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血液検査でアルツハイマー病を早期発見

2020-01-08 10:20:58 | 健康・医療
少量の血液からアルツハイマー病の早期診断ができる可能性のある診断マーカーを発見したと、名古屋市立大学などの研究グループが発表しました。

脳内細胞から出るタンパク質に着目した技術で、健康診断などでの実用化を目指して本格的な臨床試験を進めるようです。

アルツハイマー病は認知症の半数以上を占める神経変性疾患で、決定的な治療法はまだありません。高齢の認知症患者は国内で500万人以上とされ、今後さらに増加するのは確実と見られています。

約40個のアミノ酸からなる「アミロイドβ(Aβ)」という物質が脳内に凝集・蓄積し、これが原因となって発症するとされています。

研究グループによると、発症の20年以上前からAβが脳内に凝集した老人班の形成が進み、発症時には脳内に老人班が広く存在することが明らかになっていますが、発症してしまうと治療効果は限定的になります。

このため発症前の早期診断が望まれており、アメリカ国立老化研究所などは「発症前アルツハイマー病」を提唱しています。国内でも陽電子放射断層撮影装置(PET)や、脳脊髄液を検査する方法などにより、Aβの蓄積状態を調べる試みがなされています。

しかし費用が高いことや患者の負担が大きいことなどの課題がありました。研究グループは、脳の細胞から分泌される「フロチリン」と呼ばれるタンパク質に着目しました。

健常者とアルツハイマー病患者、発症の前段階である軽度認知症の人、それぞれのグループの血液に含まれるフロチリン濃度を調べました。その結果アルツハイマー病患者のグループは健常者のグループよりフロチリン濃度が平均して顕著に低くなりました。

患者の認知機能障害のレベルは、フロチリン濃度と相関関係が見られました。PET検査によりAβの蓄積が確認された軽度認知症の人のフロチリン濃度も、患者ほどでないもののグループ平均で優位に低くなりました。

しかし軽度認知症でもAβの蓄積がない人は、ほとんど低下しておらず、これらの人はアルツハイマー型ではない認知症と見られるようです。

研究グループは、フロチリンは非常に少ない血液量でも検出可能で、フロチリンを目印にした診断マーカーにより、簡便、安全、安価なアルツハイマー病の早期診断が可能になるとしています。

ただ私は、アルツハイマー病の確実な治療法がない現状では、本当に早期発見すれば症状の進行が抑えられるのかは疑問のような気がします。今回の診断法は本当に素晴らしいとは思いますが、早期発見が「早期絶望」にならないように、アルツハイマー病の確実な治療薬の開発が望まれます。


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