主主義指数と一人当たりGDP1万ドルの壁「中所得国の罠」とが相関していることである。民主主義指数が6程度以下の国は、一人当たりGDPは1万ドルに達していない。世界で、民主主義指数が6程度以下で1万ドルを超えている例外国は産油国とシンガポールだけである。

 民主主義指数から、インドと中国の先行きを見てみる。インドは現段階では一人当たりGDPは3000ドル程度だが、民主主義指数が6.61の民主主義国なので、一人当たりGDPは今の3倍以上に上昇するなど今後の経済発展が期待できる。ここにクアッドにインドを加える意味がある。

 一方、中国の民主主義指数は2.27なので、6には程遠く今の一人当たり1万ドル程度のGDPを維持できる確率はかなり低い。となると、中国はこれから経済停滞に陥る可能性が出てくる。そうすると、国を維持するために国外紛争を作り国民の目を外に向けようとし、核心的利益(ウィグル、南シナ海、香港、台湾、尖閣)の達成に走るだろう。核心的利益で未だ達成できていないのは、台湾と尖閣だ。

 

本

■  FACTに基づく「真実」を知るには(むすび)

 

 「真実」を知ることは簡単ではありませんね。敢えて言うならば、提供された情報が、データやFACTで裏付けられているか確認することでしょうか。

 企業経営の視点からは、PEST(政治、経済、社会、技術)に関し、メタ(必ずしも表に現れない事態の原因となっている「真の事実」)を含む正しい情報をスピーディーに収集し、分析、仮説・検証、課題の見極め、課題解決の実行をしていくことではないでしょうか。

 

本

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

http://sakai-gm.jp/index.html

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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◆【話材】 昨日12/09のつぶやき  明治の文豪夏目漱石が逝く

2021-12-10 07:05:09 | ブログでつぶやき

◆【話材】 昨日12/09のつぶやき  明治の文豪夏目漱石が逝く

経営コンサルタントとして感じたことを毎日複数のつぶやきをブログでお届けしています。

もし、お見落としがありましたり、昨日のブログで再度読みたいつぶやきがあるというときに便利なページです。

本日も、複数のブログで、つぶやき済です。

   https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/d0436ee2cb32d84fae52b798f71fe4a3

曇り t3

 

■ 昨日は、下記のリストのようなことをつぶやきました。

   
konsarutanto   ◇ 昨日のつぶやき ◇ 

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