こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

音盤日誌:ハニャ・ラニ「ミュージック・フォー・フィルム&シアター」2021年

2022-09-19 20:30:00 | 音楽帳

最近、偶然発見したCDアルバム。「Music For Film And Theater」というタイトルとジャケットの絵に惹かれて聴いた。
タイトル通り映画やドラマに提供した曲を集めた一枚。ついブライアン・イーノの「Music For Films」を想い出す。
元となる映像は一切知らないが、知らないまま聴くと良い。

あくまで備忘録としてのメモ
1「Prayer」 逆回転音。そこに絡んで、抑揚をつけて、遠ざかっては近づき巻きついてくる嵐の音。それらが生み出すアトモスフィアに包まれる。
2「In Between」 端正に奏でられるピアノ。背景には1で吹いていた嵐が少なめの風になって吹いてくる。
3「Journey」 ハミングするようにふらりと現れては消えるボーカルに、教授(坂本龍一)の「カール・トゥ・ミー」に現れた青葉市子さんの声と心臓音を思い出した。別に声が似ているわけではない。収録された声はハニャ・ラニ当人だろう。幾重にも重なる美しい声、息継ぎ。ピアノとハミングで始まった曲は、次第にバックで鳴っている和楽器のような音に包まれて小さく消えていき、その和楽器的な音は荘厳な壁を築いて、限界まで膨張していく。
4「Trip To Ireland」 メランコリックなピアノ曲。美しく流れるようにメロディアスな循環。
それは5「The Beach」6「The Locker Room」と続いていく。
6「The Locker Room」 教授(坂本龍一)がクリスチャン・フェネスと作った名作「サンドル」(2007年)の空気感を連想させる。
7「At The Hospital」 息継ぎをする数人の声が重なり合う、1分ちょっとの曲。ここにはメレディス・モンクを重ね合わせる。

クラシックを長く聴いていられないような自分が、このアルバムを流れるままに出来るのは、作者がクラシックというカテゴリーにおさまる気がないからだろう。クラシカルな世界だけでは全然収まらないアルバム。。。例えば、ハロルド・バッドが好きな方なら気に入るだろう。
11 「Soleil Pâle」には、ヴァージニア・アストレイやロジャー・イーノなんかまでもつい思い出す。それも決して似ているわけではないのだが。

ポーランド出身のハニャ・ラニは、1990年生まれの32歳と若い。優れた感性を持つ彼女の音。ピアノ、バイオリン、キーボードなどで構成された世界は、上に挙げたような80年代なじんできた音楽家の音像をかすめていく。時代の違いを超えて、微妙な重なりを持ちながらも、彼女の音は、違う空の色合いや匂い、見え方を描いていく。
そのイメージの世界の中に、私は身をゆだねる。





■Hania Rani Music For Film and Theatre - Prayer■
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Somewhere In Tokyo 2022(8月)

2022-09-02 22:30:00 | 写真日和




























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