ごっとさんのブログ

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抗体消滅問題と「T細胞」免疫

2020-07-23 10:31:45 | 時事
日本では新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増加しており、第2波の到来が指摘されています。

国内旅行を支援し、観光需要を喚起するために政府が乗り出した「Go Toキャンペーン」も、感染を全国に拡散させかねないと懸念の声が噴出しています。

世界保健機構(WHO)などは、抗体を持つ人に移動の自由を与える「免疫パスポート」を紹介しています。その背景には感染に抵抗力がない内に、人々の移動の自由を認めるのは困難ではないかという考え方があります。

ここ最近新型コロナウイルスの免疫にまつわる研究が続々と発表されています。7月11日に新型コロナに抵抗するための「抗体」が短期間のうちに消失する可能性があると報告されました。

ウイルスへの抵抗力につながると考えられている抗体が、思いのほか持続しないという研究結果であり衝撃を与えました。コロナウイルス科のウイルスが原因のひとつになる一般的な風邪とも共通するのではと指摘しています。

こうした「抗体」のもろさが明るみに出るなか、現在注目されているのが「T細胞」という別の形の免疫です。7月15日に発表された論文では、抗体消失の研究結果とは対照的に、長期にわたって維持されるT細胞にまつわる発見です。

研究報告をしたシンガポール科学技術研究庁のグループは、2003年に香港で流行したSARSも含め、コロナウイルスにおける免疫の実態を継続的に検証してきました。この研究グループは、2016年にSARS流行の11年後の時点で回復者の免疫を調べた研究結果を出しました。

そこでは抗体が早期に消えるのに「メモリーT細胞」が長持ちし、10年以上たっているのにSARSに反応できることを明らかにしています。

この7月に彼らが新たな研究で示したのは、新型コロナやSARSに感染したことのない人にも、新型コロナに反応可能なメモリーT細胞を持つことが多いという意外な結果でした。日本でも類縁ウイルスに感染した経験があると、別なウイルスにも抵抗力をもつ「交差免疫」が話題に上がっています。

風邪の原因になるコロナと新型コロナとの関係が指摘されています。この研究では新型コロナやSARSに感染して回復した人や、いずれの感染症にもかかっていない人を対象としています。

詳細は割愛しますが、ここでは未感染の人でも多くの人が新型コロナの持つタンパク質に反応することが分かりました。これはやはり交差免疫の一種で、風邪の原因となるウイルスだけではなく、動物が持つコロナウイルスが関与しているという結論を出しています。

私のような一般人にとっては、抗体であれT細胞であれ、新型コロナに罹らないもしくは感染しても軽く済む免疫があるということが重要であり、こういった研究がもっと進むことを期待しています。