ごっとさんのブログ

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ガンが抑えていた免疫を細菌感染で活性化

2020-04-21 10:27:48 | 健康・医療
ガン治療では、ガン遺伝子パネル検査が導入され、遺伝情報を調べることで治療薬の選択に役立たれています。

遺伝情報を調べることは敵を知るうえで重要で、原発不明ガンと免疫のかかわりについての遺伝情報の研究も進められようとしています。

ガン細胞は免疫チェックポイントという仕組みで、免疫に攻撃されないようになっています。遺伝情報の解読技術を使えば、個々の患者の免疫細胞の状態を調べることができます。ガンと免疫についてはいろいろ面白い現象が起きているようです。

肺ガンが身体中の皮膚に転移して皮膚を破って大きく成長し、それに続いて細菌感染も生じて潰瘍を伴い、患者に激しい痛みをもたらしていました。

ところが細菌感染が起こってしばらくすると、体中に転移していた肺ガンが、原発巣も転移巣も両方ともあっという間に小さくなって、消えてしまいました。これはガン細胞が抑えていた免疫機能が、細菌感染によって再び活性化したのではないかと考えられます。

この様に何らかのきっかけで、免疫機能が活性化すると、抑えていたガン細胞まで攻撃できるようになるようです。免疫がガンによってどのように封じ込められているのか、まだよくわかっていません。

免疫チェックポイントは、免疫が相手を敵として認識しなくなる仕組みで、ガン細胞がこれを悪用するのを阻害し、免疫が攻撃できるようにするのが免疫チェックポイント阻害剤です。

しかし免疫チェックポイント阻害剤がよく効くといわれる様なガンでも、効果のある人は2〜3割といわれています。複数の薬剤との併用療法の研究も進められていますが、まだ万能とは言えません。

こういった点からも免疫チェックポイント以外にも、ガン細胞が免疫をおとなしくさせる仕組みがあるかもしれません。細胞や組織はいくつものシグナルが絡み合う、複雑なネットワークを形成するような仕組みを持っており、ガン細胞と免疫の関係も単純ではないようです。

現在ガンを攻撃する免疫細胞であるT細胞も色々な種類があり、抗体を作るB細胞についてもいろいろ研究されています。

今回のように細菌感染によって、ガン細胞までも駆逐するような作用が、免疫のどのような仕組みで活性化されたのかが判明すれば、新たなガン免疫治療法への道が開けるのかもしれません。

遺伝情報の解析や、免疫システムの解明と調べなければいけない課題は多いのですが、免疫を使ってガンを治療するのが最も患者にやさしい治療法だと思っています。

これだけの情報では新たな取り組みの道筋は見えませんが、大きな可能性があるような気がしています。