こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

1月30日 火曜日 再び、南千住。

2007-01-31 00:46:58 | 写真日和


今日も、つくばに行ったので、帰り道、TXから地下鉄日比谷線に乗り換える間に、首切地蔵を見に寄った。

三ノ輪を出て四半世紀、やはりいまだにこの南千住・三ノ輪界隈に来ると、自分の底から妙な落ち着きを感じる。

しばし、お地蔵さんの写真を撮り、たたずみ、日が暮れるときを味わった。
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想い出かたちんば : カーラ・ボノフ「涙に染めて/誰かわたしの側に」'79

2007-01-30 22:53:44 | 想い出かたちんば


キタナイ画像の解毒剤として、カーラ・ボノフのシングル盤、名曲「涙に染めて」。

シングル盤の渦をごそごそとあさっていて、今夜、取り出したのがこの1枚。
懐かしい。
このうつむき加減の写真が大好きだった。
1979年、当時、かたちんば13歳、中学1年生だった。

FM東京で毎週土曜日の午後、「ポップス・ベスト10」という番組をやっていて、洋楽初心者の私は、毎週聴いていた。

この曲もよく聴いた。
この79年辺りは、70年代のアメリカの良質なポップスが終わりに近づいていた時期だった。
イーグルスがラスト・アルバム「ロング・ラン」で「僕らは、しょせん、サッド・カフェに集まったさみしい群れだった」と最後の曲で言い、イーグルスを終えた頃だった。



一方で、クリストファー・クロスが登場したりと、まだアメリカン・ポップスにも勢いはあったが、それも、もう間もなく終わりを向かえていた。
アメリカは、こういった内向的な孤独の表現から、アッパラパーな脳天気なヒット曲に移ろってゆくことになった・・。

***

正式なタイトルは「TroubleAgain」だが、「涙に染めて」という邦題の方が自分にはしっくりくる。
この曲の入ったアルバムも「ささやく夜」という美しい邦題がついている。
当時、中学1年生には、このカーラ・ボノフのジャケットは、「きれいな憂いを帯びた大人のおねいさん」というイメージだった。きれいな脚が少し出ているのに、ほんのり色気を感じた。

しかし、このシングル盤のジャケットのせりふが凄いね。
「乾いた街を離れた一人の女の香り、妖しく乱れ」

***

B面は、デビューアルバムに入っている「Someone To Lay Down Beside Me(邦題:誰かわたしの側に)」。
「誰か私の側に居て」というのが伝わるような、寂しい名曲である。

今でも、神保町あたりのレコード屋さんにいけば、このシングルは、手に入ると思います。聴いたことがないなら、是非、オススメです。
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【かたちんばニュース】「産めない機械」代表=辻本清美の代表質問。

2007-01-30 22:38:34 | 雑記帳
柳沢伯夫厚生労働大臣が、集会で「機械と言ってごめんなさいね」などの言葉を入れつつ、「15~50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭でがんばってもらうしかない」などと口がすべっちゃったことを巡って、国会はてんやわんや。



「女性は産む機械」とは言ってはいないのだが、まあそう受け取られても仕方あるまい。

しかし、大笑いしてしまったのが、それを追求する辻本清美【写真】。
志田未来ちゃんの、穏やかな美しい表情の写真の次に見るには、かなりキツイ絵・キタナイ写真である。

「私は、女性を代表して、言わせていただきます」だって(・・・ぷっぷぷ)。
「誰も、産めない機械のあなたには、頼んでません。」
誰か女性から、優しくそう言ってあげる人はいないのだろうか。。。。

自分もかつては居たから、関西にも関西人にも愛着はあるが、こういうバカな女を国会に送り込んでしまう関西人の側面は、いまだ好きになれない。
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1月29日 月曜日 映画「椿山課長の7日間」の志田未来ちゃん

2007-01-29 23:34:33 | 雑記帳


昨夜、珍しく、映画を見た。
「椿山課長の7日間」というもの。浅田次郎さんの原作の映画化。

元々、難解な面倒臭い映画の嫌いなかたちんばは、日本映画の分かりやすさが大好きだ。小さい頃は、森繁・フランキー堺の「駅前」シリーズが大好きだったし、寅さんも大好き。

とはいえ、高校生の頃、自分は映画というメディアを敵視していた。2時間なり3時間なりを拘束させられなければ理解出来ないメディアなど、極めて次元の低いメディアであり、音楽の持つ、数秒で、感覚として伝えることが出来る優れたメディアの足元にも及ばない、そう考えていた。
そういう感触はいまだに残っていて、よほど興味が無い限り映画は見ない。

