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老化による幹細胞のガン化機構を解明

2021-05-03 10:33:37 | 健康・医療
正常細胞がガン化するメカニズムについては、いろいろな要因や仮説が出ていますが、私は遺伝子複製時のコピーミスという説に賛同しています。

これは今騒がれているコロナウイルスの変異株ができるのと同じ機構ですが、あくまでも偶然であり防ぐことはできないと思っています。

老化に伴って腸の幹細胞が過剰に増殖し、ガン化する仕組みを理化学研究所などの研究グループが解明したという記事がサイエンスポータルに掲載されていました。

分化する能力を持つ幹細胞は、生物の身体の維持に重要な役割を果たしています。しかし無秩序に増殖するとガンが生じるため増殖は厳密に制御されています。中でも新陳代謝が激しい消化管は、幹細胞による組織の維持とガン化の研究対象として注目されています。

老化によって腸幹細胞は過剰に増殖しガン化しますが、その仕組みはよくわかっていませんでした。研究グループは、多細胞生物のモデルとして実験などに使われるショウジョウバエを調べました。

ショウジョウバエもヒトと同様に老化に伴って腸幹細胞が過剰に増殖し、ガン化して固体が死んでしまうことがあります。

野生型とホワイト遺伝子と呼ばれる遺伝子の機能がなくなった「ホワイト変異体」とで、若齢(羽化後1週)と老齢(羽化後1.5〜2か月)を比べると、野生型は老化により腸幹細胞が過剰に増殖したのに対し、ホワイト変異体では過増殖は見られませんでした。

また老化により野生型では腸幹細胞にビタミンの1種である「葉酸」の代謝物が蓄積しますが、ホワイト変異体では蓄積しないことが分かりました。葉酸代謝物はDNA合成を制御し、細胞の増殖に必要な物質とされています。

野生型では老化すると腸幹細胞でホワイト遺伝子の発現が増え、葉酸代謝物が腸幹細胞に蓄積していました。蓄積した葉酸代謝物がDNAの合成を促し、細胞の増殖やガン化を促すことも分かりました。

実験でホワイト遺伝子の発現や葉酸代謝物の蓄積を抑えると、腸幹細胞のガン化が抑えられ個体の寿命が延びました。DNAの合成を阻害する薬剤を投与すると、老化に伴う腸幹細胞のガン化が見られなくなりました。

一連の結果からショウジョウバエでは老化によって腸幹細胞でホワイト遺伝子が増え、葉酸代謝物が蓄積します。これがDNA合成を促進して過剰な細胞増殖を招き、ガン化に至ることを見出しました。

これはあくまでショウジョウバエでの結果ですが、ヒトでも葉酸代謝はガンに関わっており、これを阻害する抗ガン剤が広く使われています。こういった実験はなかなかヒトでは難しいようですが、こういった研究がヒトでのガン化の解明に役立ちそうな気はします。


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