内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

生きていくために必要なイリュージョン

2024-07-20 23:59:59 | 雑感

 今日の午後は札幌日仏協会でのトークイベントで話しました。大学及び学術機関での講演は過去にいくつか経験がありましたが、今回はそれとは異なった参加者の方々を前にしての話になるので、事前の打ち合わせの段階で、何を話したらよいのか、この企画を提案してくださった北大のM先生とも相談してテーマを決めました。「フランスの若者たちの日本〈幻想〉? 一ポップカルチャーの鏡の中で」というタイトルで話しました。
 実際の中身は、私が大学の教育現場で接している学生たちがなぜ日本に対して過度に美化された幻想を抱くのか、という問いに対する、私自身の一つの仮説的な答えを提示することでした。
 詳細には立ち入らずに簡略にその要旨を述べるならば、中等教育における日本語教育のマージナルな位置づけと大学入学制度の「平等性」とが日本幻想の母胎である、ということです。これだけではなんのことかよくわからないかも知れません。でも、今日は詳細には立ち入りません。
 フランス文化を愛してやまない方々が集う協会が企画した集会で、参加費を払ってまで聴きに来てくださった二十人ほどの方々が、このような「偶像破壊」的な私の話をどう受け止めてくださったのか、正直、よくわかりません。
 質疑応答では貴重なご質問をいくつかいただき、それには誠意をもって答えたつもりです。でも、「期待外れ」というのが大方の実のところの印象だったのではないかと感じました。実際そのとおりであるとすれば、聴きに来てくださった方たちに「ゴメンナサイ」と言うほかはありません。
 それはそれとして、このような機会をいただけたことを、そのために尽力してくださったすべての方に衷心より感謝申し上げます。