一箇所にいて、じっとしていなければならないものというのが、どうも苦手だ。
但し、面白いとわかったもの、その映画の中に、自分の居場所を見つけたと判断したものについては、腰をすえる。

***

ファンの伊東美咲さんが出ていることから見出したこの映画、とても面白かった。
和久井映見・渡辺典子と、かつてファンだった女性が、多少は年をとったものの、まだ「見られる」姿で出てきていたのも好印象だったが、驚いたのは、志田未来ちゃん。

我輩は、ドラマなど連続で見られる時間にも帰れないし、見る気力もないかたちんばなので、「14歳の母」というドラマも見れなかったが、このドラマの主役でもあったという志田未来ちゃん。

まだ、13歳というのに、既に、この人独自の雰囲気と、スタイルを持っている。
何ら汚れない純粋さに目の覚める想いがした。
実に日本的な、いずれ大女優にでもなるかのような印象。「子役」というコトバは余り使いたくない。

自分はロリコンではないが、微妙な表情の変化が美しく可愛い。

三島由紀夫大先生の「春の雪」の映画にも出ているそうなので、それも見てみたい。まさに、三島の世界には、合うだろうな。
自分にとっては、実に今後が楽しみな役者さんの登場です。
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1月27日 土曜日 日常のメモ BrianEno・Satie・夕暮れ

2007-01-27 16:48:48 | 音楽帳
1月に入って、すっかり仕事の渦に巻き込まれている。
この騒動は、会社の売上げが悪い限りにおいて、3月末まで晴れることはなかろう。
3月末に向かって流れ込んでいるのだ。

1週間ぶりに、しっかり惰眠をむさぼる。
タモリ倶楽部と太田くんの検索チャンを見て、1:30に寝たが、起きると、午後の14:10.
11時間半寝たことになる。

***

お茶を飲み、NHK教育テレビの料理番組で、平野レミが、注射・クスリを打っているとしか思えないヴォルテージの高い様で、料理を作っているのを見ながら、白菜を入れた雑炊を食べる。

ブライアン・イーノの「14 Video Paintings」をかけて、マッサージ機でマッサージをしながら、コーヒーを飲む。



「私はテレビを、物語を伝えるメディアとしてではなく、視覚メディアとしてとらえています。絵画が絵の具を構成する方法であるのと同じように、私にとってヴィデオとは光を構成する1つの手段なのです。
我々が目にするのは、様々な形の単純な光のパターンです。
アーティストにとって、ヴィデオは人類が発明した最高の光器官でしょう。」
(ブライアン・イーノ)



都市の描き出す空は、ビル群の輪郭と、その上の余白。



こないだ買ったマッサージ機。

***

先週、ふらりと入った御茶ノ水のクラシック館、420円の処分レコードの中に発見したエリック・サティのLP。
「パレード」「ジムノペディ」が入っている。



サティを聴きながら、時間は進んでいく。
この西尾久の街は静かだ。
平日も静かだが、だからといって、土日は人のざわめきがあるかといえば、それも無い。人々はひっそりと暮らしている。
おおむね、下町というのは、そういうものだ。



もう4時半も過ぎると、日は暮れ始める。
美しい夕暮れが沈む。
また、なんということなく土曜が暮れていく。
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1月24日 水曜日 テレビのいまさらの陳腐化

2007-01-24 20:56:50 | 雑記帳
【ニュース】番組ねつ造 視聴者からの苦情止まらず 9200件超える

 関西テレビ(大阪市北区)制作のテレビ番組「発掘!あるある大事典2」で、データやコメントがねつ造されていた問題で、同テレビは千草宗一郎社長の減俸などの処分と番組打ち切りを発表したが、視聴者からの抗議や苦情、問い合わせが止まらない。同テレビとキー局のフジテレビ(東京都港区)など系列各社に届いた声はこれまでに計9200件を超え、23日の処分発表後は「処分が甘い」の声も寄せられ始めている。
 NHKと民放が設立した第三者機関、放送倫理・番組向上機構(BPO)にも、視聴者から抗議のメールが寄せられている。「信用できなくなった」などの内容で、24日までに約50件にのぼった。BPOは「(今回の問題に限らず)総務省から厳重注意を受ける番組が最近、複数あった。早急に対応を検討する」としている。

