ごっとさんのブログ

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危険すぎる高齢者のクスリ漬け

2024-11-12 10:34:16 | 
高齢者の多剤服用問題は、このブログでも以前取り上げましたが、改善するどころかひどくなっているようです。

私は肺気腫用の吸入薬と寝る前に抗神経薬を飲んでいますが、特に副作用風な問題は出ていません。歳をとるにつれて薬が増えるのは、病気の数が増えることがひとつの原因です。

ある男性は50代ぐらいから腰痛があり、整形外科に通って痛み止めの薬を飲んできました。60代になると検診で血圧が高い、コレステロールが高い、といわれ内科で処方された血圧を下げるクスリとコレステロールを下げるクスリを飲み始めました。

その後頻尿や尿意切迫といった症状が起こるようになり、過活動膀胱の治療を泌尿器科で受けています。薬の数を数えてみると、高血圧の薬が2種類、脂質異常症の薬が1種類、過活動膀胱の薬が3種類、腰痛の薬が1種類で合計7種類となります。

患者の中には薬さえ飲んでいれば安心と考える人がいて、数日休んでいれば治るような軽い風邪でも医者にかかり、薬を欲しがる人がいるのも確かです。75歳以上で薬を使っている人の4人に1人は、ひとつの薬局で7種類以上の薬を受け取っているという調査があるほどです。

高齢者の薬が増えてしまう背景には、臓器別診療の弊害があります。医者の多くは自分の専門分野の診療にはたけていますが、専門外の診療については素人なため、医師向けのマニュアルを参考にしながら薬を処方することになります。

高齢者に薬を処方するときには、様々なことを考慮する必要がありますがマニュアル本にはそういったことは考慮されておらず、高齢者も若い人と同じ処方となってしまうのです。

最悪なのは服用している薬の副作用を別の病気と誤認し、その治療のために新たなクスリを処方されてしまうことです。これは処方カスケードといわれ、「カスケード(連続する滝)」のように次々と薬が投与される状態です。

副作用がさらに薬の数を増やし、それがさらに重大な副作用を産むという悪循環の行きつく先は薬漬け地獄といえるのかもしれません。医療費が年々増えていた1990年代、長期の入院患者向けのいわゆる老人病院に定額医療制度が導入されました。

それまでは薬を出すほど病院は儲かっていたのですが、薬を出すほど損するシステムに変わったのです。その結果薬が3分の1に減らされたら、寝ていた人がテレビや読書を楽しむようになり、寝たきりだった人がベッドから出て歩き回るようになったという話しがあります。

これは笑い話では済まされない恐ろしい出来事ではないでしょうか。私もかなり薬好きですので、多剤服用にならないよう注意する必要がありそうです。


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