九州大学と九大発のベンチャー企業「KAIKO(カイコ)」は、新型コロナウイルスのワクチン候補となるタンパク質の開発に成功したと発表しました。
同大農学研究院が飼育しているカイコ約450種の中に、このタンパク質を大量に作れる種があることを発見しました。将来的にはカイコのまま食べるワクチンの開発も視野に入れているようです。
開発したのは、ウイルスの表面にあるスパイクのような形状の「Sタンパク質」の生産です。公開されているウイルス遺伝子情報を、昆虫に主に感染するウイルスに組み込み、カイコに注入すると体内にSタンパク質が生成しました。
カイコにタンパク質を作らせるメリットはかなり多く、まずカイコは大量飼育の実績があります。伝統的な養蚕業では大量のカイコを飼う手法が確立しており、飼育自身も比較的簡単とされています。
動物細胞培養のような特殊な装置も必要とせず、培地にあたるエサも自然の桑の葉だけで済んでしまいます。また現在は桑に代わる良い人工飼料も開発されているようです。
もうひとつが生産されたタンパク質の精製の問題です。動物細胞などで作らせると、非常に多種のタンパク質の中に目的とするタンパク質が含まれるため、膨大な手間をかけて分離精製する必要があります。このため抗体医薬などのタンパク質製剤は非常に高価なものとなってしまいます。
その点カイコに生産させ、特に繭を作る臓器に作らせれば、主成分は2種のタンパク質のみとなりますので、比較的簡単に精製できるわけです。九州大学は100年以上カイコを飼育し、医薬品の開発に活用してきました。
新型コロナウイルスは、Sタンパク質がヒトの細胞表面のタンパク質と結びついて感染するとされています。そこでこのSタンパク質を事前に摂取しておけば、免疫がその特徴を覚えた抗体ができ、本物のウイルスが入ってきたときにブロックできることになります。
今後はマウスを使って実験し、臨床試験を行う予定になっています。注射が主に想定される手法ですが、カイコをサナギの状態で食べることで腸から吸収されることも期待できるとしています。
私の感じでは、タンパク質を腸から吸収させるのは非常に問題が多く、消化分解をいかに防ぐとか大きな分子であるタンパク質を吸収させる工夫とか多くの課題が残りそうです。
研究チームは、大量に安く作ることを優先させている、どこの国でもすぐ使えるワクチンにしたいと述べています。まだまだ研究段階の技術のようですが、Sタンパク質がワクチンとしての性能を持っているのかも含め、今後の成果に期待できる面白い研究といえそうです。
同大農学研究院が飼育しているカイコ約450種の中に、このタンパク質を大量に作れる種があることを発見しました。将来的にはカイコのまま食べるワクチンの開発も視野に入れているようです。
開発したのは、ウイルスの表面にあるスパイクのような形状の「Sタンパク質」の生産です。公開されているウイルス遺伝子情報を、昆虫に主に感染するウイルスに組み込み、カイコに注入すると体内にSタンパク質が生成しました。
カイコにタンパク質を作らせるメリットはかなり多く、まずカイコは大量飼育の実績があります。伝統的な養蚕業では大量のカイコを飼う手法が確立しており、飼育自身も比較的簡単とされています。
動物細胞培養のような特殊な装置も必要とせず、培地にあたるエサも自然の桑の葉だけで済んでしまいます。また現在は桑に代わる良い人工飼料も開発されているようです。
もうひとつが生産されたタンパク質の精製の問題です。動物細胞などで作らせると、非常に多種のタンパク質の中に目的とするタンパク質が含まれるため、膨大な手間をかけて分離精製する必要があります。このため抗体医薬などのタンパク質製剤は非常に高価なものとなってしまいます。
その点カイコに生産させ、特に繭を作る臓器に作らせれば、主成分は2種のタンパク質のみとなりますので、比較的簡単に精製できるわけです。九州大学は100年以上カイコを飼育し、医薬品の開発に活用してきました。
新型コロナウイルスは、Sタンパク質がヒトの細胞表面のタンパク質と結びついて感染するとされています。そこでこのSタンパク質を事前に摂取しておけば、免疫がその特徴を覚えた抗体ができ、本物のウイルスが入ってきたときにブロックできることになります。
今後はマウスを使って実験し、臨床試験を行う予定になっています。注射が主に想定される手法ですが、カイコをサナギの状態で食べることで腸から吸収されることも期待できるとしています。
私の感じでは、タンパク質を腸から吸収させるのは非常に問題が多く、消化分解をいかに防ぐとか大きな分子であるタンパク質を吸収させる工夫とか多くの課題が残りそうです。
研究チームは、大量に安く作ることを優先させている、どこの国でもすぐ使えるワクチンにしたいと述べています。まだまだ研究段階の技術のようですが、Sタンパク質がワクチンとしての性能を持っているのかも含め、今後の成果に期待できる面白い研究といえそうです。