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「働き方改革」は何を目指しているのか その2

2023-03-05 10:32:14 | 時事
前回は終身雇用制度の終わりと学卒一括採用について私見を述べましたが、ここでは非正規雇用の格差問題について触れてみます。

実は私も早期退職(といっても59歳ですが)し、地元の企業研究所に派遣社員として就職しました。ただ私は特殊な専門職ですのでかなり待遇もよく、賃金も納得できるものでボーナスが無いという不満はありましたが、非正規雇用の格差という実感はありませんでした。

正社員に比べて非正規は平均年収などが低いことは確かですが、同一労働同一賃金で解決するほど単純な話ではないようです。この非正規雇用で働く人の中には、自由に働くことを希望し正社員という道を選ばなかった人が含まれています。

この人たちは給与などもさまざまでしょうが、それほど大きな不満があるとは思えません。むしろ現在の働き方を守ってやる人といえるでしょう。また「扶養控除」枠の壁以内で働きたいという層も多いのではないでしょうか。

ほとんどが主婦層ですがこの150万円以内で働くということが、非正規雇用の年収を下げる要因になっていることは確かです。残念ながらこういった人たちがどの程度いるのかは調べようがないのかもしれませんが、全く分かっていません。

ある調査によると、非正規社員で正社員への移動を希望している人が二十数%、すなわち4分の1というデータがあります。

このように本来正社員になりたかったのに、やむを得ず非正規になっている人が相当数いることは確かですが、こういう人たちに注目が行きがちのような気がします。

もうひとつ私が気になっているのが、昭和の欠点といわれる「年功序列」の賃金体系です。現在はこの制度はほぼなくなり、職能給が主流になりつつあるようです。すべての法律は日本国民が同じような能力であるという前提で作られており、法律の性格上やむを得ないことです。

しかし実際は千差万別であり、いくら頑張っても能力が出ないいわゆる弱者も存在しています。こういった弱者を救うような制度が必要であり、年功序列がうまく機能していました。

高度経済成長期に「1億総中流」という言葉が出てきたのは、年功序列があったからではないでしょうか。現在の職能給制度は、確実に格差を拡大してしまいます。

資本主義である以上ある程度の格差が生じることはやむを得ないのですが、弱者を救うような制度があってこその働き方改革ではないかと感じています。

昔の悪習として批判されていますが、終身雇用や年功序列にはそれなりのメリットもありますので、その良さを取り入れた働き方改革を望むのは、やはり年寄りのたわごとになるのかもしれません。


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