***



テレビがとうに、80年代におわっっている、とはこないだ書いたが、やっとそれが、一般人にも認識として浸透してきているんだろうか。10数年遅れて。

今更言うまでもなく、ネットの世界が一般化して、やっと夢見心地のテレビという催眠に拮抗するメディアが一般化したことで、やっと化けの皮がはがれつつあるのだろう。新聞とてそうで、誰もテレビや新聞などの描く世界が、そのまま事実だとは思わなくなってきたし、情報操作にも気づきやすくなってきた。

しかし、今はまだ、こういうテレビを信じる奥様方々がまだ居るから「裏切られた」という意見や騒ぎも起きようものだが<騒ぎが好きで騒いでいるクレーマーも多いが>、もうすぐ、こういうことでも、誰も騒がなくなる、誰も地上波のテレビを見なくなる、「大」新聞も読まなくなる、そういう時代が来たときが、本格的なテレビ・新聞の死滅、ということか・・。

写真は、「書を捨てよ町へ出よう」の寺山修司先生。
一般人が、テレビも新聞も捨てて、町に出るのは、暴動のようで怖いが、そういう「Mass」のメディアが1つずつ消えていくのは、要は、万人万様の不安定な社会へと繋がっていくことでもある。
それは、90年代からずっと進行しては来ているが、この後はどうなるんだろうか。
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南千住・三ノ輪界隈 (昨夜の続き) : 回向院と解体新書~浄閑寺

2007-01-24 13:46:25 | 写真日和
昨日、載せた「回向院」は、明和8年(1771)蘭学者杉田玄白らが、解剖に立ち合ったという場所。
要は、小塚原で死刑に処せられた後の死体を元に、解剖をしたということ。
これが、「解体新書」の元となる資料としてなったのである。



***

ここから少し歩くと、私の生まれ育った三ノ輪がある。

そこには、「浄閑寺」、通称「投げ込み寺」がある。
ここは、吉原の遊女が、死ぬとここに葬られたことから「投げ込み」という表現になったという。
中には、それらの遊女たちを祭る「吉原総霊塔」がある。



「墨東綺譚」の永井荷風は、度々、この遊女たちを哀れんで、その供養に、この浄閑寺に来ていた。それを記念して、荷風のためのモニュメントもここにある。
ちなみに、荷風のお墓自体は、ここには無い。

小さい頃、よくわがまま・ダダをこねた幼少時の自分に、よく親は「そういうダダこねると、投げ込み寺に、捨てにいくよ!」そういった。
100mも無い先にあるこの寺は、それゆえ、小さい頃は、自分にとってとても怖いお寺であった。

***

浄閑寺の斜め前の下駄屋さん(もう無いが)が、写真家 荒木経惟さん(アラーキー)の実家、そして、その数件先が、私の家だった。

アラーキーのお父さんと、私のおじいちゃん、久良吉(くらきち)さんは、盆栽仲間であったという。
アラーキーのお父さんも写真が好きで、よく写真を撮っていたという。
だから、昭和41年、私が生まれる数ヶ月前に、急死した久良吉おじいちゃんのお葬式は、アラーキーのお父さんに、写真撮影をしてもらったという。

そのことは、昔からよく聞いていたが、その写真自体は見たことが無い。
どこかにあるそうだが、そのありかを、実家に行った際に、再び親に聞いてみようと思う。
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1月23日 火曜日 写真日和 : 南千住を歩く。

2007-01-23 22:46:38 | 写真日和
今日も、茅場町の仕事場から、11:00ごろ外出。
つくばに向かう。

TXに乗り換えるために、南千住で降りる。

今日も、密かに通う中華屋「みとや」で昼食を独り摂る事にする。
誰もほとんどいない、11:30ごろの、南千住仲通り・・。



何にするか迷ったが、ためしに、今日は、600円の五目そばにした。



まさに「五目」。
色とりどりの野菜やら、かまぼこやら、たまごやら・・・
下町ながら、ちゃんと、モノを作っている礼儀正しいお店。

好い加減なカンバンや広告で誤魔化しているまずい食べ物屋しかないこの世。
人をだますことしか考えていない商売人だけのこの世。

その中でも、ひっそりと、こういう、お店があることがうれしい。
人のぬくもりが感じられる。

***

お店を出ると、昼頃だった。
天気は良く、青空だったので、仕事中というのに、カメラを取り出し、写真をとりながら、久々に「回向院」に行くことにする。



ここには、私が生まれる3年前の昭和38年に、身代金誘拐事件で殺された吉展ちゃんのための、お地蔵さんがある。
私は、三ノ輪生まれ<すぐそば>なので、幼い頃、この事件は記憶の深いところにある。



