突然眼球の白目の部分に赤い点状の内出血が起きて、ひどい時は、あっという間に白目全体がどす黒いほどの真っ赤に染めあがってしまう現象、結膜下出血といいます。
最近の例ではこのような結膜下出血を診察いたしました。(写真の公開承諾済です。)
周りの赤黒さのために、黒目が白く濁っているように見えて、家族は心配するし、孫にも怖がられるという89歳女性です。
実はこの症状は視力には全く関係なく、危ない症状ではありません。恐ろしい色をしている割に、痛くもない状態です。当初はちょっと目がゴロゴロするかなあという感じでした。
この症状は、放っておいても治ってしまいます。しかし、約2週間から、ひどい時は2か月近く白目の色が戻りにくい場合があります。
眼科に行っても、普通の目薬をくれるだけです。
こういう時も、漢方の出番です。
漢方医学では、これを瘀血(オケツ)とみなします。血の停滞ということです。そこで患者さんの体質によって、ノミネートされる方剤がいくつか出てきます。
1.桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
これが一番ポピュラーなもので、体力のある方もそうでない方も、どなたが服用してもよい漢方薬です。
2.桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
桂枝茯苓丸が必要なタイプで便秘がある人が服用します。
生理の時や出産の後に少し気がふれたようになる方にも使います。
3.通導散(つうどうさん)
これも、桂枝茯苓丸に比べて強めの瘀血対策の方剤です。
老廃物を出す作用が強いので、ダイエットにも使われます。
今回はこの通導散を処方いたしました。
処方して、たったの5日で、白目の充血が取れて、真っ白に回復いたしました。
駆瘀血剤の威力を再確認した次第です。
瘀血対策は、婦人科系の癒し、痔や皮膚病の治療、事故やケガや手術などで体にダメージを受けた方で、いつまでたっても不定愁訴が続いている方の治療に使います。
瘀血が多くて、鬱症状が出ている場合にも使います。
また、過去に体に大きな負担をかけた方の体質調整のためにも使います。
「女性は血の道」といわれて、多くの女性はこの血の停滞がいろいろな症状の原因となっております。
私は、東洋医学校の授業では、特に毎日頑張っている女性の生徒さんには、「これらの瘀血対策を年に1-2か月することによって、無病息災で無事卒業して、こちらの東洋医学試験を突破できるぞ!」と処方をお伝えしています。授業が終ると、みんな漢方薬庫にいって学生価格で原料を購入して、自己人体実験に励んでいるようです。
あ、この治療をもし自分でお灸で治したいというときには、眼疾患全般に使われている、臂臑(ひじゅ)のお灸がよく聞きます。このツボは肩の痛みに使うだけでなく、眼に良いのです。
せんねん灸でよいので、毎日両サイドにすえてゆきます。
臂臑のツボの位置はこれです。
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