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疫学調査に関する私の偏見

2021-08-29 10:29:27 | その他
いろいろな病気について非常に多くの人を対象とした疫学調査が報告されていますが、私はこういった物にある偏見を持っています。

偏見というより、私なりの解釈をしているといった方がよいのかもしれません。こういった調査はしっかりした組織でないとできませんので、結果として出てきた数値を疑るわけではありません。

最近出た結果を例に出しますが、これは愛知県がんセンターが16万人を対象に14年間かけて行った、乳ガンと飲酒との疫学調査です。簡単に結果を引用します。約16万人を平均14年間かけて調査した結果、2208人が乳ガンに罹患しました。

このうち閉経前が235人、1934人が閉経後になっています。閉経前の女性於いては、飲酒頻度が高くなるほど乳ガンの罹患率が上がるということで、そのリスクは全く飲まない人に比べ、週5日飲む人で1.37倍でした。

また飲酒量についても、1日に23グラム(日本酒で1合程度)以上飲む人の罹患リスクは、全く飲まない人に比べ1.74倍という数値が出ています。

ただし閉経後における乳ガンと飲酒の関係を同じ条件で見てみると、週5日以上飲む人で1.11倍、1日23グラム以上飲む人で1.18倍と目立った上昇がなく、統計学的に有意な関係は認められなかったようです。

この理由として、乳ガンが女性ホルモンであるエストロゲンによって増殖が促進され、酒を飲むとエストロゲンが増加するという研究結果があるそうです。

この結果を見て、閉経前はあまり酒を飲まない方良いと感じるかどうかです。これを具体的な数値に直すと、閉経前の乳ガン患者数があまりにも少ないのですが、16万人中235人というと0.147%となります。

これでもピンと来ませんが、1000人中1.5人つまり2000人中3人となります。このリスクが1.74倍になると、0.255%となり2000人中5人が乳ガンになるという計算になります。この数値を見て、酒を飲むと乳がんのリスクが上がる感じるでしょうか。

2000人中1990人以上は乳ガンにならず、酒を飲まなくても3人ぐらいが乳ガンになり、酒を飲むとそれが5人に増えるという計算です。私はこの数値からあまり酒を飲まにようにしようという結論にはなりません。

例えば酒を飲む人が辛いものの好きな人が多いとして、辛いものの好きな人と嫌いな人という分類で調査するとそれなりの相関関係が出るかもしれません。

こういったコホート研究では、実施者が何に注目するかが重要ですが、16万人もが対象となると、それほど多項目の情報を取るのは難しいのかもしれません。

私はこういった疫学調査が不要とは思いませんが、何かのリスクが多少上がったという程度の相関では、ほとんど意味が無いものと捉えています。


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