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ここまで来た「iPS細胞」の驚きの進化

2023-07-25 10:33:46 | 健康・医療
「iPS細胞」の発見で山中先生がノーベル賞を受賞されてからすでに10年が経過しました。

このiPS細胞はどんな細胞にも変化できる万能細胞で、「再生医療」の分野が飛躍的に発展すると期待していました。ところが実際には小さな治験は行われているものの、再生医療らしさは全く出てきていません。

この辺りは、私もどんな細胞にもなり得るという事と、どんな臓器も作り出せるという事を混同していたのかもしれません。つまり心筋細胞は作り出すことはできても、複雑で精密な臓器である心臓を作るという事は全く異なる次元の話でした。

私はひとつの研究は10年が区切りだと思っており、ひとつの発見がされてから基礎研究が終了し、その後の展開が見えなければ、その後何年かけても進展しないと思っています。

そういったことからこのiPS細胞は実用化され広く使われるようにはならないと感じていました。最近タイトルのような記事が出ていましたが、まあこのブログでも取り上げたような内容ですが、iPS細胞研究のこの10年の進展という事で紹介します。

まず大阪大学での実験ですが、顕微鏡でしか見えないiPS細胞に特別なタンパク質など加えて約1か月培養すると、肉眼でも見える大きさの細胞シートとなり、3000万個ほどを集めると拍動していました。

この心筋シートを患者に移植するわけですが、免疫の拒絶反応の問題もあり、患者の型にあわせた物にする必要があり、当然大量培養はできません。この心筋シート作成にどのぐらい時間がかかるかは分かりませんが、おそらくかなりの長期間必要であり、コストも数千万円となるようです。

2020年世界初の移植に成功し、iPS細胞から作った心筋シートを弱った心臓に直接貼って、元気にする手術でした。これは大阪大学だけで3例の知見を積み重ねています。さらに大阪大学だけではなく、全国で治験を行うこととして、誰でも治療を受けられる段階に入ったとしています。

そこで大阪で作った心筋シートを九州大学病院まで運んで、虚血性心不全の患者への移植が行われました。生きた心筋シートを大阪から福岡に運ぶだけですので、それほど問題はないような気がしますが、実際はかなり大掛かりな移動となったようです。

実際に運んだ心筋シートが機能するかの検査などを経て、九州大学病院で無事移植手術に成功しました。今回使用した細胞は、拒絶反応を起こしにくい細胞で、現在適合するのは日本人の約4割といわれています。

以上のような経緯により、iPS細胞からの臓器細胞が広く使われるようになったとしていますが、非常に疑わしい気がします。実際拒絶反応のリスクが低い自分だけのiPS細胞を作るサービスも始まっているようですが、日本人のどこまでカバーできるのでしょうか。

結局10年経っても実用化できない技術は、特殊な高額治療法から出ることはないような気がします。


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