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寄生生物は共生の一種で保護が必要か

2022-01-12 09:18:44 | 自然
寄生生物というと宿主から一方的に養分を搾取しているだけではなく、共生的な関係や環境に重要な働きをしているという記事を見ました。

寄生生物を表すパラサイトという英語は、「並んで食べる」というギリシャ語からきているようですが、どうもあまり良いイメージはありません。

寄生という形態は、動物、植物、菌類、細菌そしてウイルスまで、あらゆる生き物に行きわたっています。寄生は2つの生物が密接に関係しながら生活をする「共生」の一種と言えます。宿主を必ず殺してしまう捕食寄生者を除き、多くの寄生者は宿主に大きな問題をもたらしません。

宿主を守る寄生者もおり、例えばある種のウイルスは細菌に寄生するとその菌を抗生物質の攻撃から守るといわれています。

世界にはどれくらいの種類の寄生生物がいるかは、はっきりしたことは分かっていないようです。一部の専門家は、寄生しない生物よりもはるかに種数は多く、寄生生物の大半はまだ発見されていないのではないかと考えています。

食物網や生態系のネットワークを作ってみると、種のつながりの半分以上が寄生生物で成り立っているという説もあり、生態系をまとめる接着剤の役割を果たしています。

寄生生物はただ宿主に寄生するだけではなく、宿主の生殖能力を低下させたり、免疫システムを乗っ取たり宿主自体を操ることすらあるようです。また寄生生物の中には、生態系に多大な影響を与えるものいます。

例えばヨーロッパ原産のイエローラトルは、周りの草から養分を奪う半寄生生物です。これは繁殖力の強いわゆる雑草に寄生しますので、もしイエローラトルが無ければ単なる草原となってしまいます。

ところがこれが寄生することによって雑草の生存力が弱まり、花を咲かせるような植物が育つようになり花畑ができてくるようです。この様にイエローラトルには、花粉を媒介する虫たちが活動する場所を作る役割もあり、その結果鳥類や両生類も集まってきます。

寄生生物は重要な役割を果たしているにもかかわらず、軽視されています。例えば寄生生物が保護プログラムの対象になることはありませんが、現在の気候変動で大きな脅威にさらされています。

急激な地球温暖化による影響は直接的で、過去には何度か大量絶滅の原因にもなっています。現在の絶滅危惧種にはほぼすべてに寄生生物がいて、同じ危機に瀕しているようです。

ただし寄生生物保護といっても、ヒトや家畜の寄生虫などは明らかに害をなすものであり、根絶させるべきものと言えます。このあたりが寄生生物の保護の難しさかもしれませんが、最近はこの保護活動に取り組むグループも出てきています。

どうも有害な寄生虫のイメージが残りますが、やはり残すべきものはしっかり保護する必要はありそうな気もします。


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