そして、この「回向院」のとなりには、「延命寺」。
ここには、このような大きな仏像がある。通称「首切り地蔵」。

私の生まれ育ったこの三ノ輪・南千住界隈には、小さい頃から、死の匂いが地面に埋まっている感じがしていた。
その直感は正しく、この南千住の駅の横は、かつて江戸時代、小塚原と呼ばれた処刑場だった。

未だ、この土地、南千住は、地下工事をするたびに、頭蓋骨がごろごろ出てくる。
ここは、いわば公開処刑場で、それは、「悪いことをするとこうなるんだよ」という見る人への、わざとしむけた措置であったと言われている。

処刑された者の首は、さらし首にされた。
その者たちへの鎮魂として、このお地蔵さんは建てられた。

見るたびに圧巻である。



近くには、死に添えた美しい花たち。



この世とあの世との接触した風景のように、お地蔵さんの後ろに回り、見やると、三ノ輪が彼方にある。
私が生まれ育った、いとおしい街、三ノ輪が。



幼い頃の自分に戻った気がした。

しかし、それもつかの間、
TXに乗ると、次第に、2007年の現実社会に、自分は戻っていった・・。

もうあの頃には、戻れないんだなあと思いながら・・・。
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好きな詩・セリフ : 糸井重里 「世の中、ぜぇ~んぶコピーなのだ。」

2007-01-21 22:39:28 | 詩、セリフ・・・そして、コトバ


【ニュース】関西テレビ、『発掘!あるある大辞典II』騒動で謝罪番組を放送

 1月7日(日)に放送された番組の内容で、架空のデータやウソの写真を使用するなどし、21日(日)の放送を休止した『発掘!あるある大辞典II』について同日夜、制作するフジテレビ系の関西テレビが、同番組が放送されるよる9時より5分間、謝罪番組を放送した。
 冒頭で「今回の番組の放送内容に関して、ご説明とお詫び致します」とコメントした関西テレビ、毛利八郎アナウンサーは「事実と異なる内容を番組で放送しました。番組スタッフが、私的にデータを変えていました」と謝罪。
 さらに、番組内で行った実験者とは関係の無い写真を使ったり、海外の専門家のコメントの日本語訳を改ざん、さらに出版物から無許可でグラフを使用していたことなど、大きく分けて5つの部分について、放送当時の映像を交えながら説明。最後には「放送局の信頼を裏切る行為。視聴者、関係者の皆様。誠に申し訳ございませんでした」と頭を下げた。
 なお、同番組は1社スポンサーのため、代替CMが放送できず謝罪番組の後には、公共CMと番組宣伝をオンエア。そのまま、『発掘!~』を制作している関西テレビと、フジテレビが共同制作している情報番組『スタ☆メン』を放送した。

***

私にとっては、1980年に糸井重里大先生が「全てのものは、ぜぇ~んぶ、コピーなのだ。」と言った時から、既に、テレビメディアの自律性は死に向かって疾走し始めたと思っている。

映像という、現実との境目の見えないリアリティを持つメディアである「テレビ」は、とうに1980年代に、こういう議論は終わっており、既に「テレビ」は死んでいるというのに。

よって、今更こんな事件で騒ぐのもアホらしくなっている。
この世は、全て化かしあいに過ぎない。

2ちゃんねるを、蔑視する人は多いが、その「テレビ」が犯してきた犯罪常習者に対しての、拮抗する勢力を作った成果は認めるべきである。

但し、この世は、坂本龍一の「レプリカ」の如く、闇は、表に出れば、闇で無くなり、そして、それにたいする闇の拮抗勢力を作る。
その運動自体が、全体として、きちんと動いていれば良いのである。

しかし、日本のねっとりした社会は、その運動が、きちんと動いていない。
だから、所詮は、こういう事件も、みな1週間たてば忘れるし、きちんと処理されるなんてことはありえ無い。「電通」が、この日本社会を支配しているのだから。

そもそも、「きちんと」とは、何なのかも既に不明だし。

***

私は、この資本主義世界の外側に立って、ヒトからアウトサイダーと呼ばれながらも、そういう化かしあいを、芝居でも眺めるみたいに、傍観している人で生きていきたい。
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YMO 「BGM」における「千のナイフ」について

2007-01-20 00:27:24 | 音楽帳
何てYMOにおいての「BGM」というアルバムは過激なんだろうと、いつまでも思っている。今更ながら。いつまでも。



今まで、自分がこのアルバムに思うことは、いろいろとあって、書き散らしてはきたが、その中の1つの言い方として、このアルバムには様々な「戦い」があるということが、理由として挙げられる。
当時、自分なりの人生と戦っていたかたちんば自身にとっても、そういう意識で、このアルバムを聞いていたし、今だってそうだ。
それが、自分が叩きのめされたときの励みであり、思い返すアルバムである。

