ごっとさんのブログ

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禁煙補助薬に関する話題

2018-01-10 10:37:08 | 煙草
最近禁煙補助薬について色々発表されています。私は基本的に禁煙しようという気はないのですが、禁煙しようとしていろいろ苦労している人もいるようです。

禁煙治療をする日本の禁煙外来で使用されている治療補助薬に「チャンピックス」という商品名の薬があります。

この薬はニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、ニコチンより弱いがニコチンと同じようなドーパミン刺激を脳に与え、同時に喫煙によるニコチンの受容体への結合を邪魔し、ニコチンが作用しにくくする機能を持ちます。

この成分はバレニクリンという物質で、古くから禁煙のために利用されてきたマメ科の植物に含まれるアルカロイドです。ニコチンと同様にこれが受容体と結合することが分かり、2005年に米国の製薬会社ファイザーが禁煙補助薬として製品化しました。

アメリカの研究者が約3年間、16か国140医療機関の禁煙治療データをもとに合計で8144人をコホート調査した研究では、バレニクリンのほうが、プラセボ群やニコチンを皮膚から吸収させるニコチンパッチ群よりも禁煙治療効果があったという発表もあります。

ただこの研究にはファイザーとスミスクラインという製薬会社から研究資金が出ているようです。どうも研究資金の出所によって、研究結果の信頼性が乏しいというような記述を時々目にしますが、研究者は自分の信念で研究しているはずで、資金提供者に有利になるような結果を出すとは考えにくい気がします。

日本人の喫煙者210人をバレニクリン群(107人)とプラセボ群(103人)に分けて比較した研究では、15週〜24週の連続禁煙率はバレニクリン群のほうが高い(46.7%、12.6%)結果が出ました。また調査開始時と比べて4週目に喫煙本数を半分に減らした喫煙者数はやはりバレニクリン群のほうが多かった(59.8%、30.1%)ようです。

この研究もファイザー社から資金提供を受けているとのことでした。またこの研究では、重篤な副作用がバレニクリン参加者の3.7%に現れました。めまいや意識障害が起き、その結果として自動車運転中の事故に至った例もあるようです。

一方ファイザーからの資金提供のない研究の中にはバレニクリンに否定的な論文もあります。例えばアメリカで3年間、禁煙治療を受けた喫煙者1086人を調べたコホート調査によれば、約半年後の禁煙継続率はニコチンパッチ群22.8%、バレニクリン群23.6%、コントロール群20.2%となり、それぞれに大きな違いはないようです。

その他バレニクリンの心血管疾患に関するレポートなども出ているようですが、こういった禁煙補助薬の使用は医師に任されているわけで、禁煙しようとした人にとっては自分で選択するわけではありません。

それでもこういった研究がいろいろ行われているというのは面白い気がします。