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「正社員」は特殊な身分か 続

2019-08-31 09:42:59 | 時事
前回「正社員」というのは日本独自で、長期雇用と年功賃金という制度に守られた特殊な身分ではないかという事を紹介しました。

ただしこの組織モデルは大企業にしか実現できなかった、つまり多くの中小企業では難しい制度のようです。とはいっても中小企業を含む多くの企業が正社員をかかえ、このシステムを維持してきたのは確かと言えます。

一つのビジネスモデルは、10~15年しか持たないようです。ある企業が何十年と存続しようとするなら、時代の変化に呼応して業種を変えざるを得ないことが多くなります。繊維産業が傾いた後、紡績会社だったのが化粧品会社になった企業もあります。

大企業だと一つの部門が沈滞してくると、その部門を縮小しそこにいた社員を配置転換して移動させます。日本では社員の専門性を重視しないので、そうした対応ができるわけです。

これが欧米の企業だと、職種ごとに人を雇っているので配置転換ができません。そのため一つの部門がダメになったら、その部門の従業員を解雇するしかなく、失業が問題になりやすいわけです。

つまり日本の大企業が長期雇用できたのは、配置転換ができたからで、日本の企業は失業問題が少なく、業種にこだわらず様々な分野に進出する非常にフレキシブルな組織だと、1980年代には言われていました。

日本型雇用は、高度成長期に製造業中心でやっていくには適していましたが、その強みは90年代以後のグローバル化と情報化によって失われました。

国内での製造にこだわる必要がなくなってくると、一般工員の長期雇用による技能蓄積が意味を持たなくなってきました。つまり国際分業が簡単になると、欧米のシステムの方が有利になってきたわけです。

日本では専門的能力や資格を要求してこなかったことも、海外との国際競争をしていく上では不利に働いています。この1990年代から、特殊な身分としての正社員はもう持続しないといわれながら、その後20年間持たせてきました。

このシステムの年功序列で上にあがった人々が、変えたくなかったためとしています。非正規雇用を増やして賃金コストを削ることはやっても、基本的には変わりませんでした。

統計的には、非正規雇用は増えているけれど、正社員は1980年代から減っていないという数字が出ています。

この筆者は正社員制度がすぐ消滅するだろうという論調ですが、私は日本人の勤勉さや対応力をうまく利用して今後も続いていくのではないかと思っています。現在は正社員が消えていく過程ではなく、新しい正社員制度へ転換する時期と考えています。


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