前回までに有機合成実験として、A+B→C+(D)という反応をする準備として、反応容器と使用する溶媒、原料のモル比、反応温度などについて書き、無事原料のAがなくなるつまり反応終了までを書いてきました。
次はこの反応液の中から目的物であるCを取り出す工程となります。元も量の多い溶媒については、エバポレーターという機器を使うと簡単に減圧濃縮できますが、反応液から直接溶媒を除いてしまうと、CとDの濃度が高まり反応してAとBに戻ってしまう可能性が出ますので、必ず後処理を行います。
通常目的物のCは有機溶媒には溶けて水には溶けないもので、Dは水溶性または水で分解するようなものが多いため、反応液に水を加え分液ロートで有機層を取り出します。
この有機層の溶媒を飛ばすとごく稀ですがCが結晶化することがあります。これが最も簡単な精製で、この結晶を洗ったり再結晶することでCを得ることができます。ただ多くは固体であっても結晶化することは無く、精製操作を必要とします。
少量の場合は分取用HPLCを使うこともできますが、大部分はカラムクロマトグラフィーを使用します。これはカラムの中にシリカゲルや他の吸着剤を充填し、反応混合物を乗せ溶媒で流し出すというものです。
この時分離担体として何を選ぶか、溶出溶媒に何を使用するかなどは研究者の経験に基づいて決めますので、どのくらい実験をしたかの経験が重要となるわけです。通常フラクションコレクターという機器を使い、一定量ずつ自動で試験管に分注してくれます。
この操作に1日か2日かかりますが、目的物が入っているフラクションを集め濃縮するとやっとCを単離することができるわけです。しかし実験はこれで終わったわけではなく、この得られたCが目的物であることを確認する、いわゆる分析の仕事があるのです。
現在は非常に多種の機器分析器があり詳細は省略しますが、NMR(核磁気共鳴)、IR(赤外分光光度計)、MS(質量分析器)などを使用します。
通常研究所には分析研究室のようなものがあり、依頼すると測定してくれるのですが、有機化学者は自分で測定から解析までするのが一般的です。この分析機器をマスターし、出てきたデータを解析するというのが最も習得に時間がかかるものです。
この機器分析から得られたデータとCから予想されるデータが一致して初めて目的物を合成したといえるわけです。
有機合成実験について4回にわたって書いてきましたが、自分でも予想外に長くなってしまいました。やはりそれだけ色々やることが多く、そのマニュアルはありませんので、研究者の経験からの判断が最も重要になるという面白い分野と言えます。
そのため一人前の有機化学者になるには数年以上かかるといわれていますが、逆に歳をとっても良い実験ができるという技術者というよりは職人に近い分野と考えています。
次はこの反応液の中から目的物であるCを取り出す工程となります。元も量の多い溶媒については、エバポレーターという機器を使うと簡単に減圧濃縮できますが、反応液から直接溶媒を除いてしまうと、CとDの濃度が高まり反応してAとBに戻ってしまう可能性が出ますので、必ず後処理を行います。
通常目的物のCは有機溶媒には溶けて水には溶けないもので、Dは水溶性または水で分解するようなものが多いため、反応液に水を加え分液ロートで有機層を取り出します。
この有機層の溶媒を飛ばすとごく稀ですがCが結晶化することがあります。これが最も簡単な精製で、この結晶を洗ったり再結晶することでCを得ることができます。ただ多くは固体であっても結晶化することは無く、精製操作を必要とします。
少量の場合は分取用HPLCを使うこともできますが、大部分はカラムクロマトグラフィーを使用します。これはカラムの中にシリカゲルや他の吸着剤を充填し、反応混合物を乗せ溶媒で流し出すというものです。
この時分離担体として何を選ぶか、溶出溶媒に何を使用するかなどは研究者の経験に基づいて決めますので、どのくらい実験をしたかの経験が重要となるわけです。通常フラクションコレクターという機器を使い、一定量ずつ自動で試験管に分注してくれます。
この操作に1日か2日かかりますが、目的物が入っているフラクションを集め濃縮するとやっとCを単離することができるわけです。しかし実験はこれで終わったわけではなく、この得られたCが目的物であることを確認する、いわゆる分析の仕事があるのです。
現在は非常に多種の機器分析器があり詳細は省略しますが、NMR(核磁気共鳴)、IR(赤外分光光度計)、MS(質量分析器)などを使用します。
通常研究所には分析研究室のようなものがあり、依頼すると測定してくれるのですが、有機化学者は自分で測定から解析までするのが一般的です。この分析機器をマスターし、出てきたデータを解析するというのが最も習得に時間がかかるものです。
この機器分析から得られたデータとCから予想されるデータが一致して初めて目的物を合成したといえるわけです。
有機合成実験について4回にわたって書いてきましたが、自分でも予想外に長くなってしまいました。やはりそれだけ色々やることが多く、そのマニュアルはありませんので、研究者の経験からの判断が最も重要になるという面白い分野と言えます。
そのため一人前の有機化学者になるには数年以上かかるといわれていますが、逆に歳をとっても良い実験ができるという技術者というよりは職人に近い分野と考えています。