こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

秋の100曲:David Sylvian「Secrets of the Beehive」’87

2023-09-24 23:00:00 | 音楽帳

猛暑は9月も続くよ、と天気予報は言っていたが、見通しの中で20日あたりを境に30℃を切る見込み、とも言っていた。そして、見事なもので(1日ずれたにしろ)21日には30℃を切り、今朝は突然22℃という表示に驚き目覚めた。秋のおとずれを感じた。長いことエアコン漬けで閉ざしていた遮光スクリーンを上げ、窓を開けて風を室内に取り込む。すると室内は秋のたたずまいでいっぱいになった。昨日は秋分の日。暦というのはすごいものだと思う。

秋の100曲なんて言いながら、ただ単に日々脳裏に想い浮かんでは→聴く、ということについて、つらつらと記すだけの個人的備忘録。いきあたりばったり、と言う言い訳によって、いつ始めてもやめてもよいようになっている。

デヴィッド・シルヴィアンは中学生時代から憧れの恋人のような存在だったけれども、なぜ脳が選んだアルバムが「Secrets of the Beehive」なのか?自分でもそう思うが、それはアルバム冒頭の「September(9月)」が脳に焼き付いているゆえである。それはここ十数年変わっていない。秋の空気に触れて、高い空や葉や陽光のかげりを「視る」とき、同時に「September」が脳裏で鳴り出す装置が体内にセットされているようだ。

***

まるで秋冬物の着るものに袖を通すように、季節の合間眠っていたアルバム「シークレッツ・オブ・ザ・ビーハイヴ」を取り出す日をむかえる。そして、CDを何回も流して過ごす。
しかし、だからと言って、彼の80年代のソロアルバムの中で「シークレッツ・・」が一番好きなわけではない。(フルアルバムで)一番好きなアルバムとしてこの3枚目を挙げる人がいるが、それが自分には意外だった。自分個人はどうしても1、2枚目への想い入れが大きい。正確に言えば1>2>3といった具合。でも曲「September」ゆえに、秋には3枚目を真っ先に手に取ってしまう。
驚くべき1984年の1作目、土屋昌巳やフリップらを加えた「錬金術」、それを経た、延長線上の2作目(1986年)。その後、たった翌年の1987年に3枚目は出ているが、1、2枚目とは大きく異なる作風に感じられる。この3枚目を出して80年代が終わる。その後十年以上ソロアルバムについては長い沈黙が続いた。

この3枚目にはホルガー・シューカイもジョン・ハッセルも、また当然ロバート・フリップもいない。だが、長い理解者であり仲間であるスティーヴ・ジャンセン、教授(坂本龍一)はいつも通り彼の横に共にいて、強力なアシストを行っている。スティーヴ・ジャンセンは長年一緒にバンドを経て歩いてきた弟だが、一方、作品を創り出すために常に寄り添ってきた伴侶は教授たった一人だろう。そこには言葉の壁を越えた2人だけの繋がりがあった。


■David Sylvian「Orpheus」1987■
D. Sylvian : acoustic guitar, synths., vocal
R. Sakamoto: piano, synths
P. Palmer: slide guitar
M. Isham : flugelhorn
D. Thompson: double bass
S. Jansen: drums
Orchestral arrangement: B. Gascoigne


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