黙って「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー 2」を出せば、ミリオンセラーになることが確実などという、現実には余り「ありえない」状況、セールス的には頂点にYMOがある状態で、こういう暗中模索の実験の道に出ようとたくらんだ細野さんの過激さも凄いし、実は、その中を逆風に向かって、3人が歩いていこうとしていたという状況も、自分にとっては凄く刺激・影響を受けた(し、今もそうだ)。

この時点の戦いは、見えない大衆「世間」との戦いであり、誤解との戦いであり、時間との戦いであり、当然現在進行形の見えない音楽世界との戦いでもあり、自分らの次なる着地点を目指すための戦いでもあった。

あと、もう1つは、細野さんと教授の戦いというのがあったことを、今になって、色んな証言から分かってきて、「う~ん」と独り、うなづいていた。

***

当時、1980年のワールドツアーを通じて、疲弊しきった坂本龍一が、神経症(ノイローゼ)に近い精神状態にあったのは事実である。
<実は、一番弱そうに見える幸宏が、一番精神的に強かったんではないか?とこのごろ思ってもいる>

その中で、「BGM」の録音や打ち合わせをすっぽかすようになり、このアルバムは、細野さんと幸宏主導で進んでいた。(その結果が、教授抜きで作った「CUE」)
このアルバムのプロデューサーでもある細野さんは、坂本龍一に、新曲を数曲オーダーしていた。
その中の1曲として「千のナイフ」みたいな曲が1曲欲しいという要求をされていたが、教授はキレて、「なら千のナイフでいいじゃないか!!」ということで、「千のナイフ」のリメイク盤が収まったということらしい。

最初、中学3年生の自分が聴いたとき、「なぜ、千のナイフ?」と思っていたが、真相はそうだったらしい。

***

そして、この「BGM」の「千のナイフ」を今になって聴くと、これは確かに「BGM」というアルバムコンセプト、ニュアンスに沿って作られたのはわかるが、それ以上に、この「千のナイフ」は、実は半分、馬鹿にした態度で作られたのだろうということも感じるようになってきた。というか、うすうすそういう感じは、当初から無意識には思ってはいたが・・。
それは、つまりは「彼ら自身が、YMOそのものを、馬鹿にして、壊す!」作業だったのだろう。それゆえ、過激さを感じるのだろう。「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」で出来てしまったYMOという、彼ら自身でもコントロール出来なくなってしまった「化け物」をぶっ壊す作業だったのだ。

***

この「BGM」における「千のナイフ」はオリジナルがメロディアスでナーヴァスなのに対し、そういった曲の持つフォルムの美しさを粉々にまで壊してしまっている。ノイジーであり、曲の重要だった部分は、全て潰されてしまっている。とっておきは、曲の最後の「ジーーーーー」という終わり方である。

これは、録音の際に、松武秀樹さんが作ったプログラミングのミスで、時間より長くエンディングの部分があったためのものだが、それをカットすることなく、そのスリップしたまま曲として完成形にしてしまったものだ。

「BGM」には、実はこういった要素が随所にちりばめられている。
パチンコ屋でもどこでも至るところでYMOが鳴っていた1980年末、自らのアルバムに「BGM」とタイトルを付けるに始め・・・。

「テクノデリック」も、遺言として自分の棺おけに入れて欲しいほど好きなアルバムだし、素晴らしいが、実は、むしろ音的には穏やかに聞こえる「BGM」の方が、圧倒的に過激なんではないかと自分は思う。

***

今日は、仕事でことごとく会社の役員から罵声を浴び、打ちのめされてしまった、かなりへこんだ夜である。

そんな夜だが、改めて「BGM」を聴きながら、それでも「戦う」意思を持ち続けることを想う。
生きることというのは、イコール=サヴァイヴァル。
どんな状況に叩きのめされても、お盆をひっくり返すように、逆転出来る戦い方はあるのだ、そう思いながら、「BGM」を聴くのだった。

PS:
昔、渋谷陽一が、プリンスを評価した際に言った言葉が、印象的で、急に思い出した。
「いつまでたっても、よく分からないまま生まれ、よく分からないまま死んでいく、、、そういうよく分からない状況に、せめて矢の一刺しでもして死んでいきたい。
そういう強い意思をプリンスの音には感じる。
だから、僕は、プリンスを支持するんです。」

全く同感のことを、僕はYMOに感じます。
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