このところ続けて胴の割れた二胡が届いています。
そのたびにやることは、まずは、花窓がぴったりはまっているか?そしてどのくらいボンドで固定されているか?を見てみる事です。
中国では花窓の役割は、音を大きくする為、という人が多いです。
西野二胡の金糸と銀糸で作られた花窓を見て、もっと塞いでいないと反射音が無くて音が小さくなると、いう方もいます。
昔試しに、木でできた花窓を西野二胡につけたこともあるのです。
すると、音の抜けが悪くなり、音がこもってしまうのです。
今までたくさんの二胡の胴の割れを直してきました。
そのたびに花窓を外して色々考えてきたのです。
胴割れを直して、花窓無しで弾いてみて全く問題ない楽器も多くあります。
寧ろ8割くらいは問題ないのです。
残りの2割ははっきりと花窓を付けたほうが、音が大きくなります。
これはボンドで固定しなくとも、ぴったりと胴の底面に密着するだけでよいのです。
古楽器はこのように完全に固定されて一体化しています。
この古楽器の花窓を外すと、途端に音の鳴りが悪くなります。音が小さくもなりますが、内弦の鳴りが不安定になります。
そして、花窓を外した時に音の鳴りの悪くなるのは北京系にも蘇州系にもあります。
しかし、花窓が無いと音の鳴りが悪く鳴る楽器でも、その花窓の取り付ける部分、胴の一番後ろの部分の厚みを増やしてやると、音はしっかり鳴るようになります。
多分振動の問題で、この部分の木の厚みが薄いと不安定な振動になるのだと考えられます。
通常この部分は8ミリくらいはあるのですが、中にはそれより薄いものもあり、また厚みが8ミリあったとしても、柔らかい木の場合音の鳴りが悪くなります。
胴の木がしっかり乾燥されていないと、花窓をボンドで固定すると、胴の木が経年変化で収縮した時に、花窓が収縮の邪魔をして胴の割れが起こります。
ですから、花窓をボンドで固定していないメーカーもあります。
そうする、ぴったりと作られていない場合、かなり不安定な音になってきます。
またこの花窓を取り付ける胴の最後部このあたりの木が薄いか、あるいは柔らかいと、音の裏返りも出てくることも多いです。
特に低音二胡には多いものです。
花窓は胴の後ろを塞ぐというより、その部分の振動を抑える役割ではないかと最近は考えるようになりました。
まだまだ研究の余地のある所です。
楽器は奥が深いですね。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