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乳ガン細胞を死滅させる治療法を発見

2021-08-30 10:29:05 | 
女性特有の病気である乳ガンは、世界的に増加していますが日本は欧米に比べて少ない傾向があります。

それでも近年は増加傾向があり2020年には9万2000人と予測され、女性がかかる最も多いガンになっているようです。こういった乳ガンの新しい治療法が、アメリカイリノイ大学の研究チームから発表されました。

研究チームがマウスに新規な化合物「ErSO」を投与したところ、乳ガン細胞および脳、肺、肝臓、骨などへ転移したガン細胞を含めて95〜100%が死滅しました。さらに大きな腫瘍も検出できないサイズにまで急速に縮小させることに成功したとしています。

乳ガン細胞の多くは女性ホルモンのエストロゲンの影響を受けて成長するため、現在の治療法のひとつであるホルモン療法では、患者の体内のエストロゲンの産出を抑制したり(LH-RHアゴニスト製剤)、エストロゲンとその受容体の結合を邪魔したりすることで(抗エストロゲン薬)、乳ガン細胞の増殖を抑える手法をとっています。

しかしエストロゲンが無くなっても乳ガン細胞はさまざまな変異を起こすため、治療が非常に難しくなっているようです。

今回の研究で使用した化合物ErSOはエストロゲン受容体と結合することで、ガン細胞を急速に成長させようとして、同時にストレスからガン細胞を保護するa-UPR経路も反応させます。

このa-UPR経路を過剰に活性化させることで、ガン細胞を効率よく死滅させるという新しいアプローチをとっています。このErSOがどんな化合物なのかを調べてみましたが、まだ情報が少ないようで見つけることはできませんでした。

上記文章からするとErSOは通常の抗エストロゲン薬のような拮抗剤ではなく、作用薬のような書き方になっています。つまりエストロゲンを抑えるのではなく、受容体を活性化することでストレスを与えて死滅させるというのは、今までのホルモン療法には無い概念かもしれません。

ErSOの投与後少量のガン細胞が生き残り、数カ月かけて腫瘍が再生したとしても、ErSOの再投与で効果を上げることができるとしています。

研究チームはErSOが攻撃的な乳ガンの進行を食い止め、さらに乳ガン細胞を破壊する新たな研究の糸口となり、転移にも対抗できる新しい抗ガン剤を開発できる可能性があると期待しています。

今後エストロゲン受容体のガンに対する人での臨床試験を、製薬大手のバイエル社と進めているようです。

まだ動物実験での基礎的な研究成果ですが、ヒトでの臨床試験がどのように進むかまだ難しいような気もしますが、新しい概念での抗ガン剤ですので、良い結果が出ることを期待しています。


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