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自然界に存在しない細菌を作製

2016-04-16 10:44:15 | 自然
アメリカの研究チームが、ゲノム(遺伝情報)を人工的にデザインした、自然界には存在しない細菌の作製に成功しました。

人間の遺伝子数は約2万と言われていますが、最小の細菌で525であったものを、生命の維持や増殖に必要なものだけを残し、473まで減らしたものです。この細菌はマイコプラズマ・ミコイデスという種類で、901個の遺伝子を持っていました。この研究チームはこういった全遺伝子の機能解析を試みているようです。今回の473個の遺伝子でも、その機能がわかっているのは149個でしかないようです。

こういった研究には常に倫理的問題が絡んでくるようです。本当に人間の手で、新しい生命を作り出してもよいのかという問題は、私にも良くわかりません。ただあくまでも私の感触ですが、こういった遺伝子操作という分野は、昔から育種という主に植物の色々な種類を交配し、新しい品種を生み出すということは認められてきました。これはいわば自然の遺伝子組み換えを利用しているので、その延長と考えることもできます。

ただしある意味の怖さは、こういって生み出した生物が、どんな性質を持ってくるかがわからないところです。SFの話のように、非常に病原性の高い細菌となる可能性は0ではありません。これは私のように新しい薬を作る場合も、注意しないといけないところです。薬を目指して新しい化合物を作り出しているのですが、非常に毒性の強いようなものになる可能性もある訳です。

こういった遺伝子操作により新しい細菌を作り出すような研究は、生物の封じ込めがしっかりされた施設だと思いますが、若干の怖さを含んでいます。

この遺伝子の機能解析というのは、非常に難しいことがわかってきました。この研究者も飛行機を例に述べていますが、双発の飛行機の片側のエンジンを取りさっても、飛行機は何とか飛ぶことができます。しかしこのエンジンは飛行機に必須なものとなっています。これと同じようなことが遺伝子にも見つかり、相同遺伝子と呼んでいます。構造的にはかなり異なる遺伝子でも、その機能は同じという物があるようです。重要な働きをする遺伝子に多いようですので、生命のいわば防御機構かもしれません。

生命という物は、素晴らしい進歩をした今でも、大部分が疑問のまま残っています。こういった点で少なくとも生命に必要な最小の遺伝子がみつかり、その機能がわかれば秘密の入り口と言えるのかもしれません。特に遺伝子関係は、最近の進展は驚くほどのものとなっていますので、何とか生命の基本が説明されることを期待しています。

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