ごっとさんのブログ

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腎盂腎炎の予防には

2020-07-06 10:38:24 | 健康・医療
腎臓にある「腎盂(じんう)」で細菌が増殖し、炎症が起きる病気を腎盂腎炎といいます。

免疫力が落ちた高齢者や糖尿病などの持病がある人は、かかりやすく重症化もしやすいため注意が必要です。腎盂の「盂」は元々飲食物を入れる口の広い容器を指す言葉です。

腎盂は血液中の老廃物や余分な塩分などをこ(濾)しとって作られた尿が最初に集まる場所で、尿はここから尿管へ送り出されます。腎臓や尿管、膀胱、尿道は本来無菌状態に保たれています。

便に含まれる大腸菌などの細菌が尿道から侵入することもありますが、通常は排尿時に体外に押し流され問題になりません。ところが尿路結石や前立腺肥大、妊娠の影響などで尿の通り道が狭くなると、尿の流れが悪くなり細菌を十分に排出できなくなります。

膀胱と尿管の間には尿の逆流を防ぐ弁がありますが、うまく機能しないと尿とともに細菌が腎臓に向かって逆流しやすくなり、腎盂に至った細菌が炎症を引き起こします。尿道が男性より短い女性の方が患いやすく、男性も加齢で前立腺が肥大する傾向があり、年齢とともにリスクが高まります。

糖尿病の患者や抗がん剤を使った治療をしている人は、免疫力が大幅に落ちており、健康な人なら何の影響もない細菌にさえ感染してしまう恐れがあります。腎臓自体は炎症を起こしても痛みを感じませんが、腫れると腎臓を包む薄い膜が引っ張られ、背中などに激しい痛みが生じます。

高熱が出ることが多く、吐き気や嘔吐などの症状が現れる場合もあります。炎症によって膿で濁った尿が出たり、背中をたたくと響くように痛んだりすることもあります。

炎症が広い範囲に及ぶと、老廃物などを排出できなくなる「急性腎障害」に陥ります。細菌が血液に入り全身に回ると様々な臓器に炎症が起きる「敗血症」にもなりかねず、命にかかわるため一刻も早い治療が必要です。

尿検査で細菌の有無を調べるなどして診断がつくと、細菌の増殖を抑えたり殺菌したりする抗菌剤(抗生物質)を使います。軽症の場合は2,3日ほどで熱が下がり、症状が改善します。大腸菌が原因の約7割を占めるため、抗菌剤はまず大腸菌に効くタイプを選びます。

予防には尿道から細菌が侵入するのを防ぐことが肝心で、こまめにシャワーを浴びたり、入浴したりして下半身を清潔に保ちます。尿を我慢せずトイレに行き、細菌を尿と一緒に排出します。

この病気は免疫力が落ちると発症しやすくなり、過労は免疫力低下を招くので、働き盛りの人もこの病気と無縁ではないようです。規則正しい生活と十分な睡眠も予防に大切とされているようです。