
去年から、カジャグーグーの2枚目作品「アイランズ」各曲をYoutubeで繰り返し聴いてきた。
この土日再び聴きなおしていたが、やはりCDで欲しくなって注文した。
彼らに出会った1983年。シングル「TooShy」「HangOnNow」はとても好きな曲だった。
じぶんが一番熱かった80年代の中で、シングル「TooShy」は聴いた回数で言えば突出している。
クロスオーバーイレブンでエアチェックした12インチの長いヴァージョンも大好きだった。深い夜の中、きらめく微細な音を聴いていると安堵出来た。
だが、これらヒットシングル2曲を含む1枚目のLPアルバム「ホワイト・フェザー」に満足していたか?
と言えば、ヒット曲以外へのじぶんの視点・印象が薄く、アルバムとして良い一枚とは思えなかった。
収録された中にはフュージョン的なインストゥルメンタル(その名の通り)「Kajagoogoo」がある。
この曲は、深夜ピーター・バラカンさんがMTVを紹介する番組「ポッパーズMTV」コーナーのテーマ曲になっていた。
「Kajagoogoo」以外にもフュージョン/クロスオーヴァー的な要素強い曲があり、「TooShy」「HangOnNow」などポップでメロディアスな曲と同居したLPは2つの世界に引き裂かれた印象だった。
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カジャグーグーは1983年ブレイクしたとたんに、ヴォーカルのリマールが脱退してしまい、こちらは「どうして?」という想いになった。
好きになったバンドがいきなり姿を変えるというのは実に残念であった。
翌年1984年、カジャグーグーはリマール抜きで活動を続け、先行したシングル「ビッグ・アップル」「ライオンズ・マウス」と2枚目のアルバム「アイランズ」を発表する。
当時のじぶんはシングルカット曲そのものに興味を持てず、それ以降ろくに聴かないまま。。。となってしまった。
その後も「カジャ」とバンド名を変えて活動しているというニュースは雑誌やラジオで見聞きしていたけど、それっきりになった。
愛しておきながら忘れてしまった、じぶんの冷たさはよろしくなかった。

いまになって「アイランズ」を聴いてやっと理解したのは、フュージョン/クロスオーヴァー的要素にカジャグーグーがやろうとしていた音楽の方向性やオリジナリティがあったのだということである。
アルバムタイトル曲の「アイランズ」や「Part Of Me Is You」など・・・どれもが素晴らしい楽曲である。
よく音楽には「再評価」という言い回しをすることがある。
しかし、その多くは「ただ単にちゃんとリアルタイムで音楽を聴いて(聴かれて)いなかっただけだろう。」そう思っていたが、カジャグーグー2枚目は、じぶんがその当事者。
じぶんと80年代の音楽のあいだに、そんな想定外の距離はない、と思ってきたが、”ちゃんと聞いてなかった”ことに気付いた。
彼らをアイドル視しかしない高校の同級生に「彼らはそうではないよ」と言ったりして、かなりひいき目に見ていた。
だが、思い込みがフィルターになって、音楽を聴くことを曇らせてしまうことがある。
彼らのデビューの登場そのものがデュランデュランの弟分という形であり、それはまるでジャニーズの如くだったため、多くの錯覚があった。
ベースのニック・ベッグスの笑顔のさわやかさが印象的で、未だに「TooShy」のレコード盤をながめることがよくある。
■Kajagoogoo 「Part Of Me Is You」1984■
初夏の夜には素敵な曲を。

