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「腎ガンの薬物療法」免疫チェックポイント阻害薬

2023-03-04 10:38:09 | 
私の大学の同級生が数年前腎ガンを発症し、片側の腎臓の摘出手術を受けました。

彼はすぐ残りの腎臓にも再発するから透析になるといっていましたが、幸い転移もなく元気に暮らしています。

日本で1年間に腎ガンと診断される人は2万1000〜2万2000人で、比較的早期に見つかり手術で摘出することが多いため、薬物療法の比重は軽くなっています。しかし進行ガンで見つかった患者や再発してしまった人にとって、薬物療法は重要であることに変わりありません。

最近になって腎ガンは免疫が関与していることが明らかになりました。そのため免疫チェックポイント阻害薬がブレークスルーとなってきており、泌尿器のガンで最も薬物療法が急速に進んでいるのが腎ガンといえるようです。

免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブが手術後の再発予防に高い有効性を示したことで、2022年秋に承認されました。

ペムブロリズマブによる術後補助療法の対象は、ガンの進行の程度を示すTMN分類でガンが腎臓の周囲の血管や組織に広がっているケース、リンパ節転移が認められたケース、数の少ない遠隔転移があったが切除できたケースなどです。

これまでは手術後は経過観察だけ行っていましたが、これからは該当する患者に対しては再発予防として免疫チェックポイント阻害薬を1年間使っていきます。腎ガンは従来の殺細胞性抗ガン薬の有効性が認められにくいガンのひとつといわれていました。

これまで国内外で数多くの臨床試験が行われてきましたが、いずれも失敗に終わっていました。期待された薬もありましたが副作用が強すぎたため、途中で投与をやめてしまう被験者が多かったことも、有効性を示すことが出来なかった理由と考えられています。

一方で腎ガンでは分子標的薬が有効であり、ステージⅣの転移・再発ガンで使用される分子標的薬は現在では7種類も存在しています。ただし効く薬には副作用があり、下痢や食欲不振、手足症候群などが代表的なものです。

効く薬の登場によってかつて行われていたサイトカイン療法は、今はほとんど実施されなくなったようです。また課題もあり、一番の問題はどんなガンのタイプにどの薬を使うかという事が明確ではない点が挙げられます。

現在では多くの薬が開発されてきましたが、薬剤ごとに効果を予測する因子が存在しないといわれています。

したがって専門医の経験などから選択するしか方法がありませんが、今後使用例が増えてくればガイドライン的なものも作成でき、薬物療法が難しかった腎ガンも適切な対処がされるようになるかもしれません。


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