ごっとさんのブログ

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「ゲノム医療」は本当に可能なのか

2020-11-20 10:24:05 | 健康・医療
厚生労働省の「ガン全ゲノム解析等連絡調整会議」という会議が9月に開催されました。

この結果はよくわかりませんが、「ゲノム医療」の見直しに関するもののようです。ガン患者の遺伝情報を解析し、それに適した薬を選択するというプロジェクトは、昨年大々的に開始されました。

ガンと難病の患者を対象に、全ての遺伝情報(ゲノム)を網羅的に調べる全ゲノム解析実行計画が公表されました。3年程度で最大10万人超の患者を目標に解析を進め、データベースを構築するといったものでした。

私はこれに大いに期待をしていました。ガンというものが遺伝子変異によって起きる物であり、肺ガンといってもAさんの肺ガンとBさんの肺ガンでは異なった変異が起きている可能性が高く、同じ治療では治らないのではと感じていました。

このプロジェクトでは、Aさんの肺ガンはaという変異があり、それにはある抗ガン剤が適しているということになれば、個々のガンに適した治療法が見つかることを期待していました。

ただ問題は変異に適した抗ガン剤というものが存在しているのかがあまりはっきりしていませんでした。ただ最近は分子標的薬といわれるような薬剤も登場しており、こういった解析が進めば治療薬の分類も進むことが期待できるような感じもしていました。

ただこの時期には多くのメディアが大々的に報道し、「遺伝子を検査することで、その患者に最適な薬を見つけ出すことができるもので、夢のオーダーメイド医療と呼ばれている」といった過大な期待を抱かせるものでした。

私はガンのゲノム解析ができたとしても、それに適した治療薬に結びつけるには高い壁が存在しており、かなり長い年月が必要と思っていました。ところがまだそれほど時間がたっていないのにもかかわらず、全ゲノム解析のブームは立ち消えそうになっているという話を聞きました。

ひとつには分子標的薬の代表のようなイレッサやグリベックの副作用問題があったようです。多くの抗ガン剤は強い「細胞毒性」を持っており、主に細胞分裂の激しい細胞を殺すという作用ですので、かなり苦しい副作用を持っています。

ところが分子標的薬はガン細胞のある特定な分子に結合し、その分子を持っている細胞を殺すという、選択的な抗ガン剤と思われていました。

このメカニズムにより「夢の抗ガン剤」的な扱いを受けていたのですが、多くの分子標的薬が予想していたほどの効果がなく、重篤な副作用が出てしまうことが分かりました。その代表が小細胞肺ガン治療薬のイレッサで、多くの死亡例が出てしまったのです。

こういった分子標的薬の問題で「ゲノム医療」が下火になったというのはやや怪しい気もしますが、ガンのゲノム解析は勧めるべきと考えています。科学の進歩には長年の積み重ねが必要ですので、状況によらずデータベース構築を進めてほしいと思っています。


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2020-11-28 23:17:10
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76509

この記事は、現代ビジネスから盗用した記事です。
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