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「左利き」の遺伝領域を解明

2019-11-13 10:25:49 | 自然
イギリスのオックスフォード大学の研究により、人のゲノムには左利きと関連している遺伝領域があることが判明しました。

これらの遺伝領域は脳の形成に関係しており、特に言語をつかさどる脳の部分同士をつなぐ「白質路」に違いが出ることが分かったようです。

私は普通に右利きですので、不便を感じることもありませんが、なぜ利き手ができるのかは疑問に思っていました。この左利きの生物学的な意義は深く、人間と動物を区別する特徴の一つのようです。

動物の場合はほとんどが右・左利きとほぼ半々なのに対して、人間だけは左利きが約1割しかいないという事になっています。先史時代の壁画の分析結果からも、人間は少なくとも過去1万年の間はずっと90%右利き、10%左利きだったといわれています。

この様に極端に少ないため、少し前までは日本でも家庭や学校で左利きをむりやり右利きに矯正することが多かったようですし、普通と思っているものが右利き用にできていたりします。

左利きについてはこの研究以前にも遺伝子の影響がからんでいることが分かっていました。オックスフォード大学によれば、以前行われた双子の研究から、効き手を決める要因の25%は遺伝子に由来しているようです。

ただどの遺伝子が関係しているかはこれまで特定できていませんでした。今回の研究では、UKバイオバンクから約400,000人分(うち左利き38,332人)のゲノムを分析して、4つの遺伝領域を特定することに成功しました。

そのうちの3つは脳の発達と構造に影響するタンパク質と関わっていることも分かりました。これらのタンパク質は、細胞の形や働きを定める細胞骨格に関係していました。

さらに約9,000人分の脳画像を調べ、左利きに関係している4つの遺伝領域は脳の構造に影響していることが分かり、言語をつかさどる領域をつなぐ白質路の発達に違いが見られたそうです。

また左利きの人の脳では、右脳と左脳にある言語領域がよりスムーズに情報を伝達する傾向が見られたそうです。左利きに関係している4つの遺伝領域は、非常に僅かながらパーキンソン病にかかる確率が低くなるものの、わずかに統合失調症にかかるリスクが高くなる関連性も見つかっています。

利き手を決めるのは遺伝的な要素だけではないので、人間が左利きになるプロセスはもっと複雑で、多くの要素がからんでいるようです。

この報告ではなぜ利き手が存在するのかや、人間だけが右利きが多いといった理由は全く分かりませんが、遺伝子によって右か左かが決まるといった単純なことでは無いことは確かなようです。


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