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「フレイル」メタボより危険な自立度低下

2018-01-23 10:41:17 | 健康・医療
東京都健康長寿医療センターの研究チームは、65歳以上の高齢者を平均7年以上追跡した結果、調査開始時に「フレイル」状態だった人が、要介護認定を受けるなど自立度に影響が出る危険性はそうでない人よりも2.4倍高くなるとの分析結果をまとめました。

このフレイルという言葉はよく知らなかったのですが、高齢になることで筋力や精神面が衰える状態を指すようです。もともと英語の訳のようですが、いわゆる「虚弱」ということを言い換えて、さらに高齢者が要介護とならないように予防するという概念も含んでいるようです。

国が推奨する特定健診で調べるメタボリック症候群の有無は、自立度の低下と関係ないことが分かってきました。このように同じ集団を対象にフレイルとメタボの影響を調べた調査は初めてです。

この調査は、群馬県草津町で2002~11年に高齢者検診を受診した65歳以上のうち、要介護認定を受けていない1453人を2014年まで追跡調査しました。追跡終了時に要介護認定を受けたり亡くなったりした人は計494人でした。

健診時にフレイルと判定された161人を分析すると、フレイルではない人と比べ要介護認定を受けたり死亡したりする危険性が74歳までの前期高齢者で3.4倍高くなりました。75歳以上の後期高齢者では1.7倍で、特に前期高齢者で高い結果となりました。

今回の調査では、メタボは自立度の低下との関連は認められず、統計学的に分析するとフレイルだけが要介護認定や死亡の発生率に影響を与えていました。

研究チームは、「健康寿命を延ばすには、高齢者は肥満対策よりも必要な栄養を取り、筋力をつけてフレイルを予防することが大切だ。前期高齢者の検診内容も検討すべきだろう」と話しています。

今回の調査でのフレイの条件は以下のうち3項目以上該当するものとしています。1)体重減少(半年以内に2~3キロ以上)、2)握力低下(男性26キロ未満、女性18キロ未満)3)「自分が活気にあふれている」の質問に「いいえ」と回答、4)歩行速度が毎秒1メートル未満、5)外出が1日1回未満。

この程度の条件ですと私は何とか免れているようですが、疫学調査するための基本にしてはやや曖昧さが残るような気がします。今回の調査は母数(フレイルと診断した人数)が少なく、やや信頼度に欠けるような気がします。

このフレイルということばは、日本老年医学会が2014年に新しい呼び方として提唱したようですが、あまり定着しているとは思えません。こういった新しい言葉を作るより、高齢者の低栄養状態といった方が分かりやすいような気もします。