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昆虫食以外の昆虫の使い道

2021-05-01 10:27:28 | 自然
将来の食糧難の時代に備えて、昆虫を食料にするという試みは色々試されており、以前このブログでも紹介しました。

新たな昆虫の利用として、家畜の飼料や作物への肥料にするということがすでに実現しているようです。

フランスのインセクト(Ynsect)という企業が昆虫を飼育する農場を運営しています。この農場が飼育している昆虫は「ミールワーム」と呼ばれるゴミムシダマシの仲間の幼虫と成虫です。ミールワームはかなり以前から爬虫類などの生エサとして動物園やペットなどに用いられているようです。

ミールワームはこの農場で卵から完全な成虫になるまで育てられ、タンパク源として収穫されます。これが動物の飼料や植物の肥料として販売できるように、栄養豊富な粉末や油に加工されます。

世界各国で様々な種類の昆虫が過去何世紀にもわたり、人間の食べ物として重要な役割を果たしてきました。このインセクトという企業が期待するのは、昆虫を動植物の飼料にすることによって持続可能性の危機という巨大な問題の解決に一役買うことにあります。

世界資源研究所(WRI)は、人間が摂取するカロリーの必要量とその供給量を比較すると、今のままでは2050年までに70%の不足が起きると見込んでいます。増え続ける世界の人口の需要にこたえるために、食物の生産能力を早急に拡大する必要があるようです。

人間は栄養を動物と奪い合っており、家畜が世界中のタンパク質の20%を消費する一方で、人間によって水産資源や水、土壌などの資源が減り続けているとしています。そのため動物や植物の養分に利用できる代替タンパク質に注意を向ける必要があります。

この企業がフランスのブルゴーニュ地方に建てた施設は、世界初の垂直型昆虫養殖施設です。高さ17メートルあるこの農場は、年間1000トンの昆虫を生産しており、従来型の昆虫農場に比べて土地利用を98%、資源を50%削減できています。

主要な製品は2種類あり、養殖したミールワームの幼虫から作った粉末でペレットに加工できる「インミール」と多価不飽和脂肪酸を豊富に含む油「インオイル」です。どちらも養殖魚介類のエサとして最適になるように、特別に処理されています。

この企業は2020年6月に世界で初めて昆虫から作った植物用肥料の販売許可を取得しました。ブドウ園の肥料として昆虫タンパク質を使うと、従来の化学肥料と比較して成長が25%早くなることが分かりました。

投入量が少なくても結果が早く出るうえ、化学物質や化石燃料は一切使う必要がないとしています。昆虫を人間の食料にするにはやや抵抗がありますが、家畜の飼料や作物の肥料とするのは新しいタンパク質元として有効な気がします。


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