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iPS細胞からの心筋球でサルの心機能改善

2024-05-06 10:37:49 | 健康・医療
iPS細胞については最近あまり見かけなくなっていますが、どうも最初の期待ほどではないような気がしています。

ひとつは小さな組織を作るにも数千万円という多額の費用が掛かる点です。iPS細胞研究に何でこんなコストが掛かるのかよく分かりませんが、これでは実用化など程遠いと言わざるを得ません。

信州大学や慶応大学のチームが、ヒトのiPS細胞から作った心臓の筋肉の細胞を、心筋梗塞を起こしたサルの心臓に移植して、心機能を回復させることに成功したと発表しました。

これまで移植後に起きる不整脈が課題でしたが、移植する細胞の純度を高めることで不整脈の頻度を格段に減らせたようです。心臓の表面の血管が詰まる心筋梗塞が起こると、心筋の細胞が数億個も失われ、心不全という心機能が低下した状態につながります。

心不全患者は高齢化とともに増え、2030年に130万人を超えるという推計もあります。チームはさまざまな細胞に変化できるiPS細胞から心筋細胞を作り、心臓に移植する治療法の開発を目指して研究していました。

2016年には、サルのiPS細胞からつくった心筋細胞を別のサルに移植し、心機能が改善したという成果を発表していました。しかし移植から数カ月間にわたって、心拍数が多くなる不整脈が出てしまうことが課題となっていました。

研究チームによると、心筋細胞には特徴の異なるいくつかのタイプがあり、移植に必要なのは「心室筋細胞」だけです。それ以外のタイプの細胞が含まれていたことが、不整脈の原因だと考えられるようです。

研究チームは、iPS細胞から心筋細胞を作るときの条件を改良して、必要なタイプの心筋細胞だけを作る手法を確立させ、「心筋球」と呼ぶ1千個ほどのかたまりにしました。

今回の研究では、心筋梗塞を起こした4匹のカニクイザルの心臓に6千万個の心筋細胞に相当する心筋球を移植しました。比較のため同様に心筋梗塞を起こした5匹のサルには移植をしませんでした。

移植から3か月後、移植を受けたグループのサルは移植前から心機能が10%ほど改善しました。一方移植を受けなかったグループでは心機能の改善はみられませんでした。移植を受けた4匹のうち2匹では不整脈が見られました。

ただごく短い期間に限られ、移植後14日以降には不整脈はみられませんでした。移植から3か月後、移植を受けたサルの心臓を解剖したところ、移植されたヒトiPS細胞由来の心筋細胞が、周囲の心筋細胞とつながっていることも確認できました。

研究チームは心筋球とすることで副作用の少ない移植法が確立できたとしています